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日本版メインフレームキッドが語るエンジニアとしてのキャリアの第一歩とそのきっかけとは

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2017年11月に公開された「18歳の大学生がIBM製メインフレームのIBM z890を購入して自室に設置してみた」という映像で一躍有名になり、日本でも今年の年初に大いに話題となったのが、現在、米国IBMの社員としてメインフレームの研究開発拠点に勤務している「メインフレーム・キッド」ことコナー・クラスコスキだ。

実は、日本にも、あるコンテストに参加したことで、メインフレームで夢を叶えるきっかけをつかんだ青年がいる。現在、日本IBMの社員として、メインフレームに関する業務に従事している「日本版メインフレーム・キッド」こと渡邉一史に、メインフレームに夢中になった理由を聞いた。


–IBMメインフレームのスキル習得を目指した学生向けに、全世界で開催されているプログラミング・コンテスト「IBMメインフレーム・コンテスト」に参加して、2016年の最優秀賞を獲得。現在は、日本IBMでメインフレームの技術営業として活躍する渡邉さんですが、メインフレームに興味を持ったきっかけと経緯を教えてください。

渡邉:幼いころ、アメリカのSF映画「インデペンデンス・デイ」を観て、航空宇宙分野やその周辺のコンピューティング技術に強く憧れました。その熱は学生になっても衰えず、大学院時代は、学部時代に研究した数値流体力学をベースに、宇宙工学を専攻しました。そこでは、スペースデブリ(宇宙ゴミ)を減らすことを目的とした、宇宙物体を観測する方法について研究をしていました。研究を進める過程で、宇宙そのものより、コンピュータやシミュレーションのテクノロジーの方により関心を寄せるようになりました。

メインフレーム・コンテストの表彰式(2016年)

そんな中、聞いたことはあるものの、ずっと「謎」の存在だと思っていた、メインフレームを使ったコンテストがあると聞き、その「謎のコンピューター」に触るチャンスだと考え、IBMのメインフレームコンテストに応募してみました。それがメインフレームに興味を持ったきっかけです。

–メインフレームで実際にプログラミングをしてみた感想をお聞かせください。

渡邉:メインフレームは、触ってみてもなお、「謎」が多いままでした。色々なシステムが混在していたり、UIが風変わりで「なんでそのような操作体系になったんだろう?」「なんでこの見た目なんだろう?」と考えれば考えるほど、メインフレームが面白くなりました。

メインフレームのオペレーティング・システムへのログイン画面

例えば、メインフレームの画面はCUI(Character User Interface)でUnixのターミナルのような感じなのに、とてもグラフィカルなのが面白くて「ギーク心」をくすぐります。

コーディングの画面をカスタマイズして、見た目を楽しむというのも個人的にはプログラミングの面白みの一つなので、メインフレームのプログラミングは一瞬で僕の心を掴みました。

また、メインフレームの長い歴史の中で、ソースをつぎはぎながらも互換性を保とうとして今の形になっていることを考えると、自分が書くコードが次の歴史を作り、メインフレームの中で稼働することで社会基盤を支えているような気がして、技術的にスケールの大きさを感じました。そうしているうちに、気がついたらメインフレームの技術に夢中になっていました。

–コンテストの副賞で、2016年に米国ポケプシーにあるIBMメインフレームの開発拠点を見学されたそうですが?

渡邉:ニューヨークの、いわばド田舎にあるメインフレーム開発拠点に入ると、メインフレームの組み立てやテストをしていました。ソフトウェアだけのテストをするのかなと思っていたら、ハードウェアの耐熱・耐震テストなどの物理的テストも行われていたのが面白かったです。

メインフレームを冷却するためのファンの音が、非常にうるさいため、耳栓をしながら開発担当者の方と無線で研究開発の裏側など質問できたのは良い思い出です。

IBM Zの組み立ての様子

–最後に、今後の目標を聞かせてください。

渡邉:僕は、エンジニアとして、ずっと最前線を走るプレイヤーでありたいと思っています。

そのために、この分野は誰にも負けないという技術の軸をどんどん増やしていこうと考えています。

僕の世代でメインフレームを使いこなせる人は多くないので、いま、誰よりもメインフレーム技術に精通することは、エンジニアとしてのキャリアに大きなアドバンテージになると思います。近い将来「メインフレームといえば渡邉」と言われるようになりたいです。

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