南波 秀和
日本アイ・ビー・エム株式会社
IBMコンサルティング事業本部
理事/パートナー
BPO事業責任者
2007年から15年以上にわたり一貫してBPO事業のリーダーシップ・ロールを歴任し、人事総務・経理財務・購買・CRM・営業バックオフィス・業界固有領域BPOにおける戦略&事業企画、セールス&マーケティング、デリバリー等の責任者として、新規プロジェクト提案から運用、既存プロジェクトの効率化・拡大推進、新規ビジネスモデル検討、合弁会社設立等を多数経験。
2022年11月、日本IBMは「次世代型ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)サービス」を発表しました。これは、最新テクノロジーを活用した自動化とデータに基づいた効率化によりバックオフィス業務部門と人材を高度化することで、全社的なデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進する基盤となるサービスです。本記事ではこの「次世代型BPOサービス」のデリバリー拠点である地域DX BPOセンターについて紹介します。
IBM地域DX BPOセンターを全国に拡大中
IBMのBPOサービスは、バックオフィス業務(人事・経理・間接材購買・総務)、サプライチェーン、マーケティング/セールスなどの幅広い業務領域を対象とし、お客様の要件に合わせたビジネスの成果と効果の最大化を目指して国内外のデリバリー・ロケーションから業務の効率化・高度化を推進してきました。
しかし近年、BPOサービスに対するご要望は多岐にわたります。労働力人口の減少と一人当たりの労働時間の縮小があいまって、限られた人材の有効活用が企業にとって喫緊の課題となり、従来通り定型業務の効率化を目的としたBPOサービスを求めるお客様が増加し続けている一方で、最新テクノロジーを活用した抜本的な業務プロセスの見直し、お客様の業務部門やシェアード・サービス・センターの高度化など、単なる定型業務の運用に留まらずお客様の間接部門そのものをエンド・ツー・エンドで変革する手段としてBPOを検討されるお客様も増えています。
このように変化するお客様からのご要望にお応えするために、IBMでは豊富な知見をもったコンサルタントがBPOの導入と併せてお客様業務部門の変革を推進するとともに、システム開発およびBPOにおけるDXを推進するための国内拠点として地域DXセンターを拡大しています。その中でも、那覇市の沖縄センターをBPO DX拠点に位置づけて強化しており、今後は更に北九州、札幌、仙台、中国地方等の他拠点からもBPOサービスをご提供できるように拡大を予定しています。
沖縄センターは、従来、判断が多く難易度の高い非定型業務のBPOサービスを担ってきましたが、BPOによる抜本的な改革を強化するために、「複雑な業務の簡素化・標準化」「高度なテクノロジーを活用した自動化」「業務・組織の高度化」をコンサルタント、テクノロジー・チーム、BPO運用チームがより迅速、密接に協業し、推進しています。
沖縄センターを活用した「次世代型BPOサービス」事例
IBM BPOサービスをご利用中の金融業界のお客様では、従来の紙と手作業文化によって逼迫していた社内リソースを確保するため、全社的な電子化による生産性向上を課題とされていました。そこで、IBMは、徹底的な業務のスリム化と効率化の早期実現を目指し、DX(電子化・自動化)とBPOの同時導入による改革の着手をお客様と進めました。
電子取引プラットフォームを構築して、購買帳票の電子化(紙媒体からの脱却)を実現すると同時に、沖縄センターへの業務移管を開始し、BPOの運用をしながらテクノロジーの活用による業務の自動化を行ないました。
この改革では、複数の施策を同時に導入するため、タスクが複雑になり、作業負荷の増大や関係者間の調整、各種導入ツールのチューニングが多く発生することが想定されました。
そのような状況下で、沖縄センターでは、お客様やIBM社内のコンサルタント、テクノロジー実装要員と密に連携を取り合いながら、業務運用者の目線で現場の課題や要望を共有し、改善事項を提案、実施することで、新運用の早期立ち上げに成功しました。
結果、このお客様の業務工数を約50%、コストを約25%削減することに成功し、更なる生産性向上に向けた改善活動を続けています。
IBM地域DX BPOセンターの組織文化の根底にある「改善マインド」
従来のBPOは現状のプロセス、システムを踏襲して業務移管を行い、安定稼働後に、業務効率化や自動化を実施します。それに対し、今回ご紹介した次世代型BPOサービスの事例では、BPOへの業務移管、電子化による業務標準化、RPAによる業務の自動化の3つの施策の同時導入により、難易度はさらに増しました。
IBM地域DX BPOセンターで、このような難易度の高いサービスを提供できるのはなぜでしょうか。
当センターでは、日本IBMグループのシェアード・サービス拠点として、複数の拠点、グループ会社にまたがる自社の間接業務を集約化・標準化・効率化する役割を担い、改善を継続してきました。これらの経験を通して得た経験・ノウハウ・人材こそが、難易度の高いBPOサービスの提供を可能としています。協業推進の姿勢や継続的な業務改善マインドは、文化として深く根ざしており、実際に当センターをご活用いただいたお客様からも高い評価を得ています。
「今まで自分たちが気づきもしなかった業務改善提案を継続的にしてくれていることにとても感謝している。これは、自分たちにはできないIBMの素晴らしい価値だと思う。」
「皆さんが、いかに仕事にやりがいをもち、モチベーション高く業務に臨んでいるかが会話しているだけで十分に伝わってきた。安心して業務を任せられると思った。」
「常に自分たちの業務に改善する余地がないかを考えているその姿勢にとても感銘を受けた。これまで見学した他社には見られなかった。」
日本IBMは、お客様の変革を支援するため、各地に地域DX BPOセンターを拡大し、BPOサービス事業のパイオニアとしての経験・ノウハウ・人材を活かした次世代型BPOサービスを全国から提供いたします。
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