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【YouTubeで解説!】更新か。移転か。新設か。 データセンターの「3つの劣化」と「2つの同期」

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私が解説します! | 前田 啓介(まえだ けいすけ)
日本IBM グローバル・テクノロジー・サービス
部長/IBM認定上席スペシャリスト
一級建築士/日本大学非常勤講師

私は、1990年代に建設されたデータセンターの今後についてご相談を受けることが多くなっています。お客様は現行データセンターを改修すべきか、新しいデータセンターに移行する方がよいのか、安全な移行方法は?など、複数の選択肢のなかでどれが自社のビジネスのために最も有効なのかを知りたいと考えられています。

皆様はデータセンターそのもの自体を見直すポイントとして、なにか『目安』となるものをお持ちでしょうか。
私はお客様には常に「物理的劣化」「機能的劣化」「経済的劣化」の3つの観点から、自社のデータセンターのビジネス価値とあり方を考えるようにお勧めしています。

「3つの劣化」

「物理的劣化」は設備そのものが朽ち果てること、「機能的劣化」は新たな要求仕様に耐えられなくなる劣化、
最後の「経済的劣化」は、その設備を維持修繕するより、取り替えを行う方が経済的に得策となる限界寿命と定義します。

図-1:データセンターの「劣化」を考える3つのポイント
データセンターの「劣化」を考える3つのポイント

「物理的劣化」から考えます。データセンターは物理的な設備ですから、いかに最新の設備を作ったとしても、竣工したその日から、陳腐化、劣化が始まるといっても過言ではありません。現在のようにビジネス環境の変化と、テクノロジーの進化が早く、しかもそれらが相互に関係している状況では、IT部門はつねに数年先のワークロードとDCのあるべき姿を予測して、対応を考えておかなければならない宿命にあります。今はゼネコンや設計事務所だけに相談してよい時代ではありません。

「機能的劣化」の観点で、現在多くのお客様で一番懸念される設備上の課題は何でしょうか。
私は受変電設備の問題が大きいと考えます。皆様の家庭で言うとブレーカーに当たるものです。ブレーカーが落ちるとその家庭の電力は使えなくなってしまうように、データーセンターの最も基幹的な設備です。但しシステムに近い負荷側は冗長性を確保した設計を行っても、受変電設備を完全二重化したデータセンターは少なく、この受変電設備の更新を停電無しに行うことが難しく、時間もコストもかかる大きな問題となることが多いです。1990年代に建設されたデータセンターは、多かれ少なかれこの課題を持っています。
我々IBMはお客様のサービスレベルに合わせた、電気設備、空調設備、通信設備のアセスメントや、熱溜まり等の気流分析のメニューが整っています。そうした技術を利用して、ビジネスへの影響とコストも勘案しながら、今すぐ対策が必要かどうかを判断し、計画的な対処を提案しています。

最後に「経済的劣化」について考えます。ある1990年初期に竣工したデータセンターの例を挙げます。

築25年を経とうとしているため、受変電設備や空調機の熱源設備等の基幹設備の大幅更新の時期でした。そのため、お客様の依頼により建築設計事務所様と施工会社様が中長期保全計画を策定されておりました。但し、今後10年間で同計画全てを行う費用は、そのデータセンター建物を新築した工事費用の約半分も必要というものでした。
お客様は更に検討を進められ、受変電設備更新時の停電リスクや、たとえ新築時工事費用の半分を負担してもの建物の基本構造が免震構造に変更は出来ないこと、加えて運用費用等を総合的に判断されました。

結果、on premiseではなく外部委託へ方針を変更されました。しかし全体最適化のための外部委託を検討し始めると、その委託先へのシステム移転に10年もの時間が必要なことが判明しました。既に設備更新の限界に来ていた既存設備を更に10年延命させる悩みを抱えてしまったのです。

そこで私たちチームがご支援に入りました。私たちはまず建築設計事務所様や施工会社様が作成された中長期保全計画を精査しました。その作成の前提条件は、25年前の竣工時のシステム要件によるものでした。私たちは現場を調査させて頂き、その前提を今後の改修にはオーバースペックであることを指摘しました。例えば空調設備の室内機は設置全数の1/3の台数運転であってもN+1の冗長性を確保していました。私たちはその上で今後10年間のシステム導入計画と設備改修計画の同期を取る計画を立案しました。
専門家による早めの設備全般のアセスメントと、運用を含めたITコンサルタント両輪の検討が必要と改めて感じました。

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「2つの同期」

しかしながら多くのお客様では、ITシステムとファシリティのライフサイクルのミスマッチという問題を解決出来ておりません。例えばセンター移転の前に、IT更改時期があってシステムテストを何度も行うことになる等の無駄が発生してはいないでしょうか。
逆に、無停電電源装置や空調機の更新タイミングと、その設備からの給電対象システムや冷却対象のシステムの更新タイミングの同期が取れれば、無駄な投資や時間のロスを防げます。
ファシリティ面と、ITシステム面を別々に検討していては、ユーザー部門、IT部門の負荷が増え、コストにも大きな無駄が生じる可能性が高いです。ITシステムのスペシャリストと、ファシリティの専門家が連携して「2つの同期」を取りながらデータセンター全体のライフサイクルの設計を行うことが重要と考えます。

図-2「ITシステム」と「ファシリティ」の連携
「ITシステム」と「ファシリティ」の連携

本内容は、以下の動画でもご視聴頂けます。(約5分)

もっと詳しく知りたい方へ | 10分版の動画はこちらからご視聴頂けます。
更新か。移転か。新設か。「3つの劣化」と「2つの同期」

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