レベル: 中級 Uche Ogbuji (uche@ogbuji.net), Principal Consultant, Fourthought, Inc.
2002年 6月 01日 基本データ・フォーマットとしてのXMLの成功は、疑う余地がありません。しかし、XML 1.0で約束された多くのこと (企業が相互に通信する方法の統一から、Webをさらにインテリジェントなものにすることまで) は、まだ達成されていません。このコラムのテーマは、XMLを意味体系共用のために、したがってまた知識の共用のために使用することです。Ogbuji氏は今回、Open Applications Groupおよび米国国防総省 (DoD) の最近の開発のコンテキストで、この分野における現在までの進歩について検討を加えています。
XMLは最近4周年を祝いました。この4年間に、XMLはおそらく、1つの専門語で言い表される他のどのテクノロジー・グループよりも多くのことを成し遂げてきました。今では、XML交換機能付きで配置されるというのが、あらゆる種類のソフトウェア・システムの慣例となっています。データベース管理システムからプログラム言語まで、ほとんどの開発ツールは、XML処理機能とともに出荷されるようになっています。
XML 1.0が紹介されたときには、ハッカーのツールボックスに追加すべき貴重なツールという位置付けに留まらず、情報をより自由に共用できるようにするためのシステムであると称されていました。XMLは、組織間でのエレクトロニック・コマースの基礎になるフォーマットを標準化すること、および、気の利いた検索エンジンと次世代分散アプリケーションのサポートを備えた、よりインテリジェントなWebの基礎を提供することを約束しました。
こうした約束の核には、タグの付いた単純な文書を共用するだけにとどまらず、文書のタグの背後にある概念 のいくつかを共用できる機能があるからです。これは、意味体系を共用するという考え方であり、またこのコラムの中心テーマでした。私は、XMLフォーマットの辞書およびマップを確立して、綿密で正式な文書 (例えば、RosettaNetやebXML) で意味体系を共用できるようにするための、組織的な努力について論じてきました。また、RDFを使用してプログラム内で意味体系を表現するための、実際的な技法についても説明しました。そうした作業を行うためのテクノロジーの基礎は、このコラムで示したように、すでに存在しています。しかし問題は、よりソフトな基礎が確立できるかどうかということです。
ここで言うよりソフトな基礎 とは、合意のことです。世界のすべてのコンソーシアム、レジストリー、リポジトリー、スキーマ言語、およびボキャブラリーは、合意を形成して公認のものとするために依拠できる、十分な数の人がいなければ成り立ちません。購入注文を構成する定義は数100ありますが、XML関連のテクノロジーが提案するツールを使用して、ある購入注文形式と他の購入注文形式を調和させようという十分な意欲はあるのでしょうか?
このコラムの残りの部分では、通常どおり、意味体系透過性の分野における最近の進展を探ることにします。この分野でまだ多くの活動が行われているということは、XMLの遠大な約束を果たす機会がまだあることを示しています。
OAGの行進
Open Applications Group (OAG) も、組織間で交換するためにXML形式を標準化しようとしている、先駆的なグループの1つです。彼らの中核的な作業の成果は、Open Applications Group Interoperability Standard (OAGIS) であり、最近、この新規リリースであるバージョン8.0が発表されました。OAGISには、XMLでフォーマットされた、共通的な商取引のためのメッセージ・セットの集合が含まれます。これらはBusiness Object Documents (BOD) と呼ばれます。共通的なビジネス対話を形成するメッセージのシーケンスは、シナリオと呼ばれます。OAGは、電子的なアプリケーション統合 (EAI) 機能、基本的またはセキュアなHTTPまたはSMTP、またはSOAPを使用して、あるいはebXMLフレームワーク内で、ユーザーが各BODをシナリオの形で直接交換できるようにしています。
OAGISのバージョン8.0は、バージョン7.2.1と同じBODのコレクションを提供します。より記述的なタグ名のサポートが追加されましたが、ほとんどの変更は、技術的な機能仕様の追加です。特に、BODがW3C XML Schema Definition Language (XSDL) 定義を備えるようになり、また、メッセージ内容に基づいてアプリケーション実行を統合するように、XPathを使用して定義されたマッピングがあります。バージョン8.0のBODのすべての文書は、密接に相互参照されたHTMLで提供されています。
OAGは、他のグループとの相互運用性についても、非常に真剣に考慮しているようです。7.2.1リリースですでにebXML、RosettaNet Implementation Framework (RNIF)、およびMicrosoftのBizTalkがサポートされていました。コアXMLテクノロジーのマッピングが追加されたことにより、あらゆる種類の汎用XMLツールでOAGISをサポートするための道筋がかなり明確になりました。
OAGIS 8.0は無料でダウンロードすることができます。ダウンロードすると1つの大きなzipファイルが得られますので、それをunzipし、中に含まれているindex.htmlをWebブラウザーで表示してください。このアーカイブには、XMLスキーマ (XSDL形式だけで、DTDは見当たりません) とサンプルBODも含まれています。このスキーマは巨大で、その対象は、複雑に結合し合った多数のファイルに広がっています。OAGはXML IDEを推奨しています。おそらく、無秩序に広がったスキーマ文書を理解するには、このようなツールが役に立つと想定しているのでしょう。利便性を考慮して、Xercesパーサー、Saxon XSLTエンジン、およびXSV XSDLバリデーターがバンドルされています。
また、全部で200前後に及ぶBODのサンプルも含まれています。これらのサンプルは、もう少し役立つものにできたのではないかと思います。「ここに何かストリングを入れてください」という意味なのでしょうが、いたる所に「String」などのテキストがプレースホルダーとして使用されているのです。おそらくこれは、テンプレートとしては適切なのでしょうが、サンプルとしては、あまり役に立つとは言えません。OAGはXMLツールを推奨していますので、これらのサンプルは、単なるテンプレートのつもりで作られているとは思えません (こうしたツールのどれかを使用すれば、スキーマからテンプレートを生成することは簡単にできるはずです)。むしろ、サンプルとして使用すれば、BOD文書全体の構造と意図をユーザーが理解するのに役立つはずです。このように、サンプルが不完全な点はやや悔やまれますが、BODはかなり大規模なものになる可能性がありますので、無料で使用できるパッケージに組み込むには、完全なサンプルを作成することは手間がかかりすぎると判断したものと思われます。
DISAによるスキーマへの取り組み
アメリカ政府は、国防関係のさまざまな機関を介して、Global Positioning System (GPS) からインターネットまで、多くの普及しているテクノロジーの確立に貢献してきました。特に、テクノロジーの開発に複雑な戦略展開が必要な場合には、投資リスクが大きく、また、ライバル企業や開発に寄与しなかった後発組が利益をさらってしまう可能性がありました。このような場合、私企業が投資に二の足を踏むということもあり、政府の役割は重要でした。米国国防総省 (DoD) がこのところ積極姿勢を示していることは、XML意味体系の透過性にとっては非常に良い兆しです。
DoDは、Defense Information Systems Agency (DISA) に対し、XMLコンポーネントのリポジトリーを確立する任務を与えました。これは主として、国防関連機関内で使用するためのものですが、潜在的により広い用途があることは明らかです (参考文献を参照)。このDISA (http://www.disa.mil) は、このコラムの第1回で触れたData Interchange Standards Association (http://www.disa.org) とは異なりますので、混同しないでください。民間団体のほうのDISAは、X12 EDI標準のためのAccredited Standards Committee (ASC) を主催するなどの活動を行っています。
この努力を後押しする動機は2つあります。1つは、さまざまな政府機関でXMLを使用する機会が増えていること、もう1つは、XMLを使用することの利点が標準化によって (あるいは少なくとも、各種フォーマット、最良の慣例、およびベンダー・グループと業界グループの関係を登録することによって) 増大すると期待されることです。(この多様なものの混合は、DISA内のメモではコンポーネントと呼ばれています。)DISAはすでにDoD XML Registry v2.1を管理しています。ホーム・ページにおける定義によると、このレジストリーは、「プロジェクト内および組織間でのXMLの一貫性のある使用を可能にする」ものです。具体的には、このレジストリーは、さまざまなボキャブラリーから得られて、例えば名前空間ごとに (この場合には、XML名前空間1.0のように技術的にではなく組織別に) 編成された、XML情報項目を定義しています。それぞれの名前空間にはマネージャーがあり、他の名前空間にある関連項目と相互参照されています。
例えば、Personnel という名前空間を使用してこのレジストリーを検索し、婚姻状況を定義する情報項目 (Con_MaritalStatus (1.0)) を探すことができます。婚姻状況の列挙型内の正式な値を表しているXML文書をダウンロードすることもできます(リスト1 を参照)。
リスト1: DoD XMLレジストリー内の婚姻状況情報コードの領域値を表す文書
<![CDATA[
<?xml version="1.0"?>
<!DOCTYPE DomainValueSet SYSTEM
"http://diides.ncr.disa.mil/xmlreg/DTD/registry_domain_values.dtd">
<DomainValueSet>
<EffectiveDate>10/15/2001</EffectiveDate>
<SecurityClassification>Unclassified</SecurityClassification>
<Definition>
The code that represents the Marital Status of a Person
</Definition>
<Namespace>PER</Namespace>
<InformationResourceName>Con_MaritalStatus</InformationResourceName>
<InformationResourceVersion>1.0</InformationResourceVersion>
<DomainValues>
<DomainValue>
<KeyValue>D</KeyValue>
<Description>Divorced</Description>
</DomainValue>
<DomainValue>
<KeyValue>I</KeyValue>
<Description>Interlocutory</Description>
</DomainValue>
<DomainValue>
<KeyValue>L</KeyValue>
<Description>Legally Separated</Description>
</DomainValue>
<DomainValue>
<KeyValue>A</KeyValue>
<Description>Marriage Annulled</Description>
</DomainValue>
<DomainValue>
<KeyValue>M</KeyValue>
<Description>Married</Description>
</DomainValue>
<DomainValue>
<KeyValue>N</KeyValue>
<Description>Never Married</Description>
</DomainValue>
<DomainValue>
<KeyValue>W</KeyValue>
<Description>Widowed</Description>
</DomainValue>
</DomainValues>
</DomainValueSet>
]]>
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DISAは現在、すでに相互運用を行ったり、ネットワークに残っている利益を拾い集めたりするための強力なツールとなっているこのシステムを、さらに拡張する特権を得ています。この政府プロジェクトでも、納税者の税金が有効に活用されることを願いたいものです。DISAレジストリーの詳細、および政府によるXMLテクノロジーの使用に関するその他の情報は、XML.gov Webサイトで見ることができます (参考文献を参照)。
結論
XMLはすでに異例の成功を収めていますが、XMLを踏み台にして、情報システムの効率を飛躍的に改善するには、それなりの数の人々が関与する必要があるのではないかと思います。XMLに基づいた共用意味体系に関する継続的な努力 (OAGグループによる長年の努力など) は、そのための不可欠の要素です。成功のための劇的な進歩のためには、おそらく、潤沢な資金を持ち、リスクを乗り越えて相互運用性による利益を得られるような団体による、断固とした努力が必要になります。アメリカ政府は、まさにそうした団体であると思われます。そして、DISAの努力の成果は、XMLを次のレベルに移行させる可能性を示しています。
このシリーズの次回の記事では、問題トラッカーの話に戻ることにします。基本的な素材 (XMLソース、RDFスキーマ、および照会) がそろいましたので、ミドルウェアの設定に合わせてアプリケーションを作成して、すでにアプリケーションに含まれているXMLの価値がRDFによってどのように高められるのかを示す準備が整いました。
参考文献
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Open Applications Group による「Best Practices and XML Content for eBusiness and Application Integration」をお読みください。
- アメリカ政府によるXMLの利用については、XML.gov に多数の参考資料が掲載されています。
IBMサイトにある参考文献
著者について  | 
|  | Uche Ogbuji は、次世代の Web 技術を専門とするサービスの会社である、Uli, LLC の代表者です。Ogbuji 氏は XML、RDF、およびナレッジ管理アプリケーション用のオープン・ソース・プラットフォームである 4Suite の開発リーダーであり、Versa RDF 照会言語の開発リーダーでもあります。ナイジェリア出身のコンピューター・エンジニア兼ライターで、米国コロラド州ボールダー在住です。彼に関して詳しくは、彼のブログである Copia を見てください。 |
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