量子コンピューター

IBM Quantum Challengeで量子コンピューティングの未来を構築

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IBMは、11月9日より、3週間にわたるオンラインの量子プログラミングイベント「IBM Quantum Challenge」を開催します。こちらでご登録を受け付けています。

 
[ 著者 ]
佐藤貴彦:慶應義塾大学 量子コンピューティングセンター 特任講師
西尾真:国立情報学研究所 研究補助


IBM Quantum Challengeでは、最初の2週間で実習を通じて量子アルゴリズムや量子プログラミングに関して学んでいただいたのち、最終週では他の参加者と量子プログラムの効率を競い合っていただきます。このイベントは量子プログラマーだけでなく、量子コンピューターに初めて触れる方にとっても、絶好の機会であると考えています。

10年前、私(佐藤)は大学院で量子アルゴリズムを学んでおり、CNOTゲートや補助量子ビットの数を減らすことによって量子回路をより効率化しようとしていました。提案した回路は、2020年代末までには物理的に実装できると思っていたのですが、実際には2019年に超伝導と光を使って実装されていました(技術の進化が早すぎる!)。現在、量子プログラミング大会は、当時では想像もつかない規模で開催され続けています。高いレベルの挑戦者達が革新的なデータ構造や量子プログラミング技術を発明しているこのイベントに、再び関われることを嬉しく思います。

この1年間で、NISQやニアターム(near-term)・アルゴリズムの技術は進化しました。一方で、ロングターム(long-term)・アルゴリズムを実装できるデバイスが登場するまでには、まだ数年かかると思われます。私たちは、おそらく10年以上はプロセッサーに実装されないであろう問題を解決するために、この課題に取り組んでいます。多くの若い参加者に将来の量子プログラミングの課題を提示し、彼らの努力によってプログラミング技術の進歩を加速させることも、私たちの目標の一つです。

競技としての量子プログラミングの魅力を皆さんに伝えられるよう、昨年開催されたコンテスト「IBM Quantum Challenge 2019」の最終課題をご紹介します。

あなたはある都市の市長として、複数のコンビニエンスストア・チェーンを市に誘致していますが、各チェーン店舗(色で示されている)から「同じチェーン店が隣接しないようにしてほしい」と言われています。この条件に合致する出店計画を立案してください。

昨年開催されたコンテスト「IBM Quantum Challenge 2019」の最終課題

昨年開催されたコンテスト「IBM Quantum Challenge 2019」の最終課題の図

つまり、少し数学的に言うと、隣接するノードに同じ色がつかないように色を付けることが目標です。量子コンピューティングの教科書では、数学的に定義された抽象的な問題を解くことを紹介していることが多いのですが、このコンテストでは、これらのアルゴリズムを使用して、身近に感じられる問題を解いていきます。この問題は、グローバーのアルゴリズムと呼ばれる非常に便利なアルゴリズムを用いることで解くことができます。少し難しく聞こえたかもしれませんが、ご安心ください。IBM Quantum Challengeには、「量子回路」と「量子アルゴリズム」の詳細な紹介が含まれているので、この分野を初めて学ぶ方でも他のプログラマーと互角に競い合うことができます。量子コンピューティングの知識は前提条件ではなく、pythonの基本的な知識を持つ方であれば誰でも参加できます。また、参加者は、「コスト」と呼ばれる指標を用いて量子コンピューター・プログラムの規模を縮小することを目指してコンテストに出場します。これを行うことで、量子アルゴリズムをいかに効率的に実装するかという視点を養うことができます。

量子コンピューティングはまだ黎明期であり、1950年代のコンピューターのようなものだと言う人もいます。しかし、当時のコンピューティングと違って、現代の量子コンピューティングはQiskitをはじめとするオープンソースソフトウェアで活発に研究・開発が進んでおり、クラウドシステムを介して利用できます。そのため、1950年代のコンピューターよりも、より多くの人々がこの分野に参入でき、技術を進歩させやすくなっています。

昨年のQuantum Challenge やハッカソンで出会った挑戦者達が、すでに第一線で活躍していることを光栄に思います。

「Rainy Day Hacker(コンテスト時のチーム名)」のRanaは、Qiskit Challenge India を主催しました(彼らは今回のQuantum Challengeにも多くの有用なアドバイスを提供してくれました。ありがとうございます!)。このChallengeがインドの次世代の量子プログラマーを生み出すのは間違いありません。

優勝した”Whit3z” Naphanは、博士号候補としてタイから私たちの研究室に来てくれました。彼が将来どのような量子アプリケーションを開発してくれるのか、楽しみにしています。ここで紹介することができなかった他の参加者も、それぞれの国の若い量子リーダーになると確信しています。

量子プログラマーの数は急増していますが、まだまだ不足しています。今年の参加者が量子プログラミングの楽しさを発見し、次世代の量子ソフトウェア開発をリードしてくれることを期待しています。

去年のコンテスト上位者を示すリーダーボードの図

去年のコンテスト上位者を示すリーダーボード

ところで、2030年のIBM Quantum Challengeではどのような問題が出題されると思いますか?(より高水準な量子言語が流行するかもしれません。少なくとも私は、32量子ビットよりも制御可能な論理的な量子ビットが増え、シミュレーターは使わないだろうと想像します)大規模な量子ウォークでしょうか?未知の新しいアルゴリズム?それとも、「IBM Quantum Challenge 2019」のような色分けの問題が出てくるでしょうか?おそらく、現在では想像できないような問題が出てくるでしょう。唯一確実なことは、私たちは挑戦者としてコンテストに参加していることです

今日の参加者が新しい量子問題を発明し、古典的なプログラミング・コンテストのような多様な大会を開催することを期待しています。

コンテストでお会いできるのを楽しみにしています!ご登録はこちらからどうぞ。

※この記事は米国時間2020年10月26日に掲載したブログ(英語)の抄訳です。

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