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Think Summit 2019レポート #5 - IDOM(中古車のガリバー)が始める個人間カーシェア GO2GOとCaaS戦略

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2019年に入り、MaaS(Mobility as a Service – サービスとしての移動)という言葉を目にする機会が圧倒的に増えています。そんな中、注目の取り組みを進めているのがIDOM(イドム – 旧社名「株式会社ガリバーインターナショナル」)です。

今回は、日本IBMの大型イベント「Think Summit 2019」2日目の講演「IDOM(中古車のガリバー)が始める個人間カーシェア GO2GOとCaaS戦略」の模様をご紹介します。

 

講演者: 株式会社IDOM GO2GO責任者 新森 亮 氏

 

■ CaaSへの潮流 – 「売る・買う」から「所有・シェア」へ、さらに「使う」へ

MaaSに代表されるように、「移動産業」には大きな変革の波が起きています。UberやGetaroundなどの海外企業の大きな動きもあれば、ソフトバンクとトヨタ自動車の共同出資会社MONETが事業をスタートするなど、国内での動きも盛んです。

私たちは、2016年にガリバーインターナショナルからIDOM(イドム)へと社名を変更しました。IDOMは「挑む」を意味しています。500を超える中古車売買の店舗を持ち、中古車買取市場では日本最大となっている私たちですが、そこに留まるのではなく、より大きなビジョンを持って挑んでいこうという意思を表明するものです。

 

本日の講演のタイトルにも使われている「CaaS」という言葉ですが、Car as a Serviceの頭文字で、所有から利用というマーケットのトレンドと、そこから生まれてきているサービスを表す言葉です。

「売る・買う」から「所有・シェア」へ、そしてよりシンプルに「使う」という価値を中心としたビジネスモデルへの変化は激しく、私たちはそこに、「個人間のシェアリング」を中心とした不動産業界との多くの共通項を見出しています。

 

■ 貸し手不足の原因は、車両オーナーの心理的不安と時間的負担

MaaSへの注目度は大変高く、さまざまな企業が参入してきています。ただ、実態としてMaaSが何を意味しどのような定義で用いられているかは、ほとんどのケースでまだまだ不明瞭です。

現在、日本国内の所有車両台数は約8,200万台ですが、カーシェア車両として登録されているのは約3万台に過ぎません。このような状況で一足飛びにMaaSの世界観が日本中に拡がるとは思えず、MaaSを形作る一要素であるCaaSには大きな可能性があることがご理解いただけるのではないでしょうか。

 

CaaSの推進において、私たちIDOMは、個人間カーシェアリングが重要な役割を果たすと考えています。

「貸したいオーナー」と「借りたいドライバー」をつなぐマッチングサービスには、「Anyca」や「dカーシェア」などの先行サービスも存在していますが、私たちはもっと日本人の感性や文化に見合うサービス体験を提供することで、より一層CaaSを推進できるのではないでしょうか。そうした思いから、IDOMは「近所のクルマを安心、簡単、遠慮なく使える」というコンセプトで「GO2GO(ゴーツーゴー)」というサービスを設計しました。

 

日本の個人間カーシェアリングの一番のネックになっているのは、貸し手の不足です。車両登録にまつわる法律的な問題や保険の問題などもありますが、それ以上に大きなハードルは鍵や車の対面での受け渡しというオーナーさんにかかる心理的不安や時間的な負担だと考えられます。

また、貸し出した自分の車がどのように使われるのかという不安も、貸し手となることを躊躇させる要因の一つでしょう。

 

■ 貸したいオーナーの「安心強度」を高めるドライブ履歴と運転評価機能

こうした「貸したいオーナー」の不安や面倒を解消するための、IDOMならではの代表的な取り組みを2つを紹介します。

まず1つ目は、私たちの強みである500を超える店舗の活用です。私たちが仲介者となり店舗を受け渡しの場所とすることで、貸したいオーナーさんも借りたいドライバーさんも直接のやりとりを避けることができます。さらに、頻繁にご利用いただけるオーナーさんには、メンテナンスやクリーニングのサービスを提供することも検討しています。

もちろん、将来的には完全無人化での受け渡しも視野に入れています。

 

2つ目の取り組みは、運転評価機能の導入です。個人間シェアリングサービスでは、「相互レビュー」というお互いを評価しコメントし合うことで信用や実績を可視化していくのが一般的です。車の貸し借りにおいても、相互レビューが大きな役割を果たすのは間違いありません。

ただ実際には、車を借りる側には「きれいな車両で家族も喜んでいた」「カッコいい車でドライブして彼女ができました」などいろいろコメントするポイントがあるのですが、貸す側にはストーリーというか、コメントしたいものが生まれ辛いのが実情です。極端に言えば、「ちゃんと運転してきちんと返してもらえればそれでいい」というような感じですね。

 

こうした中で私たちIDOMが取り組んだのがドライバーの運転評価です。

ドライバーのスマートフォンを経由して、「貸し出した自分の車が、どんな運転でどれだけ走ったのか」をデータで分かるようにするサービスです。このサービスの基盤になっているのが、IBMさんのIoT Connected Vehicle Insightsというつながる車のサービスです。

こうしたデータを提供することで、貸し手側が借り手側をレビューしたりレーティングしたりできるようになりますし、貸し手を確認できることで「安心強度」を高めてサービスをご利用いただけるようになると思っています。

 

 

■ 車の小売活動に新潮流を。社会全体の底力を

今後、IDOMの各事業を連携させていくことで、ユーザーの皆さんに新しい移動産業の世界観をお届けすることができるのではないか、そして車の小売活動に新潮流を作り出せるのではないかと考えています。

例えば、クルマ向けフリマアプリと乗り換え放題の短期リースサービス「NOREL(ノレル)」、そして今日紹介した「GO2GO」を組み合わせると、以下のようなシナリオも十分考えられます。

 

1. 乗り換え放題・短期リースの「NOREL(ノレル)」で自分の価値観や生活スタイルにあった車を探す

2. 環境負荷の低いプリウスに決めて、フリマアプリで程度の良い中古車のプリウスを購入

3. 週に2回程度「GO2GO」でプリウスをシェアして、共同使用金を受け取る

4. プリウスの所有期間とシェア期間が長くなれば、結果としてプリウス購入費用がほぼ相殺されることも十分考えられます。

 

IDOMは今後もお客さま視点を大事にして、新しいユーザー体験を提供し続けます。

そしてGO2GOはこの夏から本格運用をスタートします。まずはぜひスマートフォンアプリのダウンロードをどうぞよろしくお願いします。

 


 

セッションの最後には、IDOM 新森氏の講演を受けIBM Watson IoT事業部長の村澤 賢一が登壇し、IBMの役割や視点について語った。

以下、村澤のメッセージで本レポートを終える。

MaaS先進国として知られているのは北欧諸国ですが、一つひとつの移動サービスを見ていけば日本のレベルは世界有数と言えます。ただ残念なことに、それらをつないでいく部分が弱いのが実情です。車の有効活用レベル(稼働率)も5%程度と非常に低く、一つの社会として資産を十分活用できていません。

こうした問題を一つひとつ解決していき、「社会全体」の底力をあげるような活動を支援していくのもIBMの重要な役割だと私たちは認識しています。

IDOMさんだけではなく、今後さまざまなパートナーとエコシステムを作り、日本を元気にしていく活動を進めていきたいと思っています。ぜひ皆さんのお力添えをお願いします。

 

関連ソリューション: IBM IoT Connected Vehicle Insights

 

お問い合わせ: IBM Watson IoT事業部 

 

TEXT: 八木橋パチ

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