クラウドサービス

銀行にとって「ハイブリッドクラウドは理想郷につながる道」である

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「今やクラウド・バンキングに重要なのはコストではなく、価値と戦略です」 IBM ハワード・ボヴィル談

著者: John Kultgen、Douglas K. Paris-White|読むのにかかる時間: 4 分|

ハワード・ボヴィル は、IBM ハイブリッドクラウド担当のシニア・バイス・プレジデントです。ボヴィルは、チーフ・テクノロジー・オフィサーとして、8 年間 Bank of America のデジタル変革を牽引した後、現在 IBM のクラウド事業を統括しています。

金融サービス業界が積極的にクラウドに移行する中で、ボヴィルは、10 年にわたるゼロからのクラウド移行から学んだことについて、Industrious 誌に語りました。

銀行を始めとして、変革を必要とするほとんどの企業が、クラウドへの転換に大規模に取り組んでいます。 その背景には何があると思われますか。

大きな転換点があったと思います。 それまでのクラウドへの対応は、「コストを見直しましょう。今よりずっと安くなりますよ」といったものでした。 つまりコスト中心の考え方でした。

それが今、ビジネス・プロセスに対する価値を重視する方向に変わってきました。すべてのビジネス・プロセスで高い価値を創出するため、時間の経過とともに萎縮して柔軟性をなくしたビジネス・プロセスを修復するにはどうすればよいのでしょう。

作業要素を見直すことはできますが、アプリケーション、データ、デジタル・サプライチェーンという他の 3 つの要素にまつわる問題が未解決であるため、開発者にストレスがかかることになります。そのため、IBM では、デジタル変革を後方から前へ向かって、つまり通常のやり方のほとんど(英語)の順序で行います。IBM では、お客様により大きな価値を提供することに重点を置きながら、まず IT 部門の変革からはじめ、その後業務部門に進みます。

→ 貴社のクラウドはコンプライアンスを維持し、同時に競争力を備えていますか。

 

何か例を挙げていただけますか。

IBM Cloud for Financial Services は、銀行が抱える非常に微妙な規制上の問題に対処するための、業界固有の一連の制御項目を提供しています。

これらには、世界の 75 を超える規制当局に提示する必要のあるベンダー・リスク管理やその他すべての制御項目が含まれます。銀行は、データとデータ・プライバシー、また世界中で増加し続けるデータ主権に関する変化にどのように対処しているのかによって判断されます。また、クラウドセキュリティーアライアンスとこれを構成するすべての団体が提供するサイバー制御項目をどのように管理しているのかによっても判断されます。

私たちは、これを標準装備しました。 一番の理由は、この機能を装備することにより、金融システム内のシステム・リスクを軽減できるからです。私は Bank of America で率いていたチームにもきっとこのように伝えていたでしょう。これらの制御項目を利用しなかった場合、銀行と複数の SaaS プロバイダーが接続するサプライチェーンは非常に脆弱なものになります。こうなると、問題が起きるのを待っているようなものです。

ここ数年間に起きた金融業界における最大のデータ流出事件の 1 つでは、ある銀行で、金融業界の要件に合わないプラットフォーム上で、自行のチームを使用して独自のシステムを設計したために問題が発生しました。その結果、この銀行は数百万ドルの罰金を科されたのに加えて、さらに深刻なことに、顧客のロイヤルティーと信頼を大幅に裏切ることになりました。

多くのメリットがある反面、クラウド・バンキングへの移行にはかなりのリスクが伴うのではありませんか。

ユートピア(理想郷)とディストピア(暗黒郷)という 2 つの可能性があります。組織が間違った方法を選択すると、複雑さと断片と部品がつなぎ合わさったフランケンシュタインのような怪物ができてしまいます。この怪物はさらに多くのサイバー流出、サイバー問題、障害を作り出します。これは、プラットフォームが本質的に安全でないからではなく、過度に複雑でオープンになってしまったために、それ以上安全性を高めることができないからです。だからこそ、制御項目のアーキテクチャーが必要なのです。

クラウドへの移行を決定した理由が優れたコスト・パフォーマンスであったとしても、クラウド・システムが複雑な単一クラウド環境に囲い込まれてしまうと、お客様は簡単にはそこから抜け出すことはできません。

今述べられた理由のために、ハイブリッドクラウドの信奉者なのですか。

そのとおりです。目指すべき理想郷は、オープンで、ハイブリッドなクラウド・アーキテクチャーです。IBM は、Red Hat OpenShift Kubernetes を使用してこれを実現します。

これは、パブリッククラウドであれ、プライベートクラウドであれ、オンプレミスであれ、エッジであってもかまいません。ハイブリッドクラウドは、すべてを組み合わせて 1 つにまとめます。これこそが、お客様がハイブリッドクラウドがモノ・クラウドのアプローチより 2.5 倍価値があると考える理由になります。

それでは、ハイブリッドは単に IT だけのものではないのですか。

そうではありません。ハイブリッドは IT だけでなく、あらゆるモノやコトを接続します。

ハイブリッドは、IBM の業界専門知識を生かせる領域でもあります。制御層をそれぞれの業界に合わせることにより、IBM は銀行業界だけでなく、通信、保険、その他の業界のお客様も支援しています。このような制御項目により、お客様はクラウドのメリットをフルに活用できます。

また、地理的な位置に関係なく、俊敏性を高め、仮想化によって単価コストを下げ、開発者の生産性を高め、データへのアクセス力を高め、さらにデータを安全な方法で編成および分析できるようになります。これらは、業界における適切な経験を活用し、適切なオープンかつセキュアなアーキテクチャー上で前進する場合にのみ可能になります。

IBM は、これらの資産すべてをクラウドで提供しています。これこそが、IBM がお客様を理想郷に続く道にご案内するための手法なのです。ハイブリッドクラウドは、お客様が未来に向かって進む道のりの途中にある休憩所ではなく、目指すべき未来そのものです。

 

*このブログは、2020/10/7に発行された“For banks, “hybrid cloud is the utopian path”(英語)”の抄訳です。

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