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IBM Open Technology Summit 2020 「本番志向!!業界特化型 IBM IoTソリューション」レポート

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「量子コンピューター、オープンテクノロジー、クラウド…。そうした新たなテクノロジーが次々出現する中で、われわれIBMはどこから来たのか、そして今どこにいて、どこへ向かうのか。

今日はそれをご来場の皆さまにご理解いただける場としたいと思っています。そしてテクノロジーにより手にすることができる現在の高付加価値と、未来の可能性を感じていただきたいと思っています。」

— オープニングのキーノートスピーチにおける山口社長のこんな言葉で幕を開けた「IBM Open Technology Summit 2020」より、セッションB-4「本番志向!!業界特化型 IBM IoTソリューション」の一部をダイジェストでご紹介します。

 

セッション・スピーカー 磯部 博史 (Lead Solution Architect – Watson IoT)

 

■ IoTと5G、エッジ・コンピューティング

IoTは五感をつなぐ神経であり、脳(AI)に伝達し、筋肉(ロボティクス)を司るものだと私は考えています。今日は、5Gやエッジ・コンピューティングに代表されるテクノロジーの潮流を踏まえて、IBMのデータ戦略の中で、「業界特化型のAIを備えた実業務に活かされるIoT」についてお話させていただきます。

 

まず5G(第5世代移動体通信システム)ですが、「超高速」「多数同時接続」「超低遅延」という特徴を持っています。そしてもう一つ、大きな特徴が「ローカル5G」という形式を持っていることです。

これまでは4Gが飛んでいない場所では「Wi-Fiを敷こう」とか「Bluetoothなどの別の通信方法を考えよう」とならざるを得なかったものが、企業や自治体は自分たちで超高速超低遅延の5Gネットワークを構築し使用することができるようになります。

 

そしてエッジ・コンピューティングですが、こちらは「クラウドをデータがあるところに動かす」という考え方で、これにより早く安くデータを処理できるようになり、5Gの登場と相まってより一層その有用性を高めていくでしょう。なお、IBMのエッジ・コンピューティングへの取り組みですが、すでに多くのサービスをコンテナ化しエッジまで展開しています。

これらのテクノロジーの潮流と併せて考えると、IoTという「神経」が今後さまざまなシーンでこれまで以上に用いられるものとなるのは間違いありません。

 

■ 一昨年から続く大きなMaximoブーム

本日は、IBMの業界特化型 AI アプリケーションの中から、製造・保全管理基盤のIBM Maximoを中心にご紹介します。というのも、先ほどの5Gやエッジ・コンピューティングのメリットを特に顕著に受けるのが、工場や倉庫などだからです。

そしてまた、お客様に驚かれることも多いのですが、実は一昨年あたりから製造関連のお客さまの間で一大Maximoブームが起きています。ここ数年、導入企業ユーザーの数がどんどん増えています。

 

さて、製造・保全現場が現在直面している課題として、「深刻な人手不足」「設備の老朽化・高度化」「作業品質の低下」の3つがあります。

それぞれが互いに関係しあった問題でもありますが、「深刻な人手不足」「作業品質の低下」の2つは働き方改革推進による長時間勤務の厳しい取り締まりもあり、熟練者のスキルを以前の方法では活かせなくなっているという背景が後押ししています。

そして「設備の老朽化・高度化」ですが、とあるお客さまの「昭和の設備がいよいよ止まってしまうようになった」という言葉が、現状を上手く捉え表していると言えるでしょう。

この図は、私が「Maximoジャーニー」と読んでいる製造・保全現場のデジタル変革への道のりです。

 

一番上の「匠の技能継承」と一番下の「労働現場の安全管理」への道のりが「人視点」でのステップを表したもの。中央の「設備の透明性向上」への道のりが機器視点でのステップを表しています。

ここからは、Maximoジャーニーの中で紹介されている、いくつかのポイントを解説します。

 

■ MaximoジャーニーからManage、Assist、Predictを紹介

・ Manage – 設備作業、管理基盤

設備作業、管理基盤(EAM: Enterprise Asset Management)の分野で、ユーザー会の要望に基づく製品強化を続け15年以上前から業界をリードし続けているパッケージがIBM Maximo Asset Management(Maximo EAM)です。

基盤として重要なのは、長期間に渡り安心して利用し続けられることです。そしてそのためにはシステムの柔軟性・拡張性が非常に重要な要件となります。製品選びの際にはぜひその点に留意してください。

 

・ Assist – 現場作業員向けAIアシスタント

現場作業者を支援するツールは紙とペンからタブレットやスマートフォンへ、そして今では「チャットボットなどの対話型UI」「拡張現実(XR)」などのAIアシスタントへと変化しています。そして「ウェアラブルデバイス」を活用し、基本的には両手が空いている状態でより安全に作業を進められるようになってきています。

Maximo Equipment Maintenance Assistantは、安全に保全担当者が正しいメンテナンスと修理を行えるよう、問題診断を改善し、規範的なガイドを提供し、現場作業員による初動対応を支援し、故障対応や修復時間の短縮に貢献します。

 

・ Predict – 5つの分析モデルテンプレートを活用した設備の性能・故障予知

機械や装置の経年劣化と障害の関係を示すP-Fカーブと過去のデータから対応猶予時間を割り出し、障害や故障の発生タイミングを予知して、修理が必要となる前に対応してメンテナンス費用を最小限に抑えるのが資産パフォーマンス管理製品Maximo APM – Predictです。

企業が有している過去のデータや環境に合わせて、Watson StudioやPython、SPSSなどを利用したカスタムモデルの作成とモデルのトレーニングも可能です。

 

■ 3つの注目の取り組み

最後に、本日お話しさせていただいた内容と関連する、3つのIBMの取り組みを紹介させていただきます。

・ デジタル・コンテンツを売買するマーケットプレイス「IBM Digital Twin Exchange」

企業が蓄積してきたデータを分析して生み出したノウハウなどのデジタル・コンテンツを、世界に向けて販売することができるマーケット・プレイスがIBM Digital Twin Exchangeです。

こちらは昨日発表になったばかりで、日本でのスタートはもう少し先になりそうですが、ぜひご注目ください。

 

・ PoCからPoBへ。すばやく判断して動く

コンセプト・技術検証のPoCは実施したけれど、そこから判断して次の動きへとつなげられないお客さまが少なくありません。投資対効果の検証やビジネスモデルの構築が必要ですが、そこで忘れてはいけないのが価値が生まれるのは、実践したときだということです。

「Start Small, Move Fast, Think Big!」という言葉がありますが、その中央にある「Move Fast: すばやく判断して動く」が重要です。私たちはPoBをお手伝いするチームを編成していますので、ご興味をお持ちの方はぜひお声がけください。

 

・ デジタル変革のためのCo-Creation(共創)センター

ドイツ・ミュンヘンにある「IBM Watson IoT Munich Center」は、2017年2月の開所以来24,000名を超えるお客さまにいらしていただいて、日本からも毎年20組近いお客様がご訪問いただいています。

IBMは日本国内では天城にお客様に宿泊いただける共創センターを持っていますが、IoTやAIをふんだんに取り入れた「体感いただける場所」としてはこちらのセンターが圧倒的に優れていますし、世界の潮流を感じながら新しいビジネスの創出を考えるのにふさわしい場所となっています。

 

ぜひ「2025年の崖」を超えるためのデジタル・トランスフォーメーションを、私たちIBMにご一緒させていただければと思います。ご興味をお持ちいただけた方は、ぜひお気軽にお声かけください。

本日はありがとうございました。

 

 

問い合わせ情報

お問い合わせやご相談は、Congitive Applications事業 にご連絡ください。

 

Maximo APM – 予測保守と資産パフォーマンス管理による機器運用の改善

 

関連記事: 5G時代に企業が成功を収めるために – マルチクラウド、AI、IoT

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(TEXT: 八木橋パチ)

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