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IBMは2019年ウィンブルドン選手権にエースなAIを提供

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これまで30年の間、IBMは最新のAIとクラウドで、世界中のファンやメディアに素晴らしいデジタル・エクスペリエンスを届け、ウィンブルドンへの熱い情熱を支えてきました。今年の試合も、ハイライト映像を「IBMのAIで試合終了2分以内で完成」させて、テニスファンに提供しました。詳しく解説します。

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ウィンブルドン選手権は、すべての選手権が勝利を夢見るテニス・トーナメントであり、注目されるスポーツ・イベントの一つです。この世界一流のテニス・トーナメントのモットーは「偉大さの追求(In Pursuit of Greatness)」です。これは最高峰を目指す選手のウィンブルドンへの絶え間ない情熱と、それが果てしない道のりであることを表しています。

これまで30年の間、IBMは、最新の人工知能(AI)とクラウドで、世界中のファンやメディアに素晴らしいデジタル・エクスペリエンスを届け、ウィンブルドンへの熱い情熱を支えてきました。ウィンブルドンがトップを走り続けるには、最良の洞察やコンテンツでウィンブルドンの緊張感や興奮を、世界中の観客と報道機関に伝え、トーナメントを楽しみ、盛り上げなければなりません。ウィンブルドンは、ワールド・クラスのスポーツ・イベントであるともに、データ駆動型のメディア・ビジネスとしての位置付けを得るようになりました。

ウィンブルドンはAIをいち早く導入し、新しいデータ・ソースを競争力と優位性のあるデータとして使用することで、新しい観客体験からIT運用に至るまで、様々な機能を提供してきました。IBMでは、ここ数年間「試合の鍵」を明らかにするためにデータに対して機械学習を使ってきました。試合のパターンや形式を使って、選手は特定の対戦相手に対するパフォーマンスを最適化することができます。Wimbledon.comのIBM SlamTrackerでは、試合中に重要な戦術がどのように展開されているのか、勝利がどのように導かれたのかをファンに提供しています。

AIの燃料はデータです。1990年以来IBMは、トーナメントから6,300万近くのデータ・ポイントを収集してきました。どのようにして各コートから正確度100%の正しいデータを収集するのでしょうか。その答えは、経験豊かなテニス・プレーヤーにコートサイドであらゆるポイントの詳細を評価し、記録してもらうことです。テニスの専門家である選手が、アンフォースト・エラーなどの主観的なポイントを確実に指摘します。人間と機械の間のこのパートナーシップは、AIを有効利用するための共通のパターンであり、重要な要素です。提供するデータを世界中のプレスやメディアに信頼してもらうためこのような方法をとっているのです。データは報道内容の基礎となるため、正しくなければなりません。試合のすべてのポイントについての詳細な統計が行われ、専門のソフトウェアとハードウェアを使用してリアルタイムで記録されます。IBMは、秒未満の単位で100%の精度を目指しています。

情報通のファンは、一刻も早く最もエキサイティングな瞬間を見ることを期待しています。IBMが開発した画期的なAIシステムにより、どの時点においても複数のゲームや試合から最高の瞬間を捉えることができるようになっています。18のコートで1日4試合が行われるなか、数百時間もの場面が生成されます。以前は、ビデオを見て編集する作業は手動で行われていました。今では、数百時間のビデオ・コンテンツは革新的なAIテクノロジーによって分析され、試合終了後2分以内にハイライトが選定されます。

IBMのWatson AIテクノロジーは、動きを連続的に追跡して、すべてのポイントにランクを付け、ノイズ・レベルによって観客の興奮度を測定し、選手のジェスチャーを読み取り、ゲーム内容と試合の統計を分析します。要素をこのように組み合わせることにより、観客が興味を持っている真のハイライトを特定できます。このように最も包括的なハイライトのキュレーションを最高速で行い、ファンやメディアにすぐに提供するのです。

学習するシステムとしてAIを利用するメリットの1つは、新しい機能でソリューションを容易に強化ができることです。今年のウィンブルドンでは、Watsonは、音響認識の精度を上げ、不注意によるバイアスを理解し、出力のクオリティーを高めるべく学習しています。

あらゆる選手に対するサービスの誠実さと平等がこのビジネスの基本原則であるので、全選手にハイライトを平等に提供する必要があります。しかし、テニスの試合ではすべてのハイライトが平等に提供されるわけではありません。例えば、熱狂的なファンを持つ人気選手は、同じ強さであるが控えめな対戦相手よりも興奮を表す指標が高くなるでしょう。

Watson OpenScale for AIを使用するこのシステムでは、多種多様なデータ・ポイントを分析できるようになっており、ハイライトとなる名場面のビデオを選別する際の公平性を向上し、バイアスを低減しています。例えば、第7コートの男子シングルスと女子ダブルスでは、カメラワーク、観客数、選手の感情などの属性が大きく異なります。OpenScaleは、機械学習によって、こうした違いを自動的に考慮し、種目が異なる2試合で公平な結果を提供します。

2019年、Watson Acousticsがボールの音を「聞く」ことができるようにするため、データ・ソースをさらに豊かなものにしました。これにより、より厳密なハイライトのパッケージを作成できるようになります。システムの音声分析では、ボールが打たれた瞬間も認識できるようになり、ハイライトのクリップをさらに正確に編集できるようにすることで貴重な時間を節約し、あらゆる瞬間の映像権の価値を最大限に高めます。

ウィンブルドンにとって、観客にサービスを提供するためにAIの能力をより拡張できることが、戦略として重要です。昨年、ハイライトのビデオの視聴回数は1,400万回を超えました。IBMは、拡張性はビジネスにとっても不可欠であると考えています。AIは、ビジネス・リーダーが大規模に生産性を高めて大きな成果を出すサポートを行います。ウィンブルドンのインフラストラクチャーとシステムは、2週間のトーナメント期間以外の日と比較すると、最大55,000%拡張されます。そのため、IBM Cloudの柔軟性により、試合期間の要件に対応できるのです。詳細はこちら(英語)

2019年のウィンブルドン選手権におけるAIのストーリーは、30年間にわたる信頼関係の継続です。ウィンブルドンは「偉大さの追求」を行うべく、イノベーションを継続してコミットしています。IBMは、このトーナメントを愛するすべての人のために、データから洞察を得るのに必要な専門知識とソート・リーダーシップを提供できることを誇りに思っています。IBM at Wimbledonの詳細はこちら(英語)

信頼できるエクスペリエンスを提供することでテニスのファンとつながることは、IBMの多くのお客様が顧客とつながり、求められる情報とサービスを提供する際に直面する課題と似ています。ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(ナットウェストとアルスター銀行を含む)は、一般的な問い合わせの多くに使用できる「Cora」というセルフサービス・バーチャル・アシスタントを顧客が利用できるようにすることで、待ち時間を短縮し、カスタマー・サービスを迅速に行っています。Coraは、初期段階で 200件以上の顧客からの問い合わせに対する1,000件以上の回答を学習し、その後も継続的に学習しています。Coraがお客様に対応できない場合は、このお客様は、関連情報をすべて把握している人間のアドバイザーにシームレスに取り次がれます。CoraにはIBM Watson Assistantが活用されています。

IBMのWatson AIテクノロジーがビジネスにどのように役立つのか、詳しくはこちらをご覧ください。

著者:Chris Williams
Data Science & AI Architect

※この記事は米国時間2019年6月17日に掲載したブログ(英語)の抄訳です。

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