IBM PureApplication System に対する準備: 第 4 回 Advanced Middleware Configuration ツールを使用してアプリケーションをクラウドにオンボードする

連載の第 4 回では、IBM PureApplication System にマイグレーションできるアプリケーションを特定した上で、Advanced Middleware Configuration を使用してアプリケーションの新しいインスタンスをクラウドにデプロイする方法を説明します。

Barton Akeley, Software Developer, IBM

Photo of Barton AkeleyBarton Akeley は、IBM Austin, Texas ラボに勤める Rational Enterprise Modernization and Compilers のソフトウェア開発者です。彼は、Rational Automation Framework、Advanced Middleware Configuration、および Rational Build Forge に取り組んでいます。



John Gough, Information Developer, IBM

Photo of John GoughJohn Gough は、IBM Austin, Texas ラボの情報開発者です。彼は、Rational Automation Framework、Advanced Middleware Configuration、および Rational Build Forge に取り組んでいます。



Lewis Shiner, Technical Writer, IBM

Photo of Lewis ShinerLewis Shiner は、ノース・カロライナ州ローリーに済む契約テクニカル・ライターです。彼は、Rational Automation Framework および Advanced Middleware Configuration に取り組んでいます。



2012年 10月 11日 (初版 2012年 5月 24日)

はじめに

IBM PureApplication System を使用すれば、ミドルウェア・トポロジーとアプリケーション構成を表す仮想サーバーを作成してクラウドにデプロイすることができます。それでも、既存のアプリケーション・インストール・プロセスの場所をクラウドに移し、そのプロセスを自動化するという課題に対処しなければならないことに変わりはありません。

この記事では、Advanced Middleware Configuration を使用してミドルウェア・トポロジーとアプリケーションを取り込み、そのデプロイメントを自動化する手順を詳しく説明します。このプロセスは、「オンボード」と呼ばれます。

実際の作業に取り掛かる前に、記事の手順をひと通り読んで、必要なすべてのステップを完了するために必要な権限を持っていることを確認してください。


仮想アプリケーション・パターンと仮想システム・パターンの違い

仮想アプリケーション・パターンと仮想システム・パターンのどちらを選択するかについての詳細は、この連載の最初の 2 回の記事、「第 1 回 アプリケーションのオンボードに関する概要」および「第 2 回 アプリケーションを仮想化する準備はできていますか?」を参照してください。


Advanced Middleware Configuration を使用する必要がある場合

PureApplication System には、ワークロードとして Advanced Middleware Configuration が組み込まれています。Advanced Middleware Configuration は構成データをフレームワーク・サーバーに保管し、AMC インポート・スクリプト・パッケージを使用して構成データを更新します。アプリケーションを含め、この構成データが AMC 統合スクリプト・パッケージによって新しい仮想システム・パターンに取り込まれます。

以下の条件のうち 2 つ以上が当てはまる場合には Advanced Middleware Configuration を使用してください。

  • アプリケーションを仮想システム・パターンとしてデプロイしたい。
  • アプリケーションのインストールおよび構成に使用できる、信頼できるエンド・ツー・エンドの自動化が用意されていない。
  • 既存の自動化が、単一のトポロジーに固有のものである。
  • 下位レベルの自動化への投資を削減したい。
  • WebSphere 製品をクラウドにマイグレーションしたい。

仮想アプリケーションとして実行できるアプリケーションと実行できないアプリケーションについての詳細は、連載第 2 回「アプリケーションを仮想化する準備はできていますか?」を参照してください。


オンボード・プロセスの概要

オンボード・プロセスの内容は以下のとおりです。

  • 既存の WebSphere Application Server セルのトポロジーをクラウドにコピーする。
  • そのパターンから、モデル・サーバー・イメージを作成する。
  • アプリケーションをインストールし、モデル・サーバー上にセルを構成する。
  • パターンと Advanced Middleware Configuration の両方に新しい情報を保存する。
  • モデル・サーバーの複数のインスタンスをデプロイする。

この記事では、オンボード・プロセスの詳細な手順を以下のセクションに分けて詳しく説明します。


フレームワーク・サーバーを作成する

ワークロード・コンソールで、「Patterns (パターン)」 > 「Virtual Systems (仮想システム)」の順にクリックします。左側の「Virtual System Patterns (仮想システム・パターン)」リストで、「Advanced Middleware Configuration 1.0」という名前で提供されるパターンをクリックします。

図 1. フレームワーク・サーバーをクラウドにデプロイする
フレームワーク・サーバーをクラウドにデプロイする

このパターンをデプロイするには、ただ単に「Deploy (デプロイ)」をクリックする (つまり、雲の上に緑色の矢印が示されたアイコンをクリックする) だけです。新規インスタンスに名前 (例えば、AMCFrameworkServer) を設定してください。パターンがデプロイされると、コンソールに新規インスタンスが自動的にロードされます。

次のステップでは、作成した仮想システム・パターン (VSP: Virtual System Pattern) に対して一意のユーザー ID とパスワードをセットアップします。この ID は、スクリプト・パッケージとフレームワーク・サーバーとの間の通信で使用されます。

  1. インスタンス名の隣に「準備完了」アイコン (緑色のボックスの中の白い矢印) が表示されるか、「Current status (現在の状況)」フィールドに「Virtual system is ready (仮想システムが作動可能です)」と表示されるまで待ちます。
  2. Virtual machines (仮想マシン)」を展開します。
  3. 表示されている最初のマシンを展開します。マシンの表示の一番下までスクロールして「Console (コンソール)」セクションを見つけたら、「AMC」をクリックします。新しいブラウザー・ウィンドウが開き、Advanced Middleware Configuration の Web クライアントが表示されます。

フレームワーク・サーバーのユーザーを作成する

自動化エンジンのデフォルトのユーザー名とパスワードは、root/root です。フレームワーク・サーバーのホスト名とユーザー資格情報をメモしておいてください。これらの情報は、後で統合スクリプト・パッケージを構成する際に必要になります。

  1. フレームワーク・サーバーにログインします。
  2. 「Administration (管理)」 > 「Users (ユーザー)」の順にクリックします。
  3. 新規ユーザーのデータ (e-メール・アドレスとパスワードを含む) を入力します。
  4. ユーザーを保存します。
  5. ユーザーのリストで新規に作成したユーザーを選択し、詳細ペインをロードします。
  6. Change Groups (グループの変更)」タブをクリックします。
  7. 左側に記載された使用可能なグループのリストから「Build Engineer (ビルド・エンジニア)」を選択し、「Add (追加)」ボタンをクリックします (図 2 を参照)。
    図 2. ビルド・エンジニア・グループを追加する
    ビルド・エンジニア・グループを追加する
  8. Save (保存)」をクリックします。

モデル VSP を作成する

Advanced Middleware Configuration フレームワーク・サーバー上では、構成情報が環境別に分類されます。環境とは、1 つ以上の WebSphere セルを含めるコンテナーのことです。Advanced Middleware Configuration には、環境生成ウィザードが用意されています。ユーザーはこのウィザードを使用して、フレームワーク・サーバー上に環境を作成できるだけでなく、PureApplication System 内に VSP を作成することもできます。

次のステップは、デプロイ対象のアプリケーションをサポートする外部セルのトポロジーをインポートすることです。この記事では、WebSphere Application Server 用に用意された DefaultApplication パッケージに含まれる HitCount アプリケーションを使用して、単純な例を説明します。トポロジーとアプリケーションは別々にクラウドに取り込む必要があることに注意してください。クラウドに取り込んだトポロジーとアプリケーションを結合して、モデル・サーバーを作成することになります。

Virtual System Pattern Name (仮想システム・パターン名)」を空白のままにすると、ウィザードは構成環境だけを作成し、VSP は作成しません。

以下の手順に従って、HitCount サーバーのトポロジーをインポートします。

  1. Advanced Middleware Configuration の Web インターフェースで、「EnvGen (環境の生成)」タブをクリックします。
  2. Read an Existing Cell Configuration (既存のセル構成を読み取る)」をクリックします (図 3 を参照)。
    図 3. 環境生成ウィザード
    The Environment Generation wizard
  3. 表 1 に記載する値を使用して、ウィザードのフィールドを入力します。この表は、すべてのフィールドを網羅しているわけではないことに注意してください。記載されている値は、絶対的な値ではなく、代表的な値の例です。
表 1. 環境生成ウィザードに入力する値の例
ウィザードのフィールド
Product or User Template (製品またはユーザー・テンプレート)製品
Environment Name (環境名)ExistingHitCountEnv
Existing Server Host Name (既存のサーバー・ホスト名)external.host.example.com。これは、セルのマスター構成データを保管する dmgr またはスタンドアロン・サーバーのホストです。
OS Username (OS ユーザー名)
OS Password (OS パスワード)
この 2 つは、上記のフィールドに指定したホストに接続するために必要な資格情報です。
Profile Root Directory (プロファイルのルート・ディレクトリー)/opt/IBM/WebSphere/Profiles/DefaultDmgr01
Create a pattern from this environment? (この環境からパターンを作成しますか?)Yes (はい)
Place this environment under source control? (この環境をソース・コントロールの対象にしますか?)No (いいえ)。この記事では、ソース・コントロール管理の問題については取り上げません。
  1. VSP に関する質問を表示するために「Next (次へ)」をクリックします。すると、ウィザードの次のページが表示されます。
  2. 表 2 に記載する値を使用して、VSP ページのウィザードのフィールドを入力します。この表は、すべてのフィールドを網羅しているわけではありません。図 4 に記載されている値は、絶対的な値ではなく、代表的な値の例です。
表 2. 環境生成ウィザードの VSP ジェネレーター・ページに入力する値の例
ウィザードのフィールド
Virtual System Pattern Name (仮想システム・パターン名)HitCountPattern
Deployment Console Hostname (デプロイメント・コンソールのホスト名)deployer.example.com。 このアドレスは、PureApplication System デプロイメント・コンソールを指しています。このシステムならびにこのプラットフォーム・タイプにも、資格情報が必要です。
Framework Server User (フレームワーク・サーバーのユーザー)フレームワーク・サーバーに対する一意のユーザー名。ウィザードがログインするために使用することができます。パスワードも必要です。LDAP ドメインはオプションです。
Database Details (データベースの詳細)JDBC 構成でのホスト名、ユーザー、パスワード、ポート番号を更新する場合に使用できる、オプションのフィールドです。
図 4. VSP ジェネレーター・ページ
VSP ジェネレーター・ページ
  1. Next (次へ)」をクリックします。すると、VSP が自動的に作成されます。

新規 VSP をプロビジョニングしてデプロイする

前のステップで作成された VSP には、Advanced Middleware Configuration に固有の 2 つのスクリプト・パッケージが付随します。

  • AMC インポート・スクリプト・パッケージ: フレームワーク・サーバー上のセル定義を、対応する VSP の現在の状態で更新します。
  • AMC 統合スクリプト・パッケージ: 新規 VSP を、フレームワーク・サーバー上の対応するセル定義の情報で更新します。

インポート・スクリプト・パッケージについては後で取り上げるとして、現時点で関係してくるのは、VSP の新規インスタンスをデプロイするときに使用する、統合スクリプト・パッケージのみです。環境生成ウィザードを使用して VSP を生成すると、ウィザードはユーザーが VSP ページに入力した情報を使用して統合スクリプト・パッケージをプロビジョニングします。この情報には、トポロジーのコピー元の外部サーバーを表すためにセットアップする構成環境の名前も含まれます。

モデル・サーバー・インスタンスを作成するために新規 VSP をデプロイするときには、フレームワーク・サーバー上に新しい構成環境を作成する必要があります。この構成環境は、デプロイ時に動的に作成することができます。

  1. ワークロード・コンソールで、「Patterns (パターン)」 > 「Virtual Systems (仮想システム)」の順にクリックし、前のステップで環境生成ウィザードによって作成された VSPの名前 (この例では、「HitCountPattern」) をクリックします。
  2. Deploy (デプロイ)」をクリックします。
  3. 新規に作成するインスタンスの名前を入力します。このインスタンスは、これから作成するインスタンスのモデルとしての役割を果たすため、この記事では「VirtualHitCountEnv」という名前にします。
  4. Configure virtual parts (仮想パーツの構成)」をクリックします。新規インスタンスを作成する際に使用したパラメーターのなかでロックされていないものがある場合には、この時点でそのパラメーターを変更することができます。
  5. RAFW_ENVIRONMENT パラメーターの値を新しい値に変更します。前に作成した構成環境は、外部サーバーを表すものでした。今回は、新しく作成する仮想サーバーを表す 2 つ目の構成環境を作成します。この例では、この新しい環境に「VirtualHitCountEnv」という名前を付けます。
  6. OK」をクリックします。新規インスタンスと新規環境が作成されます。

RAFW_ENVIRONMENT フィールドにセル名が連結されて、その名前の既存の構成データと自動化プランのセットがあるかどうかが判断されます。このデータ・セットはまだ存在していないため、Advanced Middleware Configuration がこれを作成します。

記事の後半では、既存の環境がある場合について取り上げます。その場合、スクリプト・パッケージは既存の構成情報を使用して、作成するインスタンスを更新することになります。


アプリケーションをインストールして構成する

HitCountPattern VSP は、自動的に WebSphere Application Server を新規インスタンスにデプロイします。アプリケーションをインストールするには、管理コンソールを使用するか、既存の wsadmin スクリプトを使用してください。アプリケーションがインストールされた後、必要なすべての構成を完了させます。通常は、手作業による構成手順を説明するテキスト・ファイルまたは e-メールがあります。今後このアプリケーションをホストするすべてのシステムに対応するように、新規インスタンス (この記事の例では HitCountModelServer) をセットアップしてください。

クラスターまたはサーバーを追加する

クラスターまたはサーバーを新規インスタンスに追加するプロセスには、プロキシー・サーバーを追加する場合を含め、手作業による追加ステップを伴います。この追加ステップが必要となる原因は、ワークロード・コンソールが構成作業を Advanced Middleware Configuration に引き渡す方法にあります。

  1. 管理コンソールを使用して、仮想インスタンス上にプロキシー・サーバーあるいはその他の標準外のクラスターまたはサーバーを作成します。
  2. 次のセクション「アプリケーションを Advanced Middleware Configuration に取り込む」で説明する手順に従って、インポート・スクリプト・パッケージを実行します。
  3. Advanced Middleware Configuration Web クライアントで、環境に合わせて実行プロジェクトを編集します。実行プロジェクトは、環境生成ウィザードが自動的に作成した 3 つのプロジェクトのうちの 1 つです。実行プロジェクトには、「RAFW_env_cell_execute」という名前が付けられています。このプロジェクトに、Advanced Middleware Configuration のクラスターまたはサーバーを作成するためのアクション (例えば、was_common_configure_create_cluster) を呼び出すステップを追加します。すべてのアクションのリストについては、PureApplication System インフォメーション・センターで「仮想システム・パターンの操作」 > 「既存の WebSphere アプリケーションの実装」 > 「オンボード・システムでの作業」の順にクリックし、アクション・コマンドの説明をしているページを参照してください。

アプリケーションを Advanced Middleware Configuration に取り込む

インポート・スクリプト・パッケージを使用して、フレームワーク・サーバー上のセル定義を、インスタンスに追加した新しい情報、つまりアプリケーションのインストール方法に関する情報で更新します。これにより、EAR ファイル、すべてのデプロイメント・オプション、そして WebSphere Application Server リソースが取り込まれます。クラスター・トポロジーに対する変更は取り込まれません。クラスター・トポロジーへの変更を制御するのは、VSP クラスター設定です。

自動化プランをカスタマイズする

インポート・スクリプト・パッケージは、RAFW_env_cell_import という名前の Advanced Middleware Configuration 自動化プランを実行します。このプランは、環境生成ウィザードが HitCountPattern VSP を作成したプロセスで他の 2 つのプランと併せて作成したものです。このプロジェクトはそのままの形で使用することもできますが、時間を節約するために、デフォルト・プロジェクトのスコープを絞り込んで、使用しないステップを除外することもできます。

自動化プランを編集するには、以下の手順に従います。

  1. Advanced Middleware Configuration Web クライアントで、「Console (コンソール)」タブをクリックします。
  2. 左側のメニューで「Projects (プロジェクト)」をクリックします。
  3. プロジェクトのなかで、プロジェクト名が環境、セル名、そして「import」というサフィックスで構成されるプロジェクト (例えば、RAFW_VirtualHitCountEnv_was71_cell_import) をクリックします。
  4. 「Project (プロジェクト)」ページで、アプリケーションに必要のないステップの隣にあるボックスにチェック・マークを付けます (図 5 を参照)。「X」は、そのステップが使用不可であることを示します。
    図 5. プロジェクトを構成するステップ
    プロジェクトを構成するステップ
  5. プロジェクトを保存して閉じます。

スクリプト・パッケージを実行する

以下の手順に従って、インポート・スクリプト・パッケージを実行します。

  1. アプリケーションをインストールしたモデル・サーバー・インスタンス (この記事の例では HitCountModelServer) で、「Virtual machines (仮想マシン)」を展開します。
  2. 「Deployment Manager (デプロイメント・マネージャー)」パーツ (スタンドアロン・サーバーの場合は、「Server (サーバー)」パーツ) を展開します。
  3. ページの一番下にある「Script Packages (スクリプト・パッケージ)」セクションまでスクロールします。
  4. AMC Import Script Package (AMC インポート・スクリプト・パッケージ)」見出しの下にある「Execute now (今すぐ実行)」をクリックします (図 6 を参照)。
    図 6. AMC インポート・スクリプト・パッケージを実行する
    AMC インポート・スクリプト・パッケージを実行する

スクリプト・パッケージの実行が完了した時点で、フレームワーク・サーバー上の構成情報は更新されています。


アプリケーションの新規インスタンスをデプロイする

VSP (この例では HitCountPattern) の新規インスタンスをデプロイすると、統合スクリプト・パッケージによって RAFW_env_cell_execute 自動化プランが実行されます。インポート・スクリプト・パッケージの場合と同じく、この自動化プランも、プロセスの無駄をなくすために Advanced Middleware Configuration Web クライアントで編集することができます。

この時点で、モデル・サーバー (この例では、HitCountModelServer) のまったく同じコピーを必要な数だけ作成することができます。インタンスごとに、以下の手順に従ってください。

  1. Virtual Systems (仮想システム)」ディスプレイで、VSP の名前 (この例では、「HitCountModelServer」) をクリックします。
  2. Deploy (デプロイ)」をクリックします。
  3. 新規サーバー・インスタンスに一意の名前を入力します。
  4. OK」をクリックします。

最適化

以降のセクションでは、オンボード・プロセスを使用する際のベスト・プラクティスを説明します。

アプリケーション・サーバーを直接構成しないようにすること

それぞれのアプリケーション・サーバーに、大量の構成データが含まれています。デフォルトでは、Advanced Middleware Configuration はアプリケーション・サーバーをホストするノードに接続して、アプリケーション・サーバーの構成全体を取り込みます。けれども、構成する必要があるのは、アプリケーション・サーバーのほんのわずかな部分のみであることはよくあります (例えば、SIB (Service Integration Bus) サービスを有効にしたり、JVM (Java Virtual Machine) 引数を追加したりするなど)。その場合、設定をクラスター・スコープで保管すれば、(クラスターごとに) デプロイメント・マネージャーに接続するだけで、クラスター内の各アプリケーション・サーバーに設定を一様に適用することができます。このデプロイメント・マネージャーとの接続と、構成の変更が必要なアプリケーション・サーバーの部分だけを管理することにより、構成の管理にかかる時間が短縮されます。

構成が不要なスコープは無効にすること

リソース構成データのすべてがセルまたはクラスターのスコープで保持されている場合、ノードおよびサーバーのスコープでアクションを実行して時間を無駄にする必要はありません。したがって、該当するステップを自動化プランで無効にしてください。


制約事項

  • パスワードを変更しないこと。
  • 外部システムへの依存関係 (database/mq serversなど) を変更しないこと。
  • ノード数を変更しないこと。
  • セル、クラスター、またはノードの名前を変更しないこと
  • VSP が提供するクラスターのトポロジーを変更しないこと。
  • RAFW_HOME_PATH/tmp/RAFW として指定すること。

VSP へのアプリケーションのデプロイメントに関する追加情報

このセクションでは、デプロイメント中に行われるプロセスについて詳しく説明します。一般に、デプロイメントにはユーザーによる入力や操作は不要です。

プロセス・フロー

以下に、モデル VSP をデプロイする際に、統合スクリプト・パッケージによって実行されるステップを説明します。図 7 に示されている個々のサーバーは、仮想サーバーを表します。つまり、PureApplication System 内の計算ノードです。

  1. 仮想サーバーのインスタンスを作成します (図 7 を参照)。
    図 7. プロセス・フローのステップ 1
    プロセス・フローのステップ 1
  2. WebSphere Application Server をインストールして初期化します (図 8 を参照)。
    図 8. プロセス・フローのステップ 2
    プロセス・フローのステップ 2
  3. 構成環境の詳細情報をフレームワーク・サーバーに渡します (図 9 を参照)。
    図 9. プロセス・フローのステップ 3
    プロセス・フローのステップ 3

    構成環境が存在するかどうかをフレームワーク・サーバーが調べます。

    構成環境がない場合、新規インスタンスで検出した情報を使用して環境をセットアップするとともに、3 つの自動化プランを作成します (図 10 を参照)。

    図 10. 既存の構成環境がない場合
    既存の構成環境がない場合

    環境が存在する場合、フレームワーク・サーバーはセル定義から新規インスタンスにアプリケーションおよび構成情報をプッシュします (図 11 を参照)。

    図 11. 既存の構成環境がある場合
    既存の構成環境がある場合

統合スクリプト・パッケージのフローについての詳細は、「トラブルシューティング」のセクションを参照してください。

成果物

統合スクリプト・パッケージは、Advanced Middleware Configuration Web クライアント内に図 12 に示す成果物を作成します。これらの成果物を使用して、実行中の仮想システムに変更を加えたり、変更を取り込んだりすることができます。また、成果物によって、フレームワーク・サーバー上のセル定義と仮想システムで実行中の構成とを比較することもできます。

図 12. 統合スクリプト・パッケージによって作成された成果物
統合スクリプト・パッケージによって作成された成果物

スクリプト・パッケージのトラブルシューティング

このセクションでは、統合スクリプト・パッケージがどのような処理をするのか、そしてその処理の実行中に発生した問題にどのように対処するのかを説明します。

統合スクリプト・パッケージのフロー

統合スクリプト・パッケージは、以下のステップを実行します。

  1. RAFW_HOME_PATH パラメーターに指定されたディレクトリーに、このパッケージのファイルを抽出します。
  2. Advanced Middleware Configuration クライアントを実行します。このクライアントが、フレームワーク・サーバーとの接続を確立します。
  3. 構成環境が存在するかどうかを判別します。
    • 存在しない場合、フレームワーク・サーバー上に構成環境を作成し、併せて 3 つの自動化プランを作成します。3 つの自動化プランのうちの 2 つ (インポートおよび実行) は、この記事ですでに説明しました。もう 1 つのプランは、フレームワーク・サーバーに保管されている値を実際のセル・データと比較します。既存の構成環境がない場合には、これらの自動化プランはいずれも実行されません。
    • 環境とセル名の組み合わせが見つかると、デプロイ済みシステムごとのホスト名が更新され、実行自動化プランが実行されます。実行自動化プランにより、リソースが構成され、新しく作成された仮想システム・セルにアプリケーションがデプロイされます。

ログを表示する

トラブルシューティングに役立てるために、スクリプト・パッケージのログと自動化プランのログを利用することができます。

スクリプト・パッケージのログ

スクリプト・パッケージのログを表示するには、新しくデプロイした VSP の「Instances (インスタンス)」 > 「Virtual Systems (仮想システム)」ビューで、dmgr パーツを展開します。展開したセクションの下のほうに、実行されたすべてのスクリプト・パッケージのリストが表示されます (図 13 を参照)。

図 13. スクリプト・パッケージのリスト
スクリプト・パッケージのリスト

remote_std_err.log ファイルには、このスクリプト・パッケージのログ情報が格納されています。

自動化プランのログ

VSP 内のリソースやアプリケーションを構成するために使用された自動化プランの実行結果を確認するには、Web クライアントを使用してフレームワーク・サーバーにログインします。

  1. フレームワーク・サーバー・インスタンスの「Consoles (コンソール)」セクションで、「AMC」をクリックして Advanced Middleware Configuration Web インターフェースを開きます。
  2. Web インターフェース内で、「Jobs (ジョブ)」メニュー項目をクリックします。リスト内で該当するジョブを見つけます。ジョブには、「RAFW_env_cell_*」という名前が付けられています。ここで、アスタリスクは、execute、import、または compare のいずれかです。

トラブルシューティングのヒント

最も一般的なエラーの原因には、以下に挙げるものがあります。

  • フレームワーク・サーバーのホスト名が誤っているか、フレームワーク・サーバーのユーザーの資格情報が正しくない。
  • RAFW_HOME_PATH エントリーが、フレームワーク・サーバー上で OS_RAFW_HOME に指定されている値と一致しない。AIX または Linux でのデフォルト値は、/tmp/RAFW です。フレームワーク・サーバー上の値が、RAFW_HOME_PATH エントリーの値と異なっていると、VSP 上に必要なディレクトリーを作成するときに問題が発生する可能性があります。

VSP から Advanced Middleware Configuration へアプリケーションを取り込む上での追加情報

このセクションでは、インポート・スクリプト・パッケージの機能について説明します。

インポート・スクリプト・パッケージのフローを理解する

インポート・スクリプト・パッケージは、以下のステップを実行します。

  1. フレームワーク・サーバーにアクセスし、パッケージが接続されている仮想システムに関連付けられたセル定義を検索します。
  2. RAFW_env_cell_import プロジェクトを使用して、Advanced Middleware Configuration Web クライアント内に新しいジョブを作成します。
  3. フレームワーク・サーバーにアクセスした状態を維持し、新しく作成したジョブが完了するまで、そのジョブの状況をチェックします。

ユーザーが誤って Advanced Middleware Configuration Web インターフェースに直接ログインしたことによってネットワーク接続が中断された場合、スクリプトはそのまま待機し、後で再接続します。

スクリプト・パッケージはインポート自動化プランを呼び出し、セル内に構成されているリソースとインストール済みアプリケーションのすべてをフレームワーク・サーバー上のセル定義に取り込みます。

注: 前述したように、各ユーザーに許可されるログイン・セッションは 1 つだけです。Web ユーザー・インターフェースにログインするには、仮想システムのスクリプト・パッケージで識別されたユーザーとは別のユーザーとしてログインしてください。


まとめ

この記事では、WebSphere アプリケーションに取り掛かるところから、IBM PureApplication System と Advanced Middleware Configuration を使用して、アプリケーションを取り込んで、クラウドに繰り返しデプロイできる仮想システム・パターンを作成するまでの過程を説明しました。

参考文献

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ArticleTitle=IBM PureApplication System に対する準備: 第 4 回 Advanced Middleware Configuration ツールを使用してアプリケーションをクラウドにオンボードする
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