レベル: 初級 伊津野 安梨沙, WebSphereテクニカル・セールス,
IBM
2006年 06月 28日 簡単な業務プロセスを例に、ツールを使って簡単にビジネスとITをつなぎ、SOAのシステムを開発していく流れをご紹介します。
プロセス改善でビジネスを元気に
まず、ビジネスを元気にするには何が必要かを考えてみましょう。売上げを増やすにはどうすればいいでしょうか。どうすれば株価があがるのでしょうか。IT技術者がこういった問題に直面することはあまりないと思いますが、経営者は常にこういった課題に頭を悩ませ、戦略を練っています。その結果、個別のオペレーションが決定され、事業方針や組織変更、システム投資などが決まってくるのです。
SOAでビジネスを元気にするために押さえておかなくてはならないポイントの一つに、「"ITのためのIT"ではなく"ビジネスのためのIT"になること」があります。ビジネスのスピードに合わせてITシステムが対応するためには、SOAの柔軟なアーキテクチャーに加えてビジネス要件を迅速かつ正確に伝える必要があります。それを実現するのが、Business
Process Management(以下、BPM)やBusiness Driven Development(ビジネス駆動型開発。以下、BDD)です。
図 BPMとBDD
BPMとは、業務プロセスを継続的に改善していく取り組みや考え方のことです。一般的に、「PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)」といわれますが、計画をたてて実行し、その結果を分析して改善していくという継続的な改善サイクルを、業務プロセスについて実施していくことをいいます。一方、BDDとは、ビジネスの要求に応えるためにITシステムを開発することです。短期開発の実現やソフトウェア品質の向上、再利用性の向上といったIT的な課題も重要ですが、そういったことを目的とするのではなく、ビジネス要求の実現を目的とすることがBDDの特徴です。最近では、モデル駆動型開発の技術をベースに、ビジネスの要求をシームレスにIT開発へと連携させることができるようになっています。
つまり、ビジネスをどう改善していくかを考え、決定された事業方針を業務・ITシステムの両面で実行していくこと、そしてそのフィードバックをもとにさらなる改善をしていくこと・・・そこにSOAが本当にビジネスを元気にしていくものとなるポイントがあるのです。
ではさっそく、ビジネスを元気にする最初のステップ、ビジネス・プロセスの改善についてみていきましょう。
現状のプロセスを理解しよう
ビジネス・プロセスを改善するためには、まず現状を把握し、プロセスを改善するために解決すべき問題を発見し、分析する必要があります。ビジネス・プロセスを可視化することを、ビジネス・プロセス・モデリングといいます。モデリングとは、「物事の重要な性質を把握すること」です。ビジネス・プロセスに関連する情報にはさまざまなものがありますが、モデリングすることによってモデリングする人の立場や重要だと思うことの差異を最小化し、重要な情報だけを捉えることができるようになります。
ビジネス・プロセスをモデリングするには、最初にモデリングの目的とスコープを明らかにする必要があります。業務を理解し文書化するためのモデリングなのか、業務改善を目的としているのか、ワークフロー化などシステム開発を視野に入れているかなどの目的によって、モデリングのアプローチや方法、モデルの描き方は大きく変わります。またモデル化するプロセスの対象範囲が決まらなければ、プロセス・モデルを作成しはじめることはできません。必要に応じて他のビジネスモデリング手法を用いるなどして、モデリングの対象範囲をあらかじめ決定するところから始めましょう。
モデリングの目的とスコープが明らかになったら、対象となる業務の調査を行います。現場担当者にインタビューしたり業務手順書を入手したりして、必要な情報を集めます。情報収集する内容には、以下のようなものがあります。
- 業務プロセスの概要
- プロセスの範囲
- プロセスの実行に関わるリソース
- プロセスの手順
- ビジネス・ルール
- プロセスのパフォーマンス目標
- プロセスの入力と出力
- プロセスの課題
情報収集ができたら、必要に応じて業務プロセスを一つ、または複数に分割・構造化して、個々のプロセスをモデリングしていきます。下記のファイルをダウンロードして実行すると、サンプルの業務プロセスをツールでモデリングする手順がFlashでご覧になれます。
現状(As-is)プロセスの把握 (2.02MB)
プロセスの課題を洗い出そう
現状(As-is)プロセスをモデリングすると、それまで現場担当者しかわからなかった業務プロセスが、部門や担当業務をこえて共通理解できるようになります。業務プロセスが可視化されることで、別々の部門で同じような作業を行っていて二度手間になっているといった非効率がみつかるかもしれません。
しかし、業務プロセスの絵だけでは業務プロセスを多面的に理解するには不十分です。業務改善を目的としたモデリングの場合は処理時間やコストの情報が重要ですし、ワークフロー・システムの導入が目的である場合は役割や権限の情報が必須となるでしょう。また、その業務が実際に実行されたときのボトルネックやコスト・ピークを明らかにするためには、業務プロセスの実行頻度や作業担当者の人数といった情報も必要です。
このように、プロセスの課題を多角的に把握・分析するには、以下のような情報が必要になります。
- 各作業の実施に必要なスキル・権限・役割は何か
- 各作業に必要な情報や物は何か
- 各作業に何時間何分必要か
- コストがどのくらいかかっているのか
- 関連する組織やロケーション
- 現場担当者は何人いるのか
- 業務プロセスはどのような頻度・回数で実行されているのか
業務プロセスに関連するリソースやコスト、時間の情報を調査し、プロセス・モデルに入力することで、プロセスの課題を多角的に分析できるようになります。またプロセス・モデルに加えて、業務プロセスがどのような状況で実行されているかの情報を入力すれば、シミュレーションにより業務プロセスの動的な振る舞いを検証することができます。
下記のファイルをダウンロードして実行すると、ツールを使ってサンプルの業務のシミュレーション・シナリオを設定し、分析する手順がFlashでご覧になれます。
現状(As-is)プロセスの問題分析 (2.66MB)
次のステップへ
現状(As-is)プロセスの問題点が洗い出されたら、それをどのように改善していくかを考えます。業務プロセスのどこを改善するかのヒントは、インタビューや業務プロセスのシミュレーションによって把握された現状(As-is)プロセスの問題点から見つかるでしょう。しかし業務プロセスを最適化する方法を簡単にツールが示してくれるわけではありません。個々の分析結果をもとに、複数の改善案を比較検討しながら、最適なプロセス改善の計画をたてていきます。
Flashデモでご紹介したツールは以下からダウンロードできます。
WebSphere Business Modelerの評価版(
US)
次回は、あるべき(To-be)プロセスを作成し、それをITシステム開発に連携していくステップをご紹介します。
ダウンロード | 内容 | ファイル名 | サイズ | ダウンロード形式 |
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| 現状(As-is)プロセスの把握 | wbm_modeling.exe | 2.02MB | HTTP |
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| 現状(As-is)プロセスの問題分析 | wbm_analysis.exe | 2.66MB | HTTP |
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参考文献
著者について  | |  | 伊津野 安梨沙, WebSphereテクニカル・セールス, 日本アイ・ビー・エム株式会社 |
記事の評価
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