レベル: 中級 Uche Ogbuji (uche@ogbuji.net), Consultant, Fourthought, Inc.
2002年 1月 01日 今回のコラムでは再び息抜きとして、新しい出来事やこれまでの話で見落としていた出来事を見ていくことにします。今回Uche Ogbuji氏は、共通のビジネス・トランザクションのための、以前から採り上げたいと思っていたいくつかの古いXMLスキーマ・システム (xCBL、cXML)、この分野への新参者 (UBL)、さらに広範なRDFの世界で行われた更新について吟味します。
今回のコラムでは、前に言ったように、少し寄り道をして、これまで説明したテクノロジーの最新の変更内容を検討することにします。政治および哲学的な圧力が競争的な分野の形を変えさせたことにより、意味体系の透過性、共用ビジネス意味体系、メタデータ、およびナレッジ管理は、すべて、絶えず変化しつつあります。
今回は、前に私が無視してしまった2つのテクノロジー、XML Common Business Library (xCBL) およびCommerce XML (cXML) を採り上げることにします。また、ビジネス交換フォーマットの競争に新しく参加してきた、Universal Business Language (UBL) にも目を向けることにします。最後に、RDFファミリーの仕様の変更について検討します。このシリーズの最初の3回の記事を読んでいない読者には、必要な背景知識を得るために、これらの記事を読むことをお勧めします (参考文献を参照)。
xCBL: 問題の核心
XML Common Business Library (xCBL) は、ビジネス・トランザクションのための共通の意味体系およびフォーマットを提供するための、最も成熟し (1997年に誕生し、現在はバージョン3.5になっています)、焦点の定まった成果の1つです。xCBLは、こうしたトランザクションが通常は電子形式による文書交換であるという事実を強調しています。原始的なリモート・プロシージャー呼び出し (RPC) がXMLベースのビジネス・サービスにおける議論の的になっている今日、これは鋭い認識と言えます。xCBLは、私の記事で紹介したRosettaNetやebXML、あるいはOpen Buying on the Internet (OBI) などの、より広範囲な、または異なる範囲の作業とともに使用するために設計されています。また、EDIを基礎としているため、意味体系の透過性の実現を目指してこれまでに行われたあらゆる作業の成果を利用することができます。
xCBLはCommerce One, Inc. が先頭に立って開発してきたもので、DTD、XSD、およびその他のスキーマ言語によって提供される、低レベルの文書指向トランザクションのためのスキーマに焦点を当てています。そのルーツは、こうした文書を交換するためのフレームワークを提供するeCo (これについては、このコラムですでに触れました) と同じです。これらのスキーマ・コレクションはすべて、xCBLのホーム・ページや、XML.orgのようなその他の公用XMLスキーマ・リポジトリーから、自由ライセンスにより無料でダウンロードすることができます。ただし、私が試したところ、xCBLのホーム・ページからxCBL 3.5をダウンロードすることはできませんでした。ライセンスを受け入れた後で、認証を求める予期しない要求が現れましたが、その適切な証明方法が思い当たりませんでした。XML.orgからxCBL 3.0は入手できましたが、これは最新バージョンではありません。xCBLはまた、xCBLスキーマとANSI EDIやその他のXMLフォーマットなどの、別フォーマットとの間のマッピングに多くの努力を傾けています。これらのフォーマットでは、便利な正規表現や、こうしたマッピングを構成するためのXPath式を使用するスプレッドシートが提供されています。
提供されたスキーマは、さまざまな購入注文フォーマットから商品カタログまで、通常の文書全般を扱うことができます。このスキーマの背景にある多くの設計原則は、XMLの中核的な強みを利用することを狙い、電子的なビジネス取引では、無駄な表現を削除するよりは、文脈に応じて豊かな表現を強調すべきであることを認識しているようです。たとえば、フィールド長には制限がありません。このことは、これまでEDIのインプリメンテーションをかなり困難にし、機械的な適用を強いていた原因を軽減します。
cXML: Commerce XML
時間を少しさかのぼると、1999年にAriba, Inc. をはじめとするいくつかの企業のコンソーシアムが、商取引スキーマの集合であるCommerce XML (cXML) の開発を開始しました (cXMLのFAQによると、DTDの使用は「W3C XML Schema提案をインプリメントするパーサーが、安定化して一般的になるまで」だけだそうです)。このコンソーシアムが目指したのは、cXMLを利用するシステムを反復的に開発するための軽量スキーマと高速プロトタイピングです。cXMLは、開発者が正当に、あるいは誤ってEDIと関連付けてしまう問題を避けるため、EDIを参照せずに明示的に設計されています。したがって、xCBLと直接に競合します。
cXMLの文書タイプには、通常の範囲の購入注文、送り状、配送通知、主要契約などが網羅されています。最新バージョンである1.2006は、ライセンスに関する明示的な同意なしに自由にダウンロードすることができ、パッケージにはDTDによるcXMLホーム・ページへの参照があるだけで、ライセンス・ステートメントは含まれていません。このホーム・ページを参照すると、「この文書に含まれる情報は通知なしに変更される場合があります」という不気味な脚注があることを除き、かなり自由なライセンスが表示されます。ライセンスが製品に書き込まれず、いつでも変更可能なWebページへの参照によって示されているという事実は、cXMLを普及させてから、その所有者 (ライセンスにはAribaであると記載されています) が利益を吸い上げたり、ライセンス交付条件を変更して競争相手をふるい落としたりするという、トロイの木馬もどきのずる賢い手口を思い起こさせます。私よりも知的所有権に詳しい人々は、これを、悪評の高いUCITAの法案ひな型によって容易になった策略の例にほかならないと考えています。
UBL: 世界を手中に収めようとするぶしつけな若者
「生き残るのは唯1人」 ... 「1つの指輪はすべてを統べる」 ...
これらの映画の宣伝コピー (それぞれ「ハイランダー」および「指輪物語」より) は、選ばれし者の精神を表していますが、XMLに基づくエレクトロニック・コマースに唯一の国際標準はあり得るでしょうか ?皮肉なことに、独創的な試みが次々と登場しているため、実際には、唯一の地位 を求めて多数のものが作られることになります。最新のライバルには、その野望にふさわしい名前が冠されています。すなわち、Universal Business Language (UBL) です。UBLは2001年10月17日に発表されたもので、商取引用の文書のライブラリーを作成するためのOASIS技術委員会の努力成果を反映しています。UBLの目標を表現するのにxCBLの言語と類似した言語が使用されていることは、偶然の一致ではありません。UBLの多くの部分はxCBL 3.0の拡張機能として開発が進められたものです。その目標として掲げられていたものは、ebXMLおよびその方向に沿った他の次世代EDIにきわめて適合したものでした。XMLの生みの親の1人であるJon Bosakは、UBLを開発する技術委員会の委員長でした。このため、最初からこの開発は高い信頼を得ていました。
UBLの多くの目標は、このコラムで述べた他の作業と類似しています。BosakはXML.comのインタビューで注目すべき原則を述べています。それによると、UBLは、大規模な多国籍企業や経済的に発展した国に基盤を置く企業よりも、むしろ世界中の小規模企業の利益を目的としているとのことです。
「これまで力説されてきたことは、ほとんどが、大きな多国籍企業同士がビジネスを行えるようにするための方法であり、小規模な企業が同じバーチャル・ビジネスの環境で競争できるようにする方法については、ほとんどと言っていいほど注意が払われてきませんでした。しかし、世界中のほとんどの事業は、実際には小さな会社によって行われています。私は、パキスタンにある従業員5人の織物工場が、ゼネラル・モーターズから発注されたシート・カバー100万枚のうち、100枚を提供するための入札に参加できるようにしたいのです。両方の当事者がこの取引に対等にかかわるようにできれば、私にとってそれに勝るものはありません。」
UBLの長所は、OASISの保護下にあることです。OASISの委員会の議事手続きは公開を義務付けられていて、個々の開発者や参加者にとって参入障壁が低いことが知られています。しかし、現実には依然として、XML取引ライブラリーのうちの唯1人 が、それを守る強大なテクノロジーや産業という剣もなしに、覇権を握ることがあります。
RDFに対するエアブラシ仕上げ
このコラムでのRDFに注目する頻度を考えると、このW3C仕様を巡る最近の活況は注目に値します。RDF仕様の開発は、RDFのコア作業グループ (RDFCore) がまとまり、W3Cの意味体系に関するWeb活動が派生したことによって新たな活力を吹き込まれ、再び注目されています。今年初めに設立されたRDFCoreは、オリジナルのRDF仕様に含まれる、問題をはらむ多くの詳細事項を、少しずつ念入りに修正することに取り組んできました。また、徹底した問題トラッカーが維持され、テスト担当者の陣容も強化されつつあり、RDFのモデルおよび構文に関する文書の更新も行われています。この先の目標は、RDFスキーマ仕様をまとめ上げることです。これは現在、まだ勧告候補としての段階にとどまっています。要するに、RDFCore作業グループは、意味体系に関するWebおよび知識表現コミュニティーに対してより開放的な顔を見せるために設けられているのです。
現に、開放性は、この新たな活気を生むための合言葉となっているようです。RDFCoreは、秘密主義で有名なW3Cにあって、開放性という新鮮な様式を確立しつつあります。すべての会合の議事録が公開されていますが、他の作業グループでは前例のないことです。完全なものと程遠いと見切りを付けて特定の企業の代表が脱退する恐れがあるからです。また、他の作業グループに比べて、公式のディスカッション・フォーラムへの参加や関与をはるかに重視しています。この哲学は、すでに大きな実を結びつつあるようです。RDFで活動およびディスカッションのささやかな復活が進みつつあるからです。事態がさらに落ち着くまで、このコラムでRDFを論じる際には、引き続きオリジナルRDF仕様を採り上げることにしますが、RDFCoreによって調査または変更されている分野には注意を向けるようにします。
通常のプログラミングに戻ります
来月は、既存のアプリケーションを強化するためのナレッジ管理技法の実地演習に戻ることにします。まず、問題トラッカーのモデルの定義に関するRDFスキーマについてお話しするつもりです。それと併せて、ナレッジ・システムのスキーマを設計する際に考慮する必要のある、いくつかの概念的な事柄についても説明します。
参考文献
著者について  | 
|  | Uche Ogbuji氏は、Fourthought, Inc. のコンサルタント兼共同設立者です。この会社は、企業のナレッジ・マネジメントのためのXMLソリューションを専門とするソフトウェア・ベンダー兼コンサルタント会社です。Fourthoughtでは、XML、RDF、およびナレッジ・マネジメント・アプリケーション用のオープン・ソース・プラットフォームである4Suiteを開発しています。Ogbuji氏は、ナイジェリア出身のコンピューター・エンジニア兼ライターで、現在は、米国コロラド州ボールダーに住み、そこで働いています。Ogbuji氏の連絡先はuche.ogbuji@fourthought.com です。 |
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