WebSphere Business Monitor V6.2新機能のご紹介

より良いビジネス結果を得るために、お客様がプロアクティブな対応を素早く行うための機能がV6.2で追加されました。

刻々と変化するビジネス状況に対して、ビジネス・ユーザーが迅速に簡単にプロアクティブな対応を取るための、WebSphere Business Monitor V6.2に加わった新たな機能をご説明します。この記事では、モニター業務を行なうビジネス・ロール(デシジョン・メーカー、ビジネス・アナリスト、開発者、管理者)にかかわる新機能をご紹介します。

Eric Wayne, Senior Technical Staff Member, IBM

Wayne photoEric Wayneは、ビジネス・プロセス・マネージメント(BPM)におけるビジネス・アクティビティ・モニタリング(BAM)に関するリード・アーキテクトです。彼はMonitor開発チームをリードし、IBMソフトウェア・グループのアーキテクチャー・ボードのコア・メンバーです。



John W. Alcorn, Senior Software Engineer, IBM

author photoJohn Alcorn は、IBMビジネス・アクティビティ・モニタリング(BAM)プラットフォームにおけるリード・アーキテクトです。彼はIBMでソフトウェア・エンジニアとして15年間勤め、WebSphere製品については製品開発とソフトウェア・サービスとして10年以上従事しています。JohnはWebSphere Business Monitor 製品のテクニカル・リーダーを4年務め、IBM WebSphere Business Process Management (BPM) の大きなチームと協業しています。
JohnはXMLテクノロジー、SOAテクノロジー、いくつかのWebSphere 製品についてIBM Certification を取得しています。またJavaプログラミングについてSun™ Certification を取得しています。現在、ノースカロライナ州にあるResearch Triangle Park ラボで、開発者チームのマネージャーをしています。


developerWorks 貢献著者レベル

Richard Johnson, Certified Consulting IT Specialist, IBM

Richard JohnsonRichard Johnsonは、WebSphere Business Monitor ダッシュボードにおけるリード・アーキテクトであり、Certified Consulting IT Specialist です。IBM では過去10年以上、ソフトウェア・グループ内で、テスト、開発、ベータ・プログラム管理、IBM WebSphereソフトウェア・サービス、そして長い間お客様担当として、様々な分野で従事していました。こうした役割を経験することで、メインフレームとCICSから分散系WebSphereプラットフォーム製品まで、複数の製品、テクノロジー、地域を経験することになりました。2006年にIBM US に移籍する前には IBM UKに勤めていました。



2009年 1月 28日

はじめに

IBM®のビジネス・プロセス・マネージメント(BPM)ポートフォリオに欠かせないものとして、モニター製品(以降、Monitorと表記します)は、企業のビジネス・パフォーマンスをほぼリアルタイムで表示するための、理解しやすいビジネス・アクティビティ・モニタリング・ソリューション(BAM)です。BAMはイベントを処理し、ビジネス指標を計算し重要業績評価指標(KPI)をビジネス・ダッシュボードに表示することでビジネス・アクティビティのパフォーマンスを可視化します。間違いが起きたときにもBAMは役立ちます。期待値に達しないときはアラートを関連組織に送信し、潜在的な問題を通達することで対応策を計画・実行することができます。

この記事では、Monitor V6.2 で追加された新機能情報をハイライトでお伝えします。大きな変更点や、KPIヒストリー、KPI予測、ダイナミック・アラートの組み合わせでデシジョンとアクションのスピードを大幅に向上させるビジネス・ユーザー向けの追加機能について説明します。ビジネス・アナリスト向けには動作検証しながら設計を行なえるプロセス・モニタリング・デザイン、ソリューション・アーキテクト向けにはイベントの処理方法の拡張が行なわれ、IT向けにはパフォーマンスとスケーラビリティが向上しています。最後に参考資料をご紹介します。

ビジネス・スペース powered by WebSphere でビジネス・リーダーに権限を与える

ここではV6.2で追加された新機能について、ツアー形式でご紹介します。通常、Monitorはビジネス・ユーザーがビジネスのパフォーマンスを可視化し洞察を得るために利用されます。ビジネス・ユーザーは得られた情報を元にアクションを起せるわけです。この可視化を担う主なユーザー・インターフェースがモニター・ダッシュボードになります。Monitor V6.2では、2種類のダッシュボードを提供しています。一つはビジネス・スペース powered by WebSphere、もう一つはWebSphere Portal 製品です(訳注. 別途購入が必要です)。

Monitorはビジネス・スペース(Business Space)と呼ばれるダッシュボード機能を提供しています。これは、ウィジェット(Widgets)という名称で知られる、複数のインタラクティブに操作できる視覚化された小さなウィンドウからビジネスを管理する機能を持ちます。ビジネス・ユーザーはスペース(Space)と呼ばれる論理的な単位に何ページでも作成して、グループ化することが出来るので、ダイナミックにソリューションを仕上げることができます。ひとつのページには複数のウィジェットを組み合わせることができます。いわゆるマッシュアップ(mashup)ができます。

WebSphere BPM 製品は各々のウィジェットをビジネス・スペース向けに提供しています。製品を導入するたびに利用できるウィジェットが増えます。またそれらのウィジェットは互いに連携し合うこともできます。MonitorはV6.2 で追加されたヒストリーと予測値を表示するものを含めて、合計11個のウィジェットを提供しています。ビジネス・スペース自身が提供するウィジェットは7個あり、Monitorウィジェットを補完するものとしてWebサイト、プレゼンテーション資料、ドキュメント、RSSフィード、ガジェット等などを表示させる共通タスクが利用できます。

ビジネス・スペース以外の代替案として、MonitorはWebSphere Portal製品(いわゆるPortal)をサポートしていますが、v6.2からはPortalはMonitor製品には含まれず、別途購入が必要です。サポートされるバージョンは Portal V6.1.0.1 です。Portalを使用する場合には、ビジネス・スペース用に提供されているMonitorウィジェットと同等の機能がポートレット(Portlet)として提供されます。

Better Lender ショーケースを元に始めよう

V6.2で追加されたことのひとつに、「Better Lender ショーケース」があります(図 1参照)。このショーケースで、Monitor提供のビジネス・スペースが持つ機能のデモストレーションを確認することができます。製品の導入後、ユーザーはファースト・ステップ画面からワンクリックでショーケースを追加できます。このショーケースは稼動のための全ての必要要素が構成されており、イベント・データの送信、ヒストリカル・データのシミュレーションに加えて、直ぐに使えるように構成された複数ページとウィジェットを持つビジネス・スペースを作成します。ユーザーは作成されたスペースを確認することで、実際に機能を確認することができます。このスペースにはGetting Started ドキュメントが同梱されています。ユーザーはシナリオを追うことでビジネス・スペースについて詳しく知ることができます。数回のクリックをすればユーザーはMonitor V6.2 を体験できます。図 1 に、Better Lender ショーケースの最初のページを示します。

図 1. Better Lender ショーケース
Better Lender ショーケース

Monitor ウィジェットの拡張

Monitor V6.2 では新機能を追加し、既存のウィジェットに対しても機能変更しています。新しいユーザー・インターフェースでは、ユーザー・インターフェース・コントロールの外観を標準化しており、ビジネス・スペース上で全製品が統合できるようになりました。さらに、ビジネス・スペースはV6.1から相当の拡張が行なわれ、ユーザビリティが向上しました。例えばスペースにページをまとめる仕組み、実用的な定義済みスペース・テンプレート、ページとスペース切り替えスピード向上、タブの並び替え、ウィジェットの縦横サイズ変更、そしてページ・デザインを拡張しドラッグ・アンド・ドロップがサポートされるようになりました。

図 2 では、Monitor V6.2 は要望の多かった月の名称表示がされるようになった画面です (例えば10ではなくOctoberと表示することで数値と間違えることを防ぐのが狙い)。レポートやディメンション・ウィジェットでこの改良が行なわれ、多次元解析がし易くなりました。

図 2. キューブ分析における月の名称表示
キューブ分析における月の名称表示

V6.1.2 でもインスタンス・ウィジェットに対する重要な拡張が行なわれましたが、V6.2では複数のモデルとモニタリング・コンテキスト・レベルに対してカスタマイズができるようになりました。これによりドリルダウンや協調モード・シナリオにおける(カラムの並び替えや表示隠しを含めた)カラム表示のカスタマイズができるようになりました。このウィジェットはCSV形式でスプレッド・シートへエクスポートできる機能も追加されました。

KPIにはカスタム・カラーが追加できるようになり、範囲(レンジ)を表わすカラー定義が行なえるカスタム・パレットが提供されます。レンジ・テンプレート(Range templates)が追加され、KPIレンジの定義が素早く行なえるようになりました。このテンプレートは様々なKPIに利用することができます。V6.2 ではMonitor ツールキット内のモニター・モでカスタム・レンジ・カラーの定義が行なえます。

Monitorウィジェットはインスタンス・データや集合データのモニタリング機能を提供します。V6.2の拡張でドリルダウンができるようになり、集合から個別インスタンス・データへ詳細に調べることで課題解決に役立てられるようになりました。図 3 にはレポート、ディメンション、KPIウィジェットから個別インスタンス情報へドリルダウンする様子を示しています。例えば新規顧客からのすべての注文表示から、顧客数増加KPIを導くことができます。

図 3. 個別インスタンス・データへドリルダウンする
個別インスタンス・データへドリルダウンする

V6.2で追加されたクロス・ウィジェットの特長は、ダイヤグラム・ウィジェットとヒューマンタスク・ウィジェット同士が協力して動作するようになったことです。これにはダイナミックなフィルタリングが使えます。これにより、ユーザーは集合ダイヤグラム(たいていは、一つのプロセス・ダイヤグラムにおけるヒューマンタスクの部分)の機敏ポイント(points of agility)でクリックすることができます。そしてクリックしたヒューマンタスクのインスタンス全てをヒューマンタスク・ウィジェットに表示させることができます。利用方法の例として、管理者はローンの審査プロセス・ダイヤグラムにおいて承認ステップでクリックし、ヒューマンタスク・ウィジェットが全ての承認タスクを表示するといったことが可能です。ユーザーはその後、そのタスクに対してクレームして作業を開始するなど、アクションを起せるようになります。

インスタンス・ウィジェットでは並び(Row)をクリックできます。ダイヤグラム・ウィジェットが更新され、そのインスタンスに関するダイヤグラム状況が表示されます。そのダイヤグラムをクリックすると特定のヒューマンタスク・インスタンスを確認することができます。シナリオ例では、ユーザーは個別ローン申込書の上でクリックします。するとダイヤグラム・ウィジェットがその処理状況を表示します。ユーザーはそれを見てダイヤグラム上の業務のステップをクリックすると、ヒューマンタスク・ウィジェットに、その選択したローン申込に対する特定の業務を表示します。
図 4 では、3つのウィジェット間におけるやりとりを説明しています。

図 4. ヒューマンタスク・データへのドリルダウン
ヒューマンタスク・データへのドリルダウン

アジャイルなデシジョン・メーキングの拡張

アジャイルなデシジョン・メーキングをサポートするために、Monitor V6.2 には3つの新機能が追加されました。KPIヒストリー、KPI予測、そしてダイナミック・アラートす。KPIヒストリーは時間経過とともに自動的にKPI値を取得し、新たなKPIヒストリーと予測ウィジェットによりダッシュボードの保管情報として表示します。これにより、KPI値の時間経過分析が行なえます。KPI予測はKPIヒストリーを元にして作られており、ビジネス・ユーザー自身で予測モデルを定義し、同じ新規追加ウィジェット上で過去の履歴から予測傾向を計算し表示させることができます。KPIヒストリーと予測ウィジェットを利用するにあたり、ユーザーは計測期間を定義することができます。そうすることでコントロールが簡単になり、期間の経過を強力に分析できるようになります。

最後のダイナミック・アラートについてですが、あるシチュエーションが発生したとき、いつ、誰に、どうやってアラートを投げるか、ビジネス・ユーザーが定義することができます。アラート定義はIT部門の関与なしにダッシュボード上でユーザーによりダイナミックに定義することができます。この機能は予測値に対しても設定可能です。これら、ヒストリー、予測、アラートの組み合わせにより、デシジョン・メーキングを飛躍的に向上させ、刻々と変化するビジネス・シチュエーションに対して素早く知らされ、情報を得たうえでの対応が可能になります。

KPI ヒストリー

KPI定義がデプロイされる、もしくはユーザーがダッシュボード上でKPIを作成すると、Monitor V6.2 は毎時間KPIの履歴値を取得し始めます。また既に取得された分析可能なデータがあれば、ビジネス・ユーザーはKPIに対して履歴を遡って計算することもできます。さらにヒストリー・データは、管理者がインポート、エクスポートすることができます。

この新しいKPIヒストリーと予測ウィジェットは、ヒストリー・データ分析用に時間単位でのチャートを提供します。他のウィジェット同様、どのスペースやページに追加することもでき、シンプルなビジネス・ユーザー・インターフェース画面で表示されるKPIが選べるように、構成されます。ユーザーはタイム・レンジとデータ頻度のデフォルト値を設定できます。例えば、日別データを一年分などのように指定できます。このデフォルトを表示するようにチャートが構成されると、ユーザーは表示画面に対してタイム・レンジやデータ頻度を必要に応じて変更することができます。これにより、別の対象期間で素早く分析作業が行なえます。ウィジェットはよく使われるタイム・ウィンドゥを簡単にコントロールすることができます。例えば一週間、一ヶ月、月初から当日まで(MTD)、年初から当日まで(YTD)等などです。ユーザーは任意のタイム・レンジを指定するのに開始日と終了日を定義できます。指定した日付はチャート横にデータが並んだビューが表示され、表中のデータもしくはチャート中のデータ値をクリックすると双方がハイライトされ、互いのデータ位置を簡単に確認することができます。その他ユーザビリティ向上ポイントとしては、マウスポインターを上に移動するとレンジ名、値、ターゲット(目標値)といったデータが表示される点があります。図 5 は、ウィジェット上にKPIヒストリーとKPI予測を組み合わせて表示した画面例です。

KPI 予測

Monitor V6.2 はヒストリカル・データを元にして予測値を提供することができるようになりました。KPIの動向を予測することは、デシジョン・メーキングを向上させ、問題や新たな機会に素早く対応することを可能にします。ビジネス・ユーザーはダッシュボード上でシンプルに予測モデルを定義できます。どの程度先の未来を予測するのか、頻度はどのくらいか、を指定します。また予測モデルは周期パターンにも適用できます。例えば7日で一週間のサイクルや四半期毎の累積売上トレンドなどです。KPI予測はこれまでのパフォーマンス結果、現状トレンド、上昇傾向か下降傾向か、そして任意の繰り返しパターンを元にして作られます。例えば、日次予測は週末の売上低下や期末のピークを予測できるでしょう。

ユーザーはヒストリー・データを表示するウィジェット上で、予測パターンの表示を切り替えることができ、それによりチャートと表に予測データ値を追加表示できます。予測がKPIに対して複数定義されているときは、ウィジェットを構成する際にユーザーが選択することができます。図 5 はKPIヒストリーと予測ウィジェットの例です。日次売上KPIに対するヒストリーおよび予測データと共に、週末パターンについてもヒストリーと予測が表示されています。

図 5. KPI ヒストリーと予測ウィジェット
KPI ヒストリーと予測ウィジェット

ダイナミック・アラート

以前までのリリースでは、Monitor開発者はビジネス関連状況をモニター・モデルで定義し、ユーザーはそのモデル化されたアラートをサブスクライブしていました。この方法は強力ではあるものの、アラート定義に関する変更を行ないたい場合にもITユーザーの関与が開発サイクルに必要であったため、このシナリオには制約がありました。Monitor V6.2ではこの仕組みが改善され、ダイナミック・アラートが提供されます。これはビジネス・ユーザーが自身のアラート・シチュエーション、アラート・コンテンツ、アラート・デリバリー方法(誰がどうやって受け取るか)を定義できるものです。

これにより、ダッシュボードのユーザーは自身のアラート条件を設定できるようになりました。条件は複数設定することができます。例えばレスポンスタイムとコール件数が同時にあるターゲット・レベルまで増加した場合、など。ユーザーはデフォルトの通知を受け取れるほか、サブジェクトとボディ部分をカスタマイズしたメッセージを受け取ることもできます。そこには他のKPI詳細を含めることもできるでしょう。コールセンターを例にすると、コール件数に関するアラートが発生した時点で何人のスタッフが作業しているか、コール件数やターゲットとレンジの期待値と共にデータを受け取ることができます。ユーザーはアラート定義をその通知を受け取る人と共用することができます。権限を与えればアラート定義を編集することもできます。単発か繰り返しかなど、アラート通知の頻度も指定できます。

予測値もアラート条件に利用できるため、予測値が問題や機会の兆候を示す通知を作ることもできます。ヒストリカル分析、将来予測、そしてダイナミック・アラートの組み合わせは、アジャイルなデシジョン・メーキングを飛躍的に向上させるでしょう。例えば、ヒストリカル・トレンドを示す四半期毎の累積売上KPIは、第四四半期がもっと売上を呼ばす必要性があることを表示していたとします。予測モデルは期末予測を立てて表示するように構成でき、予測値がターゲットを超える、下回ることがあればアラートを出すことができます。そのアラートには、売上金額を示すようなメトリックスを含めることができます。そしてユーザーは得られたデータを元になにかしら対策を打つことができます。図 6 はダイナミック・アラート定義のサンプル画面です。

この新しいダイナミック・アラート機能に加えて、Monitorは新しいアラート・マネージャー・ウィジェットを提供します。これは以前のリリースで提供されていたアラート・サブスクリプション・ウィジェットに置き換えられるものです。アラート・マネージャーを使うと、ユーザーは自己管理しているものと共用しているもののアラート定義を見ることができます。フィルターをかけてシンプルなリストを作れるほか、アラーと定義の編集、コピー、削除ができます。

図 6. ダッシュボード上でのダイナミック・アラートの定義画面
ダッシュボード上でのダイナミック・アラートの定義画面

イベント・ソースの拡張

これまでは、ダッシュボードによるビジネス・ユーザー向けに用意された新たな特性について述べました。ここからは他のユーザー・ロールがビジネス要件を実装するための特性について説明します。

モニタリングから得られる価値は、ビジネスに重要なアクティビティからさらに広範囲にリッチな洞察を得られることです。V6.2はビジネスで実施されるアプリケーションやアクティビティのモニタリング機能を拡張しました。モニタリング対象となるイベントは、WebSphere Process Server, WebSphere Business Services Fabric, FileNet P8, WebSphere MQ, WebSphere MQ Workflow, WebSphere ESB そして WebSphere DataPower SOA アプライアンス(Appliances)といったソースから得られます。これ以降の章では、Monitor V6.2 がWebSphere Process Server, WebSphere Message Broker および WebSphere Business Eventsとの統合連携に関する拡張について説明し、モニタリングするイベントの新しいパブリッシュ方法について説明します。

WPS以前までのバージョンに対するモニタリングの向上

WebSphere Process Server(以降、WPSと表記します) は、これまで通りMonitor を利用するお客様にとっての最も一般的なイベント・ソースです。モニター・ツールキットはWebSphere Integration Developer (以降、WIDと表記します) に統合されており、プロセスと関連するモニター・モデルの一貫性ある開発環境を提供します。もしもWPSのこれまでのバージョンをモニタリングする要件があれば、WID V6.0.2 や V6.1 で作成されたアプリケーションをモニターするモニター・モデルを、V6.2 で生成することができます。この特性は、新規モニター・ツールキットのプラグインの形でパッケージされています。このプラグインはそうしたこれまでのバージョンのWIDに追加することができます。また、このモニター・ツールキットの新バージョンでモニター・モデルを開発すれば、繰り返し型のアプリケーション開発がこれまでのWIDでも行なえます。もちろん繰り返し型で開発を行なったアプリケーションとモニター・モデルは同期を取ることができます。

WMBからのイベントに対するコントロールの向上

Monitor V6.2 のリリーリスと同時に、WebSphere Message Broker (以降、WMBと表記します) 製品は、2つの製品連携をより強化するために V6.1.0.3 として拡張されました。この変更は Monitor V6.1.2 に対しても同様に利用できます。メッセージ・フローへのモニタリングに対する拡張内容は、以下のとおりです:

  • メッセージ・ブローカー・ツールキットで、モニタリングを構成するのにメッセージ・フロー・エディターを使うことができます。これまでのバージョンで用意された管理用コマンドに加えて、今回の変更ではメッセージ・フロー設計者が、どのイベントをどんな内容で出すのかを定義できます。メッセージ・フローがワークベンチからデプロイされると、自動的にアクティブ・イベント・ソースからイベントを出力します。管理用コマンドの利用方法ですが、メッセージ・フローの置き換えが実現的ではないシナリオに利用するとよいでしょう。図 7 は、メッセージ・フロー・エディターの一部でモニタリング・プロパティの構成例です。
    図 7. メッセージ・フロー・エディター- モニタリング構成
    メッセージ・フロー・エディター- モニタリング構成
  • 新しいイベント・タイプ、terminal event により、メッセージ・フロー内で発生する重要な出来事を可視化させることができます。この terminal event は、どのノードの、どの terminal からでも出すことができます。そのterminalにメッセージが通るたびに terminal event が出ます。3つの入力ノード・イベント・タイプ (entry, exit, failure) が V6.1.0.2 で追加されましたが、これらはV6.2でも同様にサポートされます。
  • メッセージ・ペイロードから、コンプレックス・データをキャプチャーし、ビジネス・イベントに含めて、Monitor に送ることができます。キャプチャーされるデータを表現するのに、XPath を利用します。図 8 に示すように、メッセージ・ブローカー・ツールキットで提供されるXPath式ビルダーを使って、式を編集することもできます。
    図 8. Message Broker XPath 式エディターを使用したイベント・コンテンツ定義
    Message Broker XPath 式エディターを使用したイベント・コンテンツ定義
    イベント・エミッションを構成すると、メッセージ・ブローカー・ツールキットからそのメッセージ・セットをXSDスキーマ・ファイルの形式でエクスポートできます。このスキーマ・ファイルはモニター・ツールキットにインポートされ、メッセージ・ブローカー・イベントを利用したモニター・モデルを作成するのに使われます。
  • メッセージ・ブローカー・イベントの correlation プロパティを拡張しました。値として、local, parent, global transaction correlators が Environment ツリー内にセーブされ、全イベントが利用します。これはメッセージ・フローを、WPS上で実行中の関連したビジネス・プロセスと関連付けすることができます。
  • 2つの管理コマンドmqsireportflowmonitoringmqsichangeflowmonitoringが拡張され、コマンド・ラインから個々のイベント・ソース毎に操作することができるようになりました。

イベントを送信(emitting events)ことに関する詳細情報については、WebSphere Message Broker V6.1 インフォメーション・センター をご覧下さい。

WBEとの双方向連携するイベント・フロー

Monitor V6.1.2 から WebSphere Business Events (以降、WBEと表記します) とMonitor は統合連携ポイントを提供しており、WBEがMonitorにイベントを送信できるようになっています。このことは、WBEに送るイベントは、同様にMonitorへも転送できることになります。コンプレックス・イベントもWBEにより検知され、Monitorへイベントを送ることにより、他のイベントと関連付けてそのダッシュボード上に状況を可視化させることができます。
この統合連携については、developerWorks シリーズの記事、"WebSphere Business Events によるビジネス・イベント処理" に詳細に説明されています。

Monitor V6.2 とWBE V6.2 の連携により、イベントをMonitorからWBEに送ることもできます。これにより高度な問題検知が可能になります。アラートをWBEに送ることでそこに隠れたパターンを検知し、分からなかった潜在的なビジネス課題を明らかにすることができるのです。例えば、クライアントの要望が在庫数量を超えそうなことを予測したMonitorからアラートを出し、さらにサプライ・チェーンからのイベントに関連付けることで、ビジネス・ユーザーはこれまで分からなかった潜在的な在庫切れの可能性を、情報として知ることができます。

図 9 に示すように、WBEの編集ツールで、Monitorから出されるイベント構造を使ったフィルター・ルールを作成できます。

図 9. WBEのDesign:Data ツール画面でみるモニターイベント構造
WBEのDesign:Data ツール画面でみるモニターイベント構造

REST API経由のイベント発行

以前のMonitor V6.1 では REST API が追加され、Monitor メタデータとデータにアクセスできるようになりました。新しいMonitor V6.2 ではMonitor使用のイベントを発行するREST API を追加しました。この新しいREST サービスは /rest/bpm/events URI で識別され、イベント・インフラストラクチャーの実装詳細を隠蔽しています。このインターフェースは2つのイベント公開オプションを提供しています:

  • シングルXMLイベントを送信するのに、text/xml コンテンツ・タイプを使用する
  • 複数XMLイベント・ペイロードによるイベントのバッチをグループ分けするのに、application/atom+xml を使用する

Webサービス-Notification APIによるイベント発行

新たにサポートされたXMLイベントとイベント・シーケンス・テクノロジーが提供され、Monitor V6.1 はMonitorにイベントを送るのに WS-Notification 標準APIが利用できます。 developerWorks の記事、 Publishing event messages to IBM WebSphere Business Monitor V6.1 with Web Services Notification(US) (訳注. 近日、日本語訳を準備する予定です) には Java と .NET 環境での説明と例が記載されています。Monitor V6.2 はこれに加えて、サンプル構成スクリプトと資料を提供しており、管理者向けにMonitorサーバーにWS-Notification オプションを実装する方法がガイドされています。Webサービスは通知メッセージとしてビジネス・イベントを発行できます。アプリケーション・サーバーはそのメッセージを共通イベント・インフラストラクチャー(CEI)の入力JMSキューに送り、その後Monitorに送ります。

ライフサイクル全般におけるタイム・トゥ・バリューの向上

これから説明するセクションでは、モニタリング要件からダッシュボードとアクション上で素早く実現するための、新しい能力について説明します。ビジネス・アナリスト、開発者、管理者向けの機能が向上しました。

プロセスとモニター・モデルを繰り返しデザイン、エミュレーション、テストする

Monitor V6.2 は拡張され、WebSphere Business Modeler (以降、Modelerと表記します)との新しい統合ポイントが利用できるようになりました。モニタリング・デザインとテスト・シナリオは限定されますが、ビジネス・アナリストはModelerでプロセスとビジネス指標を定義でき、ITに依頼することなくWPSとMonitorサーバーにデプロイしてエミュレーションやテストが行なえます。要件を整理し、プロセスとモニタリング・デザインがその要件を実現するものかをビジネス・スペース上で検証するので、そこに掛かる時間がいままでと比較し、大幅に節約できます。

この新しいデザインは、WPS上で人中心プロセス(Human-centric processes)が実行されて、ダッシュボード上に表示する指標はWPSタスクとプロセスから計算されるシナリオを想定しています。ビジネス・アナリストはModelerのビジネス指標テンプレートを使って、簡単にプロセスとタスク指標を追加することができます。ただし、WIDについてはサービス実装に必要となります。これは高度なプロセスやモニタリング要件を実現するのに必要なツールです。また実際の本番環境にデプロイする際にプロジェクト成果物を生成するのにも、もちろん必要です。

図 10 に示すとおり、ビジネス・アナリストはひとつのプロセスを選んで、Modeler 機能のひとつである Test on Server を実行します。新しいモニター・サービスが起動され、Modeler モデルを元にJ2EEプロジェクトやデータベース・スキーマなどデプロイに必要な成果物を生成します。こうした成果物は予めIT部門が導入構成しておいたWPSとMonitorサーバーにデプロイされます。

図 10. ModelerからWPS, Monitorへ直接デプロイする
ModelerからWPS, Monitorへ直接デプロイする

さらに自動的に、Monitorウィジェットが含まれたビジネス・スペースが生成され、デプロイされます(訳注. 自動的にビジネス・スペースが画面上に立ち上がります)。ユーザーは、モデリングしたプロセスをテストし、実行させたプロセスに対してビジネス指標、KPI、ディメンションビューを確認することができます。ビジネス・スペースに対する構成作業などは一切必要ありません。図 11 はビジネス・スペースのページです。ページにはModelerから自動生成されWPSやMonitorサーバーにデプロイされた、プロセス・インタラクション、フォーム生成、タスク管理、そしてモニタリングが含まれています。

図 11. 自動生成されたビジネス・スペースのページ
自動生成されたビジネス・スペースのページ

再利用可能なKPIライブラリー

ビジネスに最適なKPIを手っ取り早く選ぶために、Monitor V6.2 ではモニター・ツールキットに新しいKPIウィザードを追加しました。図 12に示したこのウィザードは、APQCプロセス・クラシフィケーション・フレームワーク(PCF)を元にした800種類を超えるオープン標準KPIライブラリーを活用できます。このKPIライブラリーを使うことで、ビジネス・アナリストは様々なプロセスに対してKPIを選ぶことができます。財務(Financial management)、人材開発(Human capital management)、カスタマー・リレーションシップ(Customer relationship management)、サプライ・チェーン(Supply chain management)といったビジネス業務を含んでいます。

図 12. KPI ライブラリー
KPI ライブラリー

イベント・インフラストラクチャー・インテグレーションとグラフィカル・デバッガー

モニター・モデル・デバッガーは、モニター・モデルの動作を理解しモデル・ロジックの問題を解決するために用意された、Monitor V6.1.2 で追加されたものです。インテグレーテッド・テスト・クライアントからイベントを送り、モニター・モデルの実行にそれを送ることができます。Monitor V6.2 になり、テスト・クライアントだけでなく、どのソースからのイベントもデバッグできるようになりました。

モバイル機器とデスクトップでBAMを可能にする

Monitor V6.2 では、これまでのようなダッシュボード環境を越えたBAM情報にアクセスする手段を用意しました。スマートフォンからモバイル・ダッシュボードが見られるようになりました。また、生きたデータ(Live data)をMicrosoft® Excel®で扱えるようになりました。さらにLotus® Sametimeはインスタンス・メッセージで、Lotus Notesはメールで、BAMを受け取れます。

モバイル・ダッシュボード

V6.1.2 ではRIM Blackberry®機器でBAMデータ表示もしくは操作をサポートしていました。V6.2 になると、それに加えてApple® iPhone™ と iPod™ Touchが追加されました。機器に付随するWebアプリケーションであるSafari® ブラウザーを選ぶと、アラート、ヒューマンタスク、KPI値を確認することができます。このWebアプリケーションはネイティブのiPhoneアプリケーションの外観を持ちます。このとき機器にアプリケーションを導入する必要はありません。外出先の路上からでもビジネスに何が起きているかを知ることができます。必要であれば対策を取ることができます。アラートを転送、もしくはWPS上で処理中のヒューマンタスクを誰かにアサインしなおすことができます。

図 13. スマートフォンを使用したBAMデータへのアクセス
スマートフォンを使用したBAMデータへのアクセス

Microsoft Excel アドイン

以前のバージョンではExcelシートにデータをエクスポートする機能がありました。V6.2では”ribbon”と呼ばれる新しいアドオンがMicrosoft Excel 2007に選択導入できます。このribbonはモニター・データをワークシートにインポートし、常に最新状態を保つことができます (自動更新されます)。このribbonを使うと、見たい指標を選んだのち該当インスタンス・データを特定モニター・モデルにインポートして、ワークシートに展開することができます。列にはモニタリング中のコンテキスト・インスタンス、列にはそれぞれの指標が表示されます。データをインポートすれば、Excel上で計算させたりグラフ化したり、データを好きなように操作できます。さらにこのデータはモニター・データベースが更新されるたびに、自動的に更新されます。同様にアラートやKPIに関する生きたデータ(live data)をインポートすることもできます。さらにコネクション情報がExcel文書に保存されるため、そのExcelファイルを同僚に送ることも可能です。受け取った人はExcelファイルを開くと、常に最新情報を確認することができます。図 14 はExcelに表示されるBAMデータを示しています。

図 14. Microsoft Excelで見るBAMデータ
Microsoft Excelで見るBAMデータ

Lotus Sametime 用BAM プラグイン

BAMデータにアクセスする環境として期待するものに、インスタント・メッセージング・クライアントがあります。Monitor V6.2 ではLotus Sametime のプラグインを提供しました。これを使うとKPI、アラート、インスタンス・データを確認できるほか、アラートを転送するなどデータに対してアクションを起すことができます。このプラグインはSametimeの標準通知機能(Standard notification feature)に統合しているため、アラートは定期的なポーリングではなく、ただちに通知されます。Lotus Notes V8.0 からは Sametime サポートが統合されました。そのため、Monitor プラグインが Notes サイドバーにも利用することができます。ユーザーがe-mailやインスタント・メッセージング・アプリケーションで直接BAMデータにアクセスできるため、ビジネスで起きた問題に対して専用のWebブラウザー画面を開いてビジネス状況をチェックするのではなく、NotesやSametimeを使用して、通常業務のように簡単に対処することができます。図 15 は Lotus Sametime で表示したBAMデータです。

図 15. Lotus Sametime 上でのBAM データ
Lotus Sametime 上でのBAM データ

管理者向けツールの向上

Monitor V6.2 は、本番環境をセットアップしメンテナンスしているIT管理者の業務を楽にさせる新しいツールをいくつか提供しています。ネットワーク・デプロイメント(ND)トポロジーをセットアップする管理コンソール内にある新規追加されたウィザード、与えられるモニター・モデルに届くイベントのレコーディング・サポート(望めばレコードされたイベントはプレイバックできる)、そしてデータ・アーカイブやプルーニング(pruning)、キャッシュ・リフレッシュといった自動管理する仕組みを構成できる新たに追加されたスケジュールド・サービスです。

モニター・トポロジー・ウィザード

モニター・トポロジー・ウィザードにより、本番環境でのモニター構成の手続きがとてもシンプルになりました。シンプルなスタンドアロン・プロファイルであればモニター・モデルをテスト・デモするのにも問題ありませんが、高可用性を構成したNDセルにデプロイされた本番環境のモニターに対しては、シングル・ポイント・オブ・フェイラーを回避するためにも、ウィザードを利用することを強くお勧めします。V6.2は新たなウィザードを管理コンソールに追加しました(Servers => WebSphere Business Monitor configuration)。これはモニターが必要とするアプリケーションとリソースの構成定義を助けるものです。セルが適切に構成されているかはダイアログから確認できます。問題があるときは表示されるリンクをたどれます。このウィザードはモニターの置き場所として、WPSのようなイベント・ソースと同じセルを指定する場合でも、他のセルにモニターを置く場合でも利用できます。どちらにしても、ウィザードはワークロード分配と高可用性に対する適切な構成を全て助けてくれます。モニターの本番環境をセットアップする複雑な作業を劇的に軽減します。図 16 はトポロジー・ウィザード画面です。

図 16. モニター・トポロジー・ウィザード
モニター・トポロジー・ウィザード

イベント・レコーディングとプレイバック

Monitor V6.2 では、管理者はイベント・ストリームをレコードして、後でエクスポートもしくはプレイバックすることができます。この機能は問題判別に役立ちます。例えばモデルの特定動作をデバッグしたいときに、問題を引き起こす実際のイベントをデバッグ用の入力として使用することができます。またコンサルタントやサポート要員などの外部の人間に好き勝手にシステムへアクセスさせることなく、その環境を簡単に見せることができます。さらに重要なことに、この機能はシステム障害からの復旧に重要な役目を果たすかもしれません。その環境が正常動作していた最後のスナップショットに対して、それ以降に届いたイベントを再実行させるのに利用できるからです。この機能がないとイベントは永遠に失われてしまいます。このレコードとプレイバック能力は、ツールキット(WIDのUTEサーバーのコンテキスト・メニューにあります)と本番環境(管理コンソール)で利用できます。図 17はレコードされたイベント管理ダイアログ(Events Management dialog)画面です。

図 17. レコードされたイベント管理
レコードされたイベント管理

スケジュールド・データ・サービス

以前のバージョンではオプションでデータ移動・サービス(DMS)と呼ばれた機能がありましたが、V6.2ではスケジュールド・データ関連サービスが新たに追加・統合され、簡単に使える管理ダイアログが管理コンソールに用意されています。このスケジュールド・サービスについては、この記事の前半で既に述べました。KPIのヒストリー値を記録するのであれば、予測をいつ立てるのか検討するでしょう。ダッシュボードで定義されるアラートを検討するのであれば、そのキャッシュはいつリフレッシュが必要か検討するでしょう。もうひとつまだ説明していない追加サービスに、古いインスタンスのアーカイブと不要なものを除去するプルーニング(Pruning=除去)があります。例えば、過去1年間分だけのインスタンスを保存したいといったケースです。サービスは自動的にデータをファイルにアーカイブします。そのファイルは望めばウェアハウスにインポートすることもできるでしょう。それからモニター・データベースから不要データを除去します。そうすることで期待するタイムフレームでデータを見ることができ、かつ巨大すぎるボリュームになることなく、ヒストリー・データを保持することができるでしょう。

こうしたスケジュールド・サービスは同期処理、順序処理されます。他が動作しないかぎり、それは作動しない、ということができます。個別のモニター・モデル毎に全てのスケジュールド・サービスが確認かつ管理できます。モニターの管理者には強力な管理ツールとなるでしょう。図 18 はモニターのスケジュールド・サービス・ダイアログ画面です。

図 18. モニターのスケジュールド・サービス画面
モニターのスケジュールド・サービス画面

パフォーマンス、スケーラビリティ、反応時間の改善

V6.2では、パフォーマンスとスケーラビリティについていくつかの重要な改善が行なわれました。とくにイベント・ルーティング、イベント・プロセッシング、ダッシュボード表示時間、インスタンス・データの履歴を扱うダッシュボードのレスポンスタイムについて最適化が図られました。

イベント・スループットの改善

イベント・ルーティングの分野では、特に沢山のイベント・サブスクリプションに対し、スケーラビリティの飛躍的な向上が図られました (つまり、モニター・モデルを数多くインストールした状態)。これまでのリリースでは、CEIサーバーに届けられるイベントはサブスクリプション毎にパースされていました。V6.2ではCEIはサブスクリプションがいくつ存在しようと関係なく共通ベース・イベント(CBE)のXMLを一回だけパースします。これにより、多くのサブスクリプションを持つ、特にイベントのサイズが大きいケースでは、CEIの秒あたりのイベント処理件数が飛躍的向上し、CPU使用率が振り切れずに適切なモニター・モデルにルーティングすることができます。たとえば複数CPUを持つマシンが1台だけ使用され、その処理能力を超えるスループット要件が出てきても、CEIはマシンを越えた垂直クラスター構成をサポートします。イベント・ルーティングのワークロードはクラスター・メンバー間で調整管理できます。

ほかにMonitor V6.2 で向上したポイントは、イベントをCEIから適当なモニター・モデルに送るのにJMSキューを使用しないオプションが用意されたことです。その代わりにモニター・データベースをイベントの配信先として使用します。これによりモニター・モデルへのイベント処理時間が飛躍的に向上しました。確実なパーシスタントのメッセージングにかかる(訳注.時間的な)コストを無視できるからです(さらに、イベントを失うリスクもありません)。トランザクションはシングル・フェーズ・コミットで済むので、早く実行でき、オーバーヘッドが減ります。V6.2を一台のサーバーにキューをバイパスした状態でモニター・モデルをひとつ導入し実行するスピードが、V6.1.2を二台のサーバーで実行した場合と同じスピードで動作します。これは先に述べたルーティング処理の向上と合わせて、例えばBPELアプリケーションからイベントを出す(訳注.時間的な)コストを削減します。特にイベントを同期させて出す場合には効果的です。このキュー・バイパスによる改善は、信頼性も向上させます。メッセージング・エンジンとクロス・セルのバス・リンクを使わないで済むからです。イベントを伝える、もしくはモニター・モデルでイベント処理する、といったときのイベントの通り道として失敗する可能性があるポイントが減るからです。イベントを伝え、処理するためにモニター・データベースだけ利用可能になっている必要があります。このキュー・バイパスのテクニックはデフォルトのオプションとなります。前バージョンとの互換性確保のためキューを使用した従来の方法も、サポートします。

ダッシュボードのレイテンシー(表示遅延時間)とロード時間の改善

ダッシュボード上にデータ表示されるまでのレイテンシーが短縮されました。つまりデータに変化があったときにダッシュボード上にその変化が反映されるまでの時間の長さが短くなりました。既に説明したスケジュールド・サービスと組み合わせると、KPIとキューブ・キャッシュを効果的にコントロールできます。ダッシュボード上のデータ表示遅延時間を短縮するのにこの連携サービスが利用できますが、スケジュールされた時間にDMSが発生することを避けるために、最後にキャッシュのリフレッシュが行われます。(結果として、実際には1時間であっても、1.5時間のレイテンシーが発生する)。同様に、履歴を取得しているKPIを毎時間自動計算している場合には、ダッシュボードが次にキャッシュ情報の更新要求するのを待たずに、キャッシュも自動計算処理の一環でリフレッシュします。そうすれば、ユーザーはKPIの計算結果を待つ必要がありません。大量データ(インスタンス数にして1000万件以上の範囲)を扱うモデルを表示するときの、ダッシュボードのページをローディングするスピードが改善され、早くなりました。V6.2ではビジネス・スペース上で、KPI毎にキャッシュ・インターバルを細かく設定できるようになりました。これは範囲を広く捕らえるフィルターを持つKPIには特に重要なことです。そのモデルに集められたインスタンスのかなり大部分を使ってそのKPIの計算結果を導き出さなければならないからです。ディメンション分析の処理を早めるために、V6.2ではオプションでメタリアライズド・クエリー・テーブル(optional Materialized Query Tables, = MQTs)をサポートしました。効率的に事前計算を行い、計算コストの高いクエリー結果を保存します(キューブ指標)。それによりドリルダウン操作など、キューブへの操作で起こりうる長い遅延を避けることができます。こうしたMQTsはスケジュールド・サービスによって同様にリフレッシュされます。MQTsに対するリフレッシュが行なわれても、ユーザーは新たにコストの高い計算処理結果を待つ必要はなく、すぐにキャッシュ・データを見ることができます。

サポート対象のプラットフォームを拡張

Monitor V6.2 で、より幅広いオペレーティング・システムとデータベースをサポートしました。これで、IBM BPM Suite の他製品がサポートしているプラットフォームと同期します。追加されたプラットフォームは、Windows® 2008 (32ビット版)、Solaris® 10、64ビット版の下記オペレーティング・システムです: Windows 2003, Windows 2008, AIX® 6.1, HP-UX® 11iv3 for Intel® Itanium®, Red Hat® Enterprise® Linux (RHEL) 4.0 for Intel, RHEL 5.0 for Intel, SUSE Linux Enterprise Server (SLES) 9 for Intel そして SLES 10 for Intel。

また V6.2 はこれまでサポートされていたものに最新Fixpackをあてた DB2® 9.1.5 と 9.5.2a のほか、 Oracle® 11g をサポートします。またDB2 HADR とOracle RACを含む、高可用性(HA)データベースをサポートします。これでデータベースは潜在的なシングル・ポイント・オブ・フェイラーが無くなり、障害発生時にはミラーへフェイル・オーバーすることで、ダウンタイム無しで運用することが可能になります (インフライトなトランザクションは自動的に回収され、データ・ロスが発生しません)。

まとめ

WebSphere Business Monitor V6.2 はメジャーなリリースです。ビジネス・プロセスとアクティビティをモニタリングするための重要な新規能力が提供されます。この記事では新機能と拡張内容についてハイレベルにご紹介しました。以下の表は Monitor V6.2 で新しくなった内容を8つのカテゴリーでまとめました。

Monitor V6.2 で新しくなった内容一覧
 V6.2 ハイライト
ビジネス・スペースにより、ビジネス・リーダーに権限を与える
  • すぐに始められるサンプルを同梱: Better Lender ショーケース
  • プロセス・インスタンスまでドリルダウンし洞察を深めることができる、新たに追加されたナビゲーション機能
  • 拡張されたウィジェットと見やすい表示
アジャイルなデシジョン・メーキング
  • KPI ヒストリー
  • KPI 予測
  • ダイナミック・アラート
  • 標準にはないSix Sigma等のビジネス・プラクティスを支えるKPIと指標
イベント・ソースの拡大
  • メッセージ・ブローカーのモニタリング機能を拡張
  • WebSphere Business Events との双方向のイベント・フローをサポート
  • REST APIとWS-Notificationによるイベント発行
  • WebSphere Business Service Fabric と WebSphere Process Server のイベント・サポート機能を拡張
ライフサイクルを通じたタイム・トゥ・バリューの向上
  • プロセスとモニター・モデルのインタラクティブなデザイン、エミュレーション、テスト
  • イベント・インフラストラクチャーに統合したグラフィカル・デバッガー
  • 前バージョンのWebSphere Process Server に対するモニタリング機能の向上
  • モニターの単体テストサーバー・プロファイルの簡単なリセット
  • 再利用可能なKPIライブラリー (訳注:APQCベース)
モバイル機器とデスクトップ両方でBAMが閲覧できる
  • モバイル・ダッシュボード: Blackberry スマートフォン、iPhone、iPod Touchのサポート
  • Microsoft Excel プラグイン: 生きたBAM情報を表に取り込む仕組み
  • Lotus Sametime と Lotus Notes 向けのBAM プラグイン
管理者向けツールの機能向上
  • トポロジー構成ウィザード
  • イベントのレコーディングとプレイバック機能、 インスタンス・データのアーカイブと不要データの除去
  • スケジュールド・サービスの管理
パフォーマンス、スケーラビリティ、レイテンシーの向上
  • イベントのスループット
  • ダッシュボードのレイテンシーとロード時間
より多くのプラットフォームをサポート
  • 首尾一貫したWebSphere BPM 製品全体に対するサポート
  • OracleとHAデータベースのサポート

謝辞

今回の執筆にあたり、Monitor V6.2 チーム全員のイノベーション、コミットメントに執筆者一同から謝辞を送りたいと思います。彼らがいなかったら記事にすることができなかったでしょう。特にここに記載したいチーム・リーダーを記します: Christina Watkins, Clayton Sims, Curtis Miles, Dan Willey, David Enyeart, Jim Thorpe, Ke Jia Li, Latha Sivakumar, Nick Metianu, Paritosh Patel, Thomas Burke, Varadarajan Ramamoorthy そして Wilfred C Jamison。

参考文献

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ArticleTitle=WebSphere Business Monitor V6.2新機能のご紹介
publish-date=01282009