IBM Content Navigator 概説

IBM Content Navigator の導入、構成手順、機能について紹介します

2012年 12月に IBM Content Navigator V2.0.1 が出荷されました。Content Navigator はコンテンツ・リポジトリーに保管されたコンテンツ (Office 文書、画像、動画など) を利用するためにユーザーに提供される最新の Web クライアントです。IBM が提供する FileNet P8、IBM Content Manager (CM)、Content Manager OnDemand (CMOD) コンテンツ・リポジトリー製品をサポートし、これらのリポジトリー上のコンテンツを同じユーザー・インターフェースで利用することが可能になりました。CMIS (Content Management Interoperability Standard) サービスの提供により、CMIS 標準を使用するサード・パーティーのコンテンツ・リポジトリーもサポートしています。

Content Navigator はエンド・ユーザーが業務を効率的に進めるための、豊富で柔軟なコンテンツ管理機能を提供します。簡単な操作で、リポジトリー上にコンテンツを追加したり、検索、表示したりすることができます。さらに、Content Navigator はモバイル・デバイスからアクセスすることもできます。モバイル・デバイスのカメラで撮った写真をその場でリポジトリーに追加するような使用方法が期待されます。2.0.1 からの新機能としては、Microsoft Office との統合機能が提供されます。この記事では、IBM Content Navigator の概要について紹介します。

森下 亜里, ソフトウェア開発研究所, 日本アイ・ビー・エム株式会社

森下 亜里は IBM ソフトウェア開発研究所のエンジニアです。



栗原 淳圭, ソフトウェア事業, 日本アイ・ビー・エム株式会社

栗原 淳圭は IBM ECM ソフトウェアのクライアント・テクニカル・プロフェッショナルです。



2013年 1月 10日

Content Navigator のアーキテクチャー

まずは Content Navigator のアーキテクチャーについて見ていきましょう。図 1 に Content Navigator の基本構成を示しています。

図 1. アーキテクチャー
Content Navigator基本構成図

Content Navigator は MVC (model-view-controller)アーキテクチャーを採用し、機能的に分割された以下のコンポーネントから構成されています。

  • Visual Widget ライブラリー

    Search Form、Folder Tree、Content Viewer、Content List などのウィジェットが提供されています。Content Navigator の外観はこれらのウィジェットから構成されています。

  • Modeling ライブラリー

    モデリング・クラスはビジネス・ロジックを提供するクラスです。Mid-tier サービスを通じて、コンテンツ・リポジトリーとの通信を行います。

  • Mid-tier サービス

    コンテンツ・リポジトリーとの接続を提供します。FileNet P8 および IBM CM との接続に必要なコネクターファイル (Java API) は Content Navigator と同時に導入されます。IBM Content Analytics with Enterprise Search (ICA) 検索などを利用する場合は、プラグインを導入することもできます。


導入と構成の流れ

次に、実際に Content Navigator を使用する場合の手順について説明します。

前提タスクの実行

Content Navigator を導入する前に前提ソフトウェアを導入します。Content Navigator は、アプリケーション・サーバーにデプロイされますので、アプリケーション・サーバーを用意します。また、構成情報とユーザー情報をデータベースに格納するため、データベース・サーバーを導入し、データベースを作成しておきます。データベースは UTF-8 で作成します。なお、CMOD をリポジトリーとして使用する場合は、Content Manager OnDemand Web Enablement Kit (ODWEK) を導入します。

導入

インストーラーを起動し、指示にしたがってインストールを実行します。

構成

構成およびデプロイメントツールを実行し、指示にしたがって構成を行います。途中でリポジトリーの選択を行い、接続するリポジトリーの情報を入力します。この構成ツールの中で、Web アプリケーションが構築され、デプロイされます。

図 2. 構成とデプロイメントツール
構成とデプロイメントツールにてDeploy the Web Application設定後の画面

構成後タスクの実行

構成ツールは、Content Navigator が使用するデータベースを更新するスクリプトを生成します。Windows の場合、スクリプトは C:\Program Files(x86)\IBM\ECMClient\configure\dbscripts\database_type\modified ディレクトリーに作成されます。このスクリプトを使用して、前提タスクで作成しておいたデータベースを更新します。HTML/PDF ビューアーを使用する場合は、アプリケーション・サーバーの PATH 環境変数に Oracle Outside In ライブラリー・ディレクトリーを追加します。

WEB 管理ツールによる構成

Content Navigator の導入と構成が完了したら、WEB 管理ツールを使用してクライアントを構成します。WEB 管理ツールは WEB クライアントに組み込まれています。http://host_name:port_number/context root/?desktop=admin の形式で URL を入力して、WEB 管理ツールにアクセスします。デフォルトのコンテキスト・ルートは navigator です。少なくとも、リポジトリーの構成と、デスクトップの定義が必要です。

  • リポジトリーの構成

    Content Navigator を使用するには、ひとつ以上のリポジトリーに接続し、構成する必要があります。WEB 管理ツール上で、新規リポジトリーを作成します。FileNet P8 リポジトリーの場合、サーバー名のほか、オブジェクト・ストアも指定します。

  • ビューアー・マップの設定 (オプション)

    デフォルトのビューアー・マップが用意されていますが、それ以外のマッピングを使用したい場合は、ビューアー・マップを新規に作成します。ビューアー・マップには各 MIMETYPE ごとに、関連づけるビューアーを指定します。たとえば MS Office 文書を PDF に変換して表示することなどが可能になります。

  • デスクトップの定義

    デスクトップは使用できる機能と、Web クライアントの外観を決定します。新規デスクトップを作成し、ユーザーがアクセスするリポジトリーを指定するほか、使用するビューアー・マップも指定します。 外観タブを開き、メニューに表示する機能を変更することもできます。選択できる機能には、お気に入り、参照、検索、チームスペース、作業があります。ここで定義したデスクトップ ID はデスクトップにアクセスする時に使用するので、ユーザーに通知します。http://host_name:port_number/context root/?desktop=desktop_ID の形式でアクセスします。ユーザーグループごとに複数のデスクトップを定義し、ロゴや色などの外観を変更したり、メニュー、使用できる機能などを制限することもできます。

図 3. 管理コンソール
管理コンソール デスクトップ: filenet 一般タブよりデスクトップ構成の設定画面

IBM Content Navigator の基本機能

ここでは、IBM Content Navigator の基本機能である、コンテンツの表示、検索、管理、ワークフロー、チームスペースについて説明します。

コンテンツの表示

IBM Content Navigator WEB クライアント上にログインすると、コンテンツが階層フォルダー上に表示されます。以下の例では、filenet デスクトップ上の、テストフォルダーにあるコンテンツが表示されています。右のペインには、コンテンツのサムネイル、プロパティが表示されます。コンテンツ名をダブルクリックして、コンテンツを別ウィンドウで表示することができます。表示は、ビューアー・マッピングの指定に基づいたビューアーによって表示されます。

以下のビューアーが利用できます。

  • Content Navigator ビューアー
  • FileNet ビューアー
  • Adobe Reader ビューアー
  • Web ビューアー
  • HTML/PDF 変換ビューアー
図 4. クライアント
WEBクライアントの参照ビューを開き、filenetデスクトップ上のテストフォルダーにあるコンテンツを表示している画面。右のペインには、コンテンツのサムネイル、プロパティが表示されている。

Content Navigator ビューアー上では、付箋、スタンプ、テキストなどの注釈をつけることもできます。

図 5. Content Navigator ビューアー
Content Navigatorビューアー上でコンテンツを表示している画面。Content Navigatorビューアーで表示されているコンテンツ上に付箋、スタンプをつけている。

コンテンツの検索

メタ情報検索の他、コンテンツの全文検索を行うこともできます。付属の ICA (IBM Content Analytics) with Enterprise Search プラグインを使うと、ICA による高度な全文検索機能であるエンタープライズ検索を行うこともできます。

図 6. ICA 検索
Content Analyticsビューを開き、ICA検索を実行した画面。検索キーワードでヒットした部分がハイライト表示されている。

コンテンツの管理

Content Navigator 上では、簡単な操作でコンテンツの管理をすることができます。たとえば、ファイルシステム上のファイルを Content Navigator 上のエクスプローラー形式のフォルダーにドラッグアンドドロップすることにより、リポジトリーに追加できるほか、同様の手順でフォルダー間を移動させることもできます。そのほか、フォルダーの新規作成、ファイルのチェックイン、チェックアウト、削除、プロパティの編集、ダウンロードなど豊富なコンテンツ機能があります。ファイルを PDF や HTML に変換して表示し、変換した形式でダウンロードすることもできます。バージョン管理機能を使用すれば、マイナーバージョンとメジャーバージョンの管理をすることができます。

ワークフロー

コンテンツ・リポジトリー製品で作成したワークフローを Content Navigator 上で起動することができます。ワークフロービューにはユーザーの受信トレイが表示されます。ユーザーはワーク・アイテムにコンテンツを添付したり、プロセスを進めたりすることができます。

図 7. ワークフロー
ワークフローをContent Navigator上で起動した画面。ワークフロービューに受信トレイが表示されている。

チームスペース

Content Navigator は IT 部門のサポートなしに、エンド・ユーザーがチームやプロジェクトの協業スペースを迅速に構築する機能を提供しています。チームスペースには、階層状のフォルダー構成、頻繁に利用する検索条件、ユーザーのロールやアクセス権などを定義します。たとえば定期的に実施される作業のチームスペースを作成し、作業にあたって必要なコンテンツや検索条件などを登録しておけば、作業を効率的に行うことができます。チームスペースはお気に入りに入れることもできるので、ユーザーは Content Navigator にログオンしてすぐにチームスペースで必要な作業を行うことができます。

図 8. チームスペース
チームスペース・ビューから「ECMプロジェクト」のチームスペースを開き、スペース内の申請書類フォルダー内のコンテンツをリストしている画面

Microsoft Office アプリケーションの統合

Microsoft Office アプリケーション統合を使用すると、Microsoft アプリケーションから Content Navigator にアクセスできるようになります。アプリケーションの中から、直接コンテンツ・リポジトリーに対して Office 文書の追加、チェックイン、チェックアウト、プロパティの表示/変更などができます。また、アプリケーションの中からチームスペースにアクセスし、チームスペース内の文書を参照したり、検索を使用したりすることもできます。

図 9. Microsoft Office アプリケーション統合
Microsoft Officeアプリケーション上で「IBM ECM]タブを開いている画面。Content Navigatorのメニューが表示されている。

Office 文書のレビュー・プロセス

Microsoft Office アプリケーション統合は、FileNet P8 のワークフロー定義を提供します。これを使用すると、コンテンツをレビュー、承認または差し戻しをするプロセスがすぐに使用できます。ユーザーは Microsoft Office アプリケーション上でレビューする文書とレビューアーを指定してプロセスを開始します。レビューアーはアプリケーション上の作業リストに処理が必要なプロセスが表示されるので、文書をレビューし、承認または差し戻しをします。レビューが終了すると、プロセスを開始したユーザーに結果が通知されます。

図 10. Microsoft Office 文書レビュー・プロセス
Microsoft Officeアプリケーション上で「プロセス・タスク」の「履歴」を開いている画面。文書レビュー・プロセスの履歴が、日付・ユーザー・応答・コメント情報と共に表示されている。

カスタマイズ

Content Navigator は、HTML5,JavaScript,CSS3 などのオープンな Web 標準技術の採用と MVC (model-view-controller) アーキテクチャー (Visual widget 階層・JavaScript modeling 階層・Midtier services 階層) の採用により、拡張性と柔軟性の高い強力な開発フレームワーク環境を提供しています。ユーザーは Content Navigator が提供する API を使用して、カスタム・アプリケーションを開発し、Content Navigator の機能として組み込むことができます。

Content Navigator は Plug-in を開発するための Java API と、Plug-in を使用するためのカスタム・ウィジットを開発するための JavaScript API を提供しています。ユーザーが開発するアプリケーションは Content Navigator の外部で独立して動くので、Content Navigator 本体のリリース・アップの影響を受けません。

製品の標準 Plug-in としては、ICA with Enterprise Search Plug-in と外部データソース連携の External Data Service Plug-in を提供しています。


まとめ

本稿では、IBM の提供する最新のコンテンツ管理の Web ユーザー・インターフェースである IBM Content Navigator の機能の概要を紹介しました。Content Navigator により、エンド・ユーザーはリポジトリー上のコンテンツを簡単に利用できるようになり、コンテンツ管理システムの開発者にとっては、開発生産性の向上が期待できます。IBM の既存のコンテンツ・リポジトリーのお客様、これからコンテンツ・リポジトリーを検討されるお客様に是非ご利用いただきたいと考えています。

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ArticleTitle=IBM Content Navigator 概説
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