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データベース管理者の管理コスト低減のためのDB2 Tools製品紹介: Recovery Expert V2.1 Fast Backupとは

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レベル: 初級

貝嶋創, ソフトウェア開発研究所 情報マネジメント技術開発, IBM

2006年 7月 07日

DB2の操作、保守、およびメンテナンスを簡便にするために、DB2 Toolsと呼ばれるツール群が開発、販売されています。DB2 Tools製品には、パフォーマンス分析・管理やレポーティング機能を備えたGUIツールであるDB2 Performance Expert、エンタープライズ・システム全体にわたる移動やその場での再編成のために、DB2 Universal Databaseから迅速かつ効率的にデータをアンロードして抽出する機能を持つDB2 High Performance Unload、テスト用途のために、既存のデータベースのデータまたはランダムで作成するデータを利用してデータベースを作成するDB2 Test Database Generator、利用頻度の少ないデータを低コストのストレージ上に再配置することで、ストレージ・コストの削減をすることが可能なDB2 Data Archive Expert、アプリケーションのデータベースへの誤ったデータ入力やウィルスによるデータ破壊、ヒューマンエラーによるデータベース・オブジェクトの削除などのさまざまな論理エラーに対応するDB2 Recovery Expert(以下RE)もこれに含まれます。

REはGUIによるログ解析機能やデータおよびデータベース・オブジェクトのリカバリー機能を有する強力なツールです。例えば、データベース運用中に問題が発生した場合、通常ならばアプリケーション・ログなどを確認し、バックアップ・イメージからの回復を手動で行う必要がありますが、REを利用することにより、GUIからデータベースに対する更新、削除、挿入などのトランザクション・ログを確認し、特定のトランザクションを修正するなど、きめ細かい回復操作を行うことが可能です。

今回紹介するRE Fast Backupは、昨年6月にGAされたRE V2.1において新規に追加されたコンポーネントの1つであり、近年ますます利用されてきているネットワーク・ストレージ上のデータベースを高速にバックアップする機能を有しています。RE Fast Backupは、データベース管理者がネットワーク・ストレージを意識することなく、データベース管理者の視点からバックアップを実行することを可能にします。この結果として、データベースのバックアップ関連コストを削減することが可能です。

Recovery Expert Fast Backupの紹介

SAN・NASなどのネットワーク・ストレージの高速なボリュームコピー機能を利用したバックアップを実行するために、DB2においてはsuspendコマンド、db2inidbコマンドが利用可能になりました。このバックアップ手法は、DB2の従来のバックアップコマンドに比べて高速で、データベースを無停止のままバックアップを実行することができるという利点があります。しかし、このバックアップを実行するためには、データベース管理者にネットワーク・ストレージの知識が必要であり、ネットワーク・ストレージの機種ごとに異なる操作知識が要求されます。また、この機能を利用するGUIツールなどは用意されておらず、従来のバックアップに比べると実行方法は煩雑でした。この問題を解決するために開発されたのが、RE Fast Backupです。RE V2.1 FP2において、RE Fast BackupのサポートしているSANは、IBM TotalStorage、Hitachi9900Vシリーズ、NEC iStorage Sシリーズ、EMC Symmetrixであり、NASとしてはNetapp Filerといったネットワーク・ストレージをサポートしています。RE Fast Backupはこれらのネットワーク・ストレージのアーキテクチャーの違いを吸収し、統一されたGUIからデータベースおよび表スペースのバックアップが可能です。




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Recovery Expert Fast Backupの構成

REはスタンドアローン・モジュールで、RE Fast Backupはクライアント・サーバー型のアプリケーションです。REおよびRE Fast Backup Serverは、DB2サーバー・システムに導入します。RE Fast Backup Clientは、RE Fast Backup Serverを導入したDB2サーバーに接続可能なWindowsに導入されます。RE Fast Backupサーバーはデータベースとそれに含まれるストアード・プロシージャー、バックアップ実行用のスクリプト群で構成されています。RE Fast Backupの動作については図1を参照してください。基本的には、DB2CCのプラグイン・モジュールであるGUIクライアントから RE Fast Backup サービスがキックされ、ストレージに対応した最適なバックアップ処理を実行します。


図1.RE Fast Backup 動作フロー
図1.RE Fast Backup 動作フロー



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Recovery Expert Fast Backupの操作例の紹介

本章では、実際にRE Fast Backupを利用する際に考慮すべき点を中心に解説していきます。RE Fast Backupを利用するためには以下の手順に従います。

  1. RE ServerおよびRE Clientのインストール
  2. RE Fast Backupの初期設定
  3. RE Fast Backupを利用したバックアップの実行 (GUIおよびCLI)

それでは、順番に解説をしていきます。

1. Recovery Expert Fast Backupのインストール

RE Fast Backupを利用するためには、バックアップ対象となるDB2サーバーマシンにRE Serverコンポーネントをインストールし、クライアントとなるWindowsマシンにRE Clientコンポーネントをインストールする必要があります。サーバーとクライアントは同一マシン上に存在していても構いません。

Serverのインストールを行う際には、以下の点に注意する必要があります。

  • カスタム・インストールを選択
    Serverインストーラーではカスタム・インストールを実行し、RE Fast Backup Serverコンポーネントを選択する必要があります。
  • データベース・インスタンス・ユーザーはDBADM権限が必要
    RE Fast Backup用にデータベース・インスタンス・ユーザーを指定します。このユーザー名を利用してすべてのデータベースにアクセスするため、システムに存在するすべてのデータベースに対してのDBADM権限が必要になります。
  • 環境の設定
    Windowsでは基本的には不要ですが、AIX、SolarisやLinuxでは環境設定が必要となる場合があります。具体的には、AIXの場合はEXTSHMを有効にする必要があります。また、UNIXではストアード・プロシージャーを利用するための設定を行う必要があります。詳しくはDB2インフォメーション・センターの” 環境変数の設定 (Linux、UNIX、Windows)”および”UNIX Java 環境のセットアップ”を参照してください。

RE ClientインストーラーではRE Fast Backup Clientのみのインストールが行われるため、基本的には何も選択しなくてかまいません。

2. RE Fast Backup の初期設定

インストール終了後、RE Fast Backup Administration Windowを使ってRE Fast Backupを利用するための事前の設定や、バックアップの実行履歴の確認を行います。システム環境に変更がない限り、インストール後に一度だけ設定を行います。RE Fast Backup Administration WindowはDB2コントロール・センターを起動し、システム名を右クリックすれば実行可能です。一連の設定作業において解説が必要なのは「タスクの作成」でしょう。ここでは、タスク作成作業について解説します。

タスク作成画面について

RE Fast Backupは、バックアップを実行するボリュームなどの情報をセットにしており、それをタスクと定義しています。バックアップを実行する際には、ここで作成したタスクを指定する必要があります。タスク作成画面は図2のようになっています。それぞれ順番に解説していきます。


図2.RE Fast Backup タスク作成GUI
図2.RE Fast Backup タスク作成GUI

“タスクID”は、ここで作成するタスクの名前です。この名前をバックアップ実行時に指定することになります。バックアップするボリュームの名前など、後々わかりやすいものを設定するとよいでしょう。

“説明”には、このタスクの説明を入力します。オプション・フィールドなので、特に必要がなければ入力する必要はありません。

“バックアップ・USEREXIT”、”リストア・USEREXIT”は、バックアップおよびリストア実行の際に呼び出す外部プログラムを指定するオプション・フィールドです。バックアップ・USEREXITで入力したコマンドはボリュームコピーの実行後に呼び出され、リストア・USEREXITで入力したコマンドはボリュームコピーの実行前に呼び出されます。これを利用することによって、テープなど外部ストレージ(テープなど)に永続的なバックアップを取得することができます。

“ボリューム・マッピングの作成”ボタンをクリックすると、図3のパネルが表示されます。

ここでは、各ストレージに対応したバックアップ(ボリュームコピー)機能を選択します。画面のようにESSの場合は通常Backup MethodにFlashcopyを選択することになります。


図3.RE Fast Backup ボリューム・マッピングGUI
図3.RE Fast Backup ボリューム・マッピングGUI

このパネルにおいて、バックアップ方式および整合性タスクという選択ボックスがあります。バックアップ方式の選択ボックスは、IBM ESSの場合flashcopy、flashcopy-freezeが選択可能です。flashcopyが選択された場合、IBM ESSで実装されているボリュームのコピー操作が実行されます。このボリュームコピー操作は、見かけ上数秒でボリュームのコピーが完了します。flashcopy-freezeはflashcopyにfreezeオプションを付与して実行するボリュームコピー操作です。複数のボリュームに対してflashcopyコピータスクを実行する場合などにfreezeオプションを付与して実行すると、ESSにより対象ボリュームに対する書き込みを停止します。これにより、複数のボリュームに対してflashcopyを実行した場合に発生するflashcopy開始タイミングのずれに起因するデータの不一致を防ぐことが可能です。整合性タスクとは、freezeオプションで停止したボリュームへの停止解除コマンドです。freezeオプション付きのflashcopyを実行する場合は必ず選択する必要があります。これとは別に、RE Fast Backupは、flashcopy実行時にOSレベルで書き込みを停止・再開するAIXのfreeze/thawコマンドをサポートしています。必要に応じて指定し、データの保全性を高めてください。

3. Recovery Expert Fast Backupによるバックアップの実行

<GUI編>

RE Fast Backupで利用するタスクを定義すれば、いつでもデータベースのバックアップを実行することが可能になります。データベースのバックアップを行う際は、DB2コントロール・センターから対象となるデータベースを選択後、右クリックしてバックアップ・ウィンドウを起動します。

バックアップ・ウィンドウは図4のようになります。


図4.RE Fast Backup バックアップ実行GUI
図4.RE Fast Backup バックアップ実行GUI

“バックアップ名”には、デフォルトでバックアップ・ウィンドウを起動した日時が入力されます。必要に応じて変更してください。

“選択済みソース”に表示されているデータベース・リストは、今回のバックアップ操作でバックアップされるデータベースの一覧を表示します。”追加”または”除去”ボタンを利用してバックアップ対象となるデータベースを選択します。

“使用可能なタスク”には、RE Fast Backup Administration windowで作成したタスクで、今回のバックアップに利用できるものが表示されています。複数のタスクがある場合はその中から選択することになります。

“すぐにバックアップ”をクリックすることによって、即時にバックアップが実行されます。

“保管”は、現在のバックアップ構成を保存します。このバックアップ構成を、RE Fast Backupでは”バックアップ・セッティング”と定義しています。”バックアップ・セッティング”には、バックアップすべき対象となるデータベースおよびバックアップに利用する”タスク”が定義されています。これを用いたコマンドラインからのバックアップ方法は次のセクションで解説します。

<CLI編>

スケジューラーを利用した自動バックアップなどを目的として、RE Fast BackupはCLIを用意しています。CLIからは以下の操作が実行可能です。

  • バックアップ履歴の確認
  • バックアップ・セッティングの確認
  • バックアップの実行
  • バージョンの確認

これらの操作は、すべてbin/gdbtaskコマンドで実行可能です。構文は以下のようになっています。

Usage: gdbtask backup  -name <history name> [-description <description>]
                      -setting <setting name> [-check [ on | off ]]
                      [-o [replace]]
                      [-host <host name>]
                      [-user <user id> -using <password>]

       gdbtask list {[backup] | setting } [-o header]

       gdbtask version [-a | -all] [-s | -short]

バックアップを実行する際には、バックアップ名と利用するバックアップ・セッティングを入力する必要があります。例えば、バックアップ名を”backup_20060630”とし、利用するバックアップ・セッティングが”bkup_db1”である場合は、以下のようにコマンドを実行します。

 > gdbtask backup -name backup_20060630 -setting bkup_db1
 

バックアップ名を日時などから自動で生成するスクリプトを作成し、スケジューラーに登録することで、自動バックアップが可能になります。




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まとめ

本稿では、Recovery Expert V2.1Fast Backupの概要と、実際の利用方法を紹介しました。RE V2.1では、問題発生時などの解析・復旧ツールとしてだけではなく、コントロール・センターGUIから簡単にネットワーク・ストレージ上のデータベースのバックアップが可能になりました。さらにテープにデータを保管することも自動で行うことが可能であるため、データの永続的な保護にも利用できます。操作が簡単で有益なツールなので、機会があれば実際に利用してみてください。



参考文献



著者について

貝嶋創はソフトウェア開発研究所のエンジニアであり、RE Fast Backup の開発に携わっています。この仕事に就く前はDB2のバリデーション・プログラムを用いたテストを行い、他社製SANのDB2バリデーション・テストなどを行っていました。




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