フューチャーデザイン

Bespokeインタビュー2 | 不確かさを超えて進んでいくための構造

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北欧のクリエイティブ専門ウェブマガジンのN WINDに掲載されている、Bespokeのファウンダーのニックとルネへのインタビュー第2弾です)。

先日の第1弾はイントロダクション的でしたが、今回はじっくりと2人の言葉を、すべての好ましい未来を作りだそうというフューチャーデザイナーにお届けします。

 

 

■ 僕らには、不確かさを超えて進んでいくための構造があるのさ(ニック)

Bespokeとのコラボレーション、あるいは契約のために接触を試みた私はまず、彼らの『フューチャーデザイナー・ブック』を入手した。そして今、2人とのインタビューを終えた私は、2人との会話そのものからこのインタビューの主題を設定しようとしている。このやり方こそが、人間の共同体に本当に必要なより良い未来を創るためのより本質的な方法なのだ。私には一切の疑いがない。

私が彼ら2人と最初にあった場所は、Bespokeスタジオの外だった。ルネとニックは、引っ越し予定の4階建ての新たな彼らの遊び場を見てきたところだという。ムードは上々だ。少し観察すれば、この2人が本物のデュオだと誰でもすぐに分かるだろう。2人は部屋を居心地よくし、お互いの意見を交換し続け、タブーなしでふざけ合う。彼らが自分たちの友情を愛し、ビジネスパートナーとして全幅の信頼を寄せているのは間違いない。

写真を撮ろうと言えば手をつないで自転車に乗る、かと思えばソーシャルメディアで彼らをフォローしているファンやクライアントを喜ばせようと、イケメン2人組みよろしく振る舞う。ニックは世界中を走るマラソンランナーで、ソフトな口調で話す。ルネは冗談が好きで、その語り口からはダイナミズムが漂う。

2人はビジネス用のペルソナを被ることなく、普段通りの自分たちのままに振る舞い自分たちの言葉で話す。それは彼らの確固とした選択なのだ。

 

ギードレ(インタビュアー): 昨夜お二人の話(1度目のインタビューの録音)を聞かせていただきました。

ルネ: 僕たちのラジオショーだね。ありがとう。いやー、誰一人聞いていないんだと思ってたよ。君はただ一人のリスナーだよ(笑)!

 

ギードレ: だからあんなにプライベート感満載だったんですね! ではまず、お二人のこれまでの旅路というか、出会ってBespokeをスタートするまでを教えてもらえますか?

ルネ: 僕は1998年に、子どもラッパーの大会に出て一世を風靡したんだ。大会では5位だったんだけど、チボリ公園で何十万人もの前でパフォーマンスしたこともあるんだ。その頃は子ども向けのラジオ番組もやっていて、レポーターもやっていたんだ。両親の家の留守番電話のメッセージをラップでやったりもしていた。

ラジオ番組の中で、汚い言葉を使わずラップをすることは可能か? というディスカッションがあったんだ…まあ僕はいまでも汚い言葉は使わないようにしているんだけどね。それで、僕は父さんが家のものを修理することをラップにしたんだ。

父さんいつも修理したがる だけどあんまり得意じゃない♪ だから父さん修理した物 いつも修理に出してるYO♪
— みたいなね、まあジョークだよ。そしたらその曲がラジオでも大会でもウケにウケて、優勝したわけでもないのにレコードになったんだ! 数カ月にわたってラジオで流れていたよ。それが僕が14歳の時で、僕の人生の絶頂期だね。それ以来ずーっと僕は下り坂を転がり落ちていて、今じゃこのザマさ(笑)。

冗談はさておき、僕はグラフィックデザインを学び、デジタル広告業界で10年近く働いていたんだ。最初はオンラインのエクスペリエンス・デザイナーとして、それからもっと戦略寄りのクリエイティブ・ディレクターになった。ただ、自分が歩んでいる道の先に見えるものに、よくわからないけれど何かが足りていない気がしていたんだ。そしてカオスパイロットで過ごした3年間が、それに対する答えだったんだ。

ニック: ルネは本当に人との関係性構築力がすごくて、誰をも楽しませるんだ。ルネと一緒にいるとすごく刺激を受けるよ。Bespokeの強力なバイブは、ルネのアウトゴーイングな人間性によるところが本当に大きいね。

 

ギードレ: ニック、あなたのストーリーは?

ニック: 僕のストーリー? ねえルネ、僕のストーリーをしゃべってよ。実は僕ら、前にチームでそういうゲームをやったことがあるんだ。

ルネ: やあ、おいらニック。チリからやってきたんだ。おいらビスケットが大好き! ってあれ、ビスケット好きだったっけかな? そうに違いないだっていつも全部食べちゃうもんな(笑)。

ニック: その通り。僕はチリ出身なんだ。小さな子どものころからアートや工作に夢中で、ストリートアートをやっていた時期もあった(そう、まあ違法な落書きとかね)。そこでいろいろ学んだんだ。その頃、僕がとても尊敬していたすばらしいストリートアーティストがいて…いや、今もその人はすばらしいんだけどね。あるとき、僕は彼が建築家だってことに気がついた。それで僕も建築とファイン・アートを学ぶことにしたんだ。だって、この学びの組み合わせはたくさんことにつながりそうだったし、歴史と政治という僕がとても得意だった分野とアートを結びつけるものだったからね(その頃、僕は法学に進むつもりだったんだ)。

たくさんの人たちが「建築を身につければ、そのあとは何にでもなれる」と言っていたよ。そしてたしかにその通りだったね! 建築を学んでいる途中に、とあることから男性ファッションブランドで働くことになったんだ。最初は売り子として、そしてやがてメイン・クリエイティブディレクターになった。ファッションについては正式に学んだ経験はゼロなのに、僕のことをすごく信頼してくれたんだ。

考えてみると、クリエイティブなプロセスにおいてファッションは建築にとても似ていたんだ、材料が違うだけだよ。僕は勉強を中断して、この機会を生かすことにした。その頃の僕は、ずいぶんとたくさんのお金を稼いでいて、周りの友だちが細々と暮らしている中でずいぶんと贅沢な暮らしをしていたよ。でもあるとき、ここは僕が成長できる場所じゃないと気がついたんだ。そして同じ頃、再び建築の学びをスタートすることに対しても、心の奥底で何かが違うと感じていることに気づいていたんだ。建築という分野は変わらず愛していたよ、でも、実務経験に対してはそう思えなかった。

ちょうどそんなとき、僕は妻と出会った。彼女はデンマーク人だった。僕らはバケーションでデンマークへ向かうこととなり、彼女は修士課程を終えようとしていた。それでオーフスに行くことになって、僕はそこでカオスパイロットを紹介され、結局ビジネスデザインとクリエイティブ・リーダーシップをそこで学ぶことになったんだ。

 

ギードレ: 2人とも、ビジネスを初めて学んだのはカオスパイロットだったの?

ニック: そうだね。それで僕は、学校のバイブとエネルギー、そして人びとの暖かさに惚れ込んでしまった。それに、カオスパイロットで耳にするプロジェクトの話は本当に魅力的だったよ。そこでできることは1つじゃないんだ、カオスではなんだってできるんだよ。

ルネ: そうなんだ! ある生徒は、チベット代表とデンマーク代表チームのサッカーの試合を企画していた。中国に対する政治的メッセージだよ。

ニック: カオスパイロットの一番最初のプロジェクトは、80年代の終わりころに若者たちによって開催されたモスクワでの音楽フェスティバルだったんだ。プロジェクトの多くは、文化やリーダーシップ、そしてビジネスに橋を架けるものだったよ。そこで僕はルネに出会ったんだ。僕たちは友だちになって、その後ほとんどのプロジェクトを共に手がけることになった。そしてそれがBespokeへとつながっているんだ。

 

ギードレ: そのバイブを自分たちの会社へとつなげていくのは、あなたたちには自然なことだったの?

ニック: Bespokeを始めたときは、いろんなことを試しては考えるを繰り返していたね。最初の1年は試行錯誤の年だった。例えば、ネクタイとスーツでもっと従来的な意味で「プロっぽく」振る舞うべきかとかね。でも、うまくいかなかったんだ。それで、自分たちらしい格好をして自分たちらしくコミュニケーションをしようってことになった。「誰かみたい」じゃなくて「僕ららしく」いようってね。その方がずっと僕ららしいから自分たちに自信を持てたしね。

僕らは自分たちのことを「Tシャツにジャケットみたいな会社」だって表現しているんだ。バカみたいだろ? でもこの表現がピッタリなんだ。本物でいなくっちゃね。

 

Happy Collaboration!

コラボレーション・エナジャイザー

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