お客様が、IBM製品のファンになっていただくために
日本IBMのカスタマー・サクセス・マネージャー(テクノロジー事業本部)、Misakiさんのインタビューをお届けします。
※カスタマー・サクセス・マネージャーはソリューションエンジニア(テクニカルセールス)としてエントリーを受け付けます。
私は、テクノロジー事業本部のカスタマー・サクセス・マネージャーです。IBMには、2022年4月に中途で入社しました。前職は日系のSIerで、エンジニアとして、お客様向けのシステム構築プロジェクトに関わってきました。お客様のご要望を整理し、システムを設計し、それを作り上げる、いわゆる要件定義から設計、構築のフェーズを担当してきました。やりがいを感じてはいたのですが、8年間仕事をし、やり切った感があったのと、SIerの全体像が見えてきたので違う仕事にチャレンジしたいと思い、転職を考えるようになりました。
新たなキャリアを考えた時に、大事にしていたことがいくつかあります。1つはお客様と関われる仕事であること。作り上げたシステムによりお客様の業務負担が減り、感謝いただいた経験、その時に感じた喜びから、転職してからもお客様と関わり続けたいと思っていました。もう1つは英語を活かせる職場で働きたいと思ったこと。それまでは日系企業でしたので英語を使う機会がさほどありませんでした。転職を機に、外資系企業でのキャリアを考えてみたいと思っていました。
この2つを軸に転職活動をしていたときに出会ったのがIBMです。人事の方に声を掛けていただき、カスタマー・サクセス・マネージャーのポジションの存在を知りました。詳しく話を伺うと、転職活動の軸にフィットするポジションであったこと、今までの経験を活かしつつ、新たなチャレンジができそうな職種であったことから、IBMへの転職を決断しました。
学生のみなさんは、カスタマー・サクセス・マネージャーという職種名に、馴染みがないかもしれません。具体的に何を行なっているのかをお伝えする前に、この職種ができた背景をご紹介します。
従来、製品やサービスは、「購入し、利用いただく」形態が一般的でした。ところが近年、サブスクリプション、つまり月単位や年単位で定期的に料金を支払い、コンテンツやサービスを利用する形態が広がってきました。みなさんも、サブスクリプションの契約をされている方がいらっしゃるかもしれませんが、企業も、全てではありませんが、そのような契約形態で製品やサービスを導入することができるようになりつつあります。ところが、お客様の中には、使い始めたものの、活用しきれず、途中で解約されるお客様がいらっしゃいます。そこで、製品やサービスを導入いただいたお客様を担当するカスタマー・サクセス・マネージャーのポジションが生まれました。
私たちが関わるフェーズは、お客様がIBM製品を導入いただいた後です。営業がいて、製品やサービスをご契約いただく。コンサルタントやITスペシャリストがいて、プロジェクトが行われる。その後の、ポストセールスと呼ばれるフェーズです。私たちカスタマー・サクセス・マネージャーは、IBM製品、具体的にはIBM Cloud Pakを導入いただいたお客様を担当し、製品の活用状況や、現行の運用を詳しく伺う中で、使い方の提言や、改善案の提案を行なっています。提言や提案というと、営業をイメージされる方がいるかもしれませんが、カスタマー・サクセス・マネージャーは、テクニカル系の職種だと私たちは思っています。技術的なお話をお客様と行う、いただいたデータを使いデモを作成する、具体的な製品の動きをお見せする、そのような時に、前職でのエンジニアとしての経験が活きています。カスタマー・サクセス・マネージャーは、営業と、技術、両方のスキルが必要とされ、そして磨くことができるポジションです。
カスタマー・サクセス・マネージャーとして、金融機関のお客様にお話を伺った時の話です。サーバーの稼働状況を監視するために、常に、どなたか職員の方が画面の前で状況を目視していると伺いました。「常に」です。基本的な機能はお使いになられていたのですが、現状を改善するための機能はお使いになられていないことが分かりました。そこで、お客様の負担を軽減するために必要な構成、運用方法をまとめ、ご提案を行いました。製品の知識と、ヒアリングしたお客様の環境を元に、より良い案をご提案することが、私たちカスタマー・サクセス・マネージャーに求められていることです。
私たちのチームのリーダーは、カスタマー・サクセス・マネージャーの目的は「お客様が、IBM製品のファンになっていただくこと」にあると言っています。私たちは、お客様に、製品やサービスを徹底的に活用いただき、ビジネス上の課題を解決してほしいと思っています。カスタマー・サクセス・マネージャーの仕事の醍醐味は、ここにあります。
カスタマー・サクセス・マネージャーの仕事内容だけではなく、前職での経験を踏まえて、いくつかお伝えします。
IBMに入社をし、驚いたことの1つが、飛び交う情報量の多さです。それも、「経営陣から」「マネジメントから」「人事から」だけではなく、カスタマー・サクセス・マネージャーとして、自ら積極的に情報発信されている方々を見て、驚きました。「技術者なのに、こんなに発信するんだ」これが率直な感想です。私はこれまで、どちらかというと目の前にあるタスクをこなしているだけだったのかもしれません。人に言われてやるのではなく、自ら発信をしている方々を見て、私自身、大いに触発されています。
飛び交う情報量が多いことの恩恵は、さまざまな面で感じています。先日、IBMは、次世代のAI、データ・プラットフォームと位置付けているwatsonxを発表しました。早速Slackには、チャンネルが立ち上がり、世界中の社員が情報交換を始めています。この飛び交うやりとりが大変面白く、時流に乗った技術に気づくことが多々あります。興味を抱き、さらに自分で調べ、あるいは実際に試してみることもあります。やはりテクノロジーは、海外、特にアメリカが先んじて取り組んでいるケースが多いと改めて感じていますが、その情報に触れられるメリットは、計り知れません。
Slackでのやり取りに限らず、Globalとの繋がりがあるのは、外資系企業ならではかもしれません。海外には、私たちと同じ職種の社員がいます。カスタマー・サクセス・マネージャーだけではなく、他のチームと技術的なセッションや情報交換を行う機会があります。先だっては、海外のイベントで、スピーカーとして話をしてきました。約1時間弱、現行のIT環境が抱える問題、IBM製品の紹介、使い方のデモ、事例の紹介を行いました。かねてより興味があり、手を挙げたところ所属長が応援してくれたので、このような機会が実現しました。海外との繋がりがあるだけではなく、「手を挙げた人を応援してくれるカルチャー」がIBMにはあるのだと感じました。
「カスタマー・サクセス・マネージャーには、どのようなスキルが必要なのか」気になる方がいるかもしれません。
コミュニケーション能力、詳しくお伝えすると、お客様の真意を汲み取る力が非常に大切だと感じています。カスタマー・サクセス・マネージャーは、お客様とお話をする機会が多々あります。良かれと思ってご提案した内容が、お客様の課題を解決できないのであれば、意味がありません。お客様がやりたいと仰っていることの背景には何があるのか。会社の方向性やお客様の思いを含めて、丁寧にお話を伺い、真意を汲み取ることが非常に大切だと日々感じています。また、ITの基本的な知識も必要です。用語を理解していないと、お客様と会話することができませんし、意味や技術を理解していないと、製品の、何がどう良いのか、なぜお客様に必要なのか、お伝えすることができません。
幸いにも、IBMは、学びを深める機会に事欠きません。インプットの手段や環境が整備されているだけではなく、アウトプットを行う機会が多々あります。先ほどご紹介した海外のメンバーとのSlackや意見交換の機会だけではなく、Udemyやe-Learning、社内向け勉強会を使い、基本的な知識を勉強する。カスタマー・サクセス・マネージャーのチームで勉強会を開き、技術情報を発信する。これらの機会を通じて、私たちは技術力を深め、それをお客様にお届けしています。
IBMは、非常に大きな会社です。入社をし、改めてそれを感じています。取り扱う製品やサービスのラインナップが広いだけではありません。コンサルティングや、システムのデリバリーを行うことができます。バックグラウンドや担当領域が異なる、様々な職種の社員がいます。そういった方々とのやりとりは、ジェネラリストとしての知識を身につけるのに、大いに役立っています。
私はこれまで、長期的なキャリアプランを作ってきませんでした。比較的短めの目標を設定し、そこに向けてキャリアを重ねてきました。それは今も変わりません。ただ、大きな目標として、新しいテクノロジーを展開し、世の中を変化させたいという思いがあります。最新のテクノロジーに携わりたいし、それが社会に良い変化をもたらすような、そういう働き方をしたいと思っています。IBMのカスタマー・サクセス・マネージャーは、そのために必要な素養を身につけることができる、世界のテクノロジーに触れることができる、またとない場所だと感じています。
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