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「生き心地の良い町」と「活き心地の良いコミュニティー」 岡檀さんのお話@みらい館大明

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「自殺とは…」なんて書き出しで何かを語るほど、きちんと自殺に向き合ったことも想いを巡らしたことも私はありません(幸運に感謝するばかりです)。

でも、本当に大きなテーマで、そこに真摯に向き合っている人たちがたくさんいるからこそ、そこから生みだされる知見には、とても本質的でさまざまな分野に活かせるものが多いんじゃないかと思っています。

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ここ2週間ほど、夢中になって繰り返し読んだ本があります。

生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由(わけ)がある

徳島県の太平洋沿いの小さな町「海部町」は、日本有数の自殺率の低い町(ここ以外で自殺率の低い町のほとんどは「島」で、考察や発見の一般適用化が難しそう(と考えられる)なところばかり)。

その地で、2008年から4年間にわたってフィールドワークを行い続けてきた岡檀(おか まゆみ)さんの書かれた本です。

その岡さんの話を直接聞けるイベントを、仲間が企画してくれていたので飛びついてきました(広瀬さん、ステキな企画をありがとう!)。

「生き心地の良いまち」 ~豊島区で育む若者支援のカタチを探る~

 

本の衝撃的なおもしろさがさらに深まり、立体的な理解につながるステキなイベントでした。

例えば、「自殺」というものを「コミュニティー・メンバーのネガティブな心理状態の最終形」として捉えることで、それに対する有効なアプローチや未然に防ぐアイデアなどにつながりますよね。

そんな風に、「自殺」や「町」というタイトルにあるキーワードに縛られることなく、さまざまなタイプのコミュニティーを理解するための考察や発見、そして自分が関係しているコミュニティーで実践できるアイデアが得られる超オススメの、ぜひ多くの人に手にとって欲しい一冊です。です。

『生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由(わけ)がある』の素晴らしさはすでにいろいろなところに書かれていて、私が加えられることはあまりもう残っていないのですが、とりわけ私が共感した記事を2つ紹介させてもらいます。

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上記の記事でも紹介されていますが、「赤い羽根募金が集まらない」という話は、昨日のイベントでもお話いただきました。

本から一部引用させてもらうと、こんな風に書かれています。

隣接する他の町村では、赤い羽根の募金箱を回すだけで住民たちがおとなしく、みんながほぼ同額の募金を入れてつぎへと送ってくれる。しかし海部町では、そうすんなりといかない。まず「だいたいが赤い羽根て、どこへ行て何に使われとんじぇ」と問い詰められ(…)

すでに多くの人が募金をしましたよと言ってみたところで、「あん人らはあん人。いくらでも好きに募金すりゃええが。わしは嫌や」とはねつけられる。

しかし、たんなるケチやわからず屋とも違う。「わしはこないだの、だんじり(祭りに引く山車)の修繕には大枚はたいたけどな。ほないわけのわからんもん(赤い羽根募金)には、百円でも出しとうないんや」

もう一つ、「病は市(いち)に出せ」という古くから町に伝わる格言についても引用します。

「病、市に出せと、昔から言うてな。やせ我慢はええことがひとつもない」。彼の母親の口癖でもあったという。「たとえば散在したかて、最初のうちはなんとなかなるやろと思って、黙っとりますわな。しかし、どんどん膨れ上がってくる。誰かが気付いたときには法外なことになっていて、助けてやりとうてもどないもできん、ということになりかねん。本人もつらいし、周囲も迷惑する」>

(…)似たような言葉をきいたことがありますかという私の質問に対し、ある四十代の女性が、「でけんことはでけんと、早う言いなさい。はたに迷惑かかるから」と、子どものころから親や教師によく言われたと教えてくれた。

 

ところで、昨日のイベントでとても強く感じたことで、どうしても書いておきたいことがあります。

わずか一冊の著書を読んだだけだし、わずか数時間をご一緒させてもらっただけですが、私は、岡さんを「実は強い反骨心を持った人なんじゃないか」と睨んでいます。

岡さんのその柔和な語り口と優しい表情、そして本の中にときどき覗かせるどこかおっとりした、いくらかユーモラスな雰囲気とは真逆の言葉が「反骨心」だと思うのですが、でも岡さんの行動の背景には、世の中で「そういうものだ」とされていることへの疑いと、その実態を剥き出しにしたいという情熱がある気がしてならないのです。

「むき出しの反骨心」ではなく「好奇心にすっぽりと包まれた反骨心」とでも言えばいいのかな…。今度お会いする機会が持てたら、ぜひご本人に直接聞いてみたいです。

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最後に、私がそれを感じた2つの言葉を紹介して終わりにしようと思います。

1つは、本の根幹にも関わる重要な部分として書かれているもの、もう1つは講演後に少人数での会話の場で、岡さんが私の質問に答えてくれたものです。

(なお、質問への答えは正確に覚えているわけではなく、書きだした言葉は私の記憶の中で整理されたものに変更されています。)

 

絆が大切、絆が重要というが逆に絆が強すぎたり、使われ方が違っていたりすると、むしろそれが助けを求めづらくしてしまうのではないでしょうか?

自殺希少地域にも多発地域にも同じように「絆」や「つながり」があるのだとすれば、それらは必ずしも自殺を抑制する要素として機能していない、という理屈になる。私は、人々が「絆」「つながり」と読んでいるものの本質やそれに対する人々の意識に、地域によって差異があるのではないかと考え始めた。

 

(…)2つの地域の住民は同じように「絆」や「助け合い」という言葉を口にしていたが、その本質には大きな差異があったのである。

 

(…)人との絆が自殺対策における重要な鍵であるとする主張自体は、まったく間違っていない。私自身もまた、かつてはこの通説をよく引用していた。ただし今振り返って思うのは、その言葉を引用するだけであたかも何かを伝えた気になって安心してしまい、思考停止していなかったかということである。

 

 

SNSの「ゆるやかなつながり」は現実社会のそれとは異なる面、ケースも強いのでは?

SNSでたくさんの人とつながっていること自体が問題だというわけではもちろんない。SNSはとても便利な道具だし、有用な面はたくさんある。

 

(…)そうではなくて、それを利用する人の中には、大人数とつながっていることそれ自体を「自分は多様性を確保している」「日頃から広くさまざまな意見を耳にしている」と拡大解釈してしまっている人たちも少なくないのではないか。

 

(…)SNSというものが、つながる相手を自らが選び、ときに自分と合わない声や意見をミュートしたり消したりと調整できるものだということを考えれば、本質的には多様性を高めるというよりは、均一性を高めやすいものだということを自覚したほうが良いと思う。

 

しつこいようですが、コミュニティーに向き合っているあらゆる人に、強くおすすめの一冊です。

岡さん、どうもありがとうございました!

Happy Collaboration!

 

コラボレーション・エナジャイザー

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