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コネクテッドな設計・開発でデジタル時代の製品力を強化するIBM IoT Continuous Engineering

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今、技術進歩やIoTの浸透に伴い、ものづくりの現場が大きく変わりつつあります。

製品は複雑になり、自動車や飛行機、医療機器や産業用の機械から、電化製品に至るまで、1つの製品に多くの機能が搭載され、複数のソフトウェアが組み込まれています。

また、多様化し、移り変わりが速くなったユーザーのニーズに対応するために、アジャイルな製品開発が広がっています。これは、機能を絞ってスピーディに製品をリリースし、市場の反応を踏まえてソフトウェア・アップデートにより機能を強化するものです。そのためには、開発フェーズだけでなく、市場投入からアフターメンテナンスまで、ライフサイクルを通して製品機能を管理しなければなりません。

さらに、企業間でのエコシステムの構築が加速しています。ユーザーのニーズにいち早く反応し、スピーディに製品を市場に投入するためには、新たな技術を自社内で開発するのではなく、すでに技術を持つ企業と協業する方が理にかなっているためです。これにより、一つの製品開発において、多くの関係者間で、複雑な機能や要件を正確に共有・管理する必要があります。

IBM IoT Continuous Engineering (CE) ソリューションの概要

このような環境変化の中で製品力を強化するためには、IBMは継続的エンジニアリングが重要だと考えます。継続的エンジニアリングは、「エンジニアリング情報共有」「継続的検証」「戦略的再利用」という3つの構成要素によって実現されます。

エンジニアリング情報共有

製品開発のサイクルがますます短縮化するなか、エンジニアリング情報共有の重要性は言うまでもありません。

しかし、現実には、メカニカル開発やエレクトロニクス開発、あるいはソフトウェア開発で全く異なるツールが導入され、必要な情報が必要な時に参照できない、という問題が発生しています。

この問題に対して、オープンで柔軟性のある統合された開発環境により、部門横断、会社横断での情報アクセスとデータ連携を可能にし、トレーサビリティーを確保します。

継続的検証

IBMが重視しているのは、検証を常にし続け、なるべく早い段階で不具合を確認することです。

「ハードウェアの試作機ができるのは何カ月も先のことだが、もっと早い時期にハードとソフトの統合時の不具合を確認できないか?」「要求、設計に対して抜け漏れのないテストを実施するにはどうすれば良いか?」

こうしたお客様の課題を解決するための一つの方法として、IBMでは、MBSE (Model Based System Engineering)という手法を提唱しています。これは、モデリング言語を使用して、顧客の要求内容を可視化し、設計を進めていく方法です。具体的には、システム、制御、物理といった分野別の複数モデルを統合してインターフェースの整合性を確認し、シミュレートすることで早期の検証を可能にします。

戦略的再利用

開発の現場では過去の開発を利用する流用開発が発生しますが、その際に重複開発を回避することで製品開発の効率を向上することが必要です。

これを実現する手法として、IBMでは、「Product Line Engineering(PLE)」を推奨しています。例えばプログラムの構造部分など、既に多くの企業がPLEを実践していますがその範囲は限定的です。各製品のフィーチャーベースのバリエーション管理、あるいはエンジニアリング成果物の時系列(複数のベースライン)でのバリエーション管理、エンジニアリング・ライフサイクル(複数フェーズ)の成果物をまたいだトレーサビリティーの確保まで実現できているかというと、手が回っていないのが実情です。

IBMはそうした一連のライフサイクル、複数製品のバリエーションを包括した戦略的再利用の取り組みが必要と考えています。

継続的エンジニアリングを実現するための設計・開発基盤が、IBM Continuous Engineering(CE)ソリューションであり、製品の企画段階から設計、開発に到るまで、各フェーズで以下のように活用できます。

開発全体を通じて

  • バージョン管理:ソフトウェアのソースコードのバージョン管理のみならず、要求項目、テストケース、モデル要素などをグループ化し、バージョン管理を行い、派生(ブランチ)することができます。
  • プロジェクト進捗管理:設計開発プロジェクトで、作業を定義し、担当者に割り振りを行い、進捗を管理することができます。開発成果物とリンクすることができ、作業と成果物のトレーサビリティーを確保できます。
  • ライフサイクルトレーサビリティーの可視化:CEで作られた開発成果物や開発作業の関連性を要素ごとにリンク情報としてビジュアルに表示できます。

企画・設計フェーズ

  • ユーザー要求の整理、要求仕様の作成、管理:文章や図表で要求仕様を記述することができ、要求変更に対する管理も行います。

設計・開発フェーズ

  • システムモデルの記述、シミュレーション:SysMLやUMLなどの様式でモデルを記述し、その振る舞いをシミュレーションで確認することができます。

開発・テストフェーズ

  • テスト設計・実行・管理:テストの実施計画を記述し、テストケース、テスト手順などを文書や図で記述できます。外部のテスト自動実行ツールをスケジュールで呼び出し、結果を取り込むことができます。

お客様導入事例

ゼネラル・モータースでは自動車の開発にIBM Continuous Engineeringソリューションを利用しています。

多くのチームに分かれて開発を進めるなかで、他のチームが担当する領域の設計情報を参照するための問い合わせや、どのバージョンが最新なのか、どの情報が正しいのかを確認するための作業に多くの時間を費やす必要がありました。この状況は、エンジニアにとっては大きな不満であるとともに、開発スピードの低下も招いていました。

グローバルに広がる開発チーム内で、情報をリアルタイムで共有することで、効率的なコラボレーションが可能となり、他チームとの連携に関して20~40%ほどの効率化を実現できました。また、多くの車種を持ち、様々なグレードがある中で、電子制御ユニットの開発では、開発効率が3~6倍ほど改善しました。

新製品を市場に投入するまでに時間を短縮し、開発品質そのものも改善し、顧客の満足度向上というビジネス価値を生み出しました。

詳細は、IBM Rational software helps GM engineer the Chevy Volt(英語) を参照ください。

IBM IoT Continuous Engineering 機能詳細

IBM IoT Continuous EngineeringはJazz Platformと呼ばれる共通基盤をベースに、開発チームやドメインをまたがるコラボレーティブなエンジニアリング・ライフサイクル管理を実現します。

この基盤上で要件定義や要求管理を支援する「Rational DOORS Next Generation (DNG)」、アーキテクチャー構築・設計&実装を支援する「Rational Rhapsody and Model Manager (RMM)」、構成管理・変更管理・プロセス管理を担う「Rational Team Concert (RTC)」、品質管理&テストを支援する「Rational Quality Manager (RQM)」のツール群が全体プラットフォームを構成します。各ツールのデータはお互いにリンクし追跡可能です。このデータとリンクの関係を「Rational Engineering Lifecycle Manager」で様々な表現でビジュアルに図示します。

IBM IoT Continuous Engineering ソリューションの製品構成を説明する図

IBM IoT Continuous Engineering ソリューションの製品構成

IBM IoT Continuous Engineering (CE)は以下のコンポーネントを含んでいます。

  • DNG:要求管理
  • RTC:変更管理・構成管理
  • RQM:テスト管理
  • RELM:トレーサビリティー可視化
  • Rhapsody:ビジュアルモデリング
  • RMM:チームでのモデル開発

IBM Continuous Engineeringソリューションの強み

  • V字開発プロセスの全域をカバー: 要件定義から設計、開発、テストまで一元的にカバーするソリューションにより、開発成果物をシームレスに連携します。
  • 複雑な製品構成に対応した管理基盤:CEのグローバル構成管理により、バリエーションや派生からなる製品をコンポーネント単位でシンプルに管理します。
  • コンプライアンスへの対応:さまざまな安全規格やガイドラインに準拠することを開発成果物や設計業務のトレーサビリティーとして管理します。
  • エンタープライズアジャイル開発のサポート:SCRUMだけでなく、開発フレームワークとしてSAFeをツール機能としてサポート。小規模から大規模まで開発規模を問わずスケーラブルに対応できます。
  • オープンな開発ツールアーキテクチャー: Open Service for Lifecycle Collaboration (OSLC) というデータ交換の標準フレームワークに準拠し、ツールベンダーの垣根を超えたデータ連携をサポート。他社製ツールと連携し、メカ・エレキ・ソフトの情報連携による影響分析の迅速化をサポートします。

製品Webページ:IBM IoT Continuous Engineering


 

問い合わせ情報

お問い合わせやご相談は、Congitive Applications事業 にご連絡ください。

 


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