2011年6月に、Business Process Management(BPM)の実現を支援するためのソフトウエアとして、IBM Business Process Manager v7.5の出荷が始まりました。
この記事では、IBM Business Process Manager v7.5の概要について紹介します。

横谷 信太郎, IBMソフトウエア事業 WebSphere テクニカル・セールス&ソリューションズ, IBM  

横谷 信太郎の肖像横谷 信太郎
IBMソフトウエア事業 WebSphere テクニカル・セールス&ソリューションズのBPMチームに所属するITアーキテクトです。以前は、サービス事業に所属し、お客様先での業務アプリケーション開発等のプロジェクトでITアーキテクトとして従事していました。



2011年 7月 27日

まず最初に、なぜBPMというエリアに注目が集まっているのでしょうか? この問いの答えとして、参考文献にあげている、いくつかのデベロッパーワークスの記事が参考になると思います。
BPMは、様々なポイントで語られますが、現在は、主にホワイトカラーの生産性の向上にフォーカスが当たっています。これを以下の図1のように表して見ました。 私たちが主に業務として処理している様々な活動は、電話やFAX、メール、Webなどを用いて実行されていると思いますが、よく見てみると、意外にも手作業が多いことに気がつきます(図中1)。また、システム化されているはずなのに、複数のシステムへの入力や、それぞれのシステムへの入力で別々のコード体系を使用していたりします(図中2)。さらには、部門をまたいで処理が行われると、記入漏れなどによる差し戻しが頻繁に発生しています(図中3)。
また、複数のシステム間の連携で手入力のコードの紐付けがエラーになったり、そのエラーの対応を業務部門が行ったりしています(図中4,5)。このため、管理職からは、本来の業務の全体像が見えにくくなっていたり、全体像を見えるように集計するための別の業務が発生したりしています(図中6)。このような、公にはならない業務の混乱を収束し、管理可能な状況にするためにBPMが活用できるのです。(図2)

図1:システム化されているのに発生する問題
図1:システム化されているのに発生する問題

図2では、個別の機能が提供されているだけの既存システムに対して、業務のコントロールを可能にする層を設けています。この層で、業務のコントロールと可視化を実現し、混乱を収束させるようにします。

図2:BPMによる業務の管理
図2:BPMによる業務の管理

しかし、この層だけで十分でしょうか? 既存システムは、複雑怪奇な状況になっていて、複数のシステムで同じ機能を提供、異なるコード体系、オープンではない接続方式、複数のシステムをまたがった連続処理など、人間が行う処理とは異なるITが課題の中心となる問題があります。このような問題に対処するためにはSOA(Service Oriented Architecture )層の適用が必要となります。(図3)

図3:SOA層による既存システムのラッピング
図3:SOA層による既存システムのラッピング

いままでのWebSphere BPM製品との関係

IBMでは、BPMとITテクノロジーであるSOAをマッピングした製品として、WebSphere Dynamic Process Edition(含むWebSphere Process Server)(以下WDPEと表します)が存在していました。このWDPEは、業務フローをBPMNで表現し、システム間の連携をコントロールするための言語であるBPELに変換する方式を採用していました。また、WDPEには、BPELと連動して動作する人間系の処理を実装するためのヒューマン・タスクの管理機能も備えていました。しかし、実行環境内にESBを含んでおり、強力なトランザクション管理の他、各種のパッケージ・ベンダー用のアダプターなども利用できる設計であったため、人間系の処理基盤というより、SOAの基盤としての適用例が多くありました。
また、別の製品ラインナップとして、BPM専業ベンダーで、主に人間が処理の中心となるワークフロー機能等に強みのあったLombardi社を買収し、WebSphere Lombardi Edition(以下WLE)という製品も提供していました。このWLEは、BPMNを使用して業務の流れを表現し、それがそのままサーバー上で実行でき、開発フェーズでの業務効率のシミュレーションや、運用フェーズでの業務効率の分析が一つのモデル上で実現できるような方式を採用していました。また、画面の遷移、ユーザー・インタフェースのデザイン等もGUIで行えるようになっており、開発の途中でテスト、デバッグが簡単に行えるような開発環境を持っていました。
WDPEとWLEの業務モデリングと実装の関係を以下の図4に表します。

図4:WDPEとWLEの業務モデリングと実装の関係
図4:WDPEとWLEの業務モデリングと実装の関係

IBM Business Process Manager v7.5(以下IBM BPM)は、WDPEとWLEの強みの部分が統合され、BPM層とSOA層の両方の実現を支援するソフトウエアとして提供されました。


IBM BPMの3つのエディション

IBM BPMは、3つのエディション(Express, Standard, Advanced)で構成されます。それぞれの機能比較を以下の図5に示します。

図5:IBM BPMの機能比較表
図5:IBM BPMの機能比較表

人間系のワークフローが中心のアプリケーションであれば、Express版 / Standard版を使用し、既存システムとの複雑な連携があり、BPELやESBによるメディエーション、パッケージ製品やホストシステムとの接続があるようなケースでは、Advanced版が必要となります。


IBM Business Process Manager v7.5 の特長

IBM BPMを構成するコンポーネントから代表的なものを以下の図6に示します。
IBM BPMでは、Process Centerというチーム開発をサポートするレポジトリーサーバーが必須です。
アプリケーション開発者は、業務フローやユーザー・インターフェース、業務部品を設計・実装する役割の人は、Process Designerというツールを使用し、システム・インテグレーションの設計・実装をする役割の人は、Integration Designerを使用します。

Process Serverは、Process Designer、Integration Designerで作成されたアセットを実行するための環境になります。また、このProcess Serverで実行されるアプリケーションの共通ユーザー・インターフェースとして、Process Portalが標準で用意されています。

Integration Designerで作成したアセット(BPEL, ESBメディエーション、Adapter等)を実行するには、IBM BPM Advancedを使用する必要があります。

図6:IBM BPMの主要コンポーネント
図6:IBM BPMの主要コンポーネント

Process Designer

Process Designerは、業務フローやユーザー・インターフェース、業務部品を設計・実装する機能が提供されています。
業務フローについては、図7のようにBPMNを用いて業務の流れをロールごとのスイムレーンを定義し、いくつかの部品群をその上にドラッグ・アンド・ドロップして線をつなげて記述します。このフローは、IBM BPM内のプロセス・コンポーネントの一つとして管理されます。

図7:ビジネス・プロセス・フローの定義
図7:ビジネス・プロセス・フローの定義

次に、ユーザーが利用する画面の画面遷移(図8)と画面設計(図9)を以下に示します。これらは、プロセス・フロー上のあるタスクを実際に実行する際の画面遷移と画面(1つから複数の画面)を定義することができ、こちらもIBM BPM上では、ユーザー・インタフェース・コンポーネントとして管理されます。
この他にも、業務部品として機能するコンポーネントは実装やデータなどのコンポーネントとして作成できます。実装コンポーネントのコーディングは、JavaScriptを使用して行います。Process Designerでは、Java言語は使用しません。

図8:画面遷移の設計画面
図8:画面遷移の設計画面
図9:画面の設計画面
図9:画面の設計画面

Advanced版で利用可能となる、BPEL、ESBメディエーションのコンポーネントとの接続は、図11に示すようにIntegration Designerでエクスポート・コンポーネントをSCAバインディング定義しておくことにより、Process Designerからは、接続先を選択しておくだけでアクセスが可能になります。

図10:Integration Designerで作成したコンポーネントとの接続
図10:Integration Designerで作成したコンポーネントとの接続

Integration Designer

IBM BPMのAdvanced版では、BPEL、ESBメディエーション、アダプター、Javaコード等を作成するためにIntegration Designerを使用します。Integration Designerは、WebSphere Integration Developerの後継になっています。Integration Designerでは、Process Centerパースペクティブが用意され、ここからProcess Centerで管理されているモジュールへのアクセスが可能になっています。(図11)

図11:Process Center パースペクティブ
図11:Process Center パースペクティブ

図12では、BPELを実行するサンプルのモジュールを表しています。このモジュールは、Process Centerのモジュールに関連付けておきます。BPELを実行させるために外部からの呼び出しを定義するエクスポート・コンポーネントのプロパティーからバインディングを選択すると、”IBM Process Designerに対して操作を可能にする”というチェック・ボックスがありますので、これをチェックして、プロジェクトを選択し”更新して公開”をしておくことにより、Process Designerからこのモジュールにアクセスすることができるようになります。

図12:Process Designerとの関連付け
図12:Process Designerとの関連付け

まとめ

当記事では、IBM Business Process Manager v7.5の概要ということで、Business Process Managementの適用できる領域、いままでのWebSphereのBPM製品との関係、IBM BPM v7.5の3つのエディションと、2つの開発ツールについて触れてきました。今後、より具体的な使用法などについて、情報公開をしていきます。

参考文献

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Zone=WebSphere
ArticleID=741995
ArticleTitle=IBM Business Process Manager V7.5 概要
publish-date=07272011