IBM Sustainability Software

高解像度の海象予測と気象予測で、ブラジルにビジネスとソーシャルグッドを

記事をシェアする:

 

当記事は、ブラジル・サンパウロを拠点としたスタートアップ企業SIAAの創業者兼CEOのFelipe Murai Chagas氏による寄稿『AI-powered weather insights improve Brazil’s maritime planning』を日本向けに抄訳したものです。


 

ブラジルの海岸線は全長8,000キロメートル。科学者たちは波、高潮、堆積物、天気のパターンをモデル化したいと考えていましたが、残念ながらブラジルには、その距離に対して十分な海象および気象データが存在していませんでした。

その結果、海岸線沿いに位置する企業や、海洋状況に強い影響を強く受ける産業は、信頼に足る気象や海象予測がないままビジネスを進めるしかありませんでした。

 

ご想像いただける通り、海洋状況に影響を受ける事業運営は大きな困難を伴うものとなっていました。

石油・ガス生産業、海運会社、港湾運営業、ヨットクラブ、そして地方自治体の職員は、海象状況や天候が悪化すると受け身の対応をするほか無く、計画通りの事業運営が出来なくなっていました。それにより、資産の消失はおろか、生命の危機にすら直面していました。

 

ここで一例を挙げてみます。明後日10時、港に石油タンカーが到着する予定です。

信頼できる気象・海象予測があれば、ここで「悪天候による荒波により到着は数時間遅れる見込み」と分かります。そして港湾管理者は、予測される遅延時間に合わせ、さまざまな物事を調整することができます。

一方、信頼に足る予測が存在しない場合は、タンカーの到着時刻は分かりません。港湾管理者は、従業員、ターミナル、倉庫の混乱に後追いで対応するしかありません。

 

事業における混乱と見通しの不確かさは、そこで働く人びとやその家族の生活にも混乱と不確かさをもたらします。

また、酷い荒天が正確に予測できれば、企業も個人も準備に十分な時間をかけることができます。防災減災対策により、沿岸洪水や暴風雨などによる損失を最小限に抑えることができるのです。

 

■ Weather Companyのデータで「信頼に足る予測」を提供

こうした状況を改善するため、私はSIAAを設立しました。

海洋学の知識と港湾コンサルタントとしての経験から、より良い計画ツールの重要性を痛いほど理解していたのです。

 

設立後最初の数年間、SIAAはブラジルの海、川、貯水池、気象条件の分析モデルを開発して、予測の改善を進めました。

しかし残念なことに、私たちには肝心の正確な全球気象データが不足していました。私たちが構築したコンピュータ・クラスターは高性能なものでしたが、元データがどうにも貧弱であったため、予測の信頼性とシステムの管理コストに問題を抱えていました。

 

そんな私たちの状況を変えてくれたのが、IBMビジネスパートナーであるBuild ITのコンサルタントでした。彼らは、IBM Watson、IBM Cloud、およびThe Weather Company(TWC)を紹介してくれたのです。

TWCの保有するWeather Company Data Packageには、現在の状況、過去のパターン、そして接近中の気象・海象情報など、広範なデータセットとそこから導き出される洞察が用意されていました。

私たちはBuild ITの手を借りながら、TWCのデータを元に、IBM Cloud上に分析強化のための仮想プラットフォームを構築したのです。

 

新たなクラウド環境に構築されたプラットフォームは、以前のハードウェアクラスターよりもはるかに信頼性が高く、費用効果も高いものとなりました。

そして私たちは、さらにプラットフォームの予測分析精度を高めて強化するために、AIと機械学習、ニューラルネットワークを活用したIBM Watsonテクノロジーの導入を進めました。

 

■ 海象と気象に関する高解像度の予測でビジネスを進化させる

私たちは、IBM Cloud上の仮想プラットフォームを基盤とした、顧客向けのオンラインサービスをスタートしました。

「アイマール」と名付けられたそのオンラインシステムは、ブラジルを中心にウェブインターフェースを通じて世界の企業、地方自治体、軍および個人向けに海象と気象に関する高解像度の予測を提供しています。

こうして、私たちは厳しい気象条件に見舞われることの多い沿岸部の方々が事前に被害を防ぐ計画を立てられるよう、信頼性の高い予測と洞察をお届けすることができているのです。

 

気象データと海洋学を組み合わせることは、さらに大きな可能性も生み出しています。

風、雨、潮汐、海流の分析は、洪水予測にも用いることができるのです。また現在は、航路改善サービスの開発に取り組んでいます。

この技術を用いた海洋パターンと天候の分析により、海運会社は、ある港から別の港へと向かう最も安全で最も速く、最も燃料効率の高いルートを見つけ出すことができるのです。

 

お客様のアイマールへの評価は上々で、よいスタートを切ることができています。

 

■ 海象と気象に関する高解像度の予測でソーシャルグッドを生み出す

私たちSIAAは、信頼できる予測がより良い計画につながることを、そしてより良い計画がより良い社会へとつながることを確信しています。

ブラジルとラテンアメリカの人びととビジネスを、そして資産を、私たちは今後も守り続けます。

 

問い合わせ情報

お問い合わせやご相談は、Cognitive Applications事業 にご連絡ください。

 

関連記事

「天候データを活用した風災被害AI予測モデルの共同開発」レポート

地域課題解決を詳細ビジネス気象データで支援

公益事業が気象リスクに立ち向かい、顧客の期待に応えるために

 


 

More IBM Sustainability Software stories

ドローン点検を検討すべき5つの事業領域

IBM Sustainability Software

商業用ドローンを使用した点検は、高精度・安全・安価・効率的と多くのメリットをもたらすことから、さまざまな業界でその導入および検討が進んでいます。Quadintel社の「ドローン検査およびモニタリングの世界市場の成長機会・ ...続きを読む


炭素排出量管理でESG投資時代の「企業価値」をつくる | ハフポスト日本版&IBM共同セミナー・レポート

IBM Sustainability Software

サステナビリティ推進部門や担当者にとって現在最も重要な仕事は、サステナビリティ成果を企業価値向上へとつなげていく「サステナビリティ経営の確立」に向け、経営陣のブレーンとしての役割をしっかりと果たすことです。 しかし残念な ...続きを読む


変革を起こす覚悟 – トップ主導のSXが企業価値を向上させる from IBVレポート

IBM Sustainability Software

当記事では、IBVレポート『変革を起こす覚悟 – トップ主導のSXが企業価値を向上させる』から、サステナビリティーという目前の課題に対してCEOが選択したアプローチの検証と、成功に必要となる適切なツールやオフ ...続きを読む