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IBM Lotus Notes 8.0.1 新機能技術概説

IBM Lotus Notes 8.0.1 新機能を技術的に解説します

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レベル: 初級

佐藤 淳 (acchan@jp.ibm.com), WPLC 開発 & サービス WPLC Business Partner Technical Enablement / ソフトウェア開発研究所, IBM

2008年 4月 18日

2007 年に大きな進化を遂げてリリースされた Lotus Notes 8 のメンテナンス・リリースである Lotus Notes 8.0.1 が 2008 年 3 月にリリースされました。Lotus Notes 8.0.1 は前バージョンである Lotus Notes 8 で報告された障害の修正やパフォーマンスの向上など、製品の安定化を主な目的とするバージョンです。しかし、それに加えて、今回の Lotus Notes 8.0.1 ではいくつかの便利な新機能が追加されました。本稿では、それらの新機能をいくつか簡単に紹介します。また、重要な新機能については技術的に掘り下げて詳しく説明します。

IBM Lotus Notes 8.0.1新機能の紹介

2008 年 3 月に Lotus Notes/Domino の最新バージョンである Lotus Notes/Domino 8.0.1 がリリースされました。本バージョンは昨年リリースされた Lotus Notes/Domino 8 のメンテナンス・リリースという位置づけで、旧バージョンの製品における障害の修正や、パフォーマンスの向上が施されたリリースになります。また、本リリースでは Lotus Notes/Domino 8 をすでに使用していただいているお客様やパートナー様からのフィードバックを受け、いくつかの新機能の追加や既存機能の大幅な改善がなされました。それらのうち Lotus Notes クライアントに対して追加された新機能や、改善された機能の一部を紹介します。

1. メール使用率の表示

システム管理者によってユーザーが使用できるメールボックスのサイズが制限されている場合、その制限に対して現在の使用率をユーザーが確認することができるようになりました。図 1 にその画面を示します。赤線の先にあるボタンをクリックすることでユーザーは現在の使用率を即座に知ることができます。


図 1. メール使用率の表示

2. Notes カレンダーに 2 つのタイムゾーンの時間を表示

Notes カレンダービューにおいて、左端のタイムスロットにローカルのタイムゾーン以外にもう 1 つのタイムゾーンを並べて表示することができるようになりました。企業のグローバル化が進み、海外との協業などが身近になってきた現在、複数のタイムゾーンがカレンダーに表示されることで煩わしい時差の計算が不要となります。図 2 は複数のタイムゾーンの設定画面と、2 つのタイムゾーンのタイムスロットが表示されたカレンダーです。


図 2. 2つのタイムゾーンのタイムスロット表示と設定画面

3. Composite Application Editor の機能強化

Lotus Notes 8 で実現できる特徴的かつ高価値な次世代アプリケーションである Composite Application を開発する際に、コンポーネントのアセンブリーおよびコンポーネント間のワイヤリングのためのツールとして提供されているのが Composite Application Editor (CAE) です。その CAE の機能が Lotus Notes 8.0.1 で強化され、より完成度の高いツールとなりました。具体的に改善された点として以下があげられます。

  • アンドゥ (Undo) 機能
  • 再利用可能なコンポーネントの追加

    標準で提供される再利用可能なコンポーネントが追加されました。追加されたのは、Managed Browser、Lotus Symphony View、To Do View になります。図 3 に CAE に標準で用意されている再利用可能なコンポーネントを示します。



    図 3. CAE の Component Palette


  • コンポーネントの配置オプションの追加

    配置されたコンポーネントに対し、タイトルバーの有効/無効の設定や、そのタイトルバーに最大化ボタンや最小化ボタンを有効/無効にするといったコントロールが可能になりました。これによって、コンポーネントの目的に応じた柔軟なコンポーネントの配置が可能になります。図 4 にコンポーネントのプロパティ設定画面を示します。



    図 4. コンポーネントのプロパティ設定画面


以上が代表的な 3 つの新機能ですが、その他にもリアル・コラボレーションを実現する Lotus Sametime 8.0 の同梱や、Lotus Connections に付属されたサービスである Activity 1.0.2 対応、チーム・コラボレーションを実現する Lotus Quickr サイドバー・プラグイン、Web 会議サービスである Lotus Sametime Unyte との統合など多くの便利な新機能が提供されています。さらに、もっとも特徴的な新機能として、My Widgets と Notes Live Text が提供されています。この 2 つの新機能については次項で詳細に説明します。

また、サーバーである Lotus Domino 8.0.1 の新機能としては、モバイル端末から Notes アプリケーションへのアクセスを可能とする Lotus Traveler の同梱や、Web ブラウザからメールやカレンダーにアクセスすることができる Domino Web Access (DWA) の軽量版などがあり、より価値の高いサーバーへと成長をしています。本稿ではクライアント側の新機能の説明を主とするため、サーバー・サイドの詳細な説明は割愛します。




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My Widgets の解説

Lotus Notes 8.0.1 におけるもっとも特徴的な新機能の 1 つである My Widgets について説明します。My Widgets は Lotus Notes 上で Widget (ウィジェット) を利用、管理するための機能です。Widgetとは小さなウインドウにシンプルなコンテンツを表現するための断片的なコンポーネントで、Notesの文書/ビュー/データベース、Web サイト、Feed、Google Gadget から My Widgets が提供するウィザードを使って直感的に作成することができます。そして、作成された Widget は My Widgets サイドバー・アプリケーションでユーザーによって容易に管理することができます。この My Widgets サイドバー・アプリケーションは Lotus Notes 8.0.1 を導入した直後には無効になっているため、使用する際には Lotus Notes 8.0.1 のプリファレンスに統合された My Widgets の設定にて機能を有効にする必要があります。作成された Widget は My Widgets サイドバー・アプリケーションから実行することができますが、その際に Widget にパラメーターを渡すことができるようになっています。たとえば、郵便番号から住所を調べるための Widget を作成した場合には、その Widget を起動した際に郵便場号を入力する入力画面が表示され、ユーザーによって入力された郵便番号での検索結果を Widget に表示させることができます。以下に図で、郵便番号を例にした一連の動作の流れを示します。図 5 は多数の Widget が登録された My Widgets サイドバー・アプリケーションです。


図 5. My Widgets サイドバー・アプリケーションにて管理されている多数の登録済み Widget

登録されている多数の Widget から、右下にある「郵便番号から住所を探す – goo 郵便番号」Widget をダブルクリックし起動すると、図 6 のように検索クエリとして使用するパラメーターの入力画面が自動的に表示されます。


図 6. Widget 起動時のパラメーター入力画面

パラメーターに検索クエリとして渡したい郵便番号を入力し”OK”ボタンをクリックすると、 図 7 のように Widget が新たなサイドバー・アプリケーションとして表示されます。


図 7. サイドバー上で検索結果を表示する Widget

サイドバーから Widget を起動した際には、その Widget はサイドバーの一部として表示されますが、次項で説明する Live Text と組み合わせた際には、サイドバー内での表示だけでなく、フローティング・ウィンドウでの表示、メインビューでのタブ表示など様々な表現方法が利用できます。また、Widget の作成方法に関しては次回の記事で詳しく紹介するので、本稿での説明は割愛します。

また、作成された Widget は Composite Application のコンポーネントとしても再利用することができます。Widget が必要とするパラメーターを Property Broker 経由で受け取ることができる仕組みが用意されているので、Widget を作成後、すぐに Composite Application Editor で Widget を Composite Application のコンポーネントとして再利用することができます。図 8 は検索エンジンに検索クエリを投げるとその結果を返してくれる Widget と、 Lotus Notes に標準で提供されている連絡先アプリケーションとが連携する Composite Application です。連絡先アプリケーションにも製品機能で Composite Application のコンポーネントとして再利用できるコンポーネントが用意されています。図 8 の例では連絡先アプリケーションから選択された人の名前を Property として Property Broker へ Publish し、Widget がその Property を検索クエリとして Property Broker から受け取るという形で実現されています。


図 8. 連絡先アプリケーションと Widget が連携する Composite Application

以上のように、Widget を使用することでユーザーは様々な場面で必要に応じた情報を素早く取得することができるようになります。

この Widget は Lotus Notes 内では extension.xml という XML 形式のファイルで定義されており、この XML ファイルはエクステンション・ポイントを含んだ plugin.xml からWidget の定義に応じて動的に生成されます。Widget の定義は大きく分けて palleteItem と呼ばれる Component を定義したパートと、fragmentInstanceData と呼ばれる Action を定義した 2 つのパートからできています。また Live Text との連携に必要な Content Type を登録することもできるようになっています。Content Type に関しては次項で詳しく説明します。つまり、Widget は 1 つの XML ファイルで定義されているため、そのファイルを共有することで同一の Widget を複数人で共有することができます。そのため、Widget を管理する My Widgets サイドバー・アプリケーションから、その Widget を定義した XML ファイルを Notes メールで送信する機能や、メールに添付された Widget を定義した XML ファイルを My Widgets サイドバー・アプリケーションにドラッグ & ドロップすることでその Widget を登録する機能も提供されています。

さらに、不特定多数で Widget を共有するための仕組みとして Widget Catalog と呼ばれる Domino サーバー上で動作する Notes アプリケーションが用意されており、そこに Widget を登録したり、登録してある Widget を自身の My Widgets サイドバー・アプリケーションに登録することが可能になっています。また、My Widgets の機能としてサーバー上の Widgets Catalog をサブスクライブしたり、サーバーでの更新を同期する機能が提供されています。また、自身が作成した Widget を Widgets Catalog に簡単に登録すための機能も提供されています。




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Notes Live Text の解説

次に、Lotus Notes 8.0.1 の新機能におけるもう 1 つの特徴的な機能である Notes Live Text (以下、Live Text)を説明します。Live Text 機能によって Notes アプリケーションのコンテンツ内から単語単位で意味情報を埋め込むことができるようになっています。単に意味情報を追加するだけなく、意味情報を持つ単語にはアンダーラインが引かれ、その単語をクリックした際にロジックを呼び出すことができます。Lotus Notes 8.0.1 ではユーザーが実現できるロジックは Widget を呼び出すことのみですが、将来的にはユーザーがカスタマイズしたロジックを実行できるようになる予定です。

Live Text は意味情報を持っていますが、Lotus Notes ではその意味情報を Content Type として保持しています。たとえば、人名であれば Content Type を Person とした意味を持つことができ、さらに内部的にはその人の Email アドレスなどを person.email といった形式のプロパティ情報として一緒に保持することができます。Lotus Notes 8.0.1 上の Notes 文書で Notes ID が表示されていると、それは Content Type が Person として認識され、図 9のようなプロパティ情報を保持するもとのとして扱われます。


図 9. Live Text で認識された Content Type が Person の単語のプロパティ画面

そして、ユーザーはプログラムからそれぞれの Property の値を取得することができます。つまり、Content Type が Person として認識されているLive Text をクリックした際にロジックに渡される値は、認識されている文字列はもちろんですが、それ以外にもプロパティとして保持されている値も渡すことができます。Lotus Notes 8.0.1 が標準で認識できる Content Type は英語での人名、地名、会社名のみとなっていますが、ユーザーがカスタマイズすることも可能です。認識できる文字列のパターンを追加する際には正規表現を用います。例えば日本の郵便番号であれば「数字 3 桁 – 数字 4 桁」で表せるので、正規表現では「(\d{3})(\-)(\d{4})」と記述することができます。この場合、正規表現の Grouping の機能により 110-0001 といいう番号は以下のように認識されます。

  • group(0) = "110-0001"
  • group(1) = "110"
  • group(2) = "-"
  • group(3) = "0001"

この正規表現を Live Text として認識されるように登録するための設定画面は 図 10 のようになります。


図 10. 日本の郵便番号を正規表現で登録

具体的な登録方法については次回の記事で紹介するのでここでは割愛します。

この正規表現が Recognizer として登録されると、Notes 文書を開いた際に郵便番号と考えられる文字列が存在する場合には、その文字列が郵便番号として認識され、Live Text として扱うことができるようになり、そのプロパティは図 11 のようになります。


図 11. 郵便番号の Live text とそのプロパティ

Live Text はこのように自然言語の中から意味を持つ言葉を抽出し、そこにアンダーラインを引くことで表現されます。また、先述のとおり Live Text から動的にロジックを呼び出すことができます。呼び出すロジックの例として前の章で My Widgets を説明した際に使用した Widget を用いた Live Text との連携を紹介します。今回登録した郵便番号の Live Text と図 7 で示した郵便番号から住所を検索し表示する Widget とを連携するように定義すると、Notes 文書中の郵便番号の Live Text をクリックすることでその郵便番号がどこの住所のものかを Widget として表示させることができます。図 12 にその例を示します。


図 12. Live Text と郵便番号検索用 Widget との連携例

なお、具体的な連携の定義方法に関しても次回の記事にて詳細に説明します。

以上のように、Live Text を Widget をはじめとした様々なサービスと連携することで、Notes 文書を参照した際に容易に付加情報を得ることが可能になります。Live Text として認識されない任意の文字列も、マウスで文字列を選択し右クリックメニューでロジックにパラメーターとして渡すことができる機能も提供されています。




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まとめ

Lotus Notes 8.0.1 は大きな進化とともに昨年リリースされた Lotus Notes 8 のメンテナンス・リリースであり製品の安定化に取り組むとともに、さらに価値を高めるための新機能を数多く搭載しました。新機能の中でも My Widgets と Notes Live Text 機能はユニークかつ便利な機能であり、パワーユーザーであれば様々なカスタマイズを容易に施すことができ、それにより Lotus Notes クライアントの利便性をより向上させることができます。ぜひこれらの新機能を体感し、新たな価値や可能性を感じていただければ幸いです。



参考文献



著者について

佐藤 淳はソフトウェア開発研究所の WPLC 開発 & サービスに属し、IBM Lotus Notes/Domino や IBM Lotus Sametime, IBM WebSphere Portal などすべての WPLC 製品に対応したソリューションやアプリケーションの開発に取り組んでいる ISV/BP 様の技術支援を行っています。先日、数年ぶりにスキーに行った際に怪我をしてしまい、それを見た人、会う人ごとに「年を考えなさい!」と言われ凹んでいる自称若手エンジニアです。




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