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つながる繊維が編みとく、職場の健康と安全 – ミツフジ x AI x IoT

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リアルタイムデータを活用して、危険な兆候を察知してすぐに対応を取る方法はないのでしょうか。

高度なアナリティクスを用いて、従業員の体調と環境データの両面から、リスクを目に見えるものに、耳に聞こえるものにすることはできないのでしょうか。

— これらのことができるようになり、従業員に一層の安全を提供してこそ、本当の意味でコネクテッドな社会が到来したと言えるでしょう。

 

今、こうしたビジネス上の挑戦に、自社の強みにAI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)を掛け合わせて、答えを出しつつある企業があります。

1956年に繊維会社として創業した日本の企業、ミツフジ株式会社です。

 

 

ミツフジは、どうやって危険を察知し、従業員にそれを伝える術を作り出したのでしょうか。その話の前に、少しだけミツフジの興味深い歴史を紹介します。

 

1990年代、ミツフジは銀メッキ繊維「AGposs(エージーポス)」を開発しました。

もともとは高い抗菌特性を活かすために作られたものでしたが、ミツフジはAGpossが高い導電性を持っていることにも気づいていました。そしてそこから、ミツフジの「さまざまな企業の従業員の、健康で安心な生活を守る唯一無二のウェアラブルIoT企業」への新しい旅立ちがスタートしたのです。

その旅のパートナーとして選ばれたのが、私たちIBMでした。

 

■ ミツフジの先端性とユニークさ

作業環境を改善し、より高いレベルの安全性を従業員に提供するために、IoTの活用を進めようとしている企業はたくさんあります。

その取り組みの多くは、危険を伴う環境で働く従業員にIoTデバイスを身につけてもらい、データをモニタリングして状況に応じ警告を発するというものです。

 

ミツフジのアプローチも大枠では変わりません。ただ、その群を抜いたユニークさと先端性は、デバイスの装着方法にあります。

ミツフジのまったく新しいタイプのウェアラブルデバイスは、腕や脚に取り付けるよく目や耳にするタイプのウェアラブルデバイスではなく、衣服(シャツ)として直接着用できるようになっているのです。

それを可能としているのが、高い導電性を持つ銀メッキ繊維AGpossであり、センサーデバイスとして使用されるhamonです。

 

 

hamonはセンサーデバイスとして、心拍やジャイロ(傾き)や加速度計データなど、身体状況や環境状況をモニターするためのデータを収集します。そしてデータはIBM IoTプラットフォームに送られます。

受け取れらたデータは、IoTプラットフォーム上のIBM Maximo Worker Insightsにより、hamon以外から送られてきたデータと組み合わせて状況分析され、検知したリスクをダッシュボード形式で表示し、必要に応じて通知します。

 

こうした一連のサービスをトータルに提供することで、ミツフジとIBMは新たな価値を創造し、ユーザー企業に健康と安全を提供しています。

 

■ IoTで作業員の健康と安全を守る

職場における安全性の重要性は、昨今その意味を増し続けています。

とりわけ建設業や製造現場、運輸や物流に携わる企業に対しては、従業員の安全と体調管理に最優先で取り組むべきだという認識が社会的にも広がっています。

 

建設現場を例として考えてみましょう。

重機による作業、肉体的疲労、絶えず聞こえてくる大きな騒音、頻繁に変わる気温や天候…。人間の体は、こうした変化に毎日同じように対応できるようにはできていません。外部環境は昨日と同じでも、その日の体調によっては大きな事故が起きかねません。

 

しかし、ウェアラブルデバイスからリアルタイムに送られてくる作業員のバイタルデータと、温度、湿度、騒音などの環境データを組み合わせて分析すれば、作業員も現場監督も、より安全で健康な状態で働くことが可能になります。

不測の事態や不慮の事故を大幅に減らすことができます。

 

また、データが蓄積していくことで、問題箇所や危険地域をより詳細に特定できることができるようになります。

安全な行動の奨励や問題発生時の迅速な対応はもちろん、事故を未然に防ぐ予測モデルなども策定できるようになっていくでしょう。

 

■ 医療、介護、スポーツ。さまざまな人々の健康と安全を

建設現場だけではなく、さまざまな職場で働く人びとに健康と安全を提供するために、ミツフジとIBMはさらなる開発を進めています。

たとえば、看護師や医師などの医療従事者の方々は、患者さんの心身の健康管理にhamonを活かすことができます。介護事業では、高齢者をはじめとしたケアを必要とする方の体調管理に。そして託児所や保育園では、新生児や子どもの睡眠の見守り機能としても活用できるでしょう。

 

あるいは、スポーツ分野では、選手のトレーニング計画と連動させることで、オーバーワークや怪我を防ぐことができます。

重要な大会や試合にピークパフォーマンスを合わせることも、今よりもずっと容易になるはずです。

 

可能性はさらに拡がっています。

ミツフジは、hamonで取得した心拍や心音をはじめとするバイタルデータを、さらに多くの社会課題解決へと結びつける方法を真剣に考えています。

その視界の先には、健康と安全だけではなく、人間そのものの一層の科学的理解や人類の進化までもが写っているのです。

 

 

■ IBM Maximo Worker Insightsについて

IBM Maximo Worker Insightsは、生体センサー、環境センサーなどのIoTデータをリアルタイムに収集・蓄積する機能と、アルゴリズムに基づいた分析処理機能の2つから構成されるSaaS(Software as a serviceの略称)製品です。

ビジネスのためのIoT基盤であるIBM Watson IoT Platformと組み合わせてご利用いただくことで、自然言語処理、機械学習、画像分析、テキスト分析などのWatsonの機能を、Maximo Worker Insightsでご活用いただけます。

 

関連ソリューション: IBM Maximo Worker Insights

 

関連記事: ミツフジがWatson IoTをパートナーに選んだ理由 – 担当者が語るhamonのこれまでとこれから

関連記事: Think 2019現地レポート #4 “ミツフジのhamon – 今とこれから” by Watson IoT

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当記事は、Smart, connected fabric: how AI, IoT and Mitsufuji create safer working environmentsを抄訳し、日本向けにリライトしたものです。

 

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