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IBMのコラボレーション・ツールの変化 – 体験中心とAPIとAI

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最近、IBM社内のオンライン・コラボレーションツールやその状況についてあまりブログには書いていませんでした。

そのせいもあってか、近ごろはいろいろな方にいろいろな場所で「パチさん、最近IBMではどんなツールでどんなコラボレーションを推進しているんですか?」と聞かれることが増えてきました。

今回は、ここ1年ほどのIBMのコラボレーション・ツールの動向をご紹介します。

 

■ ツール中心から体験中心へ

「社内でオンライン・コラボレーションと言えば、すなわちそれはConnections」という感じで自社製品のIBM Connectionsばかりが使われていたのがここ数年のIBMでした。

それが1年前の春、大きく変化しました。
それは一言で言えば「ツール中心から体験中心へ」の変化でした。

 

 

IBMではそれまで多くの業務がツールに合わせられていました。
コラボレーション・ツールも同様で、ツールが提供する機能に社員が仕事の進め方ややり方を合わせていたのです。

「IBM社内では自社製品だけが使われるべき」「社員は仕事の進め方を製品やシステムに合わせるべき」という、「会社都合」の考え方がまかり通っていたという言い方もできます。

これは、業務やコラボレーションのスタイルが一様である際には合理的ですし、答えや求めている結果が分かっているような状況においては社員にとっても楽だし分かりやすいものだとも言えます。

でも、複雑さを増す環境のもと、そうした分かりやすい状況で行われる仕事はどんどん減っています。

そしてIBMは、複雑さを増す環境に適応するために、組織のあり方や仕事の進め方をここ数年で大きく変化させました。「デザイン思考」を実践して創造的かつ柔軟性の高い「アジャイル文化」を根幹とした企業への変化を急速に進めています。

なぜなら、それこそが不確実性に溢れた環境に見合う企業の姿だと考えているからです。

参考: IBMがデザイナーを1000人雇い、デザイン思考を推める理由

 

そしてそんな環境下では、従来の「そこにあるものに自分たちを嵌め込む」やり方はふさわしくありません。

「会社都合」という枠組みが、社員個人、チーム、組織に大きな制約となってのしかかってしまいます。

ですから、よりイノベーティブな結果を生みだすために、個人、チーム、組織がそれぞれの目的や都合に合わせて業務やコラボレーションに使用するツールを選べるようにと、「ツール中心から体験中心へ」と変化したのです。

 

■ 自前主義からツール群との共存へ

この変化は、現象として見れば「完全自前主義のクローズな世界」から「世界でスタンダードとなっているツール群との共存」への変化でもあります。

言い方を変えると、ある意味で競合とも呼べる製品 — 例えばBox、WebEx、Slack、MURAL、GitHubなど — を大胆に社内に取り入れたということです。

 

その度合いは異なりますが、多くの製品がIBM Connectionsとの連携を視野に社内に取り入れられています。

例えばファイル共通ツールの世界的スタンダードになりつつあるBoxの場合、Connectionsのメール機能であるIBM Verseとインテグレートされ、メール作成画面内にBoxが組み込まれていて簡単にBoxに置かれたファイルやフォルダーへのリンクを記載できます。

同じように、世界的にポピュラーなオンライン・ミーティングツールのZoomやWebExも、Verseのカレンダー画面からワンクリックで画面共有できようになっています。

 

こうした取り入れ方は、前述した自分たちの業務の進め方やアジャイル文化の実現にも役立つものですが、それと同時に、自分たちの周囲の環境・状況を学ぶ機会でもあります。

自分たちのお客さまが使用しているツールと同じものを使うことで、お客さまとのコラボレーションがスムーズになります。そこから生みだす価値をお客さまに提案するチャンスも広がります。

また、世界で多くの顧客を持つ他社製品を自分たちの業務に組み込んで使用することで、自社製品の強い部分と他社製品を連携させたイノベーティブな使い方や、新たなコラボレーションのアイデアを広げることができます。

 

自社製品に固執しているだけでは学ぶ機会は狭まります。コラボレーションはダイナミックさを失い、イノベーションは小規模となります。

コラボレーションできる相手は多ければ多いほどいいし、範囲は広ければ広いほどいいし、分野は遠ければ遠いほどいいのです。

 

 

■ APIとAI(コグニティブ)へ

「全社的に見れば、ツールが分散すればそれだけデータも分散するしコミュニケーション・パスも分散して非効率になってしまいませんか?」 — 社内外のディスカッションで、毎回のようにいただくコメントです。

おっしゃる通り、現状では分散のデメリットが発生しています。プロジェクトをどのツールで進めるか、データはどこに配置するのか。これらは各チームや組織が自分たちで候補の中から検討し決定する必要があるので、そこに時間やワークロードもかかります。

 

ようするに、一番簡単なのは「会社都合で決められたものをそのまま使う」ことです。

ただ、それでは私たちが目指している「アジャイルな企業」へはたどり着けないのです。

 

お仕着せのツールで仕事を進めることがもたらすメリットとデメリット。
クリエイティブでアジャイルな仕事の進め方がもたらすメリットとデメリット。

— 難しい問題ですよね。ただ、私たちにはAPI(アプリケーションプログラムインターフェイス)という技術を全面的に取り入れたSystem of Engagement(繋がりに動的に対応し続けるシステム)があり、さらにその先には、AIを最大限に活用するSystem of Insight(洞察を生みだすシステム)が待っています。

データは分散しても、それらすべてを組み合わせ、そこから人間をサポートする洞察を見つけ出すシステムはそう遠くありません。

 
とは言え、この話はまだ実際に語れるほど私自身も完全に理解しているわけではありませんし、時期などもコメントできるものではありませんので、いつかまた、時期を見てブログに書きたいと思います。

Happy Collaboration!

 

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