2024年2月1日、虎ノ門ヒルズ ステーションタワー(東京都港区)へと移転した日本アイ・ビー・エム本社、およびIBM Innovation Studio 東京にて、株式会社イグアス様主催の「Innovation Studio見学会」が開催されました。
今回はInnovation Studio 東京のデモや展示案内を挟み行われた、(株)イグアスの伊藤瑞穂氏と日本IBMの村澤賢一の講演の模様を交えながら、見学会前に行われた両者による対談の模様をお届けします。
伊藤: それにしてもIBM Innovation Studio 東京、本当に素晴らしい施設ですね。
今日この後、70名を超えるIBM様と私たちイグアスのパートナー企業の方がたをお招きして見学会をさせていただくということで、準備を兼ねて先日、1時間だけ事前見学させていただいたんです。
本当によく練られて作られたすごい施設だなって思いました。それから、やっぱり景色もいいですね(笑)
村澤: 今日は対談のお時間をいただきありがとうございます。そしてパートナー様をお招きいただく見学会の立案・実施も大変ありがたく、株式会社イグアス様のリーダシップに大変感謝しております。
今日は「『共創』の先に目指すもの」というテーマで、伊藤さんとお話しさせていただければと思っています。
伊藤: 「共創の先」を見るには、「共創の今」をまず確認した方がいいかもしれませんね。
私たちイグアスは2006年からIBMハードウェア・ディストリビューターとして、そして2009年からはIBMソフトウェア製品の取り扱いもスタートしており、長年IBM様とパートナーシップを結んでいます。
現在は、従来の販売、構成支援・導入サポートに加えて、昨年から村澤さんも頻繁に発信されている「ビルド・パートナー」の支援——パートナー企業の皆さんがお持ちのソリューションを、IBMテクノロジーを組み込むことでより一層魅力的なものにしていく——にも力を入れています。
そしてそこで生まれたソリューションを、マーケットに伝え拡げていくための「販売(セル)パートナー」としての顔も、これまで通り持っています。
村澤: イグアス様は本当に心強いパートナーです。今日も、長年企業経営を続けていらっしゃるたくさんのIT企業の経営者の皆様を、ここIBM Innovation Studio 東京にお招きいただきました。
そんなベテラン経営者の方がたを前にまことに僭越ながら、講演では改めて日本経済の現状と展望について見つめ直したいと考えています。ここでは詳細は省かせていただきますが、日本経済もようやく長く続いていたデフレ状況から脱却し、健全、かつ継続性のある経済成長を目指すインフレモードへと移行を果たそうとしています。
インフレ状況下における各業界の企業の皆様の投資方針の変化を感度良く捉え、新たなIT・デジタル技術適用機会を創出し、パートナー企業の皆様と共に経済成長に貢献して行きたいと考えています。
伊藤: そうですね。このインフレ基調をしっかりとした足場にしなければ、再びゼロ金利やマイナス金利の量的・質的金融緩和に戻りかねないかもしれません。
村澤: おっしゃる通りです。現在の流れをしっかりと捉えて、付加価値の創造による製品・サービスの価値向上であり、それを価格に転嫁していくことが必要です。
…とはいうものの、一足跳びにそこにたどり着けるかといえばやはり難しく、投資余力を捻出するための生産性向上と収益性向上にも注力していく必要があります。
つまり、両面的なアプローチが必要とされるのが今であるということです。それも、変化スピードを見極めるのが非常に難しい現在においては、「足元をしっかり固めながら、いつでも未来へ力強く踏み込めるようにしておくこと」が肝心だと思います。
そうした中で、「自社単独で考え動く」という選択肢もなくはないでしょうが、果たしてそれで、ダイナミックな社会変容に先駆けられるのか。少なくとも追いついていけるのかといえば…。相当に難しいと言えるのではないでしょうか。
伊藤: だからこそ、パートナーが重要であり、エコシステムが鍵を握っていますよね。
実は今日の講演でもお話ししようと思っているのですが、私は年初にIBMのシンクタンクが発表した『2024 5つのトレンド』にとても感銘を受けたんです。
「エコシステムはもはや戦略の一部ではなく、戦略そのものである。」——トレンドの詳細説明に出てくるのではなく、5つのトレンドのうちの1つとして、IBM様はそれを発信していますよね。
昨年も村澤さんの言葉からは伝わってきていましたが、今回、「この言葉を地で行こうとしているんだな」と本気度を感じました。
私たちも、パートナー企業の皆様のハブとなり、情報やコラボレーションを支援させていただきます。
対談後に行われた伊藤氏の講演の様子。「IBMテクノロジーを活用した共創モデルで、共に成長しましょう」と呼びかけた
村澤: 心強いです。成長、そして未来への鍵を握っているのは、どんなパートナーとしっかりとした信頼を基盤にしたエコシステムを築いていくのかにかかっていると確信しています。
そしてその「信頼」は、何に起因しているのか。AI、データ、人…。どの要素を抜き出しても、透明性と真摯さ、誠実さが欠かせないのではないでしょうか。
村澤: 改めてIBM Innovation Studio 東京についてですが、私は「ここに来ると、アイデアが浮かんでくる。エネルギーと次の打ち手が見えてくる!」、そんな風に感じてもらえる場所にしたいんです。いや、したいじゃなくて、そうならなければいけないと思っています。
伊藤: 同感です。私は入ってすぐ、いい意味で「これまでのIBMとは違うんだな」と直感的に感じましたね。「何か新しいことが起きるんじゃないか」って、そんな気持ちになりましたよ。
IBMのソリューションや推進しているビジネスって、その効果はすごく高いんですよね。でも、パッと瞬間的に理解できるような簡単さは持ち併せていないものが多いので伝わりづらい。場合によっては伝わらないまま終わってしまうこともある…。
だから、こうしてユースケースとデモで共創の具体的成果を分かりやすく伝え、体感してていただき、そこからすぐにアイデア創出のためのデザイン思考のワークショップなどを始められるというスペースの構成は、魅力的です。
それに、現在IBM様が打ち出しているソリューションが豊富にそろっているというのも、総合ディストリビューターとしてはありがたいですね。
村澤: 先ほど伊藤さんが仰ってくださったように、訪れた方に予感を感じていただきたいですね。
私が思うに、そういった場所に必要なのは「期待の交換」、あるいは「期待値の交換」を、しっかりつなぎ連鎖・循環させていくことだと思うんです。
新しい関係性が生まれるときって、そこでは期待の交換が必ず行われていますよね。
たとえば、今ここでも、わたし村澤と伊藤さんの間で期待の交換が行われているわけです。
わたしは伊藤さんに、個人のつながりやイグアス様のネットワークを通じて、IBMにご興味をお持ちいただけそうなパートナー様やお客様、そしてそれ以外にも多様な方がたをお連れいただきたいと期待しています。
そして伊藤さんは、いらしていただいた皆さんをワクワクさせるようなアイデアを聞かせてほしい、目を見開かせるような取り組みを見せてほしい、という期待をIBMやわたしに手渡されたわけです。
そんな風に、言葉にせずとも、さまざまな形で期待を伝え受け渡しあっていますよね。
伊藤: そうですね。他にも「パートナーと一緒に市場共創をさらに盛り上げるプログラムを!」だとか、「もっとわかりやすく砕けた表現での発信もしてほしい」とか、いろんな期待をお渡しさせていただいています(笑)。
村澤: そういうことですよね(笑)。
もちろん、期待と期待同士なので、「いつも満額回答」とはいきません。それはお互い最初からわかっていることです。でもそこで問われるのは、相手の期待に応えようとする意志であり、姿勢ではないでしょうか。
そうやってキャッチボールしていくうちに期待が前進していき、ふとその軌跡を振り返れば、そこに大きな成果が生まれていた…! そんな姿を目指したいですよね。
伊藤: その通りですね。これからもキャッチボールのお相手をよろしくお願いします。
そしてこの場を、期待のキャッチボールがいろんな人たちやグループ、組織の間で飛び交う場所にしていきましょう。私たちイグアスも、これからもいろいろなパートナー様やお客様をお連れさせていただきますね。