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セミナーレポート – AIによる匠の技能継承セミナー
2018年12月19日
カテゴリー Cognitive Applications Blog | イベントレポート | 設備保全・高度解析
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2018年12月12日、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)の本社事業所で開催された『AIによる匠の技能継承セミナー』のセミナーレポートをお届けします。
ビジネスのためのAI:IBM Watson
セミナーの主催部門である日本IBMのWatson IoT事業部の簡単な紹介のあと、ビジネスのためのAIであるIBM Watsonを中心とする内容を、以下の2名の講師が講演しました。講演内容から主なトピックを紹介します。
磯部 博史(Watson IoT事業部)
- ビジネスのためのAIとしてのWatsonの進化と、導入成功要因と失敗要因について
- 導入成功/実現分野の特徴: ロボットメーカーとの共創/人の動きをセンサーで
- 製造現場への導入に向けた課題
「2.導入成功/実現分野の特徴: ロボットメーカーとの共創/人の動きをセンサーで」におけるロボットメーカーとの共創は、とあるメーカーの担当者の言葉として紹介された「ロボットはいわば筋肉バカ。そこに頭脳が加われば、自ずと強い結果が出る」という言葉が、参加者に強い印象を残したようでした。
また、ウェアラブル・センサーで生体系のデータを取得するだけでなく、人の動きや位置情報などのデータと組み合わせて分析するケースが増えてきそうであるという内容も、参加者の興味を引いていたようです。
髙橋 志津(IBM Research, Think Lab)
- Watsonがデビューするまでの経緯と、アメリカの人気クイズ番組「Jeopardy!」での勝利
- Watson、宇宙に行く(プロジェクトCIMON)
- ディベート(プロジェクトDebater)というまったく新たなチャレンジ
「3.ディベート(プロジェクトDebater)というまったく新たなチャレンジ」は、その場その時で様々な戦略を駆使してくる人間を相手にする「ディベート」という新たな世界に、Watsonが乗り出していることを示す事例です。
事前に出題傾向などが分かり、番組としてフォーマット化されていたJeopardy! のように設問単位でテーマが区切れるクイズと、双方の言い分を踏まえて相手の主張(攻撃)を受ける対論で勝利するのとでは、全く異なる次元の難易度の挑戦となりそうです。
匠の技術継承と現場作業員向けAIアシスタント
最後に、今回のセミナーの中心セッションとなる匠の技術継承と、それを支える現場作業員向けAIアシスタント(IBM Equipment Maintenance Assistant :以下、EMA)の機能紹介のセッションが行われました。
村田 大寛(Watson IoT事業部)
- 技能継承が直面している問題 – 加速する技能人材不足と労働者の多様化(言語や文化の相違の広がり)
- 熟練者の知見を集め学習するEMAによる解決アプローチ – Watson による文書検索と作業員を支援するチャットボット、要素関係グラフ
- 熟練者の暗黙知を可視化 – 問題の切り分けや解決方法に新たな視点を与える
- EMAで使用されているAPIの特長紹介
- 事例 – US Army (アメリカ陸軍)/ Woodside Energy(オーストラリア最大の独立系石油・ガス会社)
深刻な技術者不足と外国人労働者の増加に伴い、「障害の原因をAIが特定して、経験の浅い現場作業員に最適な作業手順を教える」という光景は今後、当たり前のものになるのかもしれません。いくつかの企業における実業務にEMAが導入された事例も紹介されました。
一方で、大量のマニュアルや作業報告といった文書をどのように収集してAIに学習させるのかという点については、各企業が社内の実情を鑑みてロードマップを描く必要がありそうです。
イベント最後のQAタイムでは、来場者の方たちからの多くの質問とともに活発な対話が繰り広げられ、外の寒さを忘れるような時間となりました。
普段はデザイン思考を取り入れた共創の場として使用されているMakers Studioというスペースで行われた今回のセミナーは、Watson IoT事業部として、IoTとAIに関する最先端の技術動向を、より早く、深く、みなさまにお伝えすることを目的として開催いたしました。
来年以降も、さまざまな趣向を取り入れつつ、いろいろな会場でセミナーやイベントを開催していく予定です。「このテーマを取り上げて欲しい」「このスピーカーの話が聞きたい」などの声を、IBM Watson IoT 事業部 aiappjp@jp.ibm.com に、ぜひ、お寄せください。
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