RPA

人を補う目となり手となるーー業務の自動化を支える「IBM RPA」という選択

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本記事では、大量に発生するデータの処理を人に代わって行うIBM RPA(Robotic Process Automation with Automation Anywhere)と、それを支えるOCR(Optical Character Reader、光学式文字認識装置)であるIBM Datacapにスポットを当て、それらがユーザーにもたらすメリットや可能性について、日本アイ・ビー・エム株式会社 クラウド事業本部の栗原淳圭が語ります。

 

いま、業務の自動化と効率化が求められる理由

―IBMでは2010年からIBM Datacapを、2017年からはRPAをソリューションとして提供しています。両者の機能を簡単に解説ください。

 

栗原 当社ではお客様企業のさまざまな業務の課題を解決すべくIBM Digital Business Automation 製品群をご用意しています。RPAもIBM Datacapも位置づけとしてはそうした製品のひとつとなります。

RPAはこれまで人がやってきたアプリケーションのGUI操作などの作業を、ソフトウェア・ロボットが人に代わって行う「プロセス自動化ソリューション」で、大量にあるデータの抽出や転送、計算、入力などの反復タスクで効果を発揮します。一方、Datacapは紙の帳票などのコンテンツ(非構造データ)から情報を抽出するソリューションで、RPAが「手」なら、こちらは「眼」の役割を果たします。

IBMの「デジタルレイバー」製品群が、人の仕事を補完するイメージ

 

―ソリューションを提供する背景にはどのような市場のニーズがあるのでしょうか。

栗原 労働人口の減少といった現代の日本が抱える社会課題や、政府主導の「働き方改革」など、さまざまな背景があります。限られた人員でいかに生産性を上げるかーー最近はこの課題に真剣に取り組む企業や経営者が増え、それにともないRPAやOCRのニーズが高まってきています。この流れのなかで、我が社としてもIBM Digital Business Automation 製品群に注力しています。

従来のOCRでは困難だった非定型データの自動化処理を実現

―RPAもOCRもすでに多くのベンダーがさまざまなソリューションを提供しています。IBMならではの強みや特徴を教えてください。

 

栗原 全社的な規模にまたがった「業務の自動化」にかかるソリューションの提供と提案や実行力です。

世界的に見て、日本企業のRPAの導入率は高いと言われています。ただ、RPAにはデスクトップ型のRPAとサーバ―型のRPAがありまして、多くの企業は前者の導入で終わっているのが現状です。そのため局所的なところでしか効率化が図れず、全社的な業務改革には至っていません。

これに対しIBMのRPAは後者のサーバ―型で、製品内にビジネス管理を行う「IBM Business Process Manager(BPM)」が含まれています。RPAにIBMが長年培ってきたビジネス・プロセス・マネジメントのノウハウを組み合わせることで、業務全体を可視化できるオリジナルのソリューションを提供しています。

またIBM Datacapは、定型帳票のOCRによるデータ化に加え、従来のシステムではデータ抽出が困難な非常にばらつきのある非定型帳票から業務に必要なデータを抽出生成するコグニティブキャプチャ機能や、本体となるOCRエンジンの識字率を高めるために、「キャプチャ・プロセス」という前後処理の技術を組み合わせたフレームワークを提供しています。

 

―「キャプチャ・プロセス」の前処理、後処理とはどのようなものですか。

 

栗原 従来のOCRでは、紙の書類に点線や罫線などが入っていたり、スキャン時に書類が少し斜めに曲がっているだけで識字率が下がってしまう問題がありました。前処理では、正確な読み取りを妨げる線やズレをイメージ補正することで、OCR処理の精度を向上させています。

一方、後処理では、桁数や日付や金額の合計値などのルールによるチェックや外部システム連携によるマスタデータとの突合による精度向上や、抽出したデータに間違っている箇所があった場合、赤く拡大表示して修正がスムーズに行えるようにしています。帳票によっては読み取りにくい手書きの文字が含まれていたりしますから、現状の作業ではどうしても最後は人がチェックする必要があります。その作業を補完するのが後処理なのです。

 

IBM Datacapのキャプチャープロセス

 

―では、IBM Datacap のOCRエンジンについては、どのような特徴がありますか。

栗原 大きな特徴として、人間が情報を読み取る作業と同じように非定型帳票から業務データを自動抽出するコグニティブキャプチャ機能が挙げられます。

従来のOCRではデータを抽出する前に1つひとつ事前の定義が必要で、さまざまな非定型(社外用で共通項目があるが各社固有のフォーマットや変更が伴うフォーマットなど)の書類の読み取りにコストもかかってしまいます。これらの非定型の書類を、IBM Datacapでは自動的に構造・レイアウト解析したうえで内容を把握し、データ化することができます。

具体的には、文書のなかに大きな文字や太い文字があれば、それがタイトルや見出しだと分析し、そこから必要な情報を抜き取るとともに、Watson自然言語処理と連携して文書のなかから商品名やサイズなどの項目の自動抽出する技術、申込書やクレームなどの種別を自動分類する技術を採用しています。また、帳票に含まれる個人情報などは自動マスキング機能を使ってあらかじめ表示されないようにするなど、セキュリティ面でも十分に配慮されています。

さまざまな非定型の帳票を自動的にデータ化する技術があり、それを実際にお客様のもとで稼動させるノウハウを持っている。さらにRPAやWatsonなどの他のソリューションと連携できるからこそ、業務全体にまたがるトータルなご提案ができるのです。

ソフトウェア・ソリューションの組み合わせで、業務全体を自動化

―本ソリューションが、とくに適する業種や企業はありますか。

栗原 定型非定型を含めた紙の帳票が莫大な数にのぼる銀行などの金融機関や、図面など企業に重要な自社内部情報をたくさん持っている製造業にはたいへん有用なソリューションだと思われますし、実際、そうした企業様に導入していただいています(※)。

ポイントとしては、RPA、OCRを全社で一本化して導入できる環境があり、経営者にその意志があること。また、導入を統括するための、教育機関でいういわゆるCoE(センター・オブ・エクセレンス)のような組織縦断的な専門集団があること。こうした企業であれば業種問わずに導入が可能ですし、効率的な業務改革が推進できます。

 

―人手不足にも対応することができますね。

栗原 はい。加えて、それにより余剰が生まれるマンパワーを、よりクリエイティブな作業や意思決定にあてることができるという付加価値があります。RPAとIBM Datacapを導入することで、お客様は新しい商品を開発したり、新しい市場を生み出すといったことに一層注力できます。結果、社全体の生産性が向上し、競争力のアップが期待されています。

 

―RPA、IBM Datacapを含めた一連のIBM Digital Business Automation製品が世の中に浸透していくことで、ビジネスはどう変化していくでしょうか。

 

栗原 IBMには「人がやってきた業務をデジタルで自動化する」というビジョンがあります。具体的な構図としては、RPAが「手」、Datacapが「眼」だとしたら、Watsonは右脳のように働いて必要な判断を下す。あるいは意思決定のためのロジカルな判断が必要な場合はOperation Decision Manager(ODM)のBRMS(ビジネスルール管理システム)機能が左脳の働きを担ってそれを実行する。中枢神経的な働きに至るまでのすべてをデジタルレイバーであるソフトウェア・ソリューションでまかなうのが最終目標です。

見回してみると、多くの企業が部分的であってもRPAを導入されていますから、ぜひともそれを全社で集約する形につなげていただきたい。例えば製造業では、製品はオートメーションで作っているのに、事務業務は自動化できていなかったりする。そこを全社で自動化し、ひいてはそれを企業文化にする流れをつくっていけたらと思いますし、IBM Digital Business Automation製品でしたら、実際にそれが可能です。

それに業務の自動化による労働環境の改善は、昨今急がれる「働き方改革」にも合致します。我が社としましてもコンサルティングを含めたエンドツーエンドで、お客様の業務の自動化、効率化を、全力で支援していきたいと考えています。

 

荏原製作所RPA/Datacap導入事例『70万件に及ぶ紙の設計図面情報をデジタル化を自動化』
IBM Datacapを含む「IBM Robotic Process Automation」の詳細はこちら
IBM Datacap製品詳細はこちら

 

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