イベント

(深夜料金)デンマークデザインセンターのChristianさんが話したこと

記事をシェアする:

 

先日、産総研デザインスクールさんのシンポジウムに参加し、Danish Design Centre(DDC)のCEO、クリスチャン・ベイソンさんの話を聞いてきました。

クリスチャンさんの基調講演と、その後のパネル・ディスカッションでの彼の発言がおれにはとてもおもしろくてメモを取っていたのですが、その後、それを元に別のデンマーク人の友だちとのディスカッションをメモしていたら、どこまでがクリスチャンさんが話していた部分だったか、別の友人が話していた部分だったかがはっきりと分けられなくなってしまいました…。

とはいえ、まったくの見当違いな話にはなっていないので、このブログでは「クリスチャンさんの話を元に2割くらいパチが付け足したもの」と受け止めていただくということで、いくつかを紹介させてもらいます。

 

■ デンマークの企業や組織の透明性

公的な資金が投入される団体は、透明でなければならない。つまり、資金の出どころである市民に対して、説明できる状態である必要がある。そして、社会に貢献しようという企業や組織であれば、それは受け入れるべき条件だ。

 

信頼って、「関わり」におけるさまざまなことのスタート地点だと思うんです。人や組織に対して信頼がないと、それを補完するためのルールやら制度が必要になり、でもそれがきちんと守られるか信用できないのでそのルールやら制度をさらに補完するものが必要になって、またさらに…みたいな。

で、じゃあ何を持って信頼を築いていくかっていうと、態度や行動だと思うんだけど、態度や行動をちゃんと知ってもらうためには自分(たち)に注意・注目し続けてもらう必要がある。だってちょっとの間だけ見て「あの人(たち)は信頼できる」って、人はなかなかならないでしょう?

というわけで、「今からずっとわたし(たち)のことを見続けてくださいね」ってリクエストが受け入れられることはほとんどないので、そうではなくて、興味を持って注意・注目をしてもらえたときに、これまでやってきたことや現在手がけていることが見て取れる状態になっている方が良いわけです。それなのに、何をやっているか見ようとしても見えないようにしていたり、分からないように誤魔化している人や組織が「信頼してください」なんてちゃんちゃらおかしい。

「関わり」+「透明性」=「信頼」。

 

■ デンマークの社会課題

デンマークが社会課題のないウェルビーイングな国だなんてことを言う気は毛頭ない。実際、昨年の総選挙により生まれた新内閣発足時に、新首相は所信表明演説で30分以上かけ、問題のある家庭の子どもたちへの対応について語っていた。

 

これは、他のピックアップした言葉とは少し毛色が違うもので、デンマークがなにもかもうまくいってるおとぎの国じゃない(当たり前だけど)ということを、改めて伝えておこうというのがまず一点。

そしてもう一つ、ここ数年、移民政策とそれにまつわる社会制度問題がデンマーク国政の一番の論点だったのが、明らかに変わったらしいです。長年デンマークに暮らしている複数の友人たちが口々にそのことを語っていて、「子どもたちにどうやって持続可能な社会を残すか」に対する考えとアプローチが最も政策で重視されるようになったそうです。

 

■ シリコンバレータイプの組織・イノベーションからの脱却

「シリコンバレータイプの組織・イノベーション」という括り方が乱暴なのは承知だが、ここでは分かりやすくそうさせてもらう。早い者勝ちや数や力の理論、「ウィナー・テイク・オール」や非倫理的なイノベーションからは、もう脱却すべきタイミングに来ているのではないか。それがもたらす社会がどんなものか、私たちはもう十分理解しているはず。

 

意見が別れそうですが、私もシリコンバレーと北欧というのは分かりやすい対比だと思っていて、ときどき似たような表現を使わせてもらっています。そしてクリスチャンさんと同じく、「極端な競争ありき」「行き過ぎた資本主義の見本」のような世界観で突き進む社会は、早晩クラッシュするだろうと思っています。

心配なのは、クラッシュが不可逆で回復不可なものになってしまうかもな…という点で、そのときに苦しむのは、すでに貧しさに喘いでいる人やごく普通の市民で、さまざまな人権がないがしろにされる社会に突き進んでしまうのかなってこと。勝ち組だの自己責任だのって言葉で終わらせる「諦め社会」を選ぶのか、それともそれに抗うのか。選択の問題じゃないかな。

 

■ ビジネスを通じて私たちは何をデザインしているのか

ビジネスやプロダクトであっても、社会や政策であっても、それを通じてわれわれは何をデザインしているのかを意識すべきだ。長期的視点から持続可能性とエコシステムを捉えるべきで、だからデンマークはUberにNoを告げたのだ。

 

日本で育てられたおれのような人は、習慣や慣れを覆すようなイノベーティブなものが出てきたとき、それを受け入れ育てていくことがあまり得意ではない気がします。やたらと懐古主義的になったり、急に都合よく伝統を持ち出したり…。

一方でまた、日本で育てられたおれのような人は、目先の便利さや豊かさを与えてくれるものにすぐ飛びついてしまい、それが何を失うことになるのかに目をやることもあまり得意ではない気がします…。要するに、長期的視点や展望をあまり持ち合わせていないってことなのかも? 「まずは小さく試してみる」ってアプローチが足りないってことかな。

デンマークは、しばらくのテスト期間後に、自国文化と制度を守るためにUberを禁止しています。

 

■ デジタルとグリーンによる差別化

 デンマークも日本と同様に国内企業の95%が中小企業で、多くがドイツの大手の下請けをやっている製造業。ただ、そこで独自価値や差別化のために用いられているのが「デジタル」と「持続可能性/グリーンエコノミー」という視点で、デンマークにおける経団連的な組織が運営している「Danish Industry Foundation」という慈善団体が積極的に中小企業経営者のメンタル・リープ(大きな精神的飛躍)を後押ししている。

 

地勢的な難しさや独自性を抱えていない国って、おそらく世界のどこにもないんじゃないかな? そんな中で「何を強みにできるのか」の前に、「何を強みにしたいのか」から考えたら方が、みんな側納得して進められるんじゃないでしょうか?

よく言うじゃないですか。成果を生みだすのは、その気になれない正しい答えではなく、やる気にさせてくれる間違えている方の答えだって。

 

■ 足すのはデザイン。足りないのは実験と楽しむこととロングターム

 日本にはたくさんの独自の強みがあるので、何かを大きく変化させるのではなくそこに広義のデザインを加えていくことが重要。不足しているのは、実験をもっと効果的かつ実践的に行う能力であり、その能力を伸ばすには、楽しみながら人びととコラボレーションすることと、マニフェストやミッションを立てて長期的に取り組む姿勢を身につけること。

 

付け加えたいことないや。

小さくいろいろ大胆に楽しみながら Design +

 

単にクリスチャンさんの名をお借りして自分が言いたいことを言ってるだけの気もしますが…。

まあ、たまにはそんなのもいいよね。

Happy Collaboration!

 

コラボレーション・エナジャイザー

More イベント stories
2020-06-08

リフキンのQ&Aとセミナー資料 | 消費者主義から持続可能性へ

  あちこちで「いやすごいから! 観てないなら早く観て!!」とブログ「ジェレミー・リフキンの第3次産 […]

さらに読む

2019-06-30

Amazonにて発売中です『フューチャーデザイナー・ブック – 未来を創る方法論と実践方法 -』

  少々前なのですが、コペンハーゲンの戦略デザインファームBespoke社の本『Book of Fu […]

さらに読む

2019-05-18

『住宅幸福論』に見る、家と街と一緒に幸せをつくる方法

  先日、LIFULL HOME’S総研の「住宅幸福論 Episode.2 幸福の国の住まい方 ー日 […]

さらに読む