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消費をより人間的に | 複雑なコーヒーをブロックチェーンが明快に

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ご存知ですか。ブロックチェーンとコーヒーの相性はサイコーなんですよ。

あなたがコーヒー愛好家なら、コーヒーが日常にこの上ない喜びを与えてくれていることに異論はないでしょう。でも、その一杯があなたに喜びを届けるためにどんな旅路を歩んできたかは、きっとご存知ないのでは?

私は、世界で5番目に大きいサプライヤーであり焙煎業者であるUCCコーヒーのバイヤーです。今からこの問題の大きさと、その可能性の大きさについてお伝えします。

コーヒーがどこからどのようにやって来たのかを理解すれば、あなたの一杯はより豊かな体験となりますよ!

■ コーヒー農家の生活改善と、コミュニティの環境被害からの保護を

皆さんの一杯をより豊かな体験とするために、私たちはIBM Blockchainを用いてコーヒーサプライチェーンに透明性をもたらす「Farmer Connect」と、英国での新たなエキサイティングなプロジェクトに取り組んでいます。

プロジェクトが取り扱うのは、私たちのプレミアムブランドの1つであるオランウータンコーヒー。そして、私たちが達成したい目的はただ1つ。コーヒー農家の生活を改善し、環境被害からコミュニティを保護すること。

それだけなのです。

 

幼少時代の私にとって、コーヒーはさほど身近なものではありませんでした。メキシコに暮らす親戚がコーヒーの栽培と輸出を行なっていたので、彼らの話題が夕食のテーブルで交わされることがときどきあった程度です。

私がコーヒーの虜となったのは、ドイツ・ハンブルクの伝説的なコーヒー会社で最初の仕事を始めときに遡ります。

 

初めての現地調査の仕事でコスタリカを訪れると、私はすぐにコーヒーサプライチェーンの最も複雑で最もコストがかかる部分が、ほとんどの場合は原産国にあることを理解しました。

たとえば、ラバの背にコーヒー豆が入っているサクランボに似た「コーヒーチェリー」と呼ばれる実を乗せ、「ウェットミル」という精製所まで運んで洗浄するのには、コーヒー豆を輸出港から世界中の目的地に輸送するのよりも費用がかかることなのです。

 

■ 大規模な気候異常現象に、コーヒー豆の収穫予測は不可能に

私がコーヒー業界に正式に参入したのは成人してからでしたが、業界における最重要プレーヤーが農家であるということはそれ以前からしっかりと理解できていました。

ブラジルだけは例外ですが、その他のほとんどすべてのコーヒー栽培国において、コーヒーは小さな農場で栽培されています。これが意味するのは、コーヒー栽培が実に多様であるということです。そして同時に、栽培や収穫が細かな手作業により行われていることも意味しています。

そしてコーヒーは小規模農家にとって大切な換金作物であり、多くの場合彼らの唯一の収入源なのです。

 

コーヒー農家は苦難に見舞われています。なぜなら、以前はかなりの精度で予測できたコーヒー豆の収穫量と質が、ほぼ予測不可能となってしまったからです。

収穫量も質も、天候に大きく依存しています。しかし近年は、大規模な気候変動により伝統的な気象パターンは覆されてしまい、深刻な干ばつや強い霜など想像を超えた異常気象現象が頻発しています。

そして農民たちは、自分の農地だけではなく、コミュニティが気候被害に苦しんでいるのを見ています。広大な熱帯雨林がパーム油採取のための大規模農園を作るために伐採されてしまい、自然のバランスが崩れ、土壌も変化し、気候の不安定さは増すばかりです。

 

■ スマトラ・オランウータンの生息地である熱帯雨林を救うために

私たちは農家を助けるために、さらに新たな一歩を踏み出すこととしました。

現在、UCCが購入したオランウータン・グリーンビーンコーヒーが1キロ販売されるごとに、インドネシア北スマトラ州のガヨ高地地区のコーヒー農家は0.5ユーロを受け取り、さらに0.5ユーロがスマトラ・オランウータン保護プログラムに寄付されています。

そして今、IBMと「Farmer Connect」とともに、UCCコーヒー初のブロックチェーンを用いた追跡型サービスを提供するコーヒーを発売しました。

 

オランウータン・コーヒーは、急速に衰退するスマトラ・オランウータンの生息地である熱帯雨林を救おうという使命を持った、単一品種・農園・生産処理を施されたシングルオリジンコーヒーです。

ブロックチェーン「Farmer Connect」には、オランウータン・コーヒーがコーヒー愛好者の手元に届くまでのサプライチェーンのすべてが記録されています。

消費者はパッケージに印刷されたQRコードをスキャンするだけで、「Thank My Farmer」プラットフォームに移動し、コーヒーの栽培、焙煎、輸出が行われた場所を地図上で確認することができます。また同時に、農家とスマトラ・オランウータン保護プログラムを支援するための寄付を行う機会を得られます。

 

私たちは、消費者や小売業者に原産地の農家まで正確にさかのぼることのできる信頼できる手段と、寄付金を通じて農家と直接つながれる手段とを提供することで、持続可能な消費を一層高めることができるのではないかと考えています。

企業が提供している商品や価値に対する消費者の意識を高めることにより、業界全体の持続可能性に対する基準を引き上げることができるのではないでしょうか。

 

■ 世界地図にコーヒー農家が載ることが意味すること

「このイノベーションは喜びを与えてくれる」と、農家の人びとも私に告げてくれました。彼らは、「Thank My Farmer」プラットフォームにより、自分たちの働きと役割りがきちんと認識されていることに喜びを感じているのです。

農家の人びとは、以前から自分たちのコーヒーがどこに行き着くのかを知りたいと思っていました。そして今回、コーヒー愛飲家が豆の出生地に興味を持ち、生産者への支援を申し出てくれていることに喜びと感謝を感じているのです。

 

私たちUCCコーヒーにとって、プロジェクト着手にあたり適切なパートナーと協力することが重要でした。

そんな中「テクノロジーを通じて消費をより人間的にする」という「Farmer Connect」のビジョンは、私たちの考えと完全に一致していましたし、最先端のIBM Blockchain技術を利用している「IBM Food Trust」を用いるという彼らのスタンスは、信頼性と効率性に重きを置いていることを示す明確なサインでした。

 

この開発はまだ始まったばかりですが、私は明るい未来を確信しています。

私たちはブロックチェーンを用いることで、コーヒー農家、顧客、そして私たちの環境に、より一層の豊かさをもたらすことでしょう。

不確かなことの多い世界の中で、ひとつ確かなことがあります。それは、IBM Blockchainが、新世代の持続可能なコーヒーに信頼と信頼をもたらしているということです。

 

オランウータンコーヒーは、UCC Coffee UK&Ireland社により英国内でライセンス供与および配布されています。

当記事は『WManaging the complexity of coffee through the clarity of blockchain』をベースに、日本のお客様向けに編集したものとなります。

オリジナル寄稿者: Miguel Reguera(ミゲル・レグエラ) | UCCコーヒー シニア・グリーンコーヒー・バイヤー


 

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