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SOA での情報管理 第 1 回: SOA での情報管理の役割とは

Mei Selvage, Data architect, IBM
Mei Selvage photo
Mei Selvage は、モンタナ州 Misooula の University of Montana を卒業してから、IBM のさまざまなグループでデータ・アーキテクト、データ・モデル設計者、データベース管理者として活躍してきました。『SOA Compass』の共著者でもあります。特に興味を持っているのは、メタデータおよび情報アーキテクチャー、管理と統合、ヒューマン・コラボレーション、そしてテクノロジーの社会的影響です。
Dan Wolfson, Distinguished Engineer and Chief Technology Officer in business integration, IBM
Dan Wolfson は、IBM ソフトウェア・グループのビジネス統合における一流のエンジニア兼最高技術責任者です。分散コンピューティングの分野で 18 年以上の経験を持つ彼の専門分野は、情報統合、ミドルウェア統合、メタデータ、データベース、メッセージング、そしてトランザクション・システムに至るまで広範に及びます。
John Handy-Bosma, Senior IT Architect, IBM
John "Boz" Handy-Bosma は、オースティンの University of Texas で情報通信の博士号を取得しています。現在は、IBM Global Services でアプリケーション管理サービスのシニア IT アーキテクトとして活躍しています。アプリケーション管理サービス分野での多彩なプロジェクトのポートフォリオ・リーダーで、IT アーキテクチャーのベスト・プラクティス、技術専門家の指導、そして検索およびコラボレーションの新しい技術に取り組んでいます。

概要: この記事ではまず、情報管理、サービス指向アーキテクチャー (SOA) でのその重要性、そして情報管理と SOA との関係について学びます。次に、情報管理を再設計して SOA に組み込む上での課題と、それによってもたらされる利点を取り上げます。この 2 回連載シリーズの第 1 回では、情報管理を各種のサービスに分解し、それぞれのサービスの概要を説明します。この記事の対象読者は、SOA ベースのモデリング、アーキテクチャー、設計およびインプリメントに対して情報管理機能を活用したいと思っているアーキテクト、データ・モデル設計者、データベース管理者、そして開発者です。

日付:  2005年 5月 22日
レベル: 初級 この記事の原文:  英語
アクティビティー: 1035 ビュー
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はじめに

データ管理とコンテンツ管理の両方が含まれる情報管理は、サービス指向アーキテクチャー (SOA) に欠かせない基礎的要素です。情報管理は、データおよびコンテンツをさまざまな種類の情報ソース全体で表現、アクセス、維持、管理、分析、そして統合する手段となります (「参考文献」セクションの「オンデマンド・オペレーティング環境: アーキテクチャーの概要」を参照)。情報管理には、以下をはじめとする多種多様な機能があります。

  • 抽出・変換・ロード (ETL)
  • フェデレーション
  • データ配置 (複製やキャッシングなど)
  • データ・モデリング
  • 検索
  • アナリティクス

上記の機能は構成可能なコンポーネントとしてグループ分けして、再使用および呼び出し可能な Web サービスとして提供することができます。重要なのは、これらの機能が SOA を構築する際にどのように役立ち、SOA コンテキストのなかでどのように相互作用するかを検討することです。機能の目的と価値命題を明確に把握しておかないと、全体像を見失い、情報管理とアーキテクチャーにおいて誤った選択をしてしまいがちだからです。情報管理をより大規模で総体的な SOA 像に組み込む計画を事前に立てておくと、データ孤立 (データ・ソースの分離)、データ不整合、情報資産の未活用といった共通のギャップを埋めるのに役立ちます。


Web サービスを超えた SOA

情報管理サービスが扱うのは、SOA の情報コンポーネントです。けれども SOA のコンセプトについて考えるときに大抵の人がまず思い付くのは Web サービスです。情報管理の基礎となる側面を Web サービス・プログラミング・モデルの枠を超えたものとして捕らえる人はほとんどいません。情報管理は、企業のもっとも重要な資産の 1 つ、つまり情報を構造化形式と非構造化形式の両方で処理するという点で SOA をサポートします。情報管理の重要な部分である情報アーキテクチャーによって、SOA は一層インテリジェントになり、一層管理しやすくなります (「参考文献」セクションの「The Role of EII in SOA」を参照)。結局のところ、安定した強固な情報管理環境がなければ SOA の能力は限られることになり、エンドツーエンドのビジネス統合および変換を行う機会を提供することも少なくなります。

SOA における情報管理では、EII (Enterprise Information Integration) に重点が置かれます。EII は、構造化情報ソースと非構造化情報ソースを統合して、単一ソースのように処理することを可能にする技術です。構造化情報には通常、リレーショナル、XML、あるいはスプレッドシートなどの表形式データが含まれます。従来、構造化情報の管理はデータ管理として分類されています。一方、非構造化情報が関連するのはフリー・テキスト・レポート、文書、Web ページ、ライフサイエンス・データ、オーディオ、ビデオなどです。非構造化情報の管理は多くの場合、コンテンツ管理として分類されます。

EII では、基礎となる情報サービスの表示とアクセスを簡易化することによって、データとコンテンツを統一して表示することが可能です。SOA での情報管理は、EII の範囲を超えて ETL、データ配置、データ検索などの機能も組み込みます。信頼できる情報アーキテクチャーおよび設計の作成プロセスの一環として、異なる手法のトレードオフを理解しなければなりません。それにより、カスタマーの問題に適切なテクノロジーを適用することが可能になります。


情報管理が SOA を有効にする方法

とくに EII をはじめ、SOA での情報管理ではサービス層とデータの物理インプリメンテーションとを切り分けて考えることを重要視しています。そのためによく使用されるのは、IBM® WebSphere® Information Integrator (旧名称は DB2® Information Integrator) などのミドルウェアです。このようなミドルウェアによって、総所有コストを大幅に削減でき、情報統合の複雑さもかなり解消されます。EII を適切に使用すれば、潜在的に異種の基礎データをサービスが操作しやすい統合ビューにできるため、サービス層を物理データの変更から隔離できます。SOA にとって、この隔離層は極めて重要です。なぜなら、隔離層によって、データベース・ベンダー製品、OS プラットフォーム、情報ロケーション、データ・フォーマット、そして物理データ・モデルの透過性を実現できるからです。

情報ソースとアプリケーションを疎結合して表示できるようにするため、SOA での情報管理は異種のデータおよびコンテンツ・ソースにアクセスしてこれを集約し (フェデレーションとして知られる機能)、ユーザーにはあたかも単一のデータベースまたはコンテンツ・ソースであるかのように見えます。SOA での情報管理はアプリケーションとデータ・ソース間のミドルウェア層として機能するため、データ接続性、データ変換ルール、そしてデータ・マッピングのプログラミング・ロジックは一元化され、多数のアプリケーション (サービス・コンシューマー) が再使用できます。さらに、SOA での情報管理は優れた拡張性も提供するため、アプリケーションおよびユーザーは企業内の情報だけでなく、企業および産業の境界をまたいで情報にアクセスできます。この完全なエンドツーエンドの、横に広がるビジネスと情報の統合により、ビジネスの機敏性と柔軟性が向上し、オンデマンド・ビジネスへの道が開かれるというわけです。また、SOA での情報管理は、Unicode、XML、MOF (Metadata Object Facility) など、データ、コンテンツ、およびメタデータから、メタモデル、メタ・メタモデル (詳細は、この記事の後半で説明) まで多岐にわたる情報標準に基づいています。

Web サービス・プロバイダーである IBM DB2 UDB は、SOA の開発およびデプロイメントを行いやすい環境を作成します。例えば、Linux、UNIX、Windows®、および z/OS 対応の DB2 UDB に付属している WORF (Web Services Object Runtime Framework) は、DB2 データベースにアクセスする単純な Web サービスを容易に作成できる環境を提供します。簡単に言えば、一連の操作が含まれる XML ファイルを使用して、DB2 データへのアクセスを定義できるということです。この操作は SQL 操作 (選択、挿入、更新、削除操作、またはストアード・プロシージャーの呼び出し) または XML 収集操作 (XML 文書の生成または保管) のいずれかにすることができます。

Web サービス・コンシューマーであるIBM DB2 Web サービス・コンシューマーでは、ユーザー定義関数 (UDF) により、データベース・アプリケーションが SQL ステートメントを直接使用して Web サービスを呼び出すことが可能です。WebSphere Studio Application Developer を使用すると、既存の WSDL インターフェースを DB2 テーブルまたはスカラー UDF に簡単に変換できます (「参考文献」セクションの「XML for DB2 Information Integration」を参照)。


情報管理を再設計して SOA に組み込む

これまで、情報管理がどのようにして SOA を有効にするかについて説明しました。今度は SOA の原理によってもたらされる情報管理の利点について目を向けてみます。

課題

XML、Unicode、UML などの情報標準が登場しているにもかかわらず、多くのデータ・ソースは歴史的な理由または習慣により、専有データ・フォーマット、メタデータ、メタモデルを使用しています。これまで異なるデータ・ソースを統合するには多大な作業が必要であったため、通常はポイント・ツー・ポイントのデータとアプリケーションの統合が用いられています。業界でのこの問題の重大性を表す事実として、現在、250 を超えるベンダーが、入力側には各種データ・ソース用の ETL ツールを提供し、出力側には分析ツールを提供しています (「参考文献」セクションの「Java Metadata Interface (JMI) Specification」を参照)。ソース・システムからデータを抽出し、データを互換フォーマットに変換してからターゲット・システム (データウェアハウスやデータマート) にロードするには、多くの場合、ETL が使用されています。ETL は EII のほんの一部にすぎないことを考えると、ポイント・ツー・ポイントの統合問題の範囲と重大性が想像できるはずです。

コンテンツについての課題も同じく手ごわいものです。コンテンツ管理ソリューションは、これまでのさまざまな系統に由来しており、そのほとんどは縦割りの部門に基づいています。例えば、法務部の文書管理、IT 部門のナレッジ管理、営業部の Web コンテンツ管理などです。今日のコンテンツ管理市場では、このようなソリューションが異なるベンダーの異なる製品によって提供されることがよくあります。1 つのベンダーでさえも、製品間の機能がオーバーラップすることは珍しくありません。

各種のソリューション・タイプを区別する線は、時間とともにますます曖昧になってきています。例えば、現在のビジネス・インテリジェンスは、売り込み市場を完全に把握するためにリアルタイムのデータを必要とするため、ETL ベンダーはリアルタイム・データ機能の拡張に力を入れています。一方、データ・フェデレーションでは、データ品質と柔軟性を改善するためにデータ変換機能の必要性が高まっています。このように、さまざまな側面において、収束へ向けての動きが見られ、その例としてあげられるのは、データとコンテンツ統合の収束 (とくに XML との関連)、ETL とフェデレーションの収束、そしてナレッジ管理と Web コンテンツ管理の収束です。

企業がこのような変更を行おうとすると、極めて大きな課題に突き当たります。企業が検討しなければならない項目には、以下のようなものがあります。

  • 縦の部門ごとの視野の維持
  • 既存の情報管理機能の再使用可能サービスへの変換
  • 多数の異種情報ソースの統合
  • 開発費の削減
  • 機能の拡張

ベンダーは現在の IT 資産とカスタマー基盤を守ろうとするため、このような課題は簡単に解決できません。企業内の支持者も SOA の展望を内部で売り込み、標準ベースの方向に移行する必要があります。ユーザーの立場からすると、組織文化の一部として IT 資産の再使用を促すのは非常に困難な仕事です。

利点

情報管理に SOA を採用する場合の利点は顕著です。とりわけ注目に値する点として、SOA ベースの情報管理では以下のことが可能になります。

  • システマチックに IT 資産を再使用できます。データのモデリング、マッピング、そして変換は非常に複雑で手間がかかるプロセスです。現在のポイント・ツー・ポイントの情報統合では、IT 資産を簡単に再使用することはできません。
  • 開発時間を短縮し、開発費と維持費を削減します。
  • より高い費用効率で、データおよびコンテンツの接続性と相互運用性を向上させます。
  • 完全に統合された情報に基づいた、ビジネスの別の見方を可能にします。例えば、Gartner は非構造化コンテンツの分析能力が、新しいビジネス機会につながると予測しています。
  • 合併や買収が頻繁に行われる、非常に変わりやすい情報管理市場へのカスタマーの投資を保護します。
  • 企業コンピューティング・モデルの全体的な複雑さを緩和します。

情報管理が提供するサービス

情報管理が SOA を有効にする方法、そして情報管理の再設計に SOA を使用する際の課題と利点を説明しました。次は、情報管理が提供する ETL (Extract Transformation Load)、フェデレーション、モデリング、検索、アナリティクスなどのサービスについて取り上げます。

以下のリストで説明する情報管理の分類は、情報管理がその価値命題に基づいて提供するサービス (セキュリティー、コラボレーション、可用性、管理の容易性、および情報の利用) を分類する論理ビュー、あるいは枠組みです。

  • セキュリティー (Security): アプリケーションが「誰が何を表示可能か」というポリシーに基づいて異種データ・ソースにアクセスするための入り口点です。
  • コラボレーション (Collaboration): チーム環境にはなくてはならないもので、ワーク・フローとバージョン管理が必要になります。
  • サービス品質 (Quality of Service: QoS): 情報の可用性、パフォーマンス、データ・スループット、そしてデータの整合性や正確性に関する目標を含めることができます。フェデレーション、ETL、キャッシング、複製、およびイベント公開はすべて、QoS の目標を達成することを目的とします。
  • 管理の容易性 (Manageability): 情報は組織のインテリジェンスと複雑性を保管する手段であるため、(構造およびセマンティック) モデリング、(データの) プロファイリング、および (データとコンテンツの) 品質規則を使用して情報をより管理しやすくします。
  • 利用(Consumption): さらに、前の作業の目的全体は、アクター (マシンを含む) に使用させることなので、情報の利用はこの分類の最上部に位置します。

これだけのサービスをすべて提供できる単一の製品はありません。この記事の最後に、サンプル・ツールをリストしています。これらのサービスがまとまって、SOA での完全な情報管理フレームワークを作成します。1 つの記事全体でそれぞれのサービスを取り上げるのが理想ですが、ここでは概要のみを説明します。


図 1. SOA での情報管理

SOA における情報管理は、組織内および組織間での情報資産を総合的に捕らえます。多様なテクノロジーを目的によって使い分けることもできますが、情報管理は情報を適宜に構造化または非構造化した世界に分割することはせず、ソリューションを部門別に区分することもしません。SOA での情報管理を、以前のより固定化されたデータおよびコンテンツ管理手法と分け隔てる重要な点は、誰が要求したかには関わらず、サービスを適切な時点、適切な場所、そして適切な理由で提供するということです。

前述したように、情報管理の分類にリストしたサービスは通常、ミドルウェアによって提供されます。企業はこれらのサービスをアプリケーションに一から組み込もうとするかもしれませんが、たいてい費用とデプロイメントするまでの時間は相当なものになってしまいます。ベスト・プラクティスは、ビジネス要件を理解し、シームレスな情報統合ともっとも完全な情報管理ソリューションを提供するベンダーを選択し、欠けている部分を補うためにほんの一部の選択したサービスを作成するか、あるいは特定の複雑なサービスを第三者の情報サービス・プロバイダーにアウトソーシングすることです。これについては、次回の記事に記載する事例研究で説明します。


結論

SOA コンテキストでは情報管理はどのように機能するかを説明し、情報管理と SOA との関係を取り上げました。また、情報管理を再設計して SOA に組み込む上での課題と、それによってもたらされる利点についても検討しました。

SOA での情報管理に関する 2 回連載シリーズの第 1 回では、情報管理に含まれるサービスの概要を説明しました。次回は、それぞれのサービスの詳細を説明し、実際のユーザー・シナリオを紹介します。

謝辞

的確なフィードバックを提供していただいた Susan Malaika 氏、Norbert Bieberstein 氏、June Gu氏に特に感謝の言葉を送ります。また、Robert D. Johnson氏と Elizabeth Wallace氏の支援に感謝します。


参考文献

著者について

Mei Selvage photo

Mei Selvage は、モンタナ州 Misooula の University of Montana を卒業してから、IBM のさまざまなグループでデータ・アーキテクト、データ・モデル設計者、データベース管理者として活躍してきました。『SOA Compass』の共著者でもあります。特に興味を持っているのは、メタデータおよび情報アーキテクチャー、管理と統合、ヒューマン・コラボレーション、そしてテクノロジーの社会的影響です。

Dan Wolfson は、IBM ソフトウェア・グループのビジネス統合における一流のエンジニア兼最高技術責任者です。分散コンピューティングの分野で 18 年以上の経験を持つ彼の専門分野は、情報統合、ミドルウェア統合、メタデータ、データベース、メッセージング、そしてトランザクション・システムに至るまで広範に及びます。

John "Boz" Handy-Bosma は、オースティンの University of Texas で情報通信の博士号を取得しています。現在は、IBM Global Services でアプリケーション管理サービスのシニア IT アーキテクトとして活躍しています。アプリケーション管理サービス分野での多彩なプロジェクトのポートフォリオ・リーダーで、IT アーキテクチャーのベスト・プラクティス、技術専門家の指導、そして検索およびコラボレーションの新しい技術に取り組んでいます。

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ArticleTitle=SOA での情報管理 第 1 回: SOA での情報管理の役割とは
publish-date=05222005

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