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EAMの勘所:第4回 インシデントと問題管理

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ITILサービスサポート管理と保全管理の共通点

EAMの勘所とは

企業資産管理を円滑に行うために「EAMの勘所」と題して定期的にコラムを掲載していきます。
第4回目は「インシデントと問題管理」に関して、ITILサービスサポート管理と保全管理の共通点などを、Maximo営業部の清野よりご紹介いたします。

保全管理を担当されている皆様にはなじみがないのですが、PCやサーバーなどを管理している情報部門で最近注目を集めている管理モデルに ITIL(アイティルと読みます)があります。ITILはInformation Technology Infrastructure Libraryの略で英国商務省の情報担当部門が省内にある情報機器をいかに効率的に管理するかに関する研究から生まれ英国企画(British Standard)BS15000の元になり、現在ではISO/IEC20000として国際規約になっているITサービスマネジメントに関する管理モデル です。このITILは設備や施設の保全管理作業についても多くのアイディアを提供しているので、ここにご紹介いたします。名称付けのルールを決めて作成を 始めると、以外に非常に細かな階層まで設備台帳を作成してしまうケースがあります。また標準化を進めるあまり詳細すぎてデータの作成が実質上進まない問題 に直面したりします。例えば、設備階層標準に3階層と決めたとするとその階層は以下のようになります。


 インシデントと問題管理

ITILでは「インシデント」という用語が出てきます。インシデントとは「通常の運用や運転を阻害するすべての事象」を指します。例えばみなさんが 良く使用している社内のコンピュータシステムでシステムの”パスワード”を忘れて、情報部門にその再発行を依頼したとします。これはITIL上ではインシ デントと定義します。本来パスワードを記憶していれば、業務を中断することなく継続することが出来るので、パスワードを忘れて再発行を依頼するということ はIT部門から見ると業務継続の阻害要因としてインシデントに分類されます。
情報部門ではこの再発行要求が提出されると、あたら新パスワードを作成して、依頼元のユーザに連絡して”パスワード再発行の作業”を終了します。
プラントや工場では「製造部門から設備の不具合が発生して、その修理を保全部門に依頼された」と同じことです。
このようなインシデントは通常の業務に見えますが、このパスワードの再発行が数百件/月発生した場合、これは問題です。「複数のパスワードがいっぱいあり、なかなか覚えられない」または「誰かが他人のパスワードを盗もうとしている」などが考えられます。
ITILではこのように「インシデント」を誘発する真の原因を「問題」と呼びます。

図:忙しい病
図:忙しい病工場では「チョコ停」が多発して、保全担当者が現場にちょくちょく呼び出されて、「ああ忙しい、忙しい」といっている人がいるかも知れませんが、こ れは「インシデント」を解決するのに忙しく、「問題」の解決には取り組んでいないということをあらわしている場合があります。みなさんの周りに「そんな 人」はいませんか?

ITILのインシデント・問題管理はお客様(保全部門にとって製造部門はお客様)からの要求事項をきちんと実行する
ことを管理し、その品質やコスト を把握するとともに、日々の日常業務に埋もれがちな「問題の芽」をとらえ大事に至る前に予防措置をとるための管理プロセスなのです。


 記録の重要性

インシデント管理では些細な問題も記録します。通常の業務や運転を阻害する事象をすべて「インシデント」と呼ぶ!と定義しましたが、このようなことは日常茶飯事で発生しています。しかし、この中に設備を破損させたり、また作業員の安全を脅かす重大事故の要員が含まれます。
最も安全管理が徹底されている原子力発電所では、「本来あるべき、通常と異なる事象」を「不適合」という言葉で呼びます。この不適合はその発生の記録から 解決までを記録して管理することが義務付けられています。管理する担当者や部門によって管理方法が変わったり、経済状況によって安全が脅かされないよう、 管理プロセスによって安定稼動を支援できるよう管理を行っています。

みなさまの管理している設備も、その重要性は相対的に変わらないと思います。管理プロセスを作成して、情報の記録をとり、分析・対策をとるという PDCA の考え方が ITIL にも現れています。そういう意味では管理する対象こそコンピュータと設備の違いがありますが、情報部門も保全部門と呼んでもよいのかも知れません。

 

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