START HADR コマンド

START HADR コマンドは、データベースの HADR 操作を開始します。 これは、 Db2® pureScale® 環境におけるクラスター全体のコマンドであるため、任意のメンバーで発行できます。

許可

以下の権限のいずれか。

  • SYSADM
  • SYSCTRL
  • SYSMAINT

必要な接続

インスタンス。 このコマンドは、データベースが存在しない場合にデータベース接続を確立し、コマンドが完了するとデータベース接続をクローズします。

コマンド構文

Read syntax diagramSkip visual syntax diagramSTART HADR ON DATABASEDB database-alias USERuser-nameUSINGpasswordAS PRIMARYBY FORCESTANDBY

コマンド・パラメーター

DATABASE database-alias
HADR 操作を開始するデータベース。
USER user-name
HADR 操作を開始するために使用するユーザー名。
USING password
user-name を認証するのに使用されるパスワード。
AS PRIMARY
データベースに対して HADR 1 次操作を開始することを指定します。 プライマリデータベースがhadr_timeoutデータベース構成パラメーターに指定された時間内にHADRスタンバイ・データベースに接続できない場合、プライマリデータベースは開始されません。
BY FORCE
HADR 1 次データベースにおいて、 スタンバイ・データベースがそれに接続するまで待機しないことを指定します。 BY FORCEの始動後も、スタンバイが後で使用可能になるたびに、プライマリデータベースはスタンバイ・データベースからの有効な接続を受け入れます。 BY FORCEを使うと、データベース構成パラメーターautorestart値に関係なく、データベースは必要に応じてクラッシュ回復を実行します。 1 次データベースを開始する他の方法 (非強制 START HADR コマンド、 ACTIVATE DATABASE コマンド、クライアント接続など) では、 autorestart 設定が考慮されます。
注意: AS PRIMARY BY FORCE オプションを指定した START HADR コマンドを使用する場合は、注意が必要です。 スタンバイ・データベースが 1 次データベースに変更されてから、 AS PRIMARY BY FORCE オプションを指定した START HADR コマンドの発行により元のデータベースが再始動した場合、 データベースの 2 つのコピーが 1 次として独立して動作することになります。 (これはスプリット・ブレイン、 または二重 1 次 と呼ばれることがあります)。 この場合、各 1 次データベースは複数の接続を受け入れたり複数のトランザクションを実行したりできますが、 もう一方のデータベースによる更新は受け取ることも再生することもできません。 そのため、データベースのそれら 2 つのコピーは、互いに矛盾することになります。
AS STANDBY
データベースに対して HADR スタンバイ操作を開始することを指定します。 スタンバイ・データベースは、 接続が正常に確立されるまで、 または接続試行が 1 次データベースによって明示的に拒否されるまで、 HADR 1 次データベースへの接続を試行します。 (1 次データベースが接続を拒否する場合として考えられるのは、 HADR 構成パラメーターが正しく設定されていない場合、 またはデータベースのコピーが矛盾している場合であり、 いずれにしても接続再試行を続けることは適当ではありません。)

使用上の注意

さまざまな条件におけるデータベースの動作を、次の表に示します。

データベース状況 START HADR コマンド (AS PRIMARY オプション) での動作 START HADR コマンド (AS STANDBY オプション) での動作
非アクティブ標準データベース HADR 1 次データベースとしてアクティブ化されます。 Db2 pureScale 環境では、ローカル・メンバーのみが開始されます。 データベースがロールフォワード・ペンディング・モード (リストアまたはスプリット・ミラーなどの結果)、 またはロールフォワード進行中モードの場合、 データベースはスタンバイ・データベースとして開始します。 それ以外の場合、エラーが戻されます。
アクティブ標準データベース データベースは HADR 1 次の役割になります。 エラー・メッセージが戻されます。
非アクティブ 1 次データベース HADR 1 次データベースとしてアクティブ化されます。 Db2 pureScale 環境では、ローカル・メンバーのみが開始されます。 フェイルオーバーの後、 障害の発生した 1 次を新しいスタンバイ・データベースとして HADR ペアに再び組み入れます。 いくらかの制限があります。
アクティブ 1 次データベース 警告メッセージが発行されます。 エラー・メッセージが戻されます。
非アクティブ・スタンバイ・データベース エラー・メッセージが戻されます。 データベースをスタンバイ・データベースとして開始します。
アクティブ・スタンバイ・データベース エラー・メッセージが戻されます。 警告メッセージが発行されます。
Preferred replay member

Db2 pureScale 環境では、 START HADR コマンドを発行するメンバーが 優先再生メンバーとして指定されます。 このメンバーは、HADR スタンバイ・データベース上でのログの再生の第 1 選択候補です (1 つのスタンバイ・メンバーのみがすべての 1 次メンバーで生成されたログを再生します)。 1 次クラスター上の 1 つのメンバーにとっては、この指定は 1 次データベースがスタンバイ・データベースになる場合にのみ関連します。 スタンバイ・クラスター上のメンバーにとっては、この指定は、スタンバイ・データベースの始動時に、再生サービスの開始がこのメンバー上で試行されることを意味します。 優先再生メンバーの状況は永続的ですが (つまり、次に START HADR コマンドが発行されるまで持続しますが)、再生が別のスタンバイ・メンバーに移された場合は、そのメンバーが使用可能である限り、再生が自動的に優先再生メンバーに戻されることはありません。

START HADR コマンドが成功を返すと、優先再生メンバーが更新されます。 START HADR コマンドが失敗を返す場合、コマンドの実行がどの程度進んでいるかに応じて、優先メンバーが更新されている場合と更新されていない場合があります。 コマンドを確実に実行するには、再実行します。 データベースが既にアクティブで、必要な役割を果たしている場合、START HADR コマンドは nop です (機能しません)。 コマンドはエラーを返し、優先再生メンバーは更新されません。 データベースがすでにオンラインになっているときに優先リプレイメンバーを再指定するには、優先リプレイメンバーの変更の説明手順を使ってください。ってください。

Licensing errors

START HADR コマンドの発行時に、対応するエラー・コード SQL1767NSQL1769N、または SQL1770N と理由コード 98 が生成される場合があります。 この理由コードは、コマンドが発行されたサーバー上に HADR のライセンスがインストールされていないことを示します。 この問題を訂正するには、 db2licm を使用して有効な HADR ライセンスをインストールするか、または配布の一部として有効な HADR ライセンスが含まれているサーバーのバージョンをインストールします。