プロジェクトマネジメント

プロジェクト・マネージャーに問われる「人間力」

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Donald Wilson

著者:Donald Wilson
Vice President & Partner, Quality Leader for Japan Global Business Services

プロジェクト・マネジメントの役割

プロジェクト・マネジメントの基礎は変化を実現することです。プロジェクト・マネージャーは「変化の主体」となり、プロジェクトを前進させるだけでなく、個人、企業、そして社会さえも良くするものであるべきです。

プロジェクト・マネジメントはドライで理論的な活動で、たくさんの難解なツールや専門用語から成り立っていると思われがちです。しかし、「変化の主体」となるプロジェクト・マネジメントとは、多様な人材を共通の目標へと導くことです。プロジェクト・マネジメントのツールやテクニックは便利ですが、目標を達成するための二次的な要素に過ぎません。

社会の中で、プロジェクト・マネジメントは重要な役割を果たしています。そして、良いプロジェクト・マネジメントはより良い社会を創造します。これは過言と思われるかもしれませんが、多くの証拠が存在します。ほとんどの行政機関はプロジェクトの失敗の経験があり、巨額のコストを被っています。また、多くの民間企業も似たようなプロジェクトの失敗を経験していることを認めるでしょう。

2015年10月に札幌で開催されたProMac 2015では、基調講演をさせていただきました。このイベントは日本のプロジェクトマネジメント学会が主催していて、産学両分野のプロジェクト・マネジメントの専門家が集まります。複数の登壇者が指摘していたのは、プロジェクトの失敗の頻度とコストが増加しているということです。プロジェクト・マネジメントとプロジェクトの成功のためのツール、テクニック、技術に大きな投資をしているにも関わらず、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?

プロジェクトが失敗する主な原因

これは実はずっと変わっていません。原因となるのは…

  1. 作業範囲の定義や管理が乏しい
  2. 意思決定が効果的でない
  3. プロジェクトとユーザーが求めているものが合致していない
  4. プロジェクトのデリバリーに関るサプライヤーを管理できていない
  5. プロジェクトを管理できていない – 報告するのみで課題を解決できていない

私は日本に来てから非常に能力の高いプロジェクト・マネージャーや、素晴らしいスキルを持ったチームと一緒に仕事をすることができて光栄に思っています。また、私たちのプロジェクトの大部分が成功を納め、失敗率が下がっていることを誇りに思います。

課題管理をマネジメントするために行うべきこと

チームのコーチングや、お客様と会話をする際に、上記の5つの兆候は常に念頭に置いています。これらの課題をマネジメントするということは、プロジェクトのステークホルダーのマネジメントやコミュニケーションを改善していくことでもあります。プロジェクト・マネジメントで成功するためには優れた人間力が必要です。それはツールやテクニックなどの技術的な知識と同じくらい重要です。

私がよく言うのは「プロジェクト・マネジメントとは正確に報告するだけではない。その報告を基に如何に行動を起こし、目標を達成するかである」。ツールを用いることで情報を正確に把握することができるので、それは不可欠なことではありますが、プロジェクト・マネージャーはどのようなアクションを起こすべきかを考えていなければいけません。

札幌の学会では、その他にも 「解約に至ったプロジェクトは成功と言えるか」という質問がありました。私の答えは「Yes」です。プロジェクトが進行するにつれて、プロジェクトの目標をどのように達成したらいいか、また達成を阻害する課題やリスクは何なのか、理解が深まってきます。そのような情報を単に報告するだけでは十分ではありません。プロジェクト・マネージャーはこの分析を基にアクションを起こさなければいけません。

もしプロジェクトの目標が予算内や期間内に達成できないことが判明した場合、プロジェクト・マネージャーの責務として、このプロジェクトを継続すべきか、または目標自体を変更するべきか、指摘し疑問を投げかけるべきです。意思決定の失敗の最も顕著な例は、新しく判明した情報を基に、プロジェクトのリーダーがプロジェクトを停止したり、再検討することができず、成功しないプロジェクトを推し進めてしまうことです。

テクノロジーの進化とプロジェクト・マネージャーの人間力が鍵

その学会から3年半が経ち、テクノロジーも大きく進化しました。今ではツールによってデータを報告や分析するだけでなく、機械学習によってプロジェクト・マネージャーにアクションを推奨することも可能になり始めています。プロジェクト・マネージャーの質問に答える「チャット・ボット」も存在します。それによってプロジェクト・マネジメントは技術的な面ではより容易になるでしょう。

ただ、人間的な面での課題は残っています。さらに、お客様や社会の変化のスピードは加速しています。つまりそのような人間力を習得できるプロジェクト・マネージャーが必要なのです。私たちの未来の質はそれにかかっています。

プロジェクト・マネージャーの質問に答える「チャット・ボット」

プロジェクト・マネージャーの質問に答える「チャット・ボット」

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