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配電盤のIoT化で、安全で楽しい生活のパートナーへ (日東工業インタビュー)

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「IoTを活用して、暮らしに快適と安全を届けたい。」 — そんな思いで活動されている企業の一つに、愛知県長久手市に本社を置く電気機器メーカー「日東工業株式会社」があります。

今回は、日東工業株式会社 新規開発部 部長の鈴木 宏さんにIoTへの取り組みについてお話を伺いました。

 

(撮影場所: 日本IBM本社 クライアント・ショールーム)

 

— まず簡単に会社をご紹介いただけますか。

日東工業はもともと陶器の「瀬戸物」で有名な愛知県瀬戸市で生まれた会社で、創業が1948年なので昨年70周年を迎えました。

現在は瀬戸市から長久手市に本社を移していますが、土地柄このあたりは碍子(がいし)という電気の絶縁に用いられる陶磁器製の器具を使っている会社が多く、当社もそういう会社の一つとしてスタートしています。

 

— 鈴木さんから見て、日東工業を一言で表すとどんな会社ですか? どんな社員の方が多いですか?

「真面目で堅実」が社風だと思います。そしてそれを体現する社員が多いんじゃないでしょうか。

きっちりと一つ一つのことに地道に取り組み、高品質の製品を作り上げていく — そういう職人気質を持った社員たちが多く、それが会社の一番の原動力となっている気がします。

 

— たしかに鈴木さんからも「真面目で堅実」を感じます。鈴木さんご自身のことと新規開発部のことを少し教えてください。

私は今年で入社21年目となります。新規開発部は、4年ほど前に「新規事業企画室」というのがスタートしたのですが、その後「企画だけじゃなくて開発も一緒にやっていこう」ということで「新規開発部」となり、私がそのチームをリードするようになって現在3年目です。

当社のビジョンで「電気と情報を明日へつなげる価値創造企業」と謳っているように、自分たちの軸足は電気と情報でインフラを中心としています。それを基盤とした新規事業をやっていこうということで、私のチームではIoTを中心に据えたビジネスとシステムの企画と開発の両方をやっています。

 

(撮影場所: JECA Fair 2019)

 

— 先日、JECAという展示会で日東工業さんの火災予防に関する展示を見せていただきました。

はい。先ほどのIoTビジネスへの取り組みにも大いに関係するんですが、自分たちの強みや中心はやっぱり電気にあって、その電気を人びとの暮らしに安全に届けるためのものとして配電盤や分電盤があるんですよね。

あまり人が意識する機会はないものですが、実は配電盤や分電盤だからこそ取得できるデータというものも多数あって、例えば、火花放電特有のノイズを検出し、そのデータをもとにメールで警報を送ったり、主幹ブレーカを自動遮断するなどして、火災予防に大いに役立ててもらうことなどができるんです。

 

— 地震を原因とした火災の予防にも務めていると聞きました。

はい。地震大国の日本では、地震への対策・対応はとても重要ですよね。いろいろな取り組みを進めているんですが、そのうちの一つに静岡県掛川市とのIoTを活用した「地域防災システム実証プロジェクト」があります。

安全な街づくりを目指して2018年6月にスタートした取り組みでして、掛川市内の公共施設や文化財に「感震ブレーカー」を設置し、地震を原因とした通電火災などから歴史的建築物を守る実証プロジェクトです。

参考: 静岡県掛川市 掛川市地域防災システムに関する協定を締結 平成30年3月27日

 

(撮影場所: JECA Fair 2019)

 

— 感震ブレーカーとはどんなものなんですか?

その名の通り一定値以上の揺れを感知した際に、自動的にブレーカーを止める器具です。また感震ブレーカーの他にも、このプロジェクトには当社独自の「地震IoTユニット」も用いていまして、揺れや建物の傾きデータを元に遠隔地から被害状況を把握したり、建物の劣化を診断するためのデータ検証などにも活用しています。

とは言え、実証プロジェクトがスタートしてからほとんど地震がない状態でして、それ自体はいいことなんですが、データの取得には手こずっているのが実情です。

 

— おっしゃる通り地震がないのが一番ですね。とは言え、現実には規模はともかく、毎日日本のどこかで地震が起き続けています。

はい、ですから政府を中心に各自治体でも、感震ブレーカーの普及促進を行なっています。新宿区や足立区など東京都のいくつかの区でも設置助成を行っています。

中長期的には、この取り組みをより大きな安心を提供するためのものとしたいと考えています。例えばマンションであれば、地震前後の建物の状態を各フロアや住戸の配電盤内の揺れや傾きをセンサーから取得し、安全検査や予防措置につなげられることもできるのではないか、と。今、そういった計画も進めているところです。

 

(撮影場所: 日本IBM本社 クライアント・ショールーム IoTエリア)

 

— IoTプラットフォームを提供している会社は複数ありますが、なぜIBMをパートナーに選ばれているのですか?

いくつか理由はありますが、一番は私たち新規開発部が4年前にIoTビジネスをスタートしたときもそして今も、IoTとAIに関する高い技術と知見をIBMさんが持っているからです。

IoTを中心に据えたビジネスモデルの策定までパートナーとして一緒になって真剣にやってくれる会社って、他にはそうないですよね。それにアプリ開発や実装も、確実にサポートしてくれますし。

 

— ありがとうございます。IBMへの今後の期待はどうでしょうか?

私たちが私たち自身の強みを伸ばしていくように、IBMさんにも強みを伸ばして欲しいです。具体的に言えばAIですね。IoTデータからもっとたくさんの価値を生み出せるよう、高度な分析力と洞察力をさらに上げていただきたい。

例えば、建物の揺れデータの分析を進めれば、異常値の意味をより細かく診断できるようになると思うんです。揺れの種類で「高齢者の方が室内で倒れた際の揺れです」と判断できれば、自動で見守りサービスと連携するなどしてより生活に安心・安全をもたらすことができますよね。

 

— それはステキですね。

はい。電気と情報をつなげて、私たちは人手不足から生じる社会課題の解決に貢献したいんです。

配電盤や分電盤のない建物って、事実上ないと言っても良いかと思います。そして配電盤には当然電気が来ているわけで、それ自体をIoTセンサー化したり、クラウドへデータを送るためのゲートウェイとすることで、これまでの環境的な制約を大幅に超えることができると思うんですよね。

 

— たしかにその通りですね。

以前からPLC (Power Line Communication: 電力線通信)と呼ばれるものはあったんですが、IoTと組み合わせることでその可能性がかなり広がりました。配電盤という電気の基盤がIoTシステムの基盤にも近づいたという言い方もできるかもしれません。

そして私たち日東工業もIoTを最大限に活用することで、単に電気を流すための配電盤を「モノ」として売るメーカーから、安全で楽しく生活するための「コト」を提供する暮らしのパートナーになっていきたいんです。


 

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(撮影場所: 日本IBM本社 クライアント・ショールーム AIエリア)

(TEXT: 八木橋パチ)

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