フューチャーデザイン

Bespokeインタビュー3 | 実験し、迷子になる

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Bespokeのファウンダーのニックとルネへのインタビュー第3弾です。

「BespokeがBespokeとなっていく過程」を北欧のクリエイティブ専門ウェブマガジンのN WINDに語ったものを日本語訳しました。

すべての好ましい未来を作りだそうというフューチャーデザイナーにお届けします。

 

 

■ 実験し、迷子になる

多くのビジネスが「確実な道」を求めるところで、彼らは「未知の道」を選んだ。そしてBespokeの実験(実際のところ、相当数の実験が行われた)は報われた。

ルネはこう言った「カオスパイロットの最終年では、誰もがビジネス系のプロジェクトを始めるんだ、でっかいプロジェクトを1つ選んでね。でも僕とニックは”そんなの知るか!”って(笑)。僕たちには視点や見解を得るためにいろんな実験が必要だったんだ、何かを手にするにはさまざまなものを外に出してみる必要があったんだ。僕たち自身が、ビジネスに何を求めているかをはっきりと理解していなかったんだよ」。

「でもそれが”ビジネス”だとは分かっていた」ニックが続けた。そして彼らは1年を通じ、可能な限り多くのプロジェクトを生みそれぞれのフェーズに名前を付けながら、多くの体験に身を投じた。私はこのデュオがその頃大切にしていたという「1フラン」コンセプトに心を惹かれた。

「僕たちは1フランを貰えれば — 実際には1フランも貰えなくても — プロジェクトを受けていたよ。自分たちが興味を持っていることに飛び込みたかったし、そこで経験を積みたかったんだ。」話の途中で、ニックは立ち上がるとカオスパイロット最終年の彼らのレポート『スタジオにて』を探して持ってきた。そのオープニングには「本物の知の手法とは実験である」と書かれていた。

 

ギードレ: どのポイントで未来洞察のビジネスを選んだんですか? それとも未来洞察があなたたちを選んだのかしら?

ニック: 僕らのメンターであり友人でもあるマシュー・リンセズとの出会いだね。彼はカオスパイロットで、デザイン・リサーチと未来洞察の入門セミナーを開いていたんだ。「抽象的過ぎる」と参加していた生徒の半分は途中でいなくなってしまったんだけど、僕らはすっかり気に入って、未来洞察と彼の虜になったよ。

マシューはグラフィティ・アーティストでスケーターで、教授みたいな話し方をするんだ。世界的に有名なブランドと仕事をしていたけど、浮ついたところがまったくない人で。それで2014年に、僕らはコラボレーションして『クリエイティブ・リサーチ・クックブック』という未来洞察セミナーのための本を作ったんだ。(ニックは本を取りに走って戻ってくると)これだよ。これがBespokeの『フューチャーデザイナー・ブック』の最初のバージョンなんだ。

僕らは未来を予想することには興味がなかったんだけど、起こり得る何かが意味するものを感じ取ろうというアイデアに惹かれたんだ。人間がより良いアイデアを思いつくためには、新しいインプットが必要なんだ。創造性の発揮には点と点をつなげていくことが必要だけれど、それにはそもそも点が必要だよね。未来洞察ではさまざまなたくさんの点が助けとなるんだけど、点が伝えているのは今起きている何かだけじゃなくて、未来にどんな影響を与え得るかということなんだ。

その見方ができなければ、単なるフォロワーに過ぎない。ここ数年、僕らはますますフューチャー「ズ」・デザインと複数形で呼んでいるんだけど、それは単なる予測にまつわるものじゃないことを伝えるためなんだ。それらはデザイン要素であり、点はデザインに取り込まれることで意味をなすんだ。

 

ギードレ: 未来洞察をどう自分たちの中に位置付けたんですか? どうやってそれをビジネスにしていったの?

ルネ: まず最初に、僕たちは”OK、じゃあどんなビジネスモデルが考えられそうかな?”なんてことはせずに、機会を探したんだ。「やあ、ここじゃ今どんなエキサイティングなことが起こっているんだい?」って調子で、ありとあらゆる場所やイベントへと足を運んだよ。

ニック: 何を頼まれても「了解」って答えてたよ。ビジネス的な理由づけなんかより前に、まずは信頼関係を築いていったんだ。それがどう始まってどう進んで行くのかを観察していた。それこそ本物の好奇心から生まれていたんだ。僕らは人間が大好きだからね。

ルネ: それに、僕らには自分たちの次のプロジェクトを作って売っていくという戦略があったんだ。僕らは探検がしたいし、もっと良くなりたいし、面白いことをしたい。そのためには自分たちを進化させていく必要があるんだ。特定のビジネスモデルでやっていたら難しいかもしれない、でも僕らは超長期的な視点でビジネスを捉えるからね(笑)。だって僕らは未知をデザインしているんだからね。プロジェクトの終わり方がどうなるかは、プロジェクトの中身次第なんだよ。僕らの名前はBespokeだよ、その名の通り、あらゆるプロジェクトは特注品なんだ(bespokeは「あつらえの」「オーダーメイドの」などの意味を持つ単語)。

 

ギードレ: どんなプロジェクトも真っ白なページからスタートさせるのがBespoke流、そう言ってもいいのかしら?

ニック: うん、そうだね。ほとんどの僕たちのプロジェクトには、”自分たちが何をやっているのか分かっていない”という要素がいくらかはあるね。でも僕たちには、不確かさの中を導く明確な構造があるからね。

ルネ: 準備し過ぎの構造不足、かな。僕らのバックパックにはいろんなものがたっぷり詰まっているからね。でも実際、僕らは道に迷うべきなんだよ。だってそうじゃなきゃ、十分に探索していないってことなんだから。

それに僕たちはアーティストたちのスピリットが好きなんだ。良いアーティストが良いリサーチャーだってことは間違いないだろ、それに好奇心たっぷりの実験者だってことも。でも、実験するには、そしてまだ存在していないモノについて取り組むには、何かしっかり掴まるものが必要なんだ。メソドロジーはその助けととなるものなんだよ。

 


 

第4回へと続きます。残り2回です。

Happy Collaboration!

コラボレーション・エナジャイザー

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