社員が語る「キャリアとIBM」

お客様と共に創る未来の金融業界を見据えて(上)

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社員が語る「キャリアとIBM」では、IBM社員のキャリアや仕事内容をインタビュー形式でご紹介します。

IBMコンサルティング事業本部 金融サービス事業部を統括している執行役員の孫工 裕史さんのインタビューを、2回に分けてお届けします。

略歴:
1998年日本 IBM 入社以来、金融機関担当の営業、営業部長としてお客様の経営課題解決を支援。2018 年よりグローバル・ビジネス・サービス事業本部にてコンサルティング、システム構築、システム保守などのサービスビジネスをリード、金融業界において多数の先進事例を推進。2020年 4 月より執行役員として同事業本部金融サービス事業部を統括。

まず、IBMコンサルティング事業本部とは、どのような組織なのか教えてください。

IBMコンサルティング事業本部は、お客様の経営に関わる課題解決や変革の歩みに対して、サービスを通じてご支援している組織となります。部門名に「コンサルティング」とありますが、狭義のコンサルティング・サービスはもちろんのこと、過去よりIBMが得意とするテクノロジーを使ったシステムの開発、構築、運用を含め、エンド・ツー・エンドで支援する、つまり、お客様がITを活用するあらゆるお取組みに対して相談(Consult:コンサルト)できる集団が、我々IBMコンサルティング事業本部です。これは、自社の中に製品部門があり、長年培ってきたノウハウがあるからこそ実現できることです。

我々は昨今「共創」をテーマにビジネスを進めており、IBM Consulting Way という行動指針を踏まえて、企業を超え、業界を横断する一歩踏み込んだDX、新しいビジネスモデルの創出を目指しています。

孫工さんが率いるIBMコンサルティング事業本部の金融サービス事業部ではどのようなサービスをお客様にご提案されているのでしょうか?

IBMは、1965年5月に日本初のオンライン・バンキング・システムを当時の三井銀行様に導入して以来、日本の金融機関のITシステムを支援してまいりました。メガバンク、地方銀行、信用金庫、カード会社等のお客様に対し、リテール、法人、市場、海外、情報系、決済、リスク管理、DXなど幅広い業務支援を行なっています。

私の組織は、特定のお客様グループに対して提案活動や開発、保守を担うアカウント担当部門と、そのアカウント担当部門を横串で支援する部門(金融コンサルティング、ソリューション開発推進など)との縦と横の部門構成をとっています。

コロナ禍で企業のデジタル変革が加速する中で、金融業界のお客様から多く採用いただいているソリューションとはどういったものでしょうか?

我々が2020年に発表したソリューションである「金融サービス向けデジタルサービス・プラットフォーム(DSP)」を多く採用いただいています。

DSPは、金融機関がDXプロジェクトを進める上で感じる多様なフラストレーションを取り除くために開発したものです。金融機関が保有する基幹系システム(ビジネス・サービス層)と、これから新しく作っていく業務アプリケーション(フロント・サービス)との疎結合化を実現することにより、開発コストの3割減、開発期間を4割短縮できたという先行事例も出ています。クラウドにあるDSP上に、IBMは金融機関が共通的に利用できるAPIを先行投資して開発し、すぐに利用できる状況になっているので、金融機関はそれらを利用することで開発対象物を減少させ、コスト低減や開発期間短縮に効果を発揮しています。IBMでは、このプラットフォームを他業態にも展開を進めており、社会全体の課題解決を担うプラットフォームへと発展させることを計画しています。

金融機関のシステムは、これまで個別の金融機関のニーズに応じて大規模SI開発により構築するスタイルが一般的でした。ですが昨今は、新商品やサービスをいち早く市場へ投入することを意識し、システム開発のスタイルが既に市場にあるプラットフォームやアプリケーションを有効活用していくスタイルに変化していると感じています。日本の金融機関が、今後、世界で戦っていくためには、日本における非効率性を取り除く必要があると考えています。過去には、IBMもその非効率性の原因を作ってきたベンダーであるという反省も踏まえて、今後はより効率的かつ生産性高いシステム開発のあり方を世に届けていくつもりです。

参考情報
デジタルサービス・プラットフォームに「クレジットカード・サービス」を追加し、クレジットカード業界のデジタル変革を推進

競合他社と比較して、特にIBMのどのような点が金融業界のお客様から支持されているのでしょうか?

大手IT企業同様、IBMも50年程前から金融機関に対して基幹系システムを提供していた企業の一つです。ですが、他社と大きく異なる点があります。IBMは時代の変化やお客様の需要にあわせて、ビジネス・ポートフォリオや組織体制等を常に変化させてきました。大手IT企業ですと、従来のビジネスポートフォリオを変化させるのが難しい組織体質になっていますし、コンサルティングファームですとメインフレームをはじめとする従来型システムにとらわれない戦略をとっています。

私が思うには、IBMは従来の基幹系システムへのご支援やお客様との長い信頼関係もある中で、時代に合わせてビジネスポートフォリオを上手く変化させてきました。基幹系のノウハウを持ちながら、デジタルに対しても最新の技術動向を踏まえた新しいDX戦略を立ててリードしていく等、あらゆる領域に対して広範囲でビジネスを進めているのが圧倒的な差別化である部分と言えると思います。50年来のお客様との関係性も持ちながら、デジタルのお客様のカバレッジもあるというイメージです。

競合他社との差別化として挙げられるお客様事例をご紹介ください。

りそなグループ様との「共創」の事例を共有させていただきます。りそなグループ様では日本の金融業界全体の競争力向上を目標として、自社のアプリケーションやサービスを地方銀行様にも利用いただくオープン・プラットフォーム戦略を推進されています。

この戦略を支えているのが、先に述べたDSPです。DSPがベンダー色を排除したオープンなソリューションであるために、展開先の地方銀行様が保有する既存システムが、どのシステム、どのベンダーであっても対応が可能であることから採用に至りました。結果、りそな様のモバイルバンキング・アプリケーションを導入された地方銀行様の構築プロジェクトは、わずか9ヶ月でサービスインが実現できました。これはIBMが既にプラットフォームやAPIを準備し、個別のプロジェクトでの対応範囲を限定的に抑えることができたためです。デジタル時代に最も重視されるのはスピードですので、その価値をこの共創プロジェクトでは大いに享受できていると考えます。

詳細事例はリンク参照:
りそなグループが描く金融の将来像とは
金融サービス向けデジタルサービス・プラットフォーム(DSP)の活用が拡がるワケ

りそなグループ様を始め、金融業界のお客様とIBMの関係性はどのようなものなのだと考えますか?

IBMで就業する中で、私はお客様とのリレーションをベースにビジネスを進められているなと感じることがよくあります。ですが、そのお客様とのリレーションに甘えてしまい、新しい提案や提言に対する活動がおろそかになったり、我々自身の進化の歩みを止めたりしてしまえば、その時点で我々の価値は無くなったも同然だと思っています。

IBMやそこで働く社員(IBMer)は、お客様からの高い期待値を常に超える存在であろうと努力してきました。Be essential(もっとも必要とされる存在になる)という言葉があります。その業界やお客様に対して、余人をもって代えがたい唯一無二な存在であることを求めている代表的な言葉の一つで、この言葉通りの社員が数多くいることが私の誇りでもあります。

50年以上続けているお客様との関係性は、先人のIBMerから引き継ぎ、今、後輩たちへと繋いでいるものです。この関係性は1つのプロジェクトだけでは勝ち取れませんし、長年苦労を共にしてきた経験があるからこそ構築できたものです。また、この関係性を長年続けてこられたのは、IBMでクライアント・ファーストの考え方が根強くあること、結果に対する責任、Win-Winの関係性(お客様とベンダーとの関係性ではなく、パートナーシップとしての関係がある)という点が大きいと考えています。このことを、「IBMの価値は人の価値」と表現してくださったお客様もいらっしゃいました。

この数年間でIBMは様々な変革を実現してきました。2019年Red Hat買収に始まり、2021年グローバル・テクノロジー・サービス事業(以下GTS事業部)の一部分社化等、この数年のトランスフォーメーションをどう捉えていますか?

IBMの歴史は変革の歴史と言われています。メインフレームなどのハードウェア・ビジネスからサービス・ビジネスへの転換、PC事業の売却などが代表的な変革事例として挙げられますが、それらの変革は、発表時点では疑問符を投げかけられた内容だったにも関わらず、結果としては変革の成功事例となりました。

この数年間のIBMの変革は、お客様だけではなく、社員にとっても大きなインパクトがありました。

そのインパクトの中には、チャレンジを要する内容も含まれていましたが、私はその変革を推進するリーダーである自覚を持ち、お客様に対して、我々の変革がもたらす価値を届ける活動を実施しています。

例えば、GTS事業部の一部分社化についてです。GTS事業部はこれまでIBM社内の別部門でしたが、別部門とはいえ同じ会社であるが故に、GTS事業部のサービスの品質や内容で高い評価を受けているお客様から、追加範囲としてIBMコンサルティング事業のサービスもご利用いただいているケースがありました。

しかし、分社化後は、別会社としてそれぞれの会社がそれぞれの領域で、お客様からの期待に応え続けていく必要があります。今はお互いが良い意味で牽制効果を働かせつつ、一体運営のパートナーとして、両社が分社化前よりも密にコミュニケーション取っていく関係性になりました。

私自身、キンドリル社(旧GTS事業部)の金融担当役員との会話の量や質は、分社化前よりもレベルが上がったと感じています。お互いが、それぞれの領域でお客様から選ばれる会社であり続けられるよう、これからも切磋琢磨していきたいと考えています。

変革を繰り返してきたIBMの、変わらないところを教えてください。

IBMの変わらない点は2つあります。

まず、クライアント・ファーストの考え方です。お客様に満足いただいているかどうかを前提に、常にアクションしていますので、お客様の声に合わせて真摯に動いていく姿勢が社員にあります。

また、より悪いフィードバックをいただいた時こそ、そのフィードバックをもとに徹底的にアクションを行う、というマインドや文化が根強くあるのも大きいと感じています。

2つ目は、人に対する投資です。研修などスキルアップの機会やキャリア育成への支援など、組織を支える人材に対してしっかり投資をしている会社だと感じます。ビジネス形態やそのポートフォリオは変わっても、対お客様との関係性や、そこで働くIBMerたるものを育てていくという姿勢は変わっていないのは、大きな強みでもあると思います。

今回のIBMの変革を受け、長年サポートさせていただいているお客様からの反応はいかがでしたか?

多くのお客様からは、GTS分社化後も分社化前同様に両社での一体運営を求められています。その点については、お客様に一体運営はもちろんのこと、さらに両社の価値を高めて、運営の質を上げていく努力をしていくことをお約束しています。一方で、お客様にはより多くの選択肢が得られる結果にもなっており、IBMがアプリケーション開発を担うシステムにおける基盤構築や運用を担うパートナーを、キンドリルを含む複数の選択肢を考えたいという声を受けることもあります。金融機関自身が共通プラットフォームやクラウド基盤を持たれているケースも多くなっているため、アプリケーション、基盤、運用といった個々の領域で、協業するベンダーを取捨選択していく動きが強くなっているのも背景です。

お客様のリクエストが変遷している中で、分社化した両社は今まで以上に多くの選択肢をお客様にお届けしています。結果として両社のパートナーシップの幅が広がり、ビジネスのチャンスも広がり、ご利用いただくお客様にも多くのメリットをご享受いただけると感じています。

金融業界向けのサービスですと、国内向けサービスの印象が強いと考えられている方もいるようですが、実際にはどうなのでしょうか?

全くそんなことはなく、日本の金融機関は積極的に海外でビジネス展開を進められています。海外の環境に応じた金融商品や金融サービスが必要となるケースも多く、その際には、その業務を支えるシステムが必要となります。

IBMはグローバルで多くの金融機関を支援している実績を保有することから、邦銀の海外システムにおいても構築や保守を支援しているケースが多いです。日本市場においても、昨今は業務システムに対してグローバル・スタンダードを適用するため、海外での利用実績の多い金融インダストリーのパッケージやアプリケーションを導入する金融機関も増えています。そのような際に、IBMの海外での実績や、グローバル・レベルで当社が抱える専門家やデリバリー組織を活用したプロジェクト体制を整備するケースがあります。例えば、市場系やリスク管理系の業務においてグローバル・パッケージを導入するプロジェクトが非常に多くなっており、これらプロジェクトをリードするパートナーには高い業務スキルやナレッジ、そして海外ベンダーやIBMのグローバル人材とのコミュニケーションをこなす言語スキルなどが求められます。

お客様と共に創る未来の金融業界を見据えて(下)に続く


インタビュー・執筆:小出 沙織
Global Executive Recruiting Lead, APAC & Japan
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