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日本人学生が世界最優秀賞に! IT人材を育成するプログラミング・コンテスト

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現代において、人々の生活はテクノロジーと切っても切り離せないものになっています。しかし一方ではIT人材不足は今後もますます深刻になると予測されており、日本でも2020年からプログラミング教育が小学校の必須科目となるなど、優秀なSTEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)人材育成が喫緊の課題となっています。

IBMはSTEM教育推進の一環として、学生を対象としたプログラミング・コンテスト「Master the Mainframeコンテスト」を開催しています。15年目となった昨年のコンテストには、全世界から約25,000人の学生が参加しました。その結果、全世界の上位3人である「世界最優秀賞」の一人として、法政大学大学院生・蕪木貴央さんが選出されました。

学び、実践することで誰もが成長できるコンテスト

「Master the Mainframeコンテスト」は全世界の高校、大学、大学院、専門学校に在学中の学生を対象に、年1回開催されます。参加者は自分のパソコンから米国にあるメインフレーム(大型汎用コンピュータ)にアクセスし、ガイドに沿って課題に取り組み実践的なスキルを習得していきます。その上でコンピューター・プログラムを設計・構築し、その品質が審査されるのです。

コンテストの課題は基礎・演習・実践の3つのパートに分かれています。

最初のパートではメインフレームの基礎を学ぶため、スクリーンショット付きのガイドを参照しながらファイルを作成したりプログラムを実行したりします。このようなステップを踏むことで、メインフレームの知識がなく、プログラミングの経験がない学生でもコンテストに参加しやすくなるのです。

次の演習パートでは、さまざまな言語、OS、データベースやセキュリティーについてハンズオン・トレーニングで学びます。

そして最後の実践パートでは、これまでに演習で習得したスキルを使い、現実に起こり得る課題を解決するプログラムを設計・構築します。

コンテスト受賞により広がる可能性

コンテスト参加者はメインフレームの知識だけでなく、さまざまな特典も得ることができます。

例えば、全パート修了者のうち世界の各地域ごとに選ばれた上位2名には$2,750の旅行券が、全世界の成績優秀者上位3名には勉強や研鑽のため現金 $1,000が贈られ、双方ともIBMからのニュース・リリースの配信やソーシャル・ネットワークを通じてその栄誉を讃えられます。

さらに、日本から参加した全パート修了者は全員、日本IBM本社やIBM主催イベント会場にて開催される表彰式、コンテスト経験者を含む先輩IBM社員とのランチ懇談会に招待され、最先端で活躍するエンジニアたちと交流することができます。

こうしたさまざまな経験や魅力的な特典により、学生が将来の活躍の場を切り開くことができるコンテスト——それが「Master the Mainframeコンテスト」なのです。

25,000人の頂点に立った蕪木貴央さん

今回のコンテストでは、法政大学大学院生の蕪木貴央さんが世界優秀賞3名の中の一人に選ばれました。蕪木さんは、当時大学院で日本 IBM社員が講師を務める授業を受講しており、そこでコンテストを知ったとのこと。中学2年生頃からプログラミングを始め、デスクトップ環境での開発経験はある程度あったようですが、メインフレームに関する経験は全くなかったのだそうです。

「予備知識は前提とされていなかったので、かえって新しい技術や環境を経験する良い機会だと考え参加を決定しました」と蕪木さん。しかし、本来であれば約4カ月の期間が与えられているところ、コンテストの存在を知った時点で、既に最終締め切りまで1カ月を切っていました。

蕪木貴央さん (本人提供)
蕪木貴央さん (本人提供)

「期限に間に合うよう、空き時間を見つけて進めていくことに集中し、最終日の深夜まで作業をしました。今まで経験してきた環境とは全く異なるものだったこともあり、操作方法からインターフェース、プログラミング言語に至るまで多くの部分で戸惑いながらの進行で、想像した通りに進まないこともしばしばありました」

そうして最後まで粘り強く課題へ取り組んだ結果、栄えある世界最優秀賞に選定されたのです。「入賞できればいいなとは考えていたものの本当に実現し、まして最優秀賞に選ばれるとは思っていなかったので、驚くとともに大変嬉しく思いました。家族も大変喜んでくれました」

蕪木さんのもとには海外の開発者や関係者から想像を超える反響があり、受賞を機に新しい世界が開けたとのこと。今後はどのようなキャリアを歩もうと考えているのでしょうか。

「特定の分野のみならず、できるだけ広い分野の知識を持つ、ジェネラリストとして活躍できるエンジニアになりたいと考えています。また、ITというと、比較的地理や環境に依存しない分野なので、世界でも貢献できるようになることを目指しています。直近では、クラウド、エッジ・コンピューティングについて考えることが多く、メインフレームの特性がこれらの環境に合致しているように思うので、メインフレームについても勉強を続けていこうと考えています」

「Master the Mainframeコンテスト」への参加を、キャリア構築の糧として進んでいきたいという蕪木さん。IBMではこのように、学生たちの才能開花や躍進を後押しする取り組みを続けています。本コンテストで学び成長した世界中の学生たちが、優秀なIT人材として今後おおいに活躍してくれることを願っています。

photo:Getty Images

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