SMAPP がパフォーマンスおよび記憶装置に及ぼす影響

システム管理アクセス・パス保護 (SMAPP) は、システムに及ぼす影響を最小限に抑えるように設計されています。 影響は最小限に抑えられますが、SMAPP はシステムの処理装置のパフォーマンスおよび補助記憶装置には影響を及ぼします。

処理装置のパフォーマンス

SMAPP は処理装置のパフォーマンスにある程度の影響を与えます。 指定するアクセス・パスの目標回復時間が短くなればなるほど、この影響が大きくなることがあります。 通常、処理装置能力の限界に近づいていなければ、処理装置のパフォーマンスへの影響はそれほど大きくはありません。処理装置の消費量の増加を引き起こすもう 1 つの状況は、ローカル・ジャーナルが待機状態に置かれ、ローカル・ジャーナルに対してジャーナル処理されたファイル上に作成された大きいアクセス・パスを修正するときに発生します。待機状態が存在する場合、アクセス・パスに SMAPP 保護の非適格のフラグが付けられます。 これにより、指定された目標回復時間を達成しようと試みる際に、他の多数の小さいアクセス・パスを SMAPP で強制的に保護することがあり、これがパフォーマンス上の問題を引き起こす可能性があります。 アクセス・パスの回復の表示 (DSPRCYAP) から F16=詳細の表示機能を使用すると、SMAPP で使用される内部しきい値が表示されます。見積再作成時間が内部しきい値を超えるすべてのアクセス・パスは、SMAPP によって保護されます。内部しきい値が変わる可能性があるのは、影響を受けたアクセス・パス数が変わった場合、影響を受けたアクセス・パスの見積再作成時間が変わった場合、または目標回復時間が変わった場合です。

処理装置のパフォーマンスの影響を軽減するために、アクセス・パスの回復変更 (CHGRCYAP) コマンドで INCACCPTH(*ELIGIBLE) を指定できます。 これにより、この状態でジャーナルにジャーナル処理されたファイル上に作成されたあらゆるアクセス・パスを無視する SMAPP 権限が与えられ、SMAPP が他の多数の小さいアクセス・パスを保護するのを順々に防ぎます。ただし、この INCACCPTH オプションを指定すると、IPL または独立補助記憶域プール (ASP) のエクスポージャーへの変更を予測するときに、これらのアクセス・パスを無視します。つまり、実際の IPL 時間または独立 ASP がオンに変更されるまでの所要時間が推定値より長くなる場合があることを意味します。

補助記憶装置

SMAPP を使用するとディスク活動が頻繁になり、 そのためディスク入出力処理装置へのロード回数も増えます。 SMAPP のディスク書き込み操作が非同期であるため、それらが特定のトランザクションの応答時間に直接影響することはありません。 しかし、ディスク活動が頻繁になるために全体の応答時間が影響を受けることがあります。

また、SMAPP を使用すると、システムは、システム上のディスク・プールごとに内部ジャーナルおよびジャーナル・レシーバーを作成します。 SMAPP が使用するジャーナル・レシーバーは、追加の補助記憶域を使用します。 ディスク・プール用のアクセス・パスの目標回復時間が *NONE に設定される場合、 ジャーナル・レシーバーは項目を持ちません。 内部ジャーナル・レシーバーは、ディスク・プール内で、すべてのアーム (最大 100 アーム) に広げられます。

システムはジャーナル・レシーバーを自動的に管理して、その影響をできる限り最小にします。 システムは回復に必要ではなくなった内部ジャーナル・レシーバーを周期的に破棄し、そのディスク・スペースを回復します。 SMAPP が使用する内部ジャーナル・レシーバーに必要な補助記憶装置は、アクセス・パスの明示ジャーナル処理に使用するジャーナル・レシーバーよりも小さいものです。 内部ジャーナル・レシーバーは SMAPP 項目だけに使用されるため、圧縮されています。

物理ファイルのジャーナル処理をすでに設定した場合、システムはそれと同じジャーナルを使用して物理ファイルに関連するすべてのアクセス・パスを保護します。 システムが付加的なアクセス・パスを保護することを選んだ場合、 ジャーナル・レシーバーはより大きく、またより速くなります。 ジャーナル・レシーバーをもっと頻繁に変更する必要があります。

SMAPP が補助記憶装置に及ぼす影響を減らすためのヒント

  • SMAPP をセットアップする場合は、アクセス・パスの目標回復時間を、システム全体または個々のディスク・プール (ただし、その両方ではない) のいずれかに指定してください。 これらの両方を指定すると、システムは全体の目標と別個の目標との平衡を取るために余分の作業をすることになってしまいます。
  • 物理ファイルもジャーナル処理する場合は、ジャーナル・レシーバーのサイズ拡大に対処するために、ジャーナル処理のセットアップまたはジャーナル・レシーバーのスワップを行うときに内部項目の除去を指定することを検討してください。 これを指定すると、システムはアクセス・パスを回復するために必要なくなった内部項目を、ユーザー・ジャーナル・レシーバーから周期的に削除します。 これにより、ジャーナル・レシーバーは SMAPP が原因で過度に大きくなることはなくなります。
  • システムが SMAPP への専用のリソースをサポートできない場合、 システム目標回復時間に *OFF を指定することができます。 このオプションを選択する前に、回復時間を通常の業務サイクル (おそらく週ごと) で *NONE に設定することを考慮してください。 その時間の間、アクセス・パスの見積回復時間を定期的に表示してください。 これらの時間を受け入れることができるかどうか、 または一部のシステム・リソースをアクセス・パス保護専用にする必要があるかどうかを評価してください。

    SMAPP をオフにする場合、すでに使用されているディスク記憶域がその後まもなく回復されます。 SMAPP の値を *NONE に設定する場合、 すでに使用されているディスク記憶域は、次のシステム再始動後に回復されます。

    注: 受動システム回復時間を *OFF に設定した後で、それを他の値に変更したい場合は、システムが制限状態になっていなければなりません。