パターン・デプロイメント技術を体験してみよう

IBMのPaaS(Platform as a Service)プライベート・クラウド環境であるPureApplication Systemでは、複数コンポーネントから構成されるアプリケーション実行環境のひな形を「パターン」として定義し、パターンを利用してシステムを構築するパターン・デプロイメント技術が提供されています。これはPureApplication Systemに限らず、これまで提供されてきたIBM Workload DeployerやIBMのPaaSパブリック・クラウド環境であるSmarterCloud Application Systemでも共通して提供される技術です。このパターン・デプロイメントを体験し、実際のシステム構築がどのように変わるか感じてみましょう。

島守 智子, ソフトウェア事業 WebSphere CTP#1, IBM

島守 智子の肖像島守 智子
みずほ情報総研から出向中に本稿を投稿。みずほ情報総研では、みずほグループ向けプライベートクラウド環境であるグループ共通基盤の企画・開発に従事



岩品 友徳, ソフトウェア事業 WebSphere CTP#1, IBM

岩品 友徳の肖像岩品 友徳
金融プロジェクトを中心に WebSphere Application Serverファミリー製品の技術支援に従事



2013年 3月 28日

1.PureApplication Systemのご紹介

PureApplication Systemは、Webアプリケーションやデータベース・アプリケーション向けに設計・最適化された垂直統合型のプライベート・クラウド環境です。エキスパート・イングレーティッド・システムとして、PureApplication Systemには、IBMの長年の経験と数多の客様への実装の経験を踏まえた専門家の知見が設計段階からあらかじめ統合され実装されています。
PureApplication Systemは、サーバー、ストレージ、ネットワーク、仮想化基盤が統合されたPureFlexシステムの仮想化インフラ基盤上に、パターン・ベースのデプロイメント機能や、システムおよびワークロード双方を集中管理できるコンソール、モニタリングなどの運用機能を統合したオール・イン・ワンのPaaSタイプのプライベート・クラウド環境を提供します。
PureApplication Systemでは、IAモデルのW1500とPOWERモデルのW1700の2モデルが提供されています。W1500モデルでは32コアから608コアまでの幅広いマシン・タイプから選択することが可能です。W1700モデルでは、POWERシステムの特徴である高パフォーマンス・高信頼性を備えた96コアから608コアまでのマシン・タイプが展開されています。

図1:PureApplication System
図1:PureApplication System

2.パターン・デプロイメント

PureApplication Systemの特徴はパターン・ベースのデプロイメントです。IBMのパターンとは、単なる設計指針に留まらず、実際に即デプロイ可能な形のアプリケーションの実行環境定義を指します。IBMではパターンを図2の3つの方式として捉えています。

図2:パターンの種類
図2:パターンの種類

仮想アプライアンス
仮想化環境上に、OSとミドルウェアを導入・構成した仮想イメージを個々に配布するパターンです。PureFlexシステム上に構築される環境もこの仮想アプライアンスです。様々な運用上の要求に柔軟に応えることが可能な反面、クラウド環境においても従来型のシステム構築モデル・管理モデルが踏襲されるため標準的なTCO(保有コスト)となります。

仮想システム・パターン
単体もしくは複数の仮想イメージ上のOSとミドルウェアをそのトポロジー構成・連携も含めて、デプロイ可能としたパターンです。
典型的なミドルウェアのトポロジーと構成をパターンとして構築・管理することにより、一度パターンを作ってしまえば、短期間でのシステムの構築が可能となります。これにより、プロジェクトの進捗にあわせたテスト環境の構築や海外サイトへの短期間でのシステム横展開といった要求に、柔軟に応えることが可能になります。またテスト済の同一パターンを繰返し使用することで、デリバリー品質を高めることができます。
システム・パターンではパターン・デプロイメント技術によりシステムの構築工数を大きく削減できる一方で、個別ミドルウェアやOSに対するチューニングも可能であり、運用モデルを従来型の運用にすり合わせていく柔軟性も確保されています。この意味で、改善されたTCO(保有コスト)を提供するパターンといえます。

仮想アプリケーション・パターン
ミドルウェアのレイヤーまでユーザーが意識していたシステム・パターンと異なり、仮想アプリケーション・パターンでは、ユーザーは業務アプリケーションに集中します。
アプリケーションの稼働に必要なコンポーネントと、アプリケーションが満たす必要のある非機能要件をポリシー・ベースで設定することで、ミドルウェアのトポロジーや構成は、PureApplicationにより自動的に構成されます。ポリシーとして構成された応答性能などのQoS条件が守られるよう、負荷状況に応じてダイナミックにノードの構成も変化します。一方で、ユーザーがミドルウェアのパラメーターとして設定可能な項目は最低限のものに限られます。アプリケーション・パターンでは、システムの運用をPureApplicationが提供する管理機能・運用機能に合わせていくといったトレードオフを受け入れる代わりに、ユーザーはIBMのエキスパートの知見の上に構築されたパターンを利用して、最も改善されたTCO(保有コスト)を享受することが可能となります。

PureApplication Systemでは、標準提供されるWebSphereやDB2に基づいたパターンに留まらず、IBMの様々なミドルウェアのハイパーバイザー・エディションを稼働させることが可能です。また、PureSystems Centerから、170社を超えるISVベンダー様がご提供している様々なソリューションを、パターンとしてダウンロードして利用することも可能です(ライセンスはISVベンダー様毎に別途定義されています)。


3.ハイブリッド・クラウド

PureApplication Systemはプライベート・クラウド環境を構築するためのオール・イン・ワンのソリューションです。一方で、IBMではパブリック・クラウド環境としてSmarterCloud Application Service(SCAS)をご提供しています。いずれもそのソリューションの中心としてパターンベース・デプロイメント技術をすえており、いくつかの留意点はありますが、原則として、いずれで構築したパターンも相互に利用することが可能です。

図3:パターンはプライベート・クラウド、パブリック・クラウド双方で利用可能
図3:パターンはプライベート・クラウド、パブリック・クラウド双方で利用可能

パブリック・クラウド環境のSCASでは、パターン・デプロイメントによるアプリケーション実行環境(SmarterCloud Application Workload Service, SCAWS)に加え、Rational製品をベースとしたチームでのアプリケーション開発環境(Collaborative Lifecycle Management Services, CLMS)がPaaSとして提供されます。これらのサービスを利用して、プロジェクトの初期段階ではSCAS上のチーム開発環境とアプリケーション実行環境を利用して開発とテストを行い、本番環境はプライベート・クラウド環境であるPureApplication System上で提供するといったアプローチも可能です。


4.パターン・デプロイメントを体験してみる

このdeveloperWorksの記事においては、パブリック・クラウド環境であるSCASを利用してパターン・デプロイメントを実際に体験してみます。SmarterCloud Enterpriseのアカウントをお持ちでないお客様は、記事末尾のURLよりアカウントを事前に取得下さい。この記事では、以下の大きく分けて、3つの作業を実施します。

【1】SCE/SCAWS環境構成の準備
SCEへのログインから、SCAWS環境の作成・初期設定作業をご紹介します。
【2】仮想アプリケーション・パターンの作成・アプリケーションの稼動確認
仮想アプリケーション・パターンを利用してアプリケーション稼動環境を作成します。稼働させるアプリケーションは、ショッピングサイトのサンプル・アプリケーション(PlantsByWebSphere)です。
【3】仮想アプリケーション・パターンの移行
SCAWS環境で作成したアプリケーション・パターンを、PureApplication上へ移行する手順をご紹介します。

【1】SCE/SCAWS環境構成の準備

1)IBM SmarterCloud Enterpriseのログイン

以下のURLよりSmarterCloud Enterpriseにログインします。ユーザーIDとパスワードを入力し、「送信」をクリックします。

URL: https://www.ibm.com/cloud/enterprise/dashboard

図4-1-1:IBM SmarterCloud Enterpriseのログイン画面
図4-1-1:IBM SmarterCloud Enterpriseのログイン画面

2)サービス・インスタンス(SCAWS環境)の作成

SCAWS環境は、SCE上での作成(デプロイ)作業後に利用可能となります。デプロイの作業には、40分程度かかります。

①サービス・インスタンス(SCAWS環境)の追加

「コントロール・パネル」>「サービス・インスタンス」をクリックし、「サービス・インスタンスの追加」をクリックします。

図4-1-2-1:サービス・インスタンスの追加
図4-1-2-1:サービス・インスタンスの追加

②サービス・オファリングの選択(ステップ1/4)

基本サービスから、タイプ「パブリック」、データ・センター「幕張、日本」をクリックし、「⇒」をクリックします。いくつかのSCAWSメニューが表示されますので、今回は一番小さいサイズのSCAWSサービスである「IBM SCAWS v1.0 SMALL」を選択し、「次へ」をクリックします。

図4-1-2-2:サービス・オファリングの選択
図4-1-2-2:サービス・オファリングの選択

③サービス・インスタンスの名前(ステップ2/4)

「名前」と「説明」に任意の名称を記入し、「次へ」をクリックします。

図4-1-2-3:サービス・インスタンスの名前
図4-1-2-3:サービス・インスタンスの名前

④サービス・パラメーターの構成(ステップ2a/4)

「Administrator Password」を入力して、「次へ」をクリックします。
SCAWS環境へアクセスする管理者のパスワードとなります。パスワード以外は、デフォルト値から変更する必要はありません。

図4-1-2-4:サービス・パラメーターの構成
図4-1-2-4:サービス・パラメーターの構成

⑤入力の確認(3/4)

入力内容を確認し、「次へ」をクリックします。

図4-1-2-5:入力の確認
図4-1-2-5:入力の確認

⑥発注(4/4)

エンド・ユーザー使用許諾条件を確認し、「同意する」を選択し「送信」をクリックします。

注:SCEのトライアル・アカウントでない限り、課金が発生しますのでご注意下さい。

図4-1-2-6:発注
図4-1-2-6:発注

⑦サービス・インスタンス(SCAWS環境)の確認

SCEの「コントロール・パネル」タブから「サービス・インスタンス」を開き、マイ・サービス・インスタンスへSCAWSのインスタンスが追加されている事を確認します。

図4-1-2-7:マイ・サービス・インスタンスの確認
図4-1-2-7:マイ・サービス・インスタンスの確認

SCAWSのインスタンスを選択し、下に表示されるServer Statusが「Active」になったら利用が可能になります。

図4-1-2-8:Server Statusの確認
図4-1-2-8:Server Statusの確認

3)SCAWSへのクラウド設定

SCAWS上でパターンを作成するための前提作業です。この設定が完了すると仮想アプリケーション・パターンの作成・デプロイが可能になります。

①セキュリティー鍵ペアの名前の確認

IBM SmarterCloud Enterpriseの「アカウント」タブをクリックします。セキュリティー鍵ペアの名前を確認します。

図4-1-3-1:セキュリティー鍵ペアの確認
図4-1-3-1:セキュリティー鍵ペアの確認

②IBM SmarterCloud Application Workload サービス(SCAWS)へのログイン

「サービス・インスタンスの管理」をクリックし、ログイン画面を開きます。ユーザー名へ「cbadmin(固定)」、パスワードへ「2)-④.サービス・パラメーターの構成」の手順内で「Administrator Password」へ登録したものを入力し、ログインをクリックします。

図4-1-3-2:IBM SmarterCloud Application Workload サービスのログイン画面
図4-1-3-2:IBM SmarterCloud Application Workload サービスのログイン画面

③クラウド・グループへのユーザー情報・公開鍵名の入力

「SCAWS」>「クラウド」>「クラウド・グループ」を順にクリックします。「SCE Default Cloud」をクリックし、ログイン情報に以下を入力します。

ユーザー名:「IBM SmarterCloud Enterpriseのユーザー名」
パスワード:「IBM SmarterCloud Enterpriseのパスワード」
公開鍵名:手順3)-①で確認した「セキュリティー鍵ペア」の名前

図4-1-3-3:クラウド・グループへのユーザー情報・公開鍵名の入力
図4-1-3-3:クラウド・グループへのユーザー情報・公開鍵名の入力

【2】仮想アプリケーション・パターンの作成・アプリケーションの稼動確

ここまででSCE/SCASを利用する準備は整いました。それでは早速アプリケーション・パターンを利用してシステムの構成をしていきましょう。アプリケーション・パターンの作成時には具体的なミドルウェアの構成やトポロジーについて意識せず、必要コンポーネントとポリシー・ベース定義の組合せで構成を行っていることに注意してください。

4)仮想アプリケーション・パターンの作成

今回の手順では、データベースを利用するWebアプリケーションの仮想アプリケーション・パターンを作成していきます。アプリケーション(PlantsByWebSphere)とデータベースのコンポーネントを配置し、ポリシーでシステムが守るべきサービス・レベルをポリシーとして定義していきます。

図4-2-1-1:作成する仮想アプリケーション・パターン
図4-2-1-1:作成する仮想アプリケーション・パターン

①データストア(DB)の準備

アプリケーションで必要なデータストア(DB)の設定をします。SCAWSのメニューより、「カタログ」>「データベース・ワークロード標準」を順にクリックします。「+(追加)」をクリックします。

名前:dWsample_db_wl
ファイル:記事末尾のリソースのリンク先からダウンロードしたWS_CreateDBPlant.zipを指定します。
その他項目は、デフォルトのままで問題ありません。

図4-2-1-2:データベース・ワークロード標準
図4-2-1-2:データベース・ワークロード標準

②仮想アプリケーション・ビルダーの展開

i) 再びSCAWSのメニューより、「パターン」>「仮想アプリケーション・パターン」を順にクリックします。

図4-2-2-1:仮想アプリケーション・パターンの選択
図4-2-2-1:仮想アプリケーション・パターンの選択

ii) 左のペーンから「+」アイコンの新規作成をクリックします。

図4-2-2-2:仮想アプリケーション・パターンの追加
図4-2-2-2:仮想アプリケーション・パターンの追加

iii) アプリケーションの作成ウィザードが開きますので、「Web Application Patternタイプ2.0」「Blank Application」を選択、「ビルドの開始」をクリックします。

図4-2-2-3:仮想アプリケーション ビルドの開始
図4-2-2-3:仮想アプリケーション ビルドの開始

iv) ブラウザーの新しいタブで、下記のような「Virtual Application Builder」ページが開きます。

図4-2-2-4:Virtual Application Builderの画面
図4-2-2-4:Virtual Application Builderの画面

③コンポーネントの配置

「Virtual Application Builder」をクリックします。以下の2つのコンポーネントをドラッグアンドドロップで配置します。

アプリケーション・コンポーネント:「エンタープライズ・アプリケーション」
データベース・コンポーネント:「データベース(DB2)」

図4-2-3-1:コンポーネントの配置
図4-2-3-1:コンポーネントの配置

④エンタープライズ・アプリケーションの設定

i)デプロイするアプリケーションを指定します。エンタープライズ・アプリケーションのボックスを選択し、右側の設定ペーンに稼働させるアプリケーションの情報を入力します。名前に「PlantsByWebSphere」と入力します。EARファイルの「編集」をクリックし、リソースのリンク先よりダウンロードしたPlantsByWebSphere_VA.earをアップロードします。

図4-2-4-1:アプリケーションの追加
図4-2-4-1:アプリケーションの追加

ii)エンタープライズ・アプリケーションに、アプリケーションが守るべきQoSをポリシー・ベースで設定します。ここでは、ルーティング・ポリシー、JVMポリシー、スケーリング・ポリシーを順に追加していきます。

図4-2-4-2:ポリシーの追加
図4-2-4-2:ポリシーの追加

iii) ルーティング・ポリシーの設定

ルーティング・ポリシーではアプリケーションに対する仮想ホストを指定します。

「エンタープライズ・アプリケーション」の「+(追加)」をクリック後、「ルーティング・ポリシー」をクリックします。右側ペーンに設定画面が出ますので、以下の項目を設定していきます。

  • HTTP:チェックを入れる
  • 仮想ホスト名:dWsample.scaws.ibm.com(任意のホスト名をつけてください)
図4-2-4-3:ルーティング・ポリシーの設定
図4-2-4-3:ルーティング・ポリシーの設定

iv) ヒープサイズやクラスローダー等のJVMの設定を指定します。「エンタープライズ・アプリケーション」の「+(追加)」をクリック後、「JVMポリシー」をクリックします。右側の画面に設定画面が出ますので、以下の項目を設定していきます。

  • 冗長ガーベッジ・コレクションを使用可能にする:チェックを入れる
図4-2-4-4:JVMポリシーの設定
図4-2-4-4:JVMポリシーの設定

v) PureApplicationがアプリケーションの負荷状況にあわせて、インスタンスを増減できるようスケーリング・ポリシーを設定します。「エンタープライズ・アプリケーション」の「+(追加)」をクリック後、「スケーリング・ポリシー」をクリックします。右側の画面に設定画面が出ますので、以下の項目を設定していきます。以下の設定ではCPU使用率が80%を超えた場合には、新規のインスタンスが追加で構成されます。

  • セッション・キャッシュを使用可能に設定:チェックを入れる
  • セッション・キャッシュ・グリッドの最大サイズ:1GB
  • スケールイン/スケールアウトのインスタンス数の範囲:2~3
  • スケーリング・タイプ:CPUベース
  • CPU使用率しきい値範囲~:20% - 80%
  • 追加または削除をトリガーする最小時間(秒):300
図4-2-4-5:スケーリング・ポリシーの設定
図4-2-4-5:スケーリング・ポリシーの設定

⑤データベースへのプロパティ値の追加

配置済のデータベースをクリックします。データベースのプロパティとして以下を入力してください。

  • 名前:PlantsDataStore
  • データベース名:plantsdb
  • Source:「データベース・ワークロード標準を適用」を選択後、「dWsample_db_wl」を選択
  • データベース・バージョン:Linux対応DB2バージョン 10.1
  • データベース・レベル:DB2 Version 10.1 for Linux
  • データベース・サイズ(GB):3
図4-2-5:データベースのプロパティ設定
図4-2-5:データベースのプロパティ設定

⑥コンポーネント間の接続(リンク)の定義

エンタープライズ・アプリケーションとデータベースを矢印でつなぎます。

(エンタープライズ・アプリケーションを1度クリックするとオレンジ色の丸が出てきますので、そこからデータベースへ矢印を引っ張って下さい。)

  • データ・ソースのJNDI名:jdbc/PlantsDS
  • データ・ソースのリソース参照:選択をクリックし、全てにチェックを入れる。
図4-2-6:コンポーネント間の接続(リンク)の定義
図4-2-6:コンポーネント間の接続(リンク)の定義

⑦仮想アプリケーション・パターンの保存

名前を付けて保存をクリックし、「dWsample_VA_Pattern」と名前を付けて保存します。
保存したパターンは、「パターン」>「仮想アプリケーション・パターン」と順にクリックし、確認する事ができます。

図4-2-7:作成した仮想アプリケーション・パターン
図4-2-7:作成した仮想アプリケーション・パターン

5)アプリケーションと共有サービスのデプロイ

今回のアプリケーションでは、共有サービスの「ELBプロキシー・サービス」と「キャッシュ・サービス」を利用します。作成したアプリケーション・パターンをデプロイする前に、共有サービスをデプロイします。ELBプロキシー・サービスは、複数のアプリケーション・サーバーに割り振る際のプロキシーです。キャッシュ・サービスはセッション・オブジェクトの共有を行うためのキャッシュとして利用します。

①共有サービスのデプロイ

「SCAWS」>「クラウド」>「共有サービス」を順にクリックします。ELBプロキシー・サービスを選択し、右上の「デプロイ」をクリックします。同様に、キャッシュ・サービスを選択し、右上の「デプロイ」をクリックします(両方とも設定はデフォルトで問題ありません)。

図4-5-1:共有サービスのデプロイ
図4-5-1:共有サービスのデプロイ

②仮想アプリケーション・パターンのデプロイ

i) 保存したアプリケーション・パターンを「パターン」>「仮想アプリケーション・パターン」と順にクリックし、開きます。

図4-5-2-1:仮想アプリケーション・パターンのデプロイ
図4-5-2-1:仮想アプリケーション・パターンのデプロイ

ii) 仮想アプリケーションのデプロイ画面の表示後、名前「dWsample_VA_Instance」と入力し,
OKをクリックします。

図4-5-2-2:仮想アプリケーション・パターンのデプロイの設定
図4-5-2-2:仮想アプリケーション・パターンのデプロイの設定

iii)デプロイが開始されますので、 「インスタンス」>「仮想アプリケーション・インスタンス」でデプロイされたインスタンスを確認します。デプロイメントが終了するまでしばし待機します。(デプロイ時間は、20分程度です。)

図4-5-2-3:仮想アプリケーション・パターンのデプロイ確認
図4-5-2-3:仮想アプリケーション・パターンのデプロイ確認

③ELBプロキシー・サービスの名前解決する

「SCAWS」>「インスタンス」>「共有サービス」を順にクリックします。「Services-elbInstance」のIPアドレスを確認します。
利用している自分のPCのhostsファイルへ「Services-elbInstance」のIPアドレスと仮想ホスト名に指定した名前(この記事ではdWsample.scaws.ibm.com)と記載したものとの名前解決を記載します。

図4-5-3-1:ELBプロキシー・サービスのIPアドレスの確認
図4-5-3-1:ELBプロキシー・サービスのIPアドレスの確認

ここまでのステップで、PureApplication内部では、WebSphere Application Server上で稼動するエンタープライズ・アプリケーションとDB2で稼動するデータベースを利用した以下のようなシステムが構成されます。

図4-5-3-2:構成されたシステム
図4-5-3-2:構成されたシステム

複数台のアプリケーション・サーバー、データベース、プロキシー・サービスやキャッシング・コンポーネントを利用したシステムの構成が数十分で完了しました。これまで、これだけのコンポーネントからなるシステム基盤を構築しようとした場合どのくらいの時間がかかっていたか、あらためて考えてみて下さい。

④PlantsByWebSphereアプリケーションの動作確認

i) 実際にアプリケーションの動作確認を実施します。デプロイされたアプリケーション・インスタンスを選択し、右の詳細画面から「ミドルウェア・パースペクティブ」を展開します。WASのエントリーがありますので、エンドポイントのリンクをクリックします。
エンドポイント情報として、URLが出てきますので、クリックします。

図4-5-4-1:PlantsByWebSphereアプリケーションの起動
図4-5-4-1:PlantsByWebSphereアプリケーションの起動

ii) 以下のようなアプリケーションのTOP画面が表示されます。

図4-5-4-2:PlantsByWebSphereアプリケーションのTOP画面
図4-5-4-2:PlantsByWebSphereアプリケーションのTOP画面

iii) アプリケーションのトップ画面右上の「LOGIN」より以下のサンプルユーザーの情報を入力し、ログインします。ログイン後、買い物の操作を実施してみてください。

図4-5-4-3:PlantsByWebSphereアプリケーションのログイン
図4-5-4-3:PlantsByWebSphereアプリケーションのログイン

【3】仮想アプリケーション・パターンの移行

最後にSCAWS上で作成した仮想アプリケーション・パターンをPureApplication上へ移行させる方法をご紹介します。PureApplicationをお持ちでない場合、仮想アプリケーション・パターンのインポートの手順は実施する事はできませんが、パターンの移行のステップがシンプルであるという事を理解してください。

6)仮想アプリケーション・パターンのエクスポート

「SCAWS」>「パターン」>「仮想アプリケーション・パターン」をクリックし、「dWsample_VA_Pattern」を選択します。「エクスポート」をクリックしてファイルを保存します。これで、仮想アプリケーション・パターンのエクスポート作業は完了です。

図4-6-1:仮想アプリケーション・パターンのエクスポート
図4-6-1:仮想アプリケーション・パターンのエクスポート

7)仮想アプリケーション・パターンのインポート

仮想アプリケーション・パターンのインポートは、他のSCAWS環境やPureApplication Systemに対して実施する事ができます。

PureApplication Systemのコンソールにログインし、仮想アプリケーション・パターンのインポートボタンをクリックします。

図4-7-1:仮想アプリケーション・パターンのインポート
図4-7-1:仮想アプリケーション・パターンのインポート

画面がひらきますので、インポートするアプリケーション・パターンの名前と先の手順でSCAWSよりエクスポートしたZIPファイルを指定します。

図4-7-2:仮想アプリケーション・パターンのインポート
図4-7-2:仮想アプリケーション・パターンのインポート

仮想アプリケーション・パターンとしてPureApplication Systemに追加された後は、SCAWSと同様の手順で設定を行うことで、仮想アプリケーション・パターンのデプロイが可能になります。


5.まとめ

今回はアプリケーション・パターンを例として実際にパターン・デプロイメント技術をご体験いただきました。アプリケーション・パターンの構成方法およびパターンをパブリック・クラウド、プライベート・クラウドにまたいで再利用する方法について、具体的なイメージがつかめたでしょうか?本稿ではシステム・パターンまではご紹介できませんでしたが、リソースのPureApplicationハンズオンWorkshop資料では、システム・パターンを利用する場合の手順もご紹介しています。これらのパターン・デプロイメント技術をご理解いただき、ご自身が関わられているシステムでどのように活用することが可能か、どのようにシステム構築のあり方が変わるのか、さらにはわれわれエンジニアの役割がどのように変わるのか考えてみてください。

リソース

当記事で使用するアプリケーションは、参考文献の「IBM PureApplication System ハンズオン・セミナー資料」より、以下の2つをダウンロードしてください。

アプリケーション ハンズオン用ファイル Lab2: PlantsByWebSphere_VA.ear
データベース ハンズオン用ファイル Lab2: WS_CreateDBPlant.zip

参考文献

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ArticleTitle=パターン・デプロイメント技術を体験してみよう
publish-date=03282013