テクノロジー・リーダーシップ

若手が役員に直談判?! IBM技術者の合宿

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問題意識を持って自分の所属組織や会社、あるいは社外に対して提言を行い、提言内容を実行に移して実現する、この一連のプロセスを継続して行うことは、キャリア形成のために重要です。日本IBMでは若手技術者がこのプロセスを学ぶ機会を提供するJTC集中討議という活動を毎年開催しています。今回は、JTC集中討議の様子と若手技術者が提言のプロセスを学ぶ意義についてご紹介します。

二上 哲也

著者:二上 哲也
日本IBM グローバル・ビジネス・サービス事業 技術理事

1990年にIBMの開発製造部門に入社。Java/Web技術によるシステム構築を推進し、2004年からはサービス部門にて大規模Javaプロジェクトのリード・アーキテクトとして活動。2010年からはIBM Distinguished Engineer(技術理事)として、APIやBlockchain、AIや超高速開発など最新技術によるシステム構築の変革をリードしている。日本IBMの若手技術者の育成を推進するコミュニティ「JTC」が主催するJTC集中討議にレビューワーとして参画。

若手と役員がアイデアをぶつけ合える関係

日本IBM 若手技術者コミュニティJapan Technical Council (JTC)参加メンバーが中心となり、会社や社会の課題を解決するための施策を組織横断的に自由なテーマで数ヶ月間かけて議論し、その成果を役員に提言し、実現に向けた活動を行う場が、2001年から毎年開催している「JTC集中討議」です。

役員への最終提言は天城ホームステッドという、日本IBMが持つエグゼクティブ向けの研修施設で行い、若手技術者と役員が浴衣姿で合宿し、議論します。一般的なアイデアソンやハッカソンとは違い、JTC集中討議では数ヶ月間かけて実現可能性まで含めて議論するため、最終提言の後は役員のサポートをもらいながら提言内容を実行に移すことができます。

JTC集中討議とは

今年のJTC集中討議ではWatsonを利用した学術論文を活用する施策が提言されました。彼らは社内の有識者のサポートをもらいながら、提言内容の技術的な検証を進めています。また、過去には「若手サミット」と呼ばれる地域の課題の解決策について若手が議論するアイデアソンの開催や、「IBMキャラバン」と呼ばれる若手技術者が講師を務める高校生向けのIT出張授業が提言されました。これらの提言を行ったメンバーは自主的に活動を進め、これまで継続的にアイデアソンやIT出張授業を開催しています。

意志を持って自ら動けば、周りがサポートしてくれる

近い年代の人が組織横断的に集まり議論することで、同じ問題意識を持っているのが自分だけでないことに気付き、様々な意見を交わすことでより良い解決のためのアイデアが生まれます。

また、一人ではとても実行できないことも、そこで出会った同志やエグゼクティブのサポートをもらうことで実現が可能になります。若手社員の多くは、自分のような思いを持っているのは自分だけで、どうせ会社は何も気にしてくれない・・・と勝手に思いがちです。が、実は単に自分が行動に移せていないだけなのです。特にIBMは、自分が意志を持って動けば周りがサポートしてくれる会社です。それを知ってもらうのが、JTC集中討議の場だと思っています。

実は私自身も、若手の頃に同じように悶々としていた時期がありました。「もっと皆がやっていることを共有したり再利用したら、全社的に効率化できるのに」と思って周囲の先輩方に相談したところ「サポートするから自分で始めてみたら」と背中を押してもらいました。そこで実際に自ら動いてみたら、思ったよりも多くの人の助けを得ることができ、最終的には投資も含め全社的プログラムを立ち上げることができました。

自ら動けば周りはサポートしてくれるのです。JTC集中討議は、提言のまとめ方から会社を動かすところまで、それが会社公認でできる素晴らしい機会だと思いました。特に役員と合宿で(しかも全員浴衣で!)まさに膝詰め談判できるところが良いですね。

イノベーションの源泉

JTC集中討議では若手技術者が役員に対して提言を行い、提言内容が認められればその後の実現に向けた活動へのサポートをもらうことができます。このように、日本IBMには熱意さえあれば役員が年次に関係なく提言内容に耳を傾けてくれる風通しの良い風土があります。

私自身もJTC集中討議に参加していて、若手と役員が一緒になって会社を変えるという仕組みが、若手技術者の成長につながっていると実感しています。議論していくうちに、若手の目の色が変わっていくのが手に取るようにわかりますので。若手が意欲を持って学び、行動することがイノベーションの源泉であり、JTC集中討議がIBMの技術者にとって飛躍の場になっているのです。

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