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生産拠点の効率化と製品品質の向上を実現する、製造プロセス最適化(PO)と、AIによる品質検査(PQI)ソリューション

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IBM は、製造現場で発生している課題を解決する、2つのソリューションを新たに発表しました。IBM Production Optimization (製造プロセス最適化) と、IBM Production Quality Insights (AIによる品質検査)です。

これらのソリューションは、人工知能(AI)と機械学習を活用して、合理的かつ効果的な製造現場の実現をサポートします。自動車、エレクトロニクス、消費材、鉄鋼、石油・ガス、食品・飲料、化学など、多くの製造業に適用可能で、以下のようなビジネス効果が期待できます。

  • 製造現場におけるスループット(単位時間あたりの生産量)の向上
  • 生産品質・歩留まりの向上
  • 廃棄コストの削減
  • 生産プロセス管理にかかる人的コストの削減

IBM Production Optimization(製造プロセス最適化)とは

製造業は、絶え間ないイノベーションに対応し続けています。しかし、近年の経済環境の変化は目まぐるしく、従来の生産性を向上させる個別の施策では対応できません。もはや、従来型の製造プロセスでは需要に追いつくことができず、コスト効率も低下しつつあります。マッキンゼーの報告書「大規模な再建:現代の製造業」によると、製造業全体の損失と廃棄物コストは、5兆ドルという驚異的な数字だとされています。

このような背景から、製造業は、AIとIoTを活用したインダストリー4.0を実現するソリューションを必要としています。ソリューションに対する要求レベルは高く、例えば、工場長が生産ロスをピンポイントで特定して、生産性を最大化するためのアクションを判断するのに役立つような、深く強力な洞察を提示できることが求められています。

製造業が直面している課題に対するIBMの答えが、IBM Production Optimization(製造プロセス最適化)ソリューションです。これは、AIの機械学習機能を活用したクラウドベースのオファリングで、IBM Maximoとも統合できます。このAIを製造現場の一員として採用すれば、現場作業員が製造工程で発生している問題を特定し、解決するまでの時間を短縮するための強力な手助けとなります。

事前構築された分析モデルにWatsonの機械学習機能を統合し、生産ロス・コスト・品質・スループットなどの全体最適化が実現可能に

IBM Production Optimization (製造プロセス最適化)の主な機能は以下です。

生産ロスを予知・特定

  • OEE(Overall Equipment Effectiveness : 設備総合効率)の考え方に基づき、時間稼働率(Availability)、性能稼動率(Performance)、良品率(Quality)をモニタリングし、製造機器に起因するロス、製造プロセスに起因するロス、生産性に起因するロスなどを特定します。
  • AIにロス発生のパターンを学習させることで、ロスが発生する前に予知することも可能となります。

根本的な原因を分析

  • 工程・ワークステーション・機器の関連性を定義し、ロス発生の原因を深掘りします。
  • ダウンタイムによる損失や品質損失の影響度を予測できます。
  • 統合AI分析基盤としてAIシステムの開発に必要な機能を集約したWatson Studioによって、標準的なフレームワークの活用やモデルビルダーによる簡単な機械学習機能の実装が可能です。

事前構築された分析モデル・テンプレートを提供

  • IBMの分析ノウハウをベースに事前構築された分析モデル・テンプレートを使うことで、迅速かつ確実に、Industory4.0のユースケースを導入できます。
  • Watson Studio(AIによる機械学習の統合基盤)を活用すれば、自社の熟練オペレーターの知見を取り込むなど、分析モデルのカスタマイズも可能です。
IBM Production Optimization (製造プロセス最適化)

IBM Production Optimizationの機能(クリックで拡大表示)

このソリューションは多用途に活用でき、データサイエンティストやエンジニアがコスト・品質・スループットの全体を最適化する手助けとなります。彼らは、事前構築された分析モデルを自社設備の特性に合わせてカスタマイズし、効率的な運転の最適な条件をKPIとしてセットできます。

また、クラウドベースでこれらのソリューションを利用することで、ROIが向上するという利点もあります。その結果、スループットが大幅に向上し、歩留まりが向上し、製造コストが削減されます。

IBM Production Optimization(製造プロセス最適化)の詳細については、以下をご覧ください。

IBM Production Quality Insights(AIによる品質検査)とは

製造業者は、あらゆる産業・業種において、製品の品質問題に直面しています。不良品コストは上昇傾向にあり、製造業は、製造過程で発生する多量の廃棄やリワークに苦しんでいます。さらに、いったん不良品が市場に出てしまうと、その情報は瞬時に拡散され、企業や商品の評価が低下することによる損害は、非常に大きなダメージとなっています。同時に、不良品を回収・賠償するためのコストも上昇しています。

残念なことに、従来の品質管理のやり方や検査技術は、高価で時間がかかり、エラーが発生しやすく、時には危険ですらあります。しかし、インダストリー4.0による品質管理や検査の新たな基準が確立されるにつれて、これは変わりつつあるのです。 マッキンゼーによると、製造業はインダストリー4.0を通じて、品質管理や検査にかかるコストを10〜20%改善できると見込まれています。

IBM Production Quality Insights(AIによる品質検査)

IBM Production Quality Insightsの機能(クリックで拡大表示)

高品質の生産には、迅速で包括的で信頼できる検査プロセスが必要であり、IBM Production Quality Insights (AIによる品質検査)が役立ちます。この強力なツールセットは、製造、組み立て、およびメンテナンスプロセス中に、監視、検査、および洞察に360度の視野をもたらします。 AIと機械学習の助けを借りて、製造業者は、構造化された(プロセスデータ)、視覚データ(画像データ)、または音響データなど、幅広い検査データから欠陥の根本原因を分析できます。

AIによる解析と強力な異常検知ソリューションを統合

IBM Production Quality Insights(AIによる品質検査)は、Prescriptive Quality(品質の早期異常検知)、Acoustic Insights(AIによる音響解析)、およびVisual Insights(AIによる画像解析)という、品質監視および検査に役立つ機能を1パッケージに集約しました。これにより、企業の品質検査レベルを向上させ、洞察を導き、コストを削減するのに役立つ包括的なソリューションとして活用できます。

各機能の詳細は以下です。

Prescriptive Quality(品質の早期異常検知)

材料や成分、製品、プロセスの品質をモニターして早期に異常を検知し、製造プロセスに入る前にこれらを排除することで、スループットを改善できます。また、データを蓄積することで、不良品が発生した際の原因特定にも役立ちます。重要な製造工程においては、製品アセンブリのテストプロセスを監視し、品質に影響する変数を一定のレベルに維持します。IBM独自のテクノロジー(特許取得)であるQuality Early Warning System(QEWS)により、SPC(Statistical process control)*よりも早期に品質問題を検知し、 優先順位付けが可能です。
*SPC:製造工程を視覚的に監視する手法で、管理図を用い、少数の標本を頻繁に採取することで、品質に影響のあるような工程の変化を検出する。

Acoustic Insights(AIによる音響解析)

音響データを機械学習でAIに学習させ、製造工程や製品から発生する異音を検知することで、製品の異常または欠陥を検出します。AIが検査のプロセスを加速することで、歩留まりを向上させ、不良品廃棄を減らし、人による検査時間を短縮できます。

Visual Insights(AIによる画像解析)

着目する欠陥パターンごとに用意された画像データをディープ・ラーニング(深層学習)でAIに学習させ、画像の障害分類を実現します。部品や完成品の欠陥を迅速に特定し、専門知識ベースの視覚検査プロセスに貢献します。

全社に対するビジネスメリット

Production Quality Insights(AIによる品質検査)導入の効果は、単に検査プロセスをスピードアップするだけではなく、製造プロセス全体の効率化を実現します。早期に問題の発生を検知し、原因を特定してアラートを発信することで、現場作業員は、問題を見つけることではく、その解決に貴重な労働力を費やすことができます。

たとえば、Production Quality Insights(AIによる品質検査)で得た洞察や、蓄積されたデータを活用して、調達部門は破損した部品や不良品を提供するサプライヤーを特定できます。契約条件を変更し、新しいサプライヤーを探すといった具体的なアクションにつながるなど、製造現場や検査部門だけでなく、他の組織にもメリットをもたらします。

  • 製品設計部門:Production Quality Insights(AIによる品質検査)の洞察を使用して、製品の各コンポーネントを変更し、組み立てを簡素化できます。
  • 製造プロセス設計部門:生産設備やアセンブリプロセスを変更または再調整するための情報を得ることができます。また、品質向上に繋がらない不要なバリエーションを排除し、製造プロセス設計をシンプルにできます。
  • 製造オペレーション管理部門:問題が所定の手順に関連しているか、より良いオペレータトレーニングを提供する必要があるかを判断できます。
  • 保全部門:歩留まりの低下や仕掛品の廃棄、やり直しが増加しているというデータにより、製造機器の劣化や故障の可能性を早期に検知し、対応できます。

統合されたデータから包括的な洞察を導きませんか?

Production Quality Insights(AIによる品質検査)は、AIを活用し、複数の品質指標を組み合わせることで、データの価値を最大化します。1つのデータだけでは、何らかの問題が発生している可能性しか検知できない場合でも、音響データ、視覚データ、構造化データなどのさまざまなデータソースを統合することにより、品質異常の根本原因を特定する包括的な洞察が提示できるようになるのです。

Production Quality Insights(AIによる品質検査)に組み込まれたQEWSアルゴリズムは従来の方法論よりも早期に、品質低下や問題を検出します。さまざまなデータソースを活用し、品質異常をより早期に発見できるようになることで、歩留まりを向上させ、製品品質を改善する積極的な対応が促進されます。さらに、新しいIoT技術を組み合わせて現場作業員に対してタイムリーに洞察を提供することで、問題が発生したその場で対応することができるようになるでしょう。

IBM Production Quality Insights (AIによる品質検査)の詳細については、以下をご覧ください。

*本記事は、Overcome production challenges with IBM Production Optimization and IBM Predictive Quality Insightsの抄訳です。


問い合わせ情報

IBM Production Optimization (製造プロセス最適化)、Production Quality Insights(AIによる品質検査)に興味がある方、さらに詳しく知りたい方は、IBM Watson IoT 事業部  に、ご連絡ください。


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