Db2 pureScale 環境でのユーザー管理ファイル・システムのサポート

Db2 製品によって管理されるファイル・システムが推奨されますが、既存の共有ファイル・システムを使用することも可能です。

現在、サポートされている唯一のユーザー管理ファイル・システムは、 IBM® Spectrum Scale ファイル・システムです。 サポートされる IBM Spectrum Scale のバージョンについては、 Db2 pureScale Feature (AIX)を参照してください。 製品のインストール中に、 Db2 インストーラーは、ユーザー管理の IBM Spectrum Scale クラスターおよびファイル・システムのバージョンがサポートされているかどうかを検査します。 サポートされない場合、インスタンスの作成が失敗します。

正しいバージョンを使用していることを確認するだけでなく、既存の IBM Spectrum Scale ファイル・システム構成を検証する必要があります。 現行ファイル・システム・クラスターの構成を検証するには、次のコマンドを発行します。
   install_path/bin/db2cluster -cfs -list –filesystem
ここで install_path は現行ファイル・システム・クラスターの場所です。
ファイル・システムのセットアップを検証するには、次のコマンドを発行します。
   install_path/bin/db2cluster -CFS -VERIFY -CONFIGURATION -FILESYSTEM db2fs1
ここで、 mygpfs1 は、既存の IBM Spectrum Scale クラスター・ファイル・システムの名前です。

Db2 管理ファイル・システムとユーザー管理ファイル・システムが共存することはできません。 IBM Db2 pureScale Feature は、1 つの Db2 pureScale インスタンスのみをサポートします。 Db2 管理対象ファイル・システムまたはユーザー管理対象ファイル・システムのいずれかを使用します。

ユーザー管理ファイル・システムを使用する場合は、デフォルトのパスワードレス・リモート root ログインが必要です。

最初の Db2 pureScale インスタンスを作成するときには、既存の IBM Spectrum Scale ファイル・システムへの絶対パスを指定して、ユーザー管理のファイル・システムを使用することを示す必要があります。 そのファイル・システムが使用上有効かどうかを、Db2 インストーラーが検証します。

応答ファイルによるインストールでは、INSTANCE_SHARED_DEVICE_PATH キーワードは Db2 管理ファイル・システムを表します。 INSTANCE_SHARED_DIR キーワードは、ユーザー管理ファイル・システムまたは Db2 管理ファイル・システムのいずれかを表します。 db2cluster_prepare コマンドを使用して Db2 管理対象ファイル・システムを作成する場合、 Db2 管理対象ファイル・システムまたはユーザー管理対象ファイル・システムのいずれかに INSTANCE_SHARED_DIR キーワードを使用できます。

Db2 セットアップ・ウィザードによるインストールの場合、「Db2 クラスター・ファイル・システムのセットアップ」パネルでクラスター環境が検出されます。

db2icrt コマンドまたは db2iupdt コマンドの場合、-instance_shared_dev オプションは Db2 管理ファイル・システムを表します。 -instance_shared_dir オプションは、ユーザー管理ファイル・システムまたは Db2 管理ファイル・システムのいずれかを表します。 db2cluster_prepare コマンドを使用して Db2 管理対象ファイル・システムを作成する場合は、次の例のように、 Db2 管理対象ファイル・システムまたはユーザー管理対象ファイル・システムのいずれかに -INSTANCE_SHARED_DIR キーワードを使用できます。
   db2icrt -d
           -cf host1:host1-ib0
           -m host2:host2-ib0
           -instance_shared_dir mygpfs1
           -tbdev /dev/hdisk2
           -u db2sdfe1
           db2insd1

この例では、 host1 と host2の両方に同じ IBM Spectrum Scale クラスターがセットアップされ、両方に mygpfs1 ファイル・システムがマウントされています。 mygpfs1 ファイル・システムは、既存の IBM Spectrum Scale クラスター・ファイル・システムのマウント・ポイントです。 host1 および host2 のホスト名は、 IBM Spectrum Scale クラスターで構成されているホスト名と一致する必要があります。 既存のインスタンス所有者ユーザー db2insd1 には、host1 および host2 の両方からの mygpfs1 ディレクトリーに対する書き込み権限が必要です。 ユーザー管理ファイル・システムが使用されているため、-instance_shared_dev パラメーターの代わりに -instance_shared_dir パラメーターを指定します。

Db2 pureScale インスタンスをリモート・ホストに拡張する場合、まずクラスターをリモート・ホストに拡張し、最初にファイル・システムへの root として書き込み権限を持つようにホストをセットアップします。 Db2 インストーラーは、それに対応する検証を実行します。次の例のとおりです。
   db2iupdt -d -add -m host3:host3-ib0 db2insd1

この例では、コマンドを実行すると、インスタンスが新しいメンバー host3 まで拡張されます。 このホストは、 host1 および host2を持つ同じ IBM Spectrum Scale クラスターに含まれている必要があります。 mygpfs1 ファイル・システムが host3 からマウントされる必要があります。 インスタンス所有者 db2insd1 には、mygpfs1 ファイル・システムへの書き込み権限が必要です。

Db2 インストーラーおよびインスタンス・コマンドは、以下のアクションの間は IBM Spectrum Scale クラスターを変更しません。
  • Db2 pureScale インスタンスを作成する
  • Db2 pureScale インスタンスの拡張機能
  • Db2 pureScale ・インスタンスのドロップ
  • インスタンスからのメンバーまたは クラスター・キャッシング・ファシリティー のドロップ

Spectrum Scale クラスター構成リポジトリー (CCR) の設定

V11.1.4.4 以降、前提条件パッケージ「gpfs.gskit」がインストールされているなら、新規およびアップグレード後のすべての pureScale インスタンスにおいて、CCR がデフォルトのクラスター構成リポジトリー・タイプになります。 このリポジトリー・タイプでは、より低い管理オーバーヘッドで、可用性を高め、クラスター構成のセットアップを単純化することができます。 現在の CCR 設定は、以下のコマンドで照会できます。

db2cluster -cfs -list -configuration

CCR 対応クラスターの出力例を以下に示します。

$ db2cluster -cfs -list -configuration
OPTION                          VALUE
------------------------------ ---------------------------------
adminMode                       allToAll  
.  
.  
.  
tracedevBufferSize              67108864  
afmHashVersion                  1
ccrEnabled                      yes  
remoteShellCommand              /usr/bin/ssh  
remoteFileCopyCommand           /usr/bin/scp

値が「no」に設定されている場合、クラスター内のすべてのホストに前提条件パッケージ「gpfs.gskit」がインストールされていることを確認してから、

CCR を以下のコマンドを使用して手動で有効にしてください (この有効化が成功するためには、クラスターを保守モード以外に設定する必要があり、クラスター内のクォーラム・ノードがオンラインになっていなければならないことに注意してください)。

db2cluster -cfs -set -option ccrEnabled -value yes

「db2cluster -cfs -list -configuration」を再実行して、新しい設定が有効になっていることを確認します。 Db2 インスタンスの再始動は不要です。