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種から商品棚まで:IBMのイノベーションが5年以内に食品サプライ・チェーンのあらゆる段階に変革をもたらす

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5 in 52024年までに世界人口が史上初めて80億人の大台を突破すると言われています。ただでさえ深刻化する気候変動や限りある飲料水といった問題を抱える私たちの複雑な食品サプライ・チェーンは、今後ますます試されることになるでしょう。人口ひしめく未来の需要を満たすには、化学や微生物学におけるブレークスルーと、新たなAIアルゴリズムやクラウド接続型デバイスを実現するとともに、食の安全と安心に対するまったく新しい考え方を持つ必要があります。

そこで先陣を切ってこの問題に着手したのが、世界中のIBM研究員です。収穫量の最大化を図る農家の支援から、食糧の輸送・販売の合理化、食糧供給の45%を占める大量廃棄の抑制、人々の健康を害する前に病原菌や汚染物質を発見するためのセーフティー・ネットの整備、プラスチックの新たなリサイクル方法の考案まで、食品サプライ・チェーンのあらゆる段階でソリューションの開発に取り組んでいます。

今週、IBMの今年最大のお客様向けイベント「Think 2019」がサンフランシスコで開催されますが、その会場で行われるサイエンス・スラム・セッションで今年の未来予測「5 in 5(ファイブ・イン・ファイブ)」に関わる研究員をご紹介します。ぜひ2月13日(水)午前10時~11時(米国太平洋標準時)にこのセッションをライブでご覧いただくか、こちらから録画をご覧ください。IBMの研究員にとってサイエンス・スラムは、その研究の重要性をおよそ5分間という短時間で多くの方々に伝えることのできる機会です。このやり方は、私たちのイノベーションをエッセンスにまとめお伝えすることで身近なものと感じていただく非常に有効な方法です。

この場でIBMの研究員は、今後5年間で実現し得ることについてのインスピレーションをご提供します。80億人目として地球上に生まれた人の目の前には、親世代が想像したよりもずっと、相互につながり、支え合い、変化に素早く対応できる世界が広がっていることでしょう。それが全人類が待ち受ける未来の姿です。

以降に、IBM研究員が今年ご紹介する予定の内容をまとめました。

まずは「種」の段階から…

瓜二つ:農業の「デジタル・ツイン」が、増え続ける人口への食糧供給問題をこれまでより少ないリソースで解消
世界中の栽培者、耕作機械メーカー、食品流通業者、農務省や保健局、銀行・金融機関、人道支援団体が、農業に必要なあらゆる土地、作業、リソースの「デジタル・ツイン」を利用できるようになるでしょう。その結果、リソースを共有するシェアリング・エコノミーが誕生し、収穫量の増加や食に対する安全の向上、環境コストの低減が見込まれます。

次に「収穫」の段階へ…

消費期限注意:ブロックチェーンによって食卓に上る食品の量が増え、廃棄量が減る
5年以内に食品サプライ・チェーン内でコストがかかっている不明要素の多くが排除されるでしょう。これにより、農家から食料品店まで、サプライ・チェーンの各参加者が、栽培量、注文量、出荷量を正確に把握できるようになります。ブロックチェーン・テクノロジー、IoTデバイス、AIアルゴリズムの総力を結集すれば、食品廃棄物が大幅に減少し、より新鮮な農産物が消費者の買い物かごに届けられるようになるでしょう。

そして「商品棚」の段階へ…

さいきん元気?:マイクロバイオーム(細菌叢)の解析が有害な菌から人体を守る
5年以内に、世界中の食品安全検査官が新しく素晴らしい力を手に入れるでしょう。すなわち、食品の安全を守るために、何百万という細菌を利用する能力です。それらの細菌は、人が摂取して健康に良いものもあれば悪いものもありますが、農場や工場、食料品店でたびたび食品に取り込まれます。コスト効率の高い方法でそれらの遺伝子構造を解析できる新技術のおかげで、人が摂取するものの安全について細菌から多くを知ることができるでしょう。

さらに「食卓」の段階へと…

名探偵、ディナーに登場:AIセンサーが家庭内での食品の細菌汚染を検出
5年以内に世界の農家、食品加工業者、食料品店も、家庭で手料理を作る何十億もの人々も、病原菌など食品の有害な汚染を容易に検出できるようになるでしょう。必要なのは、AIセンサーを取り付けた携帯電話や調理台だけです。IBM研究員は現在、設置すればどこでもどんな場所でも食品の細菌汚染を検出できる、ポータブル型の高性能AIセンサーの開発を進めています。それらの携帯型細菌センサーによって、病原菌検査にかかる時間を数日から数秒にまで劇的に短縮し、食品サプライ・チェーンのあらゆる関係者が有害な大腸菌やサルモネラ菌の存在を食中毒が発生する前に検出できるようになるでしょう。

最後に「廃棄」の段階では…

「プライド」をかけた変身:これまでにない斬新なリサイクル工程が廃プラスチックに新たな命を吹き込む
5年以内にごみの処理とプラスチックの再生が根底から変わるでしょう。牛乳パックやクッキーの箱から、買い物袋やチーズ・クロスまで、あらゆるもののリサイクルが可能になり、ポリエステル・メーカーが廃棄物を引き取り、有益なものに再利用できるようになります。この変革は、ある種のプラスチック(ポリエステル)を再生製品用プラスチック製造機械へ直接送り込むことができる物質へと分解する触媒化学処理プロセス「VolCat」をはじめとするイノベーションによって実現されます。

※この記事は米国時間2019年2月11日に掲載したブログ(英語)の抄訳です。

執筆者:アーヴィン・クリシュナ
IBMクラウド、コグニティブ・ソフトウェア担当シニア・バイス・プレジデント

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