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あらゆる場所にKubernetes

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この投稿は、2020年11月18日に、米国 IBM Cloud Blog に掲載されたブログ(英語)の抄訳です。

いまや、どこを見渡しても Kubernetes の話を耳にします

先日、KubeCon North America 2020 (英語)で、オンプレミスのデータセンター、エッジ、そしてパブリック・クラウドに広がる Kubernetes についてお話ししました。本記事では2つの例を用いて、なぜ企業が様々な場所で Kubernetes を必要としているのかご説明します。

 

新規市場への参入

Kubernetes が、既存のビジネスが新しい市場や地域に進出する際にどう役立つのか、具体的に説明します。ここでは、他の規制産業にも適用できる金融サービスの例を取り上げてみます。

  • 効率性: ある架空の北米の金融サービス会社が、市場の成長を取り込むために東南アジアに進出する必要があるとします。この会社は、顧客のアプリケーションに統合できる決済処理ソリューションのライセンスを取得し、北米地域では成功を収めています。そのソリューションはすでにコンテナ化されて Kubernetes 上で実行されているため、北米地域内の新しいサイトへ非常に効率的にデプロイできます。
  • 各国の規制遵守: 決済処理ソリューションを新しい地域に拡張するためには、データの所在する国の規制とパフォーマンス要件を満たさなければなりません。例えば上記の決済ソリューションで処理されるデータは、ビジネスが取引されている国の中に保管されていなければならず、支払いが処理されてから2秒以内に承認されなければならない、という要件があります。
  • 市場投入までの時間: 東南アジアに新たなコロケーション・センターを構築するために要する時間と費用(インフラ、スタッフの配置、コンサルティングなど)は、決済ソリューションの全体的なコストを押し上げ、新市場での競争力を低下させてしまいます。
  • マネージド・サービス: Kubernetesの分散クラウド・サービスにより、ビジネス上のメリットを得られます。真の分散クラウド・アーキテクチャーでは、Kubernetesをはじめとするソリューションに必要なすべてのクラウド・サービスが、オンプレミス、パブリック・クラウド、またはエッジ・コンピューティング環境に as-a-service として提供されます。これにより、北米のソリューションを新しい市場ごとに一貫した方法で拡張できるというメリットがあります。金融サービス企業が分散クラウド・サービスを as-a-service として利用すれば、サービスを最新の状態に保ち、利用できるようにするために必要なすべての管理をベンダーが行うことになります。現地のスタッフは、ソフトウェアのアップグレードやその他のメンテナンスの負担を軽減することができます。

異なる環境にわたって分散クラウド・サービスを利用するには、以下の3つのが必要です:

  • すべての場所における一貫したセキュリティー
  • クライアント・ロケーションとクラウド・ベンダー間のユーザー管理による接続性
  • 集中的な監視と管理

新しいユース・ケースへの対応

すでに成功した実績のあるソリューションを新しいユース・ケースに適用すれば、開発のコストは低く抑えることができ、実装においても効率性を活用できるといった、明らかな利点をビジネス戦略にもたらします。

2つ目の例は、ミリ秒単位で技術が作動する職場の安全性を管理する領域に関するものです。あるお客様は、データが生成された場所ですべてのデータを処理(収集・分析)することにより、遅延時間の要件を満たすことのできる職場の安全監視システムを提供しています。このシステムは、5ミリ秒の一貫した処理ウィンドウで動作します。

  • 遅延時間: この安全監視システムでは、来訪者が安全用ヘルメットを装着しているかどうかを確認し、その動きを捉えるオンサイト・カメラを活用しています。もしヘルメットを装着していない場合は、システムはすぐにフラグを立て、安全要件違反による傷害事故を回避します。光のビーコンが点滅し、「このエリアに入ることはできません。ヘルメットを装着していません」のような音声が流れます。もし安全監視システムが非常に低いレイテンシーで動作していなければ、ヘルメットなしで進入した人は、「あなたはヘルメットを装着していませんね」と警告される前に、すでに一線を越えているかもしれません。
  • ベロシティ(速さ): この安全監視システムは、低遅延時間の要件を満たしながらも、パブリック・クラウドに接続されています。監視と分析のコンポーネントは、 Kubernetes クラスターに配置されています。システムを監督するチーム(クラスター・ソフトウェアを管理する IBM または安全監視システムを管理するお客様のチームのいずれか)は、必要に応じてシステムを更新することができます。
  • 適応性: このシステムで使用されている解析技術は柔軟性があり、ビデオ・システムはさまざまな動きのルールに適用できます。例えば、COVID-19の安全プロトコルをサポートするサーマル・デバイスを使用すると、システムは来訪者の体温を瞬時に検出することができます。他のカメラでは、人と人との距離を監視して、ソーシャル・ディスタンスで推奨されている2メートルの距離間隔をおいているかどうか、あるいは使用済みの部屋に消毒が必要かどうかを判断することができます。

この分散クラウド・サービス・モデルでは、システムへのソフトウェア更新が非常に効率的に行われるため、ソフトウェア開発チームは、急速に進化を続ける新たなユース・ケースにも迅速にシステムを適応させることができます。

分散クラウドについて詳しくは

分散クラウドについてさらに詳しいことは、こちらもご参照いただけますと幸いです。

  • IBM 分散クラウドお役立ち情報: こちら
  • IBM 分散クラウド Cloud Satellite 公式サイト: こちら

分散クラウドに対するご質問やご相談がございましたら、ぜひ公式サイト(こちら)からお寄せください。


翻訳:IBM Cloud Blog Japan 編集部

*このブログは、2020/11/18に発行された“Kubernetes is Everywhere”(英語)の抄訳です。

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