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行政の業務領域おけるAIとコグニティブの活用について考える

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コグニティブ・コンピューティングとは

コグニティブ・コンピューティングとは、人間が本来的にもつ認識能力、直感、経験、判断を増強させることを可能とする先進の技術革新です。IBMでは、これをArtificial Intelligence:人工知能ではなく、Augmented Intelligence:拡張知能と呼びます。IBM Watsonを中核の基盤とするコグニティブ・コンピューティングは、まさに人の知見や知恵を機械が支援・拡張することで、より大きな価値創出を目指しています。

コグニティブ・コンピューテイング/「Watson」の先進性

自然言語の「理解」

  • 様々な言語情報の読解
  • 自然言語を通した応答

「学習」するシステム

  • 専門家やベストプラクティスによる訓練
  • 実践とフィードバックによる向上

「根拠」の提示

  • 思考・判断の背後にある根拠の提示
  • 確信度の提示

先進の取り組み事例から学ぶ

ビッグデータ分析、コグニティブ・コンピューティングといった技術を組み合わせを通じて、成功された事例を紹介します。

みずほ銀行コールセンター業務の革新

IBMリサーチの技術を用いてWatsonをコールセンターのリアルタイム支援に実用導入しました。

大塚製薬 デジタル・ヘルス・ソリューション「MENTAT」

大塚製薬が培ってきた中枢神経領域での知見とIBMのコグニティブ・テクノロジーを活かし、デジタル・ヘルス・ソリューション「MENTAT」を開発しました。

フォーラムエンジニアリング コグニティブな人材マッチング

技術分野専門の人材サービスを展開中の株式会社フォーラムエンジニアリングでは、人材マッチングにWatsonを活用しています。

行政への適用に向けて

官公庁・自治体が抱えている課題として下記のように考えられ、高い精度で、かつ広範囲なサービス提供をするために高い判断力・分析力・実行力が必要となります。

  • 何千万という文書(母国語以外の文書含む)を考慮した業務
  • 特に決まった「境界線」のない問合せや業務領域
  • 決まった答えがなく、仮説ベースの検討が必須
  • 回答を行う前に根拠・証拠の精査が必要 等

コグニティブ・コンピューティングは、取り扱うデータ(非構造化データ等)が膨大であり、過去の履歴の学習や適用後の継続的な学習により進化していくという特性を持っています。また、数値等の分析技術を含む様々な技術とも組み合わせて、お客様にとって最適な仕組みを設計できます。行政における住民との直接的なコミュニケーショ ンラインや情報分析業務の重要性が高まっている昨今の状況を考えると、民間企業と同様、あるいは、それ以上に、適用可能性には積極的な取り組みが必要と思われます。

一例として、行政組織が共通して持つ業務機能における適用可能性を整理しました。

IBMでは、コグニティブ・コンピューティングの様々な技術を拡張し、過去から蓄積してきた分析技術などとも組み合わせて、お客様の課題に最も良い解決策を提案していきたいと考えています。そして、その最初のステップは、お客様の課題や実現したいことと、コグニティブ・コンピューティングの技術とのマッチングについて議論を行うことです。

行政における一般的な業務領域とコグニティブ活用の案


目的

活用例


ニーズ把握

情報収集・傾向把握

  • 世論の動向の把握・分析
  • 特定施策、事業に対する国民の声、ユーザー評価


政策・施策の優先度評価

  • 優先度評価の支援
  • エビデンスの自動収集、提示


政策企画

判断・考察に必要な情報入手

  • 判断や検討に必要な情報の自動提示
  • 対話型での判断支援ツール


過去の判例、制度等への適合性評価

  • 過去の判例、既存制度との適合性評価の支援
  • コンフリクトの懸念がある場合のアラート


政策業務遂行

相談、質問、苦情対応

  • Web自動応答/FAQA支援
  • コールセンター、窓口対応支援


審査・認定

  • 住民からの申請に対する審査・認定支援示
  • 過大請求などの一次チェック


遂行現場への情報・知見提供

  • 施策、事業の遂行現場への必要な情報提供
  • 職員向けの相談、FAQA支援


知見の共有、人材育成

  • 施策、業務に関する暗黙知の可視化、学習ツール


評価改善

政策・事業評価

  • 評価に必要な情報の自動収集・提示
  • 評価内容の提案


統計・レポート処理強化

  • 各種データの統合的なレポーティング(自動化、支援)


詳説

一般国民や政策の対象となる住民からの声を自然言語情報として把握し、その動向を分析することは、多くの政策領域で有効で、業務の生産性の向上にもつながると考えられます。一般の住民と直接的な接点を持つ行政組織では、行政サービスの利用者との接点においてコグニティブ・コンピューティングを活用することで、迅速で精度の高い応答や、個に対応したサービスの提案が可能となります。海外の行政機関のケースもふまえると、社会保険、税務、消費者行政などが適用領域の候補となります。また、各種の申請などに対して審査や確認を行う業務も行政機関に幅広く存在しており、こうした審査系の業務支援も有効な適用領域です。一般住民・企業からの申請業務という視点からは、社会保険、税務、入管、税関などが想定されますが、多くの行政機関には許認可の業務があり、広く適用可能性があると考えられます。さらに、政策の結果として、社会にどのような成果をもたらしたのか、より良い政策・施策となるためのポイントはどこか、などを検討する際にも、コグニティブ・コンピューティングの特性が貢献できると考えます。また、税関や入国管理等「国家としての水際対策」におけるリスクマネジメント領域でのコグニティブ・コンピューティング適用は、各国で検討されています。注目度が高まっている大きな理由は、各業務で積み重ねてきた不審物や不審人物の摘発ルールと膨大な情報量を検証・マッチングし、入国時あるいは入国前にリスクを摘発することを可能としているからです。従来の業務では、各職員の経験や勘を重視したベテラン職員の存在が前提となる仕組みであり、一人の職員が対応する対象が限定されますが、そもそもこれらの知見を有する職員不足が問題になってきていることも重要な課題です。さらに、テロ組織の複雑化・活動の広範囲化等摘発するべきリスクが多様化している状況から、深刻化している状況にあります。

デジタル・ガバメントの実現

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