働きかた

読書メモ的なにか『詩羽のいる街』

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お金という手段と手を切り、それに一切頼らずに生きていく人の話を読みました。

人と人、そしてその周囲にあるモノやコトをつなげていき、それに対する金銭以外のお礼で暮らしを成り立たせていく詩羽(しいはと読みます)という名の女性の物語です。

 

お金の他に、住所も持たず生きていく詩羽。

ただその代わり、周囲の人々とのつながりはたくさん持っています。

そして、人の心や周囲の景色を変えていく不思議な――とはいえ魔法や超能力ではない――触媒の能力を最大限に発揮し、周りの人たちをも本当の意味で生かす詩羽・・・。

 

そう、もちろんフィクションです。

でも、ただナマヌルく人間バンザイな夢物語という本ではありませんでした。

「貨幣経済と評価経済」とか、「交換と所有と共有」とか、そんなテーマに興味を持っている方はきっと楽しく読めるのではないかと思います。

 

ストーリーを細かく紹介することはしませんが、本の紹介がてら私の感想を書きたいと思います。


 

■ 詩羽は、ある意味ペテン師だ

「法律は絶対に必要だけど、手段に過ぎない。その目的は人間が安全かつ幸福に生きられることなのだから、より合理的に問題を解決できる手段があるときは法律を無視する」
――詩羽はそう言い切ります。

目的と手段のこの話しは、そのまま法律をお金に換えても成り立つものだと思います。

 

■ 詩羽は、世界にはお金が必要なことを百も承知している。

「お金はね、あると確かに便利。でも、不便なことも多い。」
――そう言う詩羽も、今はお金を一切持たず受け取らない生活をしているものの、それが誰にでもできるものではないことや、自分自身も今後ずっとそれを続けられないであろうことは自覚しています。

「お金が不要の世界」と「お金がなくてもいい世界」は同じではないし、お金自体はただの道具なのだから、良いも悪いもあるはずありません。

 

■ 詩羽は、愛じゃ世界は回らないことを知ってる。

愛は単なる衝動であり、動機であり、願望であるに過ぎないことを詩羽は知っています。
そしてたった一人の人間が影響を及ぼせる範囲がちっぽけなことも重々承知しています。

その上で、実際にどうすれば愛や善意が「世の中の中心」に近づくことができるのか、自分の武器が届く範囲とそれを広げていく方法を考えます。
それを踏まえた上で自分の戦場で戦う姿は、胸を打ちます。

悲観的なことばかり見ていれば悲観的になるのは当たり前です。過去ばかりを気にしていれば過去に引きづられるのも当たり前です。

大切なのは、現在と未来。

 


詩羽のいる街』を読み終えた後、phaさんの『ニートの歩き方』(の特に後半)をもう一度読み直しました。

今、私の周りにはお金に頼らない生活について、いろいろと考えたり研究したりしている人が結構います。

そして、ギークハウスと呼ばれるシェアハウスで生活したり、年収150万の生活に備え生活費の安い田舎へ引っ越したりと、実際に「お金に頼りすぎない生活」にシフトしている人たちも増えてきている気がします(これまで意識しておらず、気がつかずにいただけかもしれないけど)。

 

そんな研究家や実践家のみんなにも、この本の感想を聞いてみたいな。

そして、詩羽の物語を紹介してくれたループス・コミュニケーションズの伊藤 友里さん、ありがとうございました!
(ひょっとして詩羽のモデルは友里さんなんじゃないか? と私、実は疑っております)。

Happy Collaboration!

 

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