IBM Services

フォレスター・リサーチ社はデジタル・ワークプレースの進化をどう読み解くか

記事をシェアする:

本記事は、How Forrester sees digital workplace evolution (英語) の抄訳です。

フォレスター社アナリスト Andrew Hewitt氏とのQ&A

2007年、フォレスター社は、PC市場が当時の標準であるラップトップとデスクトップの2つのフォーム・ファクターをはるかに超えて成長することを予測しました。周知のとおり、予測は実現しました。今日、エンタープライズ・コンピューティング・デバイスはより多様かつ多数に成長し、ITチームが追いつくのに苦労するほどまでになりました。

従業員のニーズを満たしながら複雑性を抑えるためには、エンド・ユーザー・コンピューティング (EUC)・チームが、デバイスに関係なく、従業員にアプリとデータを提供することに焦点を当てた戦略へと進化させることが必要です。

今日のEUCリーダーにとって最も差し迫った問題のいくつかについて話を聞くため、フォレスター社のアナリスト Andrew Hewitt氏と対談しました。彼が共有してくれたデータと視点は、従業員の経験、ロボットによるプロセスの自動化、EUC管理者の役割の変化など、多岐にわたりました。

仮想化デスクトップ/アプリと物理デバイスは、将来的にどのような内訳になるでしょうか?企業は今後(今後5年から10年)、仮想化戦略をどのように考えるべきでしょうか?

Andrew:2019年初頭、フォレスター社は “The Future Of Enterprise Computing” を公開し、すべてのコンピューティング・タスクの80%が最終的にはより軽量の(物理的かつOS的に)デバイス(スマートフォン、タブレット、仮想セッションにアクセスするシン・クライアント、ブラウザー・ベースのコンピューターなど)で完了されるであろうと述べました。

Web セミナー:Five Trends Shaping The Future Of Enterprise Computing (エンタープライズ・コンピューティングの未来を形作る 5つのトレンド) (英語)

コンピューティング・タスクの20%は今もなお、グラフィックスやAI用にGPUを搭載したような大型のデバイスを必要とします。しかしそういったデバイスは主として、固定ワークステーションや独自の要件を必要とするエンジニアのような従業員用として使用されることでしょう。

今まさに変化は起きていますが、まだ先は長い道のりです。米国の消費者の51%は、まだデスクトップ・コンピューターを使用していると答えています。そして今日、完全に仮想化されたデスクトップを業務に使用しているのは、従業員のわずか30%にすぎません。

仮想化は、従業員がアプリケーションを処理する方法の 1つです。また、物理的なスマートフォン、タブレット、ラップトップ、およびChromebooksやウェアラブル端末のような新しいデバイスも使用されています。EUCリーダーは主として仮想化戦略を、物理デスクトップへの依存を軽減し、モバイル、仮想化、物理などの形にとらわれずアプリとデータをあらゆるエンドポイントに届ける能力を高める手段の 1つとして考える必要があります。

最終的には80/20コンピューティングへの移行により、ITチームに求められるのは、使用するデバイスに関わらずアプリとデータを従業員に届けることに焦点を当てた従業員のイネーブルメントに対する、アイデンティティー中心のアプローチです。

従業員向けのテクノロジーはビジネス業績をどのように向上するのですか?

Andrew:当社の “Why EX? Why Now? (なぜEX?なぜ今?) ” レポートでは、多忙な従業員の役に立つ要素の30%が、情報へのアクセス、仕事の習得を支援するツール、IT部門からのサポートといった、テクノロジー関連のものであることが分かっています。

テクノロジーは、従業員の最大の関心事であり、テクノロジーの一つ一つが日々進歩する能力に明確にリンクしているため、すべての従業員体験において非常に重要です。

賃金、表彰、福利厚生はすべて従業員が体験できることとしては重要ではありますが、生産性と比べるとさほど重要ではありません。テクノロジーは日々の生産性を実現するまさに中心に位置しています。これはIT組織にとってよいニュースだと捉えています。ビジネスを議論する場においてテクノロジーはますます重要であり、EUCリーダーと彼らのチームがビジネスの成果に影響を与える議論の的となるプラットフォームを提供するからです。

仮想化支援を使用して、AIが従業員の生産性を向上する方法についての健全な議論がなされています。従業員は他にどのような方法で、インテリジェントなソフトウェアと対話できますか?

Andrew:インテリジェントなソフトウェアは、コンピューティング体験の大部分を大幅に自動化するでしょう。例えば、フォレスター社の予測によると、ロボティック・プロセス・オートメーション (RPA) の市場は 2021年までに21億ドルにまで成長します。このテクノロジーは、さまざまなシステム間でのコピー・アンド・ペースト、会議室の予約、テンプレートを使用した販売契約書の作成など、最低限の意思決定のみを必要とする作業量の多いタスクを自動化することで、従業員が日常の業務量を軽減するのに役立ちます。

RPAを使用した従業員ワークフローの変革を成功させるために、 フォレスター社は「5のルール」を推奨しています。組織は、意思決定5つ未満、アクセスするアプリケーション5つ未満、完了までに合計500回未満のクリック、を必要とするタスクに限定してRPAを適用すべきであるというルールです。EUCリーダーとチームは、従業員との詳細な定性的インタビューを利用して、このモデルに適合するタスクを決定できます。

SaaSおよびクラウド・ネイティブ・アプリケーションを超えて、クラウドは、デジタル・ワークプレースの進化においてどのような役割を果たせるのでしょうか?また、統合エンドポイント管理 (UEM) は、現時点ではどの程度現実的でしょうか?

Andrew:場所とデバイスの柔軟性という明確な利点に加えて、 クラウドは、サービスの生産性向上におけるデータ分析の主要エンジンとしても機能します。画像認識や自然言語処理といったテクノロジーはすべて、従業員に正確で生産性のある体験を提供するために、大規模なデータ・セットのクラウド・ベースの分析に依存しています。

ほとんどの組織はまだクラウド・ベースのUEMを採用していませんが、このテクノロジーはITリソースを解放するとてつもない可能性を秘めています。例えば、クラウドを使用すると、初期のPCプロビジョニングのプロセスを自動化して、従来のオンサイト・イメージ作成やポリシー構成の必要性を軽減することができます。

では、何が妨げになっているのでしょうか?テクノロジーの視点から見ると物理デバイスの統合管理は実現可能ですが、実際は手作業の大変な作業です。例えば、プラットフォームの統合には単一プラットフォームへのポリシーの移行が必要で、特に組織に3つ以上のデバイス管理プラットフォームがある場合には、それは数カ月かかる可能性があります(ほとんどの組織には少なくとも4つあります)。これは、文化的な変化でもあります。多くのデスクトップ技術者はモバイル・デバイス管理のAPIに精通しておらず、Windowsグループ・ポリシー・オブジェクトが提供するカスタマイズ性を手放したくありません。フォレスター社は、UEMは小規模なものから始めることを勧めています。単に、デバイス上のあるエージェントをデバイスにドロップしてテストするだけで、従来のクライアント管理ツールが提供する機能を損ねることなくUEMに馴染むことができます。

従業員の体験がより重要になり、デバイスとアプリの管理がますます自動化されるにつれ、EUC管理者の役割はどのように変化するのでしょうか?

Andrew:日常のデバイス管理から解放されるという根本的な変化により、EUC管理者は生産性アナリストへと変わるでしょう。彼らは、エンド・ユーザーの顧客経験を監視、診断、および向上するために、テレメトリー・データの流入にますます依存するようになります。

フォレスター社は既に、従業員のテクノロジー体験を向上する方法として、エンド・ユーザーの顧客経験を監視することに関心を持っています。現在、監視は、デバイスの正常性、アプリケーションのパフォーマンス、ネットワーク応答などの領域に焦点が当てられています。将来的には、タスク完了やユーザーの感情など、より複雑な評価指標も着目されるようになるでしょう。この変化により、EUC管理者の日々の責任が変わるだけでなく、彼らがビジネスとの関わりをより深められるプラットフォームも提供されます。エンド・ユーザーの顧客経験データを活用して全体的なEX指標や投資を通知したり、それを使用して社内およびサード・パーティーの製品チームがよりよい従業員体験をもたらすアプリやサービスを作成できるようにすることを検討してください。

続きは、Webセミナー“Five Trends Shaping The Future Of Enterprise Computing(エンタープライズ・コンピューティングの未来を形作る5つのトレンド)(英語, 要登録) ”を視聴してください。

More IBM Services stories

IBM Services for Managed SAP Applications on Any Cloud提供開始

IBM Services, クラウドサービス, テクノロジー・サービス

日本アイ・ビー・エム株式会社 グローバル・テクノロジー・サービス事業本部 クラウド・サービス事業部 マネージドクラウドプラットフォームサービス 部長 栗原 貞夫 IBM Services for Managed Appl ...続きを読む