HADR ログ・スプーリング

高可用性災害時リカバリー (HADR) ログ・スプーリング・フィーチャーにより、スタンバイでのログ再生を待たなくても、1 次でトランザクションを進行させることができます。 このフィーチャーを使用可能にすると、1 次が送信したログ・データはスタンバイ上のディスクにスプール され (つまり書き込まれ)、そのログ・データは後でログ再生時に読み取られます。

ログ・スプーリング (hadr_spool_limit データベース構成パラメーターを設定することで使用可能になります) は HADR フィーチャーを改善したものです。 再生に長い時間がかかると、1 次の新しいトランザクションは、スタンバイ・システムにログ・データを送信できないため (バッファーにデータを受信するためのスペースがない場合)、ブロックされる可能性があります。 ログ・スプーリング・フィーチャーでは、スタンバイがそのバッファーのサイズによって制限されません。 バッファーに収まりきらない受信データが増えると、ログ再生でディスクからデータが読み取られます。 これにより、システムは 1 次データベースのトランザクション・ボリュームの急上昇、またはスタンバイ・データベースでのログの適用のスローダウン (特定タイプのログ・レコードの適用が原因) のいずれも一層許容できるようになります。

このフィーチャーにより、スタンバイで受け取ったログのログ位置と、スタンバイのログ再生位置との間のギャップが大きくなる可能性があり、それによってテークオーバーの時間が長くなる場合があります。 このギャップをモニターするには、db2pd コマンドに -hadr オプションを指定するか、MON_GET_HADR 表関数を使用して、STANDBY_LOG_POS フィールド (受信位置を示す) と STANDBY_REPLAY_LOG_POS フィールドを比較します。 スプールされたログの再生が終わるまで古いスタンバイは新しい 1 次として始動してトランザクションを受信できないため、スプール制限の設定は慎重に検討する必要があります。