国内200拠点以上!医薬品製造のGMP/GQP業務をサポートする品質管理システム

医薬品製造業界で“今”求められる、品質管理のクラウドサービス

人手不足や物価上場等々、多くの製造業においてDXが声高に叫ばれる昨今。医薬品製造業界もその例に漏れず、ここ5年、“作業負荷の軽減”や“進捗速度の向上”等々、電子化による業務改善に注目が集まっています。また、国際化の流れによる省令改正への対応や、度重なる品質事故による統制の強化等、対応が急務な事象においても、電子化の有効性が評価されています。今回は、電子化の波が押し寄せている「医薬品製造の品質管理(主に、GMPやGQP)」に対する、改善を実現する選択肢の一つをご紹介します。

医薬品製造業に求められる業務改善 マニュアル対応(手作業)からの脱却

「コンピュータ化システム適格性評価ガイドライン(以下、CSV対応)」が発出されてから10年を超え、業務改善におけるコンピュータシステムの活用は、多くの企業・製造現場で広がり、大きな効果を発揮しています。その反面、費用面や人員面の不足により“仕方なくのマニュアル対応(手作業)”を続けざるを得ない中小企業が多いのもまた事実です。国内の医薬品供給の基盤であり要となる中小企業の業務改善は必須であり、特に人手不足が叫ばれる今、電子化による業務改善(まさにDX)を医薬品製造業界の中小企業には求められています。「品質デザイナー for GxP クラウド」は、そういった市場のニーズを受け、既に多くの企業で利用されている「品質デザイナー for GxP」を、IBM Cloud上でのコンテナ技術により、クラウドサービスとして提供可能とすることで、中小企業の電子化における課題であった“初期費用負担”と“導入時の人員(工数)”を抑えたサービスとなります。

国内で広く活用されている「品質デザイナー for GxP」

「品質デザイナー for GxP(以下、本製品)」は、2012年のリリースから10年以上、ヘルスケア業界(医薬品/医療機器)において“品質管理業務の電子化”を目的に、日本国内における数多くの製造現場にて運用されており、現在ではその数200拠点を超えて広がっています (2022年12月末時点)。

“製品品質”に一層の注意が必要な業界において、必須となる【CSV対応】においても、厚労省からのガイドライン発出時にいち早く対応し、PMDA(日本)やFDA(米国)がコンピュータ化システムに求める要件に対応できているため、安心して業務の電子化に進むことが可能です。また、2012年のリリース当時は市場には海外製品しかなく、“電子化する際には、業務をソフトウェアに合わせる(業務を変える)事が必須”となる海外製品のコンセプトにより、“電子化=業務を大幅に変える(導入時に大きな作業負荷)”という課題が企業には発生していました。その課題に対し、後発ながら国内自社開発で上市した「品質デザイナー for GxP」は、 “現状の業務をそのままに、自身(自社)で電子化が可能”というコンセプトを実現したことで、多くの国内企業に受け入れられました。これには、“同じ品質管理業務においても、企業ごとに特色が違い長年のやり方に拘りを持つ”国内企業ならではのニーズに合致したためであり、かつ“導入時に業務の大幅な変更が不要なため、変更管理が比較的容易”といった状況も、少なからず影響しています。勿論、海外製品に比べ価格帯が大きく低かったと言うのも一因です。

本製品は、主にGMPやGQP、QMSと呼ばれるヘルスケア業界の品質管理業務における、品質情報(苦情管理含む)やCAPA(是正予防)管理、変更管理や逸脱管理といった「イベント管理」の電子化による業務の統制と負荷軽減を両立する他、オプション機能である文書管理機能を拡張させることで、SOPや標準書といった「文書管理」の電子化により、版管理や参照管理を可能にします。

今までは「オンプレミス版」としてのみ提供していた本製品ですが、導入時の費用や、本番運用までの期間に対する導入工数も多くなることから、ある程度規模の大きな企業での導入が大半でした。市場内の他社製品も同様であったため、国内製造業における中核を担うべき中小企業における電子化が進まない要因となってしまっていました。この「費用」と「導入工数」の2点をクリアすることを目的に、本製品の機能をそのままにクラウドサービス化させリリースした「品質デザイナー for GxP クラウド(以下、本サービス)」は、費用形態を「買い切り+年間保守」から「サブスクリプション契約」とすることで、1人あたり毎月6,500円~(保守費用込み)で利用できるようになり、費用面でのハードルを大きく下げることが可能です。また、導入時の期間についても、準備されている業務テンプレートを活用することで3ヵ月程度までに短縮することが可能。もちろん、“自社に合わせて業務の電子化を構築する”機能は健在ですので、『初期の稼働を迅速に行い、その後は自社のペースでじっくりと業務の電子化を広げていく』といった改善ルートを進むことができます。

日本的なコンセプトと、現場ニーズで広がる機能

本製品では、特に医薬品製造や医療機器製造といったヘルスケア業界における品質管理の現場に対する業務改善を実現する製品として展開しています。これは、特に人員不足が長年の課題であり、かつ大量の情報(主に紙の書類)を管理・運用を強いられている現場であり、今まさに作業負荷の軽減と品質を維持・向上するための統制の実現が求められているからです。この課題に、前段ご紹介した本製品の特徴である『仕組み(コンピュータシステム)が業務に合わせる』コンセプトを当て嵌め、下図で表される現状行われている品質管理業務の電子化を実現することが可能です。

もちろん、国内省令や各国の規制で求められるCSV対応やDI対応を実現する監査証跡や電子承認の機能と、10年以上の実績から培った導入時の万全なサポートにより、安心して導入・運用いただくことを可能にしています。また、当初は逸脱管理や変更管理、CAPA管理といった「イベント管理」の電子化だけだったところから、顧客ニーズを取り入れ「文書管理」や「(印刷物の)発行回収管理」へと拡張しているのも特徴です。今後は今まで以上に、顧客の現場ニーズを直接汲み取り機能化していくマーケットインの対応を継続し、改善範囲の拡張と深耕を行っていき、医薬品製造を中心としたヘルスケア業界の品質管理業務のサポートができるようにと考えています。

具体的な改善例:定量効果と定性効果

GMPやGQP業務の電子化による改善が主目的である本製品は、生産管理システムのように製造数の増大が売上の向上に直結するものではないため、明確な効果が計りづらいのではとイメージされている方も多いかと思います。確かに直接的な売上向上には繋がりません。ただし、電子化による業務改善の目的の一つに挙げられる自動化による業務統制と情報共有により、定性効果として 製品品質の維持向上に大きく寄与する状況を作り上げることができるため、非常に有効です。

定性効果の例:実現できることと生まれる定性効果

品質情報の報告入力時の不備防止正しい情報が伝わり的確に対応できる
CAPAの業務進捗を容易に把握対応の遅れをなくし逸脱の再発を防止
SOPの最新版を自動で差替/発行過去版での作業を未然に防止
過去の事例(報告)を素早く検索分析データ活用でき予防対応の活性化

すべての医薬品製造の企業では、省令に基づいた多岐に渡る品質管理業務、大きな負荷がありながらも“やらなければならない”ことであるため、現場の方々の日々の努力によって遂行されています。この“遂行できてしまっている”状況を、一つ一つの小さな作業に切り分け、電子化による改善効果を出せるようにすることで、上記の定量効果を実現することが、本製品では可能になります。

改善できる作業 ※一部

  • 「記入式」から「選択式(マスタデータ活用)」による、入力作業の簡易化
  • 書類の受け渡しの自動化による、情報伝達の時間的削減
  • 書類自体の電子化による、保管業務の撤廃(併せて、物理的な保管スペースの開放)
  • 期限管理でのアラート発行による、督促作業の自動化
  • 逸脱管理からCAPA管理等の、業務間連携の自動化による転記作業の廃止
  • 進捗把握の簡便化による、変更管理など長期に渡る案件に対する状況確認の時間削減
  • データの自動保管による、CAPA管理(特に予防)における検討用データ収集作業の廃止
  • SOPの版改訂通知による、各部署への最新版発行/旧版回収作業の廃止

ほんの一部ですが、業務を電子化することにより、小さいながら人の手を煩わせていた作業が不要となり、その積み重ねで大きな効果を上げることが可能になります。このように、ルールを守る(統制をとる)ことと業務負荷を軽減する(効率化)を両立できることが、本製品の特徴となります。

さらに、本製品は“プログラムレスで帳票/業務フローの電子化が可能”という機能も、改善を進める大きな特徴となっています。上記に挙げた業務以外にも、設備のキャリブレーション管理やバリデーション計画・報告業務、自己点検報告、安定性試験、監査指摘対応等々、多くの業務が品質管理には存在し、その多くが“専用の管理ツール(ソフトウェア)がないため、結果手作業での管理(属人化)”しているのが現状ではないでしょうか。例えば“自社で作る”ことができない仕組みであれば、それぞれを電子化する際には費用が掛かってきます。本製品であれば、自社内でこれらの電子化に取り組むことができるため、自社のペースに合わせて段階的に電子化の範囲を広げていくことも可能です。もちろん、自社内で作成する際の工数(人的費用)は必要となりますが、外部に頼む必要はなく、“電子化⇒時間ができる⇒その時間を使いさらに電子化⇒さらに時間ができる⇒その時間を~”という、改善のスパイラルを作ることが可能になります。

人がやらなくて良い仕事はシステムで/人でしかできない仕事へと注力

品質管理業務に電子化を導入するには、費用や作業工数、CSV対応DI対応など、一筋縄ではいかない点は多々あります。更に、「導入すれば勝手に良くなる」とはなりません。あくまで道具の一つでしかない電子化(ソフトウェア)を、どのように考えどこに導入し、どれだけの効果を発揮させるのか・・・等々。本製品を始めとし、当社では長年の直販で培ったノウハウとサービス/製品を融合させた業務改善のサポートをご提供させていただきます。

今から電子化を始めようとされている方や行き詰っている方、僅かでも興味がわいた方々は是非、当社にご相談ください。製品のデモンストレーションや他社改善事例のご紹介、実製品のトライアルなど、今後のご参考となる情報を持って、お待ちしております。

オンプレミス

  • イニシャル費:1,000万円~3,000万円
  • ランニング費:50万円/年~200万円/年
  • 特徴:社内LANにサーバを準備し運用

クラウド

  • イニシャル費:100万円~200万円
  • ランニング費:6,500円/月・ID~8,500円/月・ID
  • 特徴:サブスクリプション契約、環境(サーバー)の準備は不要
    ※サイズやメモリ拡張等、別途月額のオプション

* 初期費用は概算です。初期導入時の「代行作成作業」の有無により変動します。
* オンプレミスのランニング費用は年間の保守費用で
購入するライセンス費用の10%~20%になります。(契約形態により異なる)
* クラウドのランニング費用は、毎月の1ID(1名)単位の費用です。
* 上記費用は変更される場合があります。

寄稿者

相薗 吉孝

株式会社ユニオンシンク、Corporate Officer