IBM Research

開発者、研究者、教育者向けのツールで量子コンピューティング・スキルを開発

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IBMは、2016年に実際の量子コンピューティング・システムを公開して以来、より多くの人が量子コンピューティングを学ぶハードルを下げ、使いやすくすることに取り組んできました。量子コンピューティングに関するの研究分野は、過去数十年間に大幅に進歩してきましたが、量子コンピューティングに誰もがアクセスできるようにする使いやすいツールが研究員たちによってリリースされたのはごく最近のことです。IBMは、Qiskitで必要なすべての量子プログラミング・ツールを提供し、IBM Q Experienceを使用して、クラウド経由でIBMの量子システム上での量子回路の実行がしやすい環境を整えました。今では、Qiskitを使った実験とシミュレーションが2,800万件以上実行されています。

さらに、IBMは、量子コンピューティングに対応できる学生、教育者、開発者、この分野の専門家を増やし、成長をつづけるユーザーコミュニティーを支援するための教育に多額の資金を投資し、次世代のコンピューティングとしてこの新たなテクノロジーを確立することを目指しています。

そのため、本日、IBM Qシステムの性能と機能を高める一方で、次世代の量子コンピューティング開発者を指導している教育者と学生向けのツールのリリースを発表します。

Learn Quantum Computation using Qiskit当社は、IBM Q Experienceを通じて新しい量子システムの展開、およびシステムの時間を予約できる機能を提供しています。これは最初、IBM Qネットワークのメンバーに提供されます。メンバーは、当社の先進のシステムとソフトウェアを使用して、アイデアを実験し、テストするために、そのユーザー向けに中断されない時間枠を予約できるようになります。さらに、教育者と大学のメンバーは、当社のハードウェアを使用してクラスで量子コンピューティングの概念について動的なデモを行うために、予約した時間を利用できます。一方、学生は、IBM Q Experienceを使用することにより、追加のインストールの必要なく、Webブラウザーから直接に授業を理解することができます。

当社は、次世代の量子コンピューティング開発者を指導している教育者と学生向けのツールとして、Learn Quantum Computation Using Qiskitというオープン・ソースのオンライン・テキストブックを公開しました。この分野の経験豊富な教育者と主要な研究者によって執筆されたこのテキストブックは、理論と現実をつなげるために学生を支援することを目的とし、シミュレーターと実際の量子ハードウェアの両方で実行される実際的な課題を使用して量子コンピューティングについて解説しています。最も重要な点は、このテキストブックがオープン・ソースであることです。したがって、この分野の主要な教育者と寄稿者は、学生が最も関連性の高い最新の量子コンピューティング・スキルを確実に学習できるよう、そのテキストを継続的に更新できます。このテキストブックには、コース学習に含めることができる一連の課題も含まれています。一連の課題に対するソリューションに関心のある教授は、エイブラハム・アスフォー(メール)までご連絡ください。このテキストブックの詳細はこちら


大学のクラスで量子コンピューティングを教えるための「生きた」テキストブックを作り上げることは、ただ重要であるだけでなく、動きの速いテーマに関する最先端の教育を実現するためには、不可欠であったとすら言えるでしょう。

このテキストブックを利用すれば、量子マシン分野の強力なバックグラウンドを持たない方でも、量子コンピューティングの最先端のトピックに関わるという素晴らしいチャンスを最小限の時間で獲得できます。

――ジャバード・シャバーニ(Javad Shabani)博士、ニューヨーク大学アシスタント・プロフェッサー(物理学)兼シャバーニ・ラボ主任研究員。『Qiskitで学ぶ量子コンピューティング(Learn Quantum Computing Using Qiskit)』共著者


教室外の学習を促進するために、「Qiskitによるコーディング(Coding With Qiskit)」と題したビデオ・シリーズも提供しています。このシリーズを通して、視聴者は新しい言語を学ぶときの一番の難所、すなわち学習の序盤を乗り越えることができます。「Qiskitによるコーディング」はQiskitのインストールから始まり、量子の“Hello World”アプリケーションのプログラミングや、最新のアルゴリズムおよび研究トピックの探究に進みます。ビデオは週に1回のペースで公開され、インターネットにアクセスできる学習者なら誰でも利用可能となる予定です。

IBM Qに関わるチャンス

最後に、学生、教師、そのほか量子コンピューティングに強い興味を持っている方々を含め、量子コンピューティング・コミュニティーのメンバーなら誰でも参加できる一連のイベントをご紹介します。

  • IBM Qアワードは、Angelhackと提携してオンラインで開催するコンペティションです。1セメスターにわたるこのコンペティションでは、Qiskitをベースにした講座用の資料や論文、ビデオ、ゲームなど、さまざまなトピックが対象になります。このアワードにはあらゆる学生、教育者、開発者が参加可能です。
    IBM Qアワードの詳細
  • IBMは大学ハッカソン・パートナーシップ・プログラム(University Hackathon Partnership Program)を拡張しました。これによって各大学は、当方のグローバル・チームと提携し、コミュニティー形成に役立つ実践的なQiskit体験を主催できるようになりました。この体験では、量子コンピューティング開発に取り組む生徒がIBM Qの専門家と共同作業を行い、自身の量子ソフトウェア・プログラムを開発します。
    メールからお問い合わせ
  • 2019年のQiskitキャンプがヨーロッパ、アジア、アフリカで開催されます。このイベントはQiskitについての理解を深めるだけでなく、熱心なQiskit仲間と出会うのにも最適です。さらに、世界各地から集まったチームが競い合うのにうってつけの場ともなります。
    2019年のQiskitキャンプの詳細
  • IBM Quantum Challengeは、慶応大学との共催によるオンラインハッカソンです。参加者は、実社会課題を量子アルゴリズムをつかって解く機会を得られます。入賞者は11月に予定されているQiskit Camp Asiaに招待されます。
    オンラインハッカソ詳細

言うまでもなく、以上の取り組みすべての基盤となっているのは、IBM Q Experienceを通じて利用可能な、IBMによる実際の量子ハードウェアおよびシミュレーターです。このハードウェアとシミュレーターは、どちらも研究や量子コンピューティング開発と同じくらい、学習に対しても重要なツールとなります。これら2つにアクセスしなければ、生徒が量子コンピューティングによるプログラミングや最新ハードウェアの実態を完全に理解することはできないでしょう。

本日発表した取り組みを通じて、またその継続的な発展を通して、IBMはただ研究を後押しするだけでなく、将来の量子コンピューティング研究者や開発者を支援して、彼らに次世代コンピューティングの道を切り開く体制を整えてもらいたいと考えています。

著者:ジェイ・ガンベッタ(Jay Gambetta)IBMフェロー、IBM Q

著者:エイブラハム・アスフォー(Abraham Asfaw)量子コンピューティング教育リード(Quantum Education Lead)、IBM Q

※この記事は米国時間2019年9月5日に掲載したブログ(英語)の抄訳です。

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